文字の大きさ
大
中
小
50 / 75
第六章 もう一人のデイルワッツ
1 『いざ行かん!! 魔界【バハドゥール】に!』
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「そうか、フレイザーも倒されたか……」
「はい」
「残りの部下達は?」
「頭がやられ統率が崩れている所を人間達にほとんど倒されたようです」
「ちょっと待て、頭はこのデイルワッツだろ! 何故統率が崩れるのだ!?」
「……ビジョンで顔出しただけでその後何かしましたか? 頭のデ・イ・ル・ワ・ッ・ツ・さ・ま」
「……ゴホン、まぁよいどの道人間に倒される部下など必要ないからな、で? デイルワッツ……いや、今はデールか、奴は今どうしている?」
「魔界の門の手前まで来ているようです。もうじきこの魔界に来ることでしょう、いかがされますか?」
「そうか……ならば歓迎せねばならぬな。フハハハハハ!!」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「魔界の門……遂にここまで来ましたね」
あれが魔界の門か……なんともまぁ禍々しい物を作ったもんだな。
「……これは魔王の趣味なのかのぉ? だとしたら悪趣味にもほどがあるわい」
いやいやいや! これは我輩の趣味ではないわ!! 我輩が作るとしたら金銀煌びやかにし宝石をちりばめて豪華なものにするぞ!!
なのに、何だこれは、真っ黒な外観に謎の骨の装飾は!? 一体何の骨を使っておるのだ!? 動物か? 人間か? ……ん? あれは、悪魔の角の様な? …………まさか、な。
「え゛? こん中に入るの!?」
入りたくない気持ちは分からんでもないな……この門は恐らくゲートを維持し続けるための物なんだろうが、何故かそのゲート部分が紫色で渦巻きが起きておる。
わざわざこんな手の込んだ事をせずとも普通にゲート状態でよかっただろうに! 我輩でも入るのは躊躇するわこんな門!!
「入っても大丈夫です? これ……」
本当に誰がこの門を作ったのだ? アルフレドか? いやあいつはこんな事はできぬか不器用この上ないからな、だとするとアナネットか? あ~あいつならやりかねないなこれ。
「大丈夫じゃろ、向こうからこっちに来てるんじゃ、こっちも向こうに行けるじゃろ」
爺さん、それ何の根拠にもなっておらぬぞ。
「魔界に行けなければ魔王デイルワッツは倒せませんしこの戦いに終止符も打てませんよ」
その倒す相手は我輩なのだが……そういえばあのもう一人の我輩は一体何者だったのだろうか。
それを確かめるためにもだ――。
「そうだな、グダグダ言っておってもしょうがない、みんな行くぞ!」
「了解~」
「はい」
「おう」
「はいです」
ついに戻る時が来た、我輩の故郷である魔界【バハドゥール】に!!
「って何をしているんですか、早く入ってくださいよ」
「え? 我輩からか!?」
「当たり前じゃろ、勇者が何を言う」
え~……いやだな、こんなゲート潜るの……。
「デール様、がんばってです!」
いや、頑張るも何も……。
「「「ジーーーーーー」」」
駄目だ、これでは逃げられない。
仕方ない……覚悟を決めるしかないか。
「いざ行かん!! 魔界【バハドゥール】に! とう!」
※
門を抜けるとそこは血の様な赤い月が照らす赤く染まった壮大な大地にきりだった山々! 帰ってきたのだな、魔界【バハドゥール】に! ん~! いい香りの空気……実に懐かしい!
「……どうやら何事もなく門を抜けられましたね。――ここが魔界【バハドゥール】……うっなんでしょうこの悪臭……」
「卵が腐ったような臭いじゃな、それに大地が血のように赤く染まっておって気持ち悪いのぉ」
「う~くさい~鼻が曲がりそう~。これは……見るからにここはおいしい食べ物なんてないね! うん、絶対に! 断言できるんだよ!」
「……植物の声が聞こえないです、こんなのは初めてです……とても不気味な処です。――さすがにこれは臭すぎるので消臭効果のある物を作りますです」
「良かった、それは助かります」
皆の第一声が我輩の故郷をボロカスに言っておって何だか悲しい……が、人間達にこの魔界の良さを分かれと言っても無理だよな。
今は気持ちを切り替えて、我輩達の現在地を把握する方が先決か。え~と、あれはリヴェリ山か? え? そうなると……後ろは……やっぱ魔王城の入り口があるではないか!!
なんでこんなわかりやすい所に門があるのに魔王だった頃の我輩は気が付かなかったのか!!
「――!? そこにおるのは誰じゃ!? 出てこい!」
え!?
「クスクスクス、さすが勇者一行の者ですね」
入り口から誰か出て来た……あ、あの破れた白のローブにフードを深々と被っている奴といえば――。
「お初にお目にかかります、私はアナネットと申します」
よく知っています。
「くっ!! ――っ勇者殿何をしておる! かまえんか!!」
っと、そうだったそうだった。
アナネットとの付き合いが一番長いせいか完全に気を抜いていた。
「お待ちください。私に戦う意思はありません」
何? 戦う意思がないだと?
「……では何しに来たんじゃ?」
「我が主、デイルワッツ様が勇者一行を招待したいとの事ですので迎えに上がりました」
は!? 何を言ってるのだ我輩は!? いや、我輩ではないか。ええい! ややこしい。
「……それを信じろと言うのですか?」
「信じる、信じないはあなた達で決めて下さい。私は主の命に従っているだけですので」
「……デール殿どうしましょう」
相変わらずフードで顔が見えないから奴の表情からは読み取れんな。
だが――。
「……たとえ罠だとしてもねじ伏せるのみだ、警戒しつつ付いて行こう」
我輩の家である魔王城は内部の隅々まで把握しておる、何か違和感があればすぐわかる。
「……分かりました。フェリシア、絶対に私の傍から離れないようにね」
「はっはいです」
「クスクス、では城の中にどうぞ……」
自分の家なのに招かれるってなんだかな~。
「城の中にって……こんな山を削っただけの所が魔王の住む城ですか!? なんて雑な」
おいこら! 我輩のマイホームにこんなとか雑とは何だ! こんなとは!! 失礼な奴だな、まったく。
ん? エリンの奴アナネットを凝視しておるが――。
「どうしたのだ、エリン」
「いや~あの悪魔……どっかで会ったような気がするんだけど……どこだっけ?」
そんな事、知るか!!
「先ほどお初にお目にかかるって言っていただろ? 会っていないと思うが?」
まぁ我輩はそうではないんだが……。
「う~ん……そうかな~?」
「何しているんですか? 置いて行きますよ~」
「ああ! 待って~!」
変な奴、っていつも通りか。
「そうか、フレイザーも倒されたか……」
「はい」
「残りの部下達は?」
「頭がやられ統率が崩れている所を人間達にほとんど倒されたようです」
「ちょっと待て、頭はこのデイルワッツだろ! 何故統率が崩れるのだ!?」
「……ビジョンで顔出しただけでその後何かしましたか? 頭のデ・イ・ル・ワ・ッ・ツ・さ・ま」
「……ゴホン、まぁよいどの道人間に倒される部下など必要ないからな、で? デイルワッツ……いや、今はデールか、奴は今どうしている?」
「魔界の門の手前まで来ているようです。もうじきこの魔界に来ることでしょう、いかがされますか?」
「そうか……ならば歓迎せねばならぬな。フハハハハハ!!」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「魔界の門……遂にここまで来ましたね」
あれが魔界の門か……なんともまぁ禍々しい物を作ったもんだな。
「……これは魔王の趣味なのかのぉ? だとしたら悪趣味にもほどがあるわい」
いやいやいや! これは我輩の趣味ではないわ!! 我輩が作るとしたら金銀煌びやかにし宝石をちりばめて豪華なものにするぞ!!
なのに、何だこれは、真っ黒な外観に謎の骨の装飾は!? 一体何の骨を使っておるのだ!? 動物か? 人間か? ……ん? あれは、悪魔の角の様な? …………まさか、な。
「え゛? こん中に入るの!?」
入りたくない気持ちは分からんでもないな……この門は恐らくゲートを維持し続けるための物なんだろうが、何故かそのゲート部分が紫色で渦巻きが起きておる。
わざわざこんな手の込んだ事をせずとも普通にゲート状態でよかっただろうに! 我輩でも入るのは躊躇するわこんな門!!
「入っても大丈夫です? これ……」
本当に誰がこの門を作ったのだ? アルフレドか? いやあいつはこんな事はできぬか不器用この上ないからな、だとするとアナネットか? あ~あいつならやりかねないなこれ。
「大丈夫じゃろ、向こうからこっちに来てるんじゃ、こっちも向こうに行けるじゃろ」
爺さん、それ何の根拠にもなっておらぬぞ。
「魔界に行けなければ魔王デイルワッツは倒せませんしこの戦いに終止符も打てませんよ」
その倒す相手は我輩なのだが……そういえばあのもう一人の我輩は一体何者だったのだろうか。
それを確かめるためにもだ――。
「そうだな、グダグダ言っておってもしょうがない、みんな行くぞ!」
「了解~」
「はい」
「おう」
「はいです」
ついに戻る時が来た、我輩の故郷である魔界【バハドゥール】に!!
「って何をしているんですか、早く入ってくださいよ」
「え? 我輩からか!?」
「当たり前じゃろ、勇者が何を言う」
え~……いやだな、こんなゲート潜るの……。
「デール様、がんばってです!」
いや、頑張るも何も……。
「「「ジーーーーーー」」」
駄目だ、これでは逃げられない。
仕方ない……覚悟を決めるしかないか。
「いざ行かん!! 魔界【バハドゥール】に! とう!」
※
門を抜けるとそこは血の様な赤い月が照らす赤く染まった壮大な大地にきりだった山々! 帰ってきたのだな、魔界【バハドゥール】に! ん~! いい香りの空気……実に懐かしい!
「……どうやら何事もなく門を抜けられましたね。――ここが魔界【バハドゥール】……うっなんでしょうこの悪臭……」
「卵が腐ったような臭いじゃな、それに大地が血のように赤く染まっておって気持ち悪いのぉ」
「う~くさい~鼻が曲がりそう~。これは……見るからにここはおいしい食べ物なんてないね! うん、絶対に! 断言できるんだよ!」
「……植物の声が聞こえないです、こんなのは初めてです……とても不気味な処です。――さすがにこれは臭すぎるので消臭効果のある物を作りますです」
「良かった、それは助かります」
皆の第一声が我輩の故郷をボロカスに言っておって何だか悲しい……が、人間達にこの魔界の良さを分かれと言っても無理だよな。
今は気持ちを切り替えて、我輩達の現在地を把握する方が先決か。え~と、あれはリヴェリ山か? え? そうなると……後ろは……やっぱ魔王城の入り口があるではないか!!
なんでこんなわかりやすい所に門があるのに魔王だった頃の我輩は気が付かなかったのか!!
「――!? そこにおるのは誰じゃ!? 出てこい!」
え!?
「クスクスクス、さすが勇者一行の者ですね」
入り口から誰か出て来た……あ、あの破れた白のローブにフードを深々と被っている奴といえば――。
「お初にお目にかかります、私はアナネットと申します」
よく知っています。
「くっ!! ――っ勇者殿何をしておる! かまえんか!!」
っと、そうだったそうだった。
アナネットとの付き合いが一番長いせいか完全に気を抜いていた。
「お待ちください。私に戦う意思はありません」
何? 戦う意思がないだと?
「……では何しに来たんじゃ?」
「我が主、デイルワッツ様が勇者一行を招待したいとの事ですので迎えに上がりました」
は!? 何を言ってるのだ我輩は!? いや、我輩ではないか。ええい! ややこしい。
「……それを信じろと言うのですか?」
「信じる、信じないはあなた達で決めて下さい。私は主の命に従っているだけですので」
「……デール殿どうしましょう」
相変わらずフードで顔が見えないから奴の表情からは読み取れんな。
だが――。
「……たとえ罠だとしてもねじ伏せるのみだ、警戒しつつ付いて行こう」
我輩の家である魔王城は内部の隅々まで把握しておる、何か違和感があればすぐわかる。
「……分かりました。フェリシア、絶対に私の傍から離れないようにね」
「はっはいです」
「クスクス、では城の中にどうぞ……」
自分の家なのに招かれるってなんだかな~。
「城の中にって……こんな山を削っただけの所が魔王の住む城ですか!? なんて雑な」
おいこら! 我輩のマイホームにこんなとか雑とは何だ! こんなとは!! 失礼な奴だな、まったく。
ん? エリンの奴アナネットを凝視しておるが――。
「どうしたのだ、エリン」
「いや~あの悪魔……どっかで会ったような気がするんだけど……どこだっけ?」
そんな事、知るか!!
「先ほどお初にお目にかかるって言っていただろ? 会っていないと思うが?」
まぁ我輩はそうではないんだが……。
「う~ん……そうかな~?」
「何しているんですか? 置いて行きますよ~」
「ああ! 待って~!」
変な奴、っていつも通りか。
感想 1
あなたにおすすめの小説
『お前が運命の番だなんて最悪だ』と言われたので、魔女に愛を消してもらいました
竜族の王子フェリクスの成人の儀で、侯爵令嬢クロエに現れたのは運命の番紋。けれど彼が放ったのは「お前が番だなんて最悪だ」という残酷な言葉だった。
異母妹ばかりを愛する王子、家族に疎まれる日々に耐えきれなくなったクロエは、半地下に住む魔女へ願う。「この愛を消してください」と。
恋も嫉妬も失い、辺境で静かに生き直そうとした彼女のもとに、三年後、王宮から使者が現れる。異母妹の魅了が暴かれ、王子は今さら真実の愛を誓うが、クロエの心にはもう何も響かない。愛されなかった令嬢と、愛を取り戻したい竜王子。番たちの行く末は――。
〈完結〉【書籍化&コミカライズ・取り下げ予定】毒を飲めと言われたので飲みました。
王妃シャリゼは、稀代の毒婦、と呼ばれている。
国中から批判された嫌われ者の王妃が、やっと処刑された。
悪は倒れ、国には平和が戻る……はずだった。
夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。
神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。
もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。
生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。
過去世と同じ轍を踏みたくない……
処刑台の皇妃、回帰して復讐を誓う ~冷酷公爵と偽りの婚約者~ おまえたちは許さない!
皇妃エリアーナは、夫である皇帝アランと、たった一人の親友イザベラの策略により、無実の罪で処刑される。
民衆に罵られ、アランの冷酷な目とイザベラの嘲笑を「始まりの景色」として目に焼き付けながら絶命した彼女は、しかし、処刑の記憶を持ったまま三年前の過去に回帰する。
「おまえたちは許さない」
二度目の人生。
エリアーナの目的はただ一つ、自分を陥れた二人への完璧な復讐。
彼女はまず、アラン(皇太子)からの婚約内示を拒絶。そして、アラン最大の政敵である「北の冷血公爵」ルシアン・ヴァレリウスに接触する。
1周目で得た「未来の知識」を対価に、エリアーナはルシアンに持ちかける。
「貴方様には帝国の覇権を。わたくしには復讐の舞台を。そのための『契約婚約』を――」
憎悪を糧に生きる皇妃と、氷の瞳を持つ公爵。
二人の偽りの婚約の行く末は……
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
極悪令嬢だった私ですが、自分で作った罪は自分で刈り取ります
公爵令嬢ヴェティアは、使用人を傷つけた瞬間、前世の記憶を取り戻す。
ここはかつて遊んだゲームの世界。そして自分は、やがて禁忌の闇魔法を完成させ、「鮮血姫」と呼ばれるラスボスになる令嬢だった。
過去に犯した罪は消せない。けれど、これから何を選ぶかは変えられる。
婚約者ロンド、光魔法使いのルミエ、大聖女ミュゲとの出会いを通して、ヴェティアは自分の罪と未来に向き合っていく。
これは、悪役令嬢が攻略本のない自分自身の人生を選び直す物語。
200万年後 軽トラで未来にやってきた勇者たち
本稿は、生きていくために、文明の痕跡さえない200万年後の未来に旅立ったヒトたちの奮闘を描いています。
最近は温暖化による環境の悪化が話題になっています。温暖化が進行すれば、多くの生物種が絶滅するでしょう。実際、新生代第四紀完新世(現在の地質年代)は生物の大量絶滅の真っ最中だとされています。生物の大量絶滅は地球史上何度も起きていますが、特に大規模なものが“ビッグファイブ”と呼ばれています。5番目が皆さんよくご存じの恐竜絶滅です。そして、現在が6番目で絶賛進行中。しかも理由はヒトの存在。それも産業革命以後とかではなく、何万年も前から。
本稿は、2015年に書き始めましたが、温暖化よりはスーパープルームのほうが衝撃的だろうと考えて北米でのマントル噴出を破局的環境破壊の惹起としました。
第1章と第2章は未来での生き残りをかけた挑戦、第3章以降は競争排除則(ガウゼの法則)がテーマに加わります。第6章以降は大量絶滅は収束したのかがテーマになっています。
どうぞ、お楽しみください。
【完結】蒼の賢者〜人里離れた森で暮らす不老不死の青年、実は世界最強の魔力持ちでした〜
【最強×不老不死】森の奥で静かに暮らす青年トワ。実は、世界を揺るがすほどの魔力を持つ『蒼の賢者』だった――。
人里離れた森で暮らす青年トワには、誰にも知られていない秘密があった。
それは、三百年以上の時を生きていること。
かつて仲間と共に旅をし、
そして全てを失った彼は、長い間ひっそりと森で暮らしていた。
だがある日、世界に広がる僅かな“魔力の違和感”を感じ取り、再び人里へ足を踏み入れる。
そこで出会う、王国の第一王子ルシアンと、その側近カイル。
止まっていたはずの時間が、静かに動き始める。
失われた英雄譚。
魔王軍の残党。
そして、“蒼の賢者”と呼ばれた青年の過去。
これは、長命の青年が再び世界と向き合う物語。