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第六章 もう一人のデイルワッツ
1 『いざ行かん!! 魔界【バハドゥール】に!』
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ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「そうか、フレイザーも倒されたか……」
「はい」
「残りの部下達は?」
「頭がやられ統率が崩れている所を人間達にほとんど倒されたようです」
「ちょっと待て、頭はこのデイルワッツだろ! 何故統率が崩れるのだ!?」
「……ビジョンで顔出しただけでその後何かしましたか? 頭のデ・イ・ル・ワ・ッ・ツ・さ・ま」
「……ゴホン、まぁよいどの道人間に倒される部下など必要ないからな、で? デイルワッツ……いや、今はデールか、奴は今どうしている?」
「魔界の門の手前まで来ているようです。もうじきこの魔界に来ることでしょう、いかがされますか?」
「そうか……ならば歓迎せねばならぬな。フハハハハハ!!」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「魔界の門……遂にここまで来ましたね」
あれが魔界の門か……なんともまぁ禍々しい物を作ったもんだな。
「……これは魔王の趣味なのかのぉ? だとしたら悪趣味にもほどがあるわい」
いやいやいや! これは我輩の趣味ではないわ!! 我輩が作るとしたら金銀煌びやかにし宝石をちりばめて豪華なものにするぞ!!
なのに、何だこれは、真っ黒な外観に謎の骨の装飾は!? 一体何の骨を使っておるのだ!? 動物か? 人間か? ……ん? あれは、悪魔の角の様な? …………まさか、な。
「え゛? こん中に入るの!?」
入りたくない気持ちは分からんでもないな……この門は恐らくゲートを維持し続けるための物なんだろうが、何故かそのゲート部分が紫色で渦巻きが起きておる。
わざわざこんな手の込んだ事をせずとも普通にゲート状態でよかっただろうに! 我輩でも入るのは躊躇するわこんな門!!
「入っても大丈夫です? これ……」
本当に誰がこの門を作ったのだ? アルフレドか? いやあいつはこんな事はできぬか不器用この上ないからな、だとするとアナネットか? あ~あいつならやりかねないなこれ。
「大丈夫じゃろ、向こうからこっちに来てるんじゃ、こっちも向こうに行けるじゃろ」
爺さん、それ何の根拠にもなっておらぬぞ。
「魔界に行けなければ魔王デイルワッツは倒せませんしこの戦いに終止符も打てませんよ」
その倒す相手は我輩なのだが……そういえばあのもう一人の我輩は一体何者だったのだろうか。
それを確かめるためにもだ――。
「そうだな、グダグダ言っておってもしょうがない、みんな行くぞ!」
「了解~」
「はい」
「おう」
「はいです」
ついに戻る時が来た、我輩の故郷である魔界【バハドゥール】に!!
「って何をしているんですか、早く入ってくださいよ」
「え? 我輩からか!?」
「当たり前じゃろ、勇者が何を言う」
え~……いやだな、こんなゲート潜るの……。
「デール様、がんばってです!」
いや、頑張るも何も……。
「「「ジーーーーーー」」」
駄目だ、これでは逃げられない。
仕方ない……覚悟を決めるしかないか。
「いざ行かん!! 魔界【バハドゥール】に! とう!」
※
門を抜けるとそこは血の様な赤い月が照らす赤く染まった壮大な大地にきりだった山々! 帰ってきたのだな、魔界【バハドゥール】に! ん~! いい香りの空気……実に懐かしい!
「……どうやら何事もなく門を抜けられましたね。――ここが魔界【バハドゥール】……うっなんでしょうこの悪臭……」
「卵が腐ったような臭いじゃな、それに大地が血のように赤く染まっておって気持ち悪いのぉ」
「う~くさい~鼻が曲がりそう~。これは……見るからにここはおいしい食べ物なんてないね! うん、絶対に! 断言できるんだよ!」
「……植物の声が聞こえないです、こんなのは初めてです……とても不気味な処です。――さすがにこれは臭すぎるので消臭効果のある物を作りますです」
「良かった、それは助かります」
皆の第一声が我輩の故郷をボロカスに言っておって何だか悲しい……が、人間達にこの魔界の良さを分かれと言っても無理だよな。
今は気持ちを切り替えて、我輩達の現在地を把握する方が先決か。え~と、あれはリヴェリ山か? え? そうなると……後ろは……やっぱ魔王城の入り口があるではないか!!
なんでこんなわかりやすい所に門があるのに魔王だった頃の我輩は気が付かなかったのか!!
「――!? そこにおるのは誰じゃ!? 出てこい!」
え!?
「クスクスクス、さすが勇者一行の者ですね」
入り口から誰か出て来た……あ、あの破れた白のローブにフードを深々と被っている奴といえば――。
「お初にお目にかかります、私はアナネットと申します」
よく知っています。
「くっ!! ――っ勇者殿何をしておる! かまえんか!!」
っと、そうだったそうだった。
アナネットとの付き合いが一番長いせいか完全に気を抜いていた。
「お待ちください。私に戦う意思はありません」
何? 戦う意思がないだと?
「……では何しに来たんじゃ?」
「我が主、デイルワッツ様が勇者一行を招待したいとの事ですので迎えに上がりました」
は!? 何を言ってるのだ我輩は!? いや、我輩ではないか。ええい! ややこしい。
「……それを信じろと言うのですか?」
「信じる、信じないはあなた達で決めて下さい。私は主の命に従っているだけですので」
「……デール殿どうしましょう」
相変わらずフードで顔が見えないから奴の表情からは読み取れんな。
だが――。
「……たとえ罠だとしてもねじ伏せるのみだ、警戒しつつ付いて行こう」
我輩の家である魔王城は内部の隅々まで把握しておる、何か違和感があればすぐわかる。
「……分かりました。フェリシア、絶対に私の傍から離れないようにね」
「はっはいです」
「クスクス、では城の中にどうぞ……」
自分の家なのに招かれるってなんだかな~。
「城の中にって……こんな山を削っただけの所が魔王の住む城ですか!? なんて雑な」
おいこら! 我輩のマイホームにこんなとか雑とは何だ! こんなとは!! 失礼な奴だな、まったく。
ん? エリンの奴アナネットを凝視しておるが――。
「どうしたのだ、エリン」
「いや~あの悪魔……どっかで会ったような気がするんだけど……どこだっけ?」
そんな事、知るか!!
「先ほどお初にお目にかかるって言っていただろ? 会っていないと思うが?」
まぁ我輩はそうではないんだが……。
「う~ん……そうかな~?」
「何しているんですか? 置いて行きますよ~」
「ああ! 待って~!」
変な奴、っていつも通りか。
「そうか、フレイザーも倒されたか……」
「はい」
「残りの部下達は?」
「頭がやられ統率が崩れている所を人間達にほとんど倒されたようです」
「ちょっと待て、頭はこのデイルワッツだろ! 何故統率が崩れるのだ!?」
「……ビジョンで顔出しただけでその後何かしましたか? 頭のデ・イ・ル・ワ・ッ・ツ・さ・ま」
「……ゴホン、まぁよいどの道人間に倒される部下など必要ないからな、で? デイルワッツ……いや、今はデールか、奴は今どうしている?」
「魔界の門の手前まで来ているようです。もうじきこの魔界に来ることでしょう、いかがされますか?」
「そうか……ならば歓迎せねばならぬな。フハハハハハ!!」
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「魔界の門……遂にここまで来ましたね」
あれが魔界の門か……なんともまぁ禍々しい物を作ったもんだな。
「……これは魔王の趣味なのかのぉ? だとしたら悪趣味にもほどがあるわい」
いやいやいや! これは我輩の趣味ではないわ!! 我輩が作るとしたら金銀煌びやかにし宝石をちりばめて豪華なものにするぞ!!
なのに、何だこれは、真っ黒な外観に謎の骨の装飾は!? 一体何の骨を使っておるのだ!? 動物か? 人間か? ……ん? あれは、悪魔の角の様な? …………まさか、な。
「え゛? こん中に入るの!?」
入りたくない気持ちは分からんでもないな……この門は恐らくゲートを維持し続けるための物なんだろうが、何故かそのゲート部分が紫色で渦巻きが起きておる。
わざわざこんな手の込んだ事をせずとも普通にゲート状態でよかっただろうに! 我輩でも入るのは躊躇するわこんな門!!
「入っても大丈夫です? これ……」
本当に誰がこの門を作ったのだ? アルフレドか? いやあいつはこんな事はできぬか不器用この上ないからな、だとするとアナネットか? あ~あいつならやりかねないなこれ。
「大丈夫じゃろ、向こうからこっちに来てるんじゃ、こっちも向こうに行けるじゃろ」
爺さん、それ何の根拠にもなっておらぬぞ。
「魔界に行けなければ魔王デイルワッツは倒せませんしこの戦いに終止符も打てませんよ」
その倒す相手は我輩なのだが……そういえばあのもう一人の我輩は一体何者だったのだろうか。
それを確かめるためにもだ――。
「そうだな、グダグダ言っておってもしょうがない、みんな行くぞ!」
「了解~」
「はい」
「おう」
「はいです」
ついに戻る時が来た、我輩の故郷である魔界【バハドゥール】に!!
「って何をしているんですか、早く入ってくださいよ」
「え? 我輩からか!?」
「当たり前じゃろ、勇者が何を言う」
え~……いやだな、こんなゲート潜るの……。
「デール様、がんばってです!」
いや、頑張るも何も……。
「「「ジーーーーーー」」」
駄目だ、これでは逃げられない。
仕方ない……覚悟を決めるしかないか。
「いざ行かん!! 魔界【バハドゥール】に! とう!」
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門を抜けるとそこは血の様な赤い月が照らす赤く染まった壮大な大地にきりだった山々! 帰ってきたのだな、魔界【バハドゥール】に! ん~! いい香りの空気……実に懐かしい!
「……どうやら何事もなく門を抜けられましたね。――ここが魔界【バハドゥール】……うっなんでしょうこの悪臭……」
「卵が腐ったような臭いじゃな、それに大地が血のように赤く染まっておって気持ち悪いのぉ」
「う~くさい~鼻が曲がりそう~。これは……見るからにここはおいしい食べ物なんてないね! うん、絶対に! 断言できるんだよ!」
「……植物の声が聞こえないです、こんなのは初めてです……とても不気味な処です。――さすがにこれは臭すぎるので消臭効果のある物を作りますです」
「良かった、それは助かります」
皆の第一声が我輩の故郷をボロカスに言っておって何だか悲しい……が、人間達にこの魔界の良さを分かれと言っても無理だよな。
今は気持ちを切り替えて、我輩達の現在地を把握する方が先決か。え~と、あれはリヴェリ山か? え? そうなると……後ろは……やっぱ魔王城の入り口があるではないか!!
なんでこんなわかりやすい所に門があるのに魔王だった頃の我輩は気が付かなかったのか!!
「――!? そこにおるのは誰じゃ!? 出てこい!」
え!?
「クスクスクス、さすが勇者一行の者ですね」
入り口から誰か出て来た……あ、あの破れた白のローブにフードを深々と被っている奴といえば――。
「お初にお目にかかります、私はアナネットと申します」
よく知っています。
「くっ!! ――っ勇者殿何をしておる! かまえんか!!」
っと、そうだったそうだった。
アナネットとの付き合いが一番長いせいか完全に気を抜いていた。
「お待ちください。私に戦う意思はありません」
何? 戦う意思がないだと?
「……では何しに来たんじゃ?」
「我が主、デイルワッツ様が勇者一行を招待したいとの事ですので迎えに上がりました」
は!? 何を言ってるのだ我輩は!? いや、我輩ではないか。ええい! ややこしい。
「……それを信じろと言うのですか?」
「信じる、信じないはあなた達で決めて下さい。私は主の命に従っているだけですので」
「……デール殿どうしましょう」
相変わらずフードで顔が見えないから奴の表情からは読み取れんな。
だが――。
「……たとえ罠だとしてもねじ伏せるのみだ、警戒しつつ付いて行こう」
我輩の家である魔王城は内部の隅々まで把握しておる、何か違和感があればすぐわかる。
「……分かりました。フェリシア、絶対に私の傍から離れないようにね」
「はっはいです」
「クスクス、では城の中にどうぞ……」
自分の家なのに招かれるってなんだかな~。
「城の中にって……こんな山を削っただけの所が魔王の住む城ですか!? なんて雑な」
おいこら! 我輩のマイホームにこんなとか雑とは何だ! こんなとは!! 失礼な奴だな、まったく。
ん? エリンの奴アナネットを凝視しておるが――。
「どうしたのだ、エリン」
「いや~あの悪魔……どっかで会ったような気がするんだけど……どこだっけ?」
そんな事、知るか!!
「先ほどお初にお目にかかるって言っていただろ? 会っていないと思うが?」
まぁ我輩はそうではないんだが……。
「う~ん……そうかな~?」
「何しているんですか? 置いて行きますよ~」
「ああ! 待って~!」
変な奴、っていつも通りか。
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