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4章 二人の修理と盗賊
レインの書~盗賊・4~
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ジョシュアを引き摺り、鍛冶屋に到着。
それにしても、まさかこんなに早く鍛冶屋に戻って来るとは思いもしなかったわ。
明日以降に取りに来いって言っていたから、今店に入るとアレコレ言われそうだな……。
とは言っても、武器が無い状態でデュラハンに挑むのは無謀すぎるからこればかりは仕方がない。
「ジョシュ……じゃなくてジョン、鍛冶屋に入るから自分で立ってくれない?」
ジョシュアは小柄で軽いとはいえ、流石にずっと引き摺っていると疲れた。
「本当にジョン決定なのね……もういいや……はいはい、わかりましたよ、ボクはジョンですよ」
そう言いながらジョシュアがゆっくりと体を起こした。
わかったと言いつつも、ジョシュアの顔は納得がいっていないという感じ。
ちょっと強制し過ぎちゃったかな? とはいえ、ジムさん達にはもうジョンでって事になっちゃったし今更変えますとも言えない。
ん~……仕方ないな~、メイスを受け取ったら何か甘い物をジョシュアに買ってあげるか。
ジョシュアは甘い物に目が無いからそれで機嫌も治るでしょ。
「ジョン」
「……何?」
「メイスを受け取ったら何か甘い物を買いに行きましょ」
「――っ甘い物! いいの!?」
食いついた。
甘い物の言葉にジョシュアが目を輝かせている。
「うん、デュラハンに挑む前に糖分補給をしておきたいしね」
機嫌直しの意味もあるけど、これも本当の事。
強敵の前に、しっかりエネルギーを補給しておきたい。
「やった!! そうと決まれば早くメイスを返してもらわないとね! こんにちは~!」
ジョシュアがスキップをしながら鍛冶屋の中に入って行った。
ちょろい、実にちょろいわ~ジョシュアの機嫌が悪い時はこれが一番ね。
「あれ? 誰もいないよ」
ジョシュアの背中から鍛冶屋の中を覗くと、カウンター席にはジェームスの姿が無かった。
アタシのメイスもアイリスさんのアーメットもカウンターの上から無くなっている。
「本当ね」
となると、店の奥にある作業場に持って行って作業中なのかもしれないわね。
本来なら作業の邪魔はしたくないけど、こっちも急ぎでやる事があるしジェームスを呼ばないわけにもいかないわ。
「お~い! ジェームス~!」
「……何だ何だ? まったく、今忙しいってのによ……」
ぶつくさ言いながら、店の奥から前掛けをつけた50歳前後の男が出て来た。
やっぱり作業中だったのね。
「ん? 誰かと思えばレインじゃないか! おいおい、いくらなんでも取りに来るのが早すぎだっての。言ったよな? 取りに来るなら明日の昼以降ってよ」
思った通り文句を言われた。
まぁ言いたい事はわかる。
逆の立場だったら、アタシも文句を言いたくなるもの。
「ごめんごめん。けど、こっちも事情があるわけよ。急で申し訳ないんだけどさ、この町から出る事になったからメイスを返してほしいのよ」
「はあ? なんだそれ。本当に急な話だな」
だって数刻前に決まった話ですから。
「……お前、一体何をしでかしたんだ?」
ジェームスがジト目でアタシを見て来た。
……あ! ジェームスったら、アタシがこの町から逃げ出すと思っているわね!
「何もしてないわよ! 協会から緊急招集の連絡が来て戻る事になったの!」
盗賊退治の事は言えない。
旅の剣士で誤魔化す以上、その事を知っている人間は出来る限り少ない方がいい。
例えジェームスが相手でもね。
「なんだ、そうだったのか。じゃあメイスを取って来るから、ちょっと待っててくれ」
「ありがと。後商品も買っていくわね」
「あいよ。選んでおいてくれ」
ジェームスが店の奥に入って行った。
さて、変装用に全身を隠す物を探しますか。
「ふむ……」
全身を隠すというなら、あそこに飾ってあるプレートアーマーが理想ではあるけど……う~ん、デュラハンのせいかこれを着るのになんかためらっちゃうな。
だとすると、大き目のマントにした方が無難かな。
「マントを買うの?」
「うん。今使っている物はボロボロになってきているし、この際新しいのにしちゃいましょ」
「そうだね。じゃあボクは……この色にしようかな」
ジョシュアが選んだのは青。
どうせ汚れてしまうのだからアタシみたいに、無難な灰色でいいと思うんだけど……まぁ本人がそれでいいというならそれでいいか。
「そいつにするのか?」
ジェームスがメイスを持って戻って来た。
「うん、お会計をお願い。あと、ちょっと聞きたい事があるの」
「しめて1000ゴールドだ。で、聞きたい事ってのはなんだ?」
「アルガムで勧めのお菓子のお店はどこなの?」
「は? いやいや、レイン、何を言っているのさ。そんな事を店主に聞いても……」
「この店を出て右に進むと十字路がある。んで、そこを右に曲がって進むとスイートラヴって店があるからそこがお勧めだぞ」
「えっ!?」
「わかったわ、ありがとう。じゃあ元気でね」
「おう。お前らもな」
「えっ? えっ!?」
アタシはカウンターに情報料込みで1500ゴールドを置いて鍛冶屋を出た。
その後を呆気にとられていたジョシュアが駆け足で追いかけて来る。
「レイン、今のどういう事なのさ?」
「あの鍛冶屋の店主は、ああ見えても大の甘党なのよ」
鍛冶屋が休みの時はお菓子の店巡りや、自宅でお菓子を作っているくらいの筋金入りだ。
そんなジェームスのお勧めなのだからスイートラヴはおいしいに決まっている。
「ええ……まじで……」
さて、そこでお菓子を買ったらデュラハン退治へと向かいますか。
今度こそアタシのメイスで止めを刺してやるんだから。
※
「いやーおいしかったねぇー」
「そうね。流石ジェームスお勧めだけあるわ」
アタシ達はスイートラブで季節限定であるバナンの果汁入りクッキーを食べた後、盗賊の出る森林の道を歩いていた。
森林の前には帝国兵が居たけど、ジムさんが機転を利かせて帝国兵の注意を引き付けてくれた。
おかげですんなり入る事が出来たから実に助かる。
さあて、何処から出て来るか……。
「おっと、そこのお二人さん止まりな」
おっと、さっそく来たわね。
「へっへへ……」
木の影から6人の男達が出て来た。
どいつもこいつもいかにもゴロツキだって面をしているわね。
でも、この中にデュラハンと使い魔の姿はない。
どこかに隠れているのかしら? だったら……。
「あんた達に用はないわ! プレートアーマーを着た奴を出しなさい!」
アタシ自ら指名してやる。
さっさと出て来なさい。
「はあ? お頭を出せってか?」
「ぎゃっははははは! こいつ、身の程知らずだな!」
「お頭が出るまでもねぇ。俺達でひん剥いてやろうぜ」
……お頭か。
ラティアさんと同様こいつ等も操られている様ね。
だとすれば怪我をさせたくないし、襲ってこないでほしいんだけどな……。
《待ちな、そいつは俺様を指名しているんだ。今は気分が良いから相手をしてやるよ》
森林の奥からガシャガシャと金属がこすれる音が近づいて来た。
「ガルルル……」
そして、人とは違う唸り声も聞こえる。
本命のご登場ってわけね。
「来たわね! 覚悟しなさい! デュラ――」
木の影から黒くて長い髪のモンスターが出て来た。
確かに長い髪であるけど……全身がその長い髪に覆われていて、毛玉の様になっている。
「……」
あの姿はどう見ても、あの時見たデュラハンの使い魔じゃない。
《ぐひひひ、こいつを見て声も出ないみたいだな》
その毛玉の後ろからプレートアーマーを着た奴が出て来た。
うん、確かに凹んだプレートアーマーを着ている……着てはいるんだけど、アーメットだけじゃなくて全身がボッコボコになっている。
「……」
こっちもどう見ても、あの時のデュラハンじゃない。
という事は何? この件はデュラハンとは関係なくて、ただの盗賊だったって事?
うわ~……時間の無駄とは、まさにこの事だわ……。
それにしても、まさかこんなに早く鍛冶屋に戻って来るとは思いもしなかったわ。
明日以降に取りに来いって言っていたから、今店に入るとアレコレ言われそうだな……。
とは言っても、武器が無い状態でデュラハンに挑むのは無謀すぎるからこればかりは仕方がない。
「ジョシュ……じゃなくてジョン、鍛冶屋に入るから自分で立ってくれない?」
ジョシュアは小柄で軽いとはいえ、流石にずっと引き摺っていると疲れた。
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ちょっと強制し過ぎちゃったかな? とはいえ、ジムさん達にはもうジョンでって事になっちゃったし今更変えますとも言えない。
ん~……仕方ないな~、メイスを受け取ったら何か甘い物をジョシュアに買ってあげるか。
ジョシュアは甘い物に目が無いからそれで機嫌も治るでしょ。
「ジョン」
「……何?」
「メイスを受け取ったら何か甘い物を買いに行きましょ」
「――っ甘い物! いいの!?」
食いついた。
甘い物の言葉にジョシュアが目を輝かせている。
「うん、デュラハンに挑む前に糖分補給をしておきたいしね」
機嫌直しの意味もあるけど、これも本当の事。
強敵の前に、しっかりエネルギーを補給しておきたい。
「やった!! そうと決まれば早くメイスを返してもらわないとね! こんにちは~!」
ジョシュアがスキップをしながら鍛冶屋の中に入って行った。
ちょろい、実にちょろいわ~ジョシュアの機嫌が悪い時はこれが一番ね。
「あれ? 誰もいないよ」
ジョシュアの背中から鍛冶屋の中を覗くと、カウンター席にはジェームスの姿が無かった。
アタシのメイスもアイリスさんのアーメットもカウンターの上から無くなっている。
「本当ね」
となると、店の奥にある作業場に持って行って作業中なのかもしれないわね。
本来なら作業の邪魔はしたくないけど、こっちも急ぎでやる事があるしジェームスを呼ばないわけにもいかないわ。
「お~い! ジェームス~!」
「……何だ何だ? まったく、今忙しいってのによ……」
ぶつくさ言いながら、店の奥から前掛けをつけた50歳前後の男が出て来た。
やっぱり作業中だったのね。
「ん? 誰かと思えばレインじゃないか! おいおい、いくらなんでも取りに来るのが早すぎだっての。言ったよな? 取りに来るなら明日の昼以降ってよ」
思った通り文句を言われた。
まぁ言いたい事はわかる。
逆の立場だったら、アタシも文句を言いたくなるもの。
「ごめんごめん。けど、こっちも事情があるわけよ。急で申し訳ないんだけどさ、この町から出る事になったからメイスを返してほしいのよ」
「はあ? なんだそれ。本当に急な話だな」
だって数刻前に決まった話ですから。
「……お前、一体何をしでかしたんだ?」
ジェームスがジト目でアタシを見て来た。
……あ! ジェームスったら、アタシがこの町から逃げ出すと思っているわね!
「何もしてないわよ! 協会から緊急招集の連絡が来て戻る事になったの!」
盗賊退治の事は言えない。
旅の剣士で誤魔化す以上、その事を知っている人間は出来る限り少ない方がいい。
例えジェームスが相手でもね。
「なんだ、そうだったのか。じゃあメイスを取って来るから、ちょっと待っててくれ」
「ありがと。後商品も買っていくわね」
「あいよ。選んでおいてくれ」
ジェームスが店の奥に入って行った。
さて、変装用に全身を隠す物を探しますか。
「ふむ……」
全身を隠すというなら、あそこに飾ってあるプレートアーマーが理想ではあるけど……う~ん、デュラハンのせいかこれを着るのになんかためらっちゃうな。
だとすると、大き目のマントにした方が無難かな。
「マントを買うの?」
「うん。今使っている物はボロボロになってきているし、この際新しいのにしちゃいましょ」
「そうだね。じゃあボクは……この色にしようかな」
ジョシュアが選んだのは青。
どうせ汚れてしまうのだからアタシみたいに、無難な灰色でいいと思うんだけど……まぁ本人がそれでいいというならそれでいいか。
「そいつにするのか?」
ジェームスがメイスを持って戻って来た。
「うん、お会計をお願い。あと、ちょっと聞きたい事があるの」
「しめて1000ゴールドだ。で、聞きたい事ってのはなんだ?」
「アルガムで勧めのお菓子のお店はどこなの?」
「は? いやいや、レイン、何を言っているのさ。そんな事を店主に聞いても……」
「この店を出て右に進むと十字路がある。んで、そこを右に曲がって進むとスイートラヴって店があるからそこがお勧めだぞ」
「えっ!?」
「わかったわ、ありがとう。じゃあ元気でね」
「おう。お前らもな」
「えっ? えっ!?」
アタシはカウンターに情報料込みで1500ゴールドを置いて鍛冶屋を出た。
その後を呆気にとられていたジョシュアが駆け足で追いかけて来る。
「レイン、今のどういう事なのさ?」
「あの鍛冶屋の店主は、ああ見えても大の甘党なのよ」
鍛冶屋が休みの時はお菓子の店巡りや、自宅でお菓子を作っているくらいの筋金入りだ。
そんなジェームスのお勧めなのだからスイートラヴはおいしいに決まっている。
「ええ……まじで……」
さて、そこでお菓子を買ったらデュラハン退治へと向かいますか。
今度こそアタシのメイスで止めを刺してやるんだから。
※
「いやーおいしかったねぇー」
「そうね。流石ジェームスお勧めだけあるわ」
アタシ達はスイートラブで季節限定であるバナンの果汁入りクッキーを食べた後、盗賊の出る森林の道を歩いていた。
森林の前には帝国兵が居たけど、ジムさんが機転を利かせて帝国兵の注意を引き付けてくれた。
おかげですんなり入る事が出来たから実に助かる。
さあて、何処から出て来るか……。
「おっと、そこのお二人さん止まりな」
おっと、さっそく来たわね。
「へっへへ……」
木の影から6人の男達が出て来た。
どいつもこいつもいかにもゴロツキだって面をしているわね。
でも、この中にデュラハンと使い魔の姿はない。
どこかに隠れているのかしら? だったら……。
「あんた達に用はないわ! プレートアーマーを着た奴を出しなさい!」
アタシ自ら指名してやる。
さっさと出て来なさい。
「はあ? お頭を出せってか?」
「ぎゃっははははは! こいつ、身の程知らずだな!」
「お頭が出るまでもねぇ。俺達でひん剥いてやろうぜ」
……お頭か。
ラティアさんと同様こいつ等も操られている様ね。
だとすれば怪我をさせたくないし、襲ってこないでほしいんだけどな……。
《待ちな、そいつは俺様を指名しているんだ。今は気分が良いから相手をしてやるよ》
森林の奥からガシャガシャと金属がこすれる音が近づいて来た。
「ガルルル……」
そして、人とは違う唸り声も聞こえる。
本命のご登場ってわけね。
「来たわね! 覚悟しなさい! デュラ――」
木の影から黒くて長い髪のモンスターが出て来た。
確かに長い髪であるけど……全身がその長い髪に覆われていて、毛玉の様になっている。
「……」
あの姿はどう見ても、あの時見たデュラハンの使い魔じゃない。
《ぐひひひ、こいつを見て声も出ないみたいだな》
その毛玉の後ろからプレートアーマーを着た奴が出て来た。
うん、確かに凹んだプレートアーマーを着ている……着てはいるんだけど、アーメットだけじゃなくて全身がボッコボコになっている。
「……」
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