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8章 二人の病気と看病
アースの書~病気・2~
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しかも、俺が落ちた向きが悪い。
これだとラティアの姿がまったく見えない。
つくづく運がないな俺。
「アイリスさん!?」
「お嬢さん! 大丈夫かい?」
「お客さん!」
俺の頭の後ろでバタバタと足音が聞こえる。
多分だけどソフィーナさん、お婆さん、店員がラティアの傍に駆け寄っているのだろう。
うーむ、ラティアがすごく気になる。
何とかしてこの頭を動かしたいが、倒れた状態でアーメットを動かすのは流石に不自然だよな……何かいい手はないものか。
(――大変だよ! ラティが倒れちゃった! アース、どうしよう!?)
耳元から慌てた感じのエイラの声が聞こえてきた。
良かった、取り乱して姿を現していたら、ますますこの場が混乱する羽目になっていたからな。
そうだ! 自分で動かせないのならエイラに動かせてもらえばいいじゃないか。
とはいえ、下手に動かしてしまうとそれはそれで怪しまれてしまうから、まずは……。
『落ち着くんだ。まずは、今の状態を教えてくれ』
(う、うん、わかった……今、みんなラティの傍に近寄って声を掛けているよ)
全員ラティアに目がいっている状態か。
それなら動かしても大丈夫だろう。
『なら、俺の頭をラティアのいる方向に向けてくれ』
(ラティの向ければいいんだね。よっ)
俺の視界に横たわったラティア、そして傍で声を掛けている3人の姿が見えた。
エイラの言う通り、ラティアの顔は赤く染まっている。
それに朦朧とした感じにも見える。
これは予想以上にまずいな。
「だっ大丈夫……でス……」
誰がどう見ても大丈夫じゃない。
どうにかして病院に行かないと……。
「全然大丈夫じゃないですよ……これは危険だわ。あの、病院の場所を教えてください! アタシが病院まで運びます!」
そう言って、ソフィーナさんがラティアを背負った。
なんてありがたい! 助かります!
「ああ、病院ならこの店を出て……」
「ちょっと待った。この辺りはややこしいから俺が道案内をするよ」
店員さんまで。
今は無理だけど、事が収まったらここで何か買い物をさせて頂きます。
「ありがとうございます! アイリスさん、もう少しの辛抱ですからね!」
「こっちです!」
ソフィーナさんと店員が店から出て行った。
おっと、ぼーっとしている場合じゃない。
『エイラ! ラティアの後を追ってくれ!』
俺は動けないし、ここは姿が見えないエイラに任せるのが一番だ。
『…………って、あれ?』
何の反応もないぞ。
『おーい、エイラー?』
やっぱり反応がない。
『…………』
もしかして、これはもう2人の後を追いかけて行ったのかな。
まぁあの状況なら言われなくれもそうするか。
それはそれでいいんだが……。
『残された俺の頭はどうすればいいんだろうか……』
店の中で転がったまま。
この状態はすごく惨めだ。
「……やれやれ、流石に店を空けたままは良くないの」
ああ、そういえば黒いお婆さんが居たんだっけ。
「坊主が戻ってくるまで店番を……ん? これはあのお嬢さんの兜か」
お婆さんが俺の頭を手に取り拾い上げた。
「こんな凹んだ物をよく使い続けられるの」
うるさいよ。
というか、この頭を直す事を忘れていた。
いい加減に直さないと。
「……む?」
ん? どうしたんだ。
いきなりジロジロと俺の頭を見出したぞ。
「……何かこの兜から生命力を感じるような……」
『――っ!?』
そんな事がわかるのか。
まずい、バレると厄介な事になりそうだ。
「……」
『……』
いっ息が詰まる。
元々呼吸はしていない状態だけど、なんか詰まる。
「……ふむ、呪いの類……ではなさそうじゃな。問題はなさそうじゃし大丈夫かの」
お婆さんは俺から目線を外し、カウンターの上へ置いた。
ふぅ良かった……にしてもこのお婆さんは一体何者なんだ?
※
どのくらい時間が経っただろう。
外もすっかり暗くなったな……ラティアは大丈夫なんだろうか。
「くぅ~……くぅ~……」
カウンターの後ろから寝息が聞こえる。
どうも、あのお婆さんは寝てしまったらしい。
店番をしているのにいいのだろうか。
――キィ
『……ん?』
今、店の扉が開いたけど誰も入ってこないな。
風で開いたのかな?
(お~い、アース)
そう思っていると耳元からエイラの声が聞こえてきた。
なるほど、姿を消したエイラが入って来たのか。
『エイラ! ラティアは!?』
(大丈夫、今は落ち着いて眠っているよ)
『そうか、それは良かった……一体何があったんだ? やっぱり虫か?』
(うん。話を聞くとサソリノミって言うノミに刺されたせいみたい)
『ノミ?』
通りでラティアが刺された時に見つけられなかったわけだ。
ノミなんて小さい上に素早いからな。
(ただ毒の力は弱くて刺された後は痒み程度ですむらしいんだけど、体質によっては高熱とかを出しちゃうらしいよ)
ラティアはその体質だったわけか。
(あと、疲労もあるって言ってたよ)
『あー……』
それはそうだよな。
慣れない旅をしていれば、疲れが溜まるのは当たり前だ。
なのに、俺の体は疲れないからラティアの大丈夫という言葉に危機感を持っていなかった。
一番気を付けない事なのに……これは反省だ。
(で、約5日は入院だってさ)
『そうか……わかった。エイラはラティアの傍にいてやってくれ』
姿は見えなくても、誰か近くにいた方が気持ちの支えになるからな。
(それはもちろんだけど、アースの頭は持って行かなくていいの?)
『ああ……後ろで寝ているであろうお婆さんが俺をここに置いたんだ。それが無くなっていたら騒ぎになってしまう。出来る限りトラブルは避けておきたいんだ』
(わかった。じゃあ、何かあったらまた来るね)
『頼む』
となると、しばらくは動けない状態が続くな。
仕方がないとはいえ辛いな……。
(あ、そうそう。あの仮面の女もラティの看病をしてくれるってさ)
『……そうなの……えっ!?』
仮面の女ってソフィーナさんの事だよな!?
それはまずい! まだ、ソフィーナさんがレインかも疑惑が残っているのに!
これはラティアに伝えておかないと!
『エイラ! ラティアに伝えてほしい事があるんだ!』
……あれ? エイラの声が聞こえない。
聞こえるのはキィキィと店の扉が揺れる音のみ。
エイラの奴、もう行っちゃったのかよ!
『エイラー! 戻ってこい! エイラー! エイラアアアアアアアアアア!!』
俺の叫びもむなしく、エイラが戻って来る事は無かった。
これだとラティアの姿がまったく見えない。
つくづく運がないな俺。
「アイリスさん!?」
「お嬢さん! 大丈夫かい?」
「お客さん!」
俺の頭の後ろでバタバタと足音が聞こえる。
多分だけどソフィーナさん、お婆さん、店員がラティアの傍に駆け寄っているのだろう。
うーむ、ラティアがすごく気になる。
何とかしてこの頭を動かしたいが、倒れた状態でアーメットを動かすのは流石に不自然だよな……何かいい手はないものか。
(――大変だよ! ラティが倒れちゃった! アース、どうしよう!?)
耳元から慌てた感じのエイラの声が聞こえてきた。
良かった、取り乱して姿を現していたら、ますますこの場が混乱する羽目になっていたからな。
そうだ! 自分で動かせないのならエイラに動かせてもらえばいいじゃないか。
とはいえ、下手に動かしてしまうとそれはそれで怪しまれてしまうから、まずは……。
『落ち着くんだ。まずは、今の状態を教えてくれ』
(う、うん、わかった……今、みんなラティの傍に近寄って声を掛けているよ)
全員ラティアに目がいっている状態か。
それなら動かしても大丈夫だろう。
『なら、俺の頭をラティアのいる方向に向けてくれ』
(ラティの向ければいいんだね。よっ)
俺の視界に横たわったラティア、そして傍で声を掛けている3人の姿が見えた。
エイラの言う通り、ラティアの顔は赤く染まっている。
それに朦朧とした感じにも見える。
これは予想以上にまずいな。
「だっ大丈夫……でス……」
誰がどう見ても大丈夫じゃない。
どうにかして病院に行かないと……。
「全然大丈夫じゃないですよ……これは危険だわ。あの、病院の場所を教えてください! アタシが病院まで運びます!」
そう言って、ソフィーナさんがラティアを背負った。
なんてありがたい! 助かります!
「ああ、病院ならこの店を出て……」
「ちょっと待った。この辺りはややこしいから俺が道案内をするよ」
店員さんまで。
今は無理だけど、事が収まったらここで何か買い物をさせて頂きます。
「ありがとうございます! アイリスさん、もう少しの辛抱ですからね!」
「こっちです!」
ソフィーナさんと店員が店から出て行った。
おっと、ぼーっとしている場合じゃない。
『エイラ! ラティアの後を追ってくれ!』
俺は動けないし、ここは姿が見えないエイラに任せるのが一番だ。
『…………って、あれ?』
何の反応もないぞ。
『おーい、エイラー?』
やっぱり反応がない。
『…………』
もしかして、これはもう2人の後を追いかけて行ったのかな。
まぁあの状況なら言われなくれもそうするか。
それはそれでいいんだが……。
『残された俺の頭はどうすればいいんだろうか……』
店の中で転がったまま。
この状態はすごく惨めだ。
「……やれやれ、流石に店を空けたままは良くないの」
ああ、そういえば黒いお婆さんが居たんだっけ。
「坊主が戻ってくるまで店番を……ん? これはあのお嬢さんの兜か」
お婆さんが俺の頭を手に取り拾い上げた。
「こんな凹んだ物をよく使い続けられるの」
うるさいよ。
というか、この頭を直す事を忘れていた。
いい加減に直さないと。
「……む?」
ん? どうしたんだ。
いきなりジロジロと俺の頭を見出したぞ。
「……何かこの兜から生命力を感じるような……」
『――っ!?』
そんな事がわかるのか。
まずい、バレると厄介な事になりそうだ。
「……」
『……』
いっ息が詰まる。
元々呼吸はしていない状態だけど、なんか詰まる。
「……ふむ、呪いの類……ではなさそうじゃな。問題はなさそうじゃし大丈夫かの」
お婆さんは俺から目線を外し、カウンターの上へ置いた。
ふぅ良かった……にしてもこのお婆さんは一体何者なんだ?
※
どのくらい時間が経っただろう。
外もすっかり暗くなったな……ラティアは大丈夫なんだろうか。
「くぅ~……くぅ~……」
カウンターの後ろから寝息が聞こえる。
どうも、あのお婆さんは寝てしまったらしい。
店番をしているのにいいのだろうか。
――キィ
『……ん?』
今、店の扉が開いたけど誰も入ってこないな。
風で開いたのかな?
(お~い、アース)
そう思っていると耳元からエイラの声が聞こえてきた。
なるほど、姿を消したエイラが入って来たのか。
『エイラ! ラティアは!?』
(大丈夫、今は落ち着いて眠っているよ)
『そうか、それは良かった……一体何があったんだ? やっぱり虫か?』
(うん。話を聞くとサソリノミって言うノミに刺されたせいみたい)
『ノミ?』
通りでラティアが刺された時に見つけられなかったわけだ。
ノミなんて小さい上に素早いからな。
(ただ毒の力は弱くて刺された後は痒み程度ですむらしいんだけど、体質によっては高熱とかを出しちゃうらしいよ)
ラティアはその体質だったわけか。
(あと、疲労もあるって言ってたよ)
『あー……』
それはそうだよな。
慣れない旅をしていれば、疲れが溜まるのは当たり前だ。
なのに、俺の体は疲れないからラティアの大丈夫という言葉に危機感を持っていなかった。
一番気を付けない事なのに……これは反省だ。
(で、約5日は入院だってさ)
『そうか……わかった。エイラはラティアの傍にいてやってくれ』
姿は見えなくても、誰か近くにいた方が気持ちの支えになるからな。
(それはもちろんだけど、アースの頭は持って行かなくていいの?)
『ああ……後ろで寝ているであろうお婆さんが俺をここに置いたんだ。それが無くなっていたら騒ぎになってしまう。出来る限りトラブルは避けておきたいんだ』
(わかった。じゃあ、何かあったらまた来るね)
『頼む』
となると、しばらくは動けない状態が続くな。
仕方がないとはいえ辛いな……。
(あ、そうそう。あの仮面の女もラティの看病をしてくれるってさ)
『……そうなの……えっ!?』
仮面の女ってソフィーナさんの事だよな!?
それはまずい! まだ、ソフィーナさんがレインかも疑惑が残っているのに!
これはラティアに伝えておかないと!
『エイラ! ラティアに伝えてほしい事があるんだ!』
……あれ? エイラの声が聞こえない。
聞こえるのはキィキィと店の扉が揺れる音のみ。
エイラの奴、もう行っちゃったのかよ!
『エイラー! 戻ってこい! エイラー! エイラアアアアアアアアアア!!』
俺の叫びもむなしく、エイラが戻って来る事は無かった。
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