エルフの少女と妖精の少女 ~女神に修行を言い渡されドタバタスローライフ始めます~

須々木あおい

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5話 エルエル、釣り対決をする!

50 エルエル、お腹を壊す!

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「ひゃ~食べたわね~満足満足」
「アルルお腹パンパンだね~」
「外で食べるの楽しかったのです~ボロニアお姉ちゃんも楽しかったのです?」
「わ、わ、我もとっても楽しかったです~」

 みんなは満腹になったのか満足した顔をして座り込んでダランとしている。
 ちらりと焚き火の方を見るとユウギリは残った魚に何かの処理をしている。片づけているのかな。私はまだまだ食べられるけどなぁ。

「ちょっとユウギリ~!もう片付けてるの~!?」
「あ、やっぱりもう終わりなんですか?」

 なんて思ってるとエミーが声をあげたので私も一緒にユウギリに声をかける。

「残りは干物にしようと思ってるでござるが……2人共まだ食べられるでござるか?」

「私もまだ食べられるわよ~♡」
「私も食べられますよ!」
「はぁ!?私の方が食べられるし~!!」
「あぁ!?こっちの方が食べられるわ!!」

「それじゃもう少しお魚焼くでござるか!」

「「やったー!!」」

 エミーと一緒に喜んでしまった。まぁ今日は気分が良いしこれくらいいいか。

「ったく、アンタ達あんまり食べ過ぎるとお腹壊すわよ」
「モンスターは食べ過ぎるとお腹壊しちゃうらしいのです~」
「エミー様お腹大丈夫~?」

「大丈夫よ~♡ そんなの迷信迷信♡」
「まったく、本当ですよお前らももっと食べないと大きくなれないですよ。な?ボロニア!!」

「あ、あ、あわわわ我はもう十分お腹いっぱいですので~~~!!」

「「「「「「「わはははははははは!!!」」」」」」」

 そんななんでもない会話でみんなで笑い合う。

「………み、み、み、皆さん!!!!」

 と、そこでその時さっきまで笑っていたボロニアが真剣な顔して喋り出したのでみんなそちらを振り向く。

「あ、あ、あ、あの……なんてお礼を言っていいか……わ、わ、我の為に今日は本当にありがとうございます……!!こ、これでおうちに帰れます……!!」

 なんだお礼を言いたかっただけか。まったく真面目な奴だな。
 ……ていうか、モンスター釣りの目的がボロニアの帰る経路作る為なの忘れてた。

「そんな事良いわよ」
「これだけ食べれていい思い出来たんだからむしろこっちがお礼を言いたいくらいですよ」

 私とアルルがそんな事を言うとボロニアは照れくさそうに顔をうつむいて手をもじもじさせながら喋り出す。

「わ、わ、我本当は里に歳の近い友達がいなくって……こんな楽しく同世代の人とお喋りしたの初めてで……ま、ま、ま、また……
 ま、また遊びに来てもいいですか………?」

 ボロニアは顔を真っ赤にしながら声はどんどん小さくになって行き最後の方はほとんど聞き取れなかったが大体分かった。
 まったく何を当たり前の事を言ってんだ。私は立ち上がりボロニアの肩をぽんと叩く。

「ったく、良いに決まってるじゃないですか。いつでも遊びに来てくださいよ」
「そうよ!!私達共にタコと戦った戦友じゃない!!」
「私達はもう友達なのです!!」
「そうだよ~!!ボロニア今度は歌い方教えてよ~!!」
「今度は拙者の忍術の真髄を見せるでござる」
「うぅ~……そうよね……友達いないのは辛いわよね……私も小中高ずっと……」

 私に続いてみんなボロニアに近付き言葉をかける。なんだかんだこいつらも気のいい奴らだよな。
 エミーはなんかよく分からん事を言いながら過去に共感する所があったのかボロ泣きしている。

「み、み、皆さん……ありがとうございます……!!」

 ボロニアのこの日一番の優しい笑顔にみんなの顔もほころぶ。

 見上げると焚き火の煙が天に昇って行く。その先には満点の星空。
 私はそんな光景がとても綺麗だと思って微笑んだ。他のみんなも何も言わずに綺麗な空を見上げる。
 私は毎年夏が来るたびきっとこの楽しい一日を思い出す。
 暑くてだるい日だったけど水着を着て釣りをしてみんなでご飯を食べてとても充実した日だった。



 ●



≪フォークテイルタウン北・めがみはうす≫


「おっげえええええええええええええええええええええ!!!!!!!!!!!!!!!」

 次の日、私はお腹をかかえて家の床でのたうち回っていた。

「は、腹が痛ええええええええええええええええええええええええ!!!!!」
「だから言ったでしょ食べ過ぎるなって……」

 私はあの後、調子に乗ってみんなが食べ終わった後もビースト・フィッシュを食べ過ぎたせいで"あたって"しまった様だ。朝起きてから体調が最悪だ。

「うるせえええええ!!!!ならもっと本気で止めてくださいおおおおお!!
 はうっ!?おげええええええええええええええっ!?!?!!」
「ったく……ほらベッドに入って!」

 アルルに引っ張られてベッドの中に放り込まれる。
 布団をかけられて冷たい水に浸してしぼったタオルを額に置かれる。

「もうすぐ呼んだお医者さんが来てくれるから安静にしてなさいよ。トイレ行きたかったら言ってね」
「ぐうぅ~~……!!」

 アルルはベッドのすぐ横に座り布団の上から私のお腹をぽんぽんとしてくれた。
 くそっなんだよこいつ。普段からは想像できない程丁寧な看病してくれやがって。

「優しくするな!!お前にイライラを当たり散らしにくくなるだろ!!」
「はぁ~……このバカエルエル……」

「くうぅ~~……やっぱりモンスターなんか食うもんじゃないです~~……!!」

 そしてそのままアルルに優しく看病されながら布団の中でお医者さんが来るを待って、診察された後貰ったお薬を飲んで寝て一日を過ごした。
 何事もほどほどで終わらせといた方が良いと思ったエルエルちゃんなのであった。



(おげえええええっ!!!)

 ……家の外からエミーの苦悶の叫び声が聞こえてくる。アイツも"あたった"な。



=====================
 ラピス様へ
 今日はみんなで釣りをしました。
 釣ったモンスターを食べてとても美味しかったです。
 オサシミって言う食べ方あるの知ってますか?
 ボロニアと言うウォーラ族の子とも友達になって
 とても楽しい一日でしたが、食べ過ぎてお腹を下しました。
 何事もほどほどが一番。
 ラピス様も食べ過ぎにはご注意を。
 エルエル
=====================



≪現在の状況≫
【エルエル】
 魔法 ≪グリーン・グロウ≫ ≪ボディー・ブロー≫
【アルル】
 魔法    ???    ≪アルル式ドロップキック≫

 所持品 手作り釣り竿x2 魚の干物
 所持金 7000ルピー (日々の食費等 -300ルピー エルエル治療費 -1000ルピー)


 聖樹 開花率…………39%
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