エルフの少女と妖精の少女 ～女神に修行を言い渡されドタバタスローライフ始めます～

７話 エルエル、ダンジョンを攻略する！

７５ エルエル、バトルを見る！

　
「も、モンスター≪スカルフォース≫よ！！ひいいいいっ！！！」

　エミーが私とアルルの後ろにへばりつきながら前方から来る人の骨型モンスターは≪スカルフォース≫という名前だと言う事を教えてくれる。

　今まで外で見た事がある様な獣や動物が進化した様なモンスターではなくどう生きているのかすら分からない正体不明の化け物の姿に私は戦慄する。

　スカルフォースは向こうから走って来た勢いのまま右手に持った剣を振りかぶってこちらに襲い掛かって来る。

「グアアアアアアアアア！！！！！！！！」

「「「ぎゃああああああああああ！！！！死ぬうううううううううううう！！！」」」

　キンッ！！！

　私とアルルとエミーが悲鳴を上げながら抱き着きあっているとユウギリが前に飛び出てスカルフォースの一振りを剣で軽く受け止めた。

　ユウギリの持つ剣はとても細くて真っ直ぐで刀身が磨かれていてピカピカ光っている様に見えた。
　この辺で冒険者が持ってる様な大きな剣と全く違う独特な形をしている。なんていう刀なんだろう。

「≪忍法・カザギリ手裏剣≫でござるっ！！」

「ガアアッ！？！」

　ユウギリの剣とスカルフォースの剣が重なりあい押し合う形になる。そしてユウギリの力が勝ったのかスカルフォースはどん！と後ろに飛ばされ体制を崩す。
　そこにユウギリはすかさず懐から風車の様な形をした複数の刃物を投げつける。その武器は敵の四肢に命中しスカルフォースは怯み動きが止まる。

「煌めく炎よ、我が魂の灼熱の炎となり、闇を焼き尽くせ！煌めく燃え盛る炎よ、我が望みを叶えよ！―――」

　その後ろでティオがいつになく真剣な顔で素早く詠唱を行う。ティオの強力な魔力が私にも見えるほどハッキリ周りにオーラとして浮かび上がっているのが見える。

「―――燃え尽くせ！≪フレイム・ブラスト≫！！！……ふーっ！！！」

「わああっ！？！」
「ほ、炎っ！？！？！」

　詠唱をし終えるとティオの顔の前に魔法陣が現れる。ティオがそれに向かって息を吹き付けると巨大な炎が飛び出しスカルフォースに直撃する。

「グアアアアアアアアアアアア！！！！！！」

　スカルフォースはティオの技をくらうと黒焦げになりその場に倒れた。
　辺り一面が明るくなるほどの火力を喰らったらどんなモンスターでもそりゃこうなる。

「やったよー！エミー様！ユウギリー！」
「ござるござる！」
「ククク……よくやったわね♡！」

　さっきまで真剣な顔で戦っていた2人は後ろでビビっていたのにいつの間にか偉そうに立っていたエミーの元に駆け寄り別人の様な緩い顔でハイタッチをしている。

　普段の姿からは想像できないがこんな簡単にモンスターを倒すなんて流石勇者パーティというべきか。やっぱり強いんだなこいつら。

「す、すげぇ……」
「あ、アンタ達強いわね……」

「えっへんでござる！」
「わーい！褒められちゃった～！アルルいい子いい子して～！」

「えー……しょうがないわねぇ」

　アルルはティオの頭をなでてやっている。なんだかんだこいつら仲良くなってんな。
　隣を見るとユウギリと目が合った。目が合うと何故か急に赤面しだした。

「あっ！！い、い、いや！！拙者は別にいい子いい子されなくて大丈夫でござる！！だからエルエル殿にそんなに頭をなでたそうな目で見られても……こ、困ると言うか……」

「したくないわバカ！！！」

　やっぱりこいつらの普段の姿からはあんな強さは想像できないな。

「きゃーはっはっはっは♡！！！どう♡？これが私達の実力ってわけよ～♡」

「「お前は何もしてなかっただろ」」

「えっ」





　●

≪なぞの遺跡・B3F≫


　似たような道を進み続け石の階段を何度も登ったり降りたりした。
　その後もモンスターが何匹か出てきたがティオとユウギリが全て華麗に退治していく。エミーは私とアルルの後ろに隠れワーワー応援してるだけだった。

　そしてこの階層を道なりに進んでいくと道の少し先に広い空間が見えた。何かの部屋のようだ。

「わっ……」

　うかつに部屋の中へは踏み込まず、手前で部屋の様子を見れる部分だけを全員で見る。
　床は今までの道と同じ様な石造り、使われていない暖炉が見え銅像や鎧が飾ってあったり壁には不自然に空いた丸い穴がいくつもあった。

「なんだか怪しい所ね……」
「うん。下手に進むと何かありそうですね」

　この部屋からは今までと少し違う雰囲気を感じる。私達は辺りを見回しながらその部屋の一歩手前で歩みを止める。

「ティオ。さっきみたいに何か感じる事ないの？」
「うーん……なんだか匂いが混じっててよく分からないなぁ～……」

「この部屋おそらく何かが仕掛けられているでござる」
「このまま進むのは危険そうですね～別の道探します？」

「ククク……♡」

　エミーは腕を組みながら不敵な笑みを浮かべる。

「何笑ってんですか」
「作戦あるなら言いなさいよ」

「ついにあんた達を連れて来たのが役に立つ時が来た様ね……♡」

「え？何がですか？」
「どういう事よ？」

　エミーは私とアルルを見ながら勢いよく部屋の中を指さす。


「さあ♡！！ あんた達田舎者コンビが先に行って道の安全を確保してきなさーい♡！！」


「「は……？はああああああ！？！？！」」