青春短し、恋せよ乙女――ただし人狼の。

二式大型七面鳥

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青春短し、恋せよ乙女――ただし人狼の。 03

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 山田君、山田江南えなみ君は、あたしを含むこの三人もメンバーのバンドのリードギターだ、クラスは違うけど。
 初めて見かけたのは、やはり入学式の時。なんて言うんだろう、雰囲気というか、醸し出す何かに惹かれたんだ、うん。それが何かはわからないんだけど。見るからにハードロック系の、あたしよりちょっと背が高くて痩せ型。単純に、あたしはそんな見た目に弱いってだけかも知れないけど。
 学校が始まって少しして、銀子がバンドやりたいって言い出して、物は試しで校内の掲示板にメンバー募集の張り紙出して。そしたら、何となくメンバーが集まって、その中にその山田君が居た時は、ちょっとびっくりした。
 見た目通り、山田君はギターは得意で、ボーカルもかなりイケてた。あたしはドラム担当、銀子もギターもボーカルも行けるクチだから、自然にバンドはツインギター&ボーカルの形になった。たまきは裏方というか、曲書いたり詩を書いたり、実は器用に何でもこなせるから、たまにバイオリンやら三味線やらで乱入してくる。それはそれで面白いから、ウチのバンドの売りにしようかってみんなで言ってるんだけど。他にベースとキーボードも居て、方向性としてはもちろんハードロック系。バンド名は「聴くと死んでしまうバンド」。いや、みんなデスメタルとか好きだから……いいのよ、もっといいの思いついたら名前変えるから。
 で、あたしも銀子も運動部と掛け持ちだから毎日は練習出来ないけど、なんだかんだで入学してから二ヶ月、イイ感じでまとまってきてる。そして。
 会えば会うほど、一緒に居れば居るほど、あたしは、山田君を意識している事に、最近、気付いた。

「……で。そのヤーマダ君な?」
 弁当を平らげた銀子が、紙パックのジュースにストローを通しながら、聞いた。
「あれのどこが、そない気にいってんねんな?」
「どこって……」
 真正面から聞かれて、あたしはちょっと、戸惑う。
「……って言うか。一目惚れ、なのよ……」
「……はい?」
 ストローを咥えた銀子が、ジト目で聞き返した。
「あたしね、自分でも考えてみたんだけど」
 あたしは、潰れたペットボトルに残ったレモンティーを飲み干してから、言う。
「あのね、多分、入学式で見かけたときからきっと、ゾッコンだったのよ」
「あー、ああ、そうだっか……そーらまた、たいそう気ィの早い事って、よろしなあ」
 何かを諦めた様な目であたしを見ながら、銀子が感想を述べた。
「だって!愛に理由と時間は不要って言うじゃない!」
「誰が言うてん?」
「誰かよ!」
「……誰かが、フェロモンでも出しとるんとちゃうんかい……」
 ぼそっと、銀子が呟く。
「何よ!あたしが発情期みたいな言い方しないでよ!」
「あー、春先はイヌネコがさかる・・・時期やねんもんな、うるそーてよお寝られへんわほんま」
 売り言葉に買い言葉。銀子の小ボケにカチンときて言い返したあたしに、銀子がツッコミ返す。ちょっと険悪。と。
「……ごちそうさまどした」
 そんな雰囲気を物ともせず、行儀良く箸を置いたたまきが、はんなりと、しかしきっぱりと言い切った。
「お銀ちゃんも蘭ちゃんも、ケンカしたらあきまへんえ?」
「……はい」
 あたしと銀子は、同時に返事する。環には、「玉姫様」には盾突けない。
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