3 / 9
青春短し、恋せよ乙女――ただし人狼の。 03
しおりを挟む
山田君、山田江南君は、あたしを含むこの三人もメンバーのバンドのリードギターだ、クラスは違うけど。
初めて見かけたのは、やはり入学式の時。なんて言うんだろう、雰囲気というか、醸し出す何かに惹かれたんだ、うん。それが何かはわからないんだけど。見るからにハードロック系の、あたしよりちょっと背が高くて痩せ型。単純に、あたしはそんな見た目に弱いってだけかも知れないけど。
学校が始まって少しして、銀子がバンドやりたいって言い出して、物は試しで校内の掲示板にメンバー募集の張り紙出して。そしたら、何となくメンバーが集まって、その中にその山田君が居た時は、ちょっとびっくりした。
見た目通り、山田君はギターは得意で、ボーカルもかなりイケてた。あたしはドラム担当、銀子もギターもボーカルも行けるクチだから、自然にバンドはツインギター&ボーカルの形になった。環は裏方というか、曲書いたり詩を書いたり、実は器用に何でもこなせるから、たまにバイオリンやら三味線やらで乱入してくる。それはそれで面白いから、ウチのバンドの売りにしようかってみんなで言ってるんだけど。他にベースとキーボードも居て、方向性としてはもちろんハードロック系。バンド名は「聴くと死んでしまうバンド」。いや、みんなデスメタルとか好きだから……いいのよ、もっといいの思いついたら名前変えるから。
で、あたしも銀子も運動部と掛け持ちだから毎日は練習出来ないけど、なんだかんだで入学してから二ヶ月、イイ感じでまとまってきてる。そして。
会えば会うほど、一緒に居れば居るほど、あたしは、山田君を意識している事に、最近、気付いた。
「……で。そのヤーマダ君な?」
弁当を平らげた銀子が、紙パックのジュースにストローを通しながら、聞いた。
「あれのどこが、そない気にいってんねんな?」
「どこって……」
真正面から聞かれて、あたしはちょっと、戸惑う。
「……って言うか。一目惚れ、なのよ……」
「……はい?」
ストローを咥えた銀子が、ジト目で聞き返した。
「あたしね、自分でも考えてみたんだけど」
あたしは、潰れたペットボトルに残ったレモンティーを飲み干してから、言う。
「あのね、多分、入学式で見かけたときからきっと、ゾッコンだったのよ」
「あー、ああ、そうだっか……そーらまた、たいそう気ィの早い事って、よろしなあ」
何かを諦めた様な目であたしを見ながら、銀子が感想を述べた。
「だって!愛に理由と時間は不要って言うじゃない!」
「誰が言うてん?」
「誰かよ!」
「……誰かが、フェロモンでも出しとるんとちゃうんかい……」
ぼそっと、銀子が呟く。
「何よ!あたしが発情期みたいな言い方しないでよ!」
「あー、春先はイヌネコがさかる時期やねんもんな、うるそーてよお寝られへんわほんま」
売り言葉に買い言葉。銀子の小ボケにカチンときて言い返したあたしに、銀子がツッコミ返す。ちょっと険悪。と。
「……ごちそうさまどした」
そんな雰囲気を物ともせず、行儀良く箸を置いた環が、はんなりと、しかしきっぱりと言い切った。
「お銀ちゃんも蘭ちゃんも、ケンカしたらあきまへんえ?」
「……はい」
あたしと銀子は、同時に返事する。環には、「玉姫様」には盾突けない。
初めて見かけたのは、やはり入学式の時。なんて言うんだろう、雰囲気というか、醸し出す何かに惹かれたんだ、うん。それが何かはわからないんだけど。見るからにハードロック系の、あたしよりちょっと背が高くて痩せ型。単純に、あたしはそんな見た目に弱いってだけかも知れないけど。
学校が始まって少しして、銀子がバンドやりたいって言い出して、物は試しで校内の掲示板にメンバー募集の張り紙出して。そしたら、何となくメンバーが集まって、その中にその山田君が居た時は、ちょっとびっくりした。
見た目通り、山田君はギターは得意で、ボーカルもかなりイケてた。あたしはドラム担当、銀子もギターもボーカルも行けるクチだから、自然にバンドはツインギター&ボーカルの形になった。環は裏方というか、曲書いたり詩を書いたり、実は器用に何でもこなせるから、たまにバイオリンやら三味線やらで乱入してくる。それはそれで面白いから、ウチのバンドの売りにしようかってみんなで言ってるんだけど。他にベースとキーボードも居て、方向性としてはもちろんハードロック系。バンド名は「聴くと死んでしまうバンド」。いや、みんなデスメタルとか好きだから……いいのよ、もっといいの思いついたら名前変えるから。
で、あたしも銀子も運動部と掛け持ちだから毎日は練習出来ないけど、なんだかんだで入学してから二ヶ月、イイ感じでまとまってきてる。そして。
会えば会うほど、一緒に居れば居るほど、あたしは、山田君を意識している事に、最近、気付いた。
「……で。そのヤーマダ君な?」
弁当を平らげた銀子が、紙パックのジュースにストローを通しながら、聞いた。
「あれのどこが、そない気にいってんねんな?」
「どこって……」
真正面から聞かれて、あたしはちょっと、戸惑う。
「……って言うか。一目惚れ、なのよ……」
「……はい?」
ストローを咥えた銀子が、ジト目で聞き返した。
「あたしね、自分でも考えてみたんだけど」
あたしは、潰れたペットボトルに残ったレモンティーを飲み干してから、言う。
「あのね、多分、入学式で見かけたときからきっと、ゾッコンだったのよ」
「あー、ああ、そうだっか……そーらまた、たいそう気ィの早い事って、よろしなあ」
何かを諦めた様な目であたしを見ながら、銀子が感想を述べた。
「だって!愛に理由と時間は不要って言うじゃない!」
「誰が言うてん?」
「誰かよ!」
「……誰かが、フェロモンでも出しとるんとちゃうんかい……」
ぼそっと、銀子が呟く。
「何よ!あたしが発情期みたいな言い方しないでよ!」
「あー、春先はイヌネコがさかる時期やねんもんな、うるそーてよお寝られへんわほんま」
売り言葉に買い言葉。銀子の小ボケにカチンときて言い返したあたしに、銀子がツッコミ返す。ちょっと険悪。と。
「……ごちそうさまどした」
そんな雰囲気を物ともせず、行儀良く箸を置いた環が、はんなりと、しかしきっぱりと言い切った。
「お銀ちゃんも蘭ちゃんも、ケンカしたらあきまへんえ?」
「……はい」
あたしと銀子は、同時に返事する。環には、「玉姫様」には盾突けない。
0
あなたにおすすめの小説
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
【完結】あなたに知られたくなかった
ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。
5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。
そんなセレナに起きた奇跡とは?
愛していました。待っていました。でもさようなら。
彩柚月
ファンタジー
魔の森を挟んだ先の大きい街に出稼ぎに行った夫。待てども待てども帰らない夫を探しに妻は魔の森に脚を踏み入れた。
やっと辿り着いた先で見たあなたは、幸せそうでした。
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
