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第五章 月齢28.5
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「ちょ、ちょ、ちょっと!ま、まって!停まって!停ま、あいた!」
雪風が時速20キロほどで、匂いと記憶を頼りにちょいちょいショートカットしつつ森の中を疾走し始めて三分ほど後。
ユモは、振り落とされそうな動揺と、雪風の太い首根っこにしがみつく腕の、悲鳴を上げ始めた筋肉の痛みに耐えかねて声を上げ、ついでに軽く舌を噛んだ。
「ちょっと、何?大丈夫?」
急停止した――走りながらも、急停止した今も、ユモが落っこちないようにこれでも気を使っているつもりの――雪風は、ユモの悲鳴に慌てて聞き返した。
「……あ痛ったぁ……」
しばらく痛みで口もきけなかったユモは、涙の滲む目を上げて、恨み言を言う。
「……もう!もっと静かに走れないの!」
「えー?これでも相当気を使ってるのに……」
ほとんどの動物は、走る際に頭部は動揺しないように体の上下動をキャンセルするよう筋肉を制御し、なおかつ視線の揺れ自体も視覚神経処理で補正をかけている。それが故に、走りながらの視界は非常に安定しているように思えるものだが、実際には猛烈に動揺しているのは、手ぶれ補正無しのアクションカメラで撮った映像を見れば一目瞭然である。
直立二足歩行の人間は、それでも体の走行中の動揺は少ない方だが、全身のバネで走る四足獣のそれは人間の比ではない。乗用に適する馬でさえ、初心者がいきなり早足しようものなら、高確率で振り落とされる、そういうレベルである。
そこに、地面が平坦でない獣道を雪風が突っ走ったものだから、お世辞にも褒められた運動神経を持たず、筋力もからっきしのユモにはたまったものではない。ここまで振り落とされなかっただけでも僥倖とさえ言えた。
「とにかく!こんな調子で一晩中なんて、冗談じゃないわよ!」
ユモは、キレる。正直、馬の背で丸一日移動するのだって、ユモにとっては相当にきつかったのだ。キツさ加減では、自身の体重の半分にもなるユモを背中に乗せて走る雪風の方が文句なしにキツいのは、理性では分かっているのだが、それでも悪態をつくのを止めることが出来ない。
「んな事言ったって……」
お行儀良く座り、雪風は尻尾を丸め込んでしまっている。
「どうしろってのよ……」
困り切ってしまった雪風のぼやきに、ユモも、一息、長嘆息を吐くと、顔を上げた。
「……わかった。提案なんだけど。あんた、あたしと使い魔の契約して」
「……はあ?」
思いがけない一言に、雪風が呆れて聞き返す。
「何それ?あんた、あたしにケンカ売ってんの?」
さすがに、魔女見習いともあろうユモが、人狼たる雪風のプライドを踏みにじるような要求をするとは思えない。そこのところは雪風も理解は出来ているが、それにしても、唐突な一言のその内容が予想外過ぎた。
「最後まで聞いて。使い魔と主人は一心同体、であれば、あんたの身のこなしがあたしに伝わって、あたしががんばってしがみつかなくても振り落とされないし、舌も噛まなくなるわ」
「そりゃ、そうかもだけど……」
雪風にしても、走りながらしゃべって自分で舌を噛んだことは無い。
「……あたしに、あんたの僕になれっての?」
「そこよ」
人狼というのはプライドの権化みたいな種族である、という事は勿論知っているユモは、身を乗り出して説得にかかる。
「使い魔と主人の関係は、あくまで契約によるものよ。ほとんどの場合は小動物を使い魔に選んだり、何らかの理由で強力な魔物を使役する都合から主人の支配率が高く設定されるけど、支配率自体は自由に設定出来るの。要するに、あたしとあんたでイーブンな契約が可能、って事」
「……それなら……まあ、いいのか、な?」
雪風は、小首を傾げて考え込む。
「……あたしの都合で契約破棄していいんなら、破棄出来るんなら、まあ、いいか」
考え込んで、即座に雪風は決断する。
「勿論、可能よ。何なら、ベイフィールドに着いたらそこで解約だって出来るわ」
「……OK。走り出して五分であんた振り落としても困るし。いいわよ、で、どうするの?」
「……我、偉大なる始祖マーリーンに連なりし者、月の魔女リュールカの子、ユモ・タンカ・ツマンスカヤはここに誓う。我は汝、ユキカゼ・タキナミと対等な立場で盟約を交わし、互いに助け合い、高め合わんとする事を……ユキ」
獣の姿の雪風の目前に座り、自分達を中心に魔法陣のイメージを展開したユモは、いくつかの前置呪文を唱えて場を清浄化し、放射閃を高めた上で、使い魔の契りを交わすための呪文を唱えた。
「うん……我、滝波雪風はここに誓う、我は魔女ユモの使い魔として、対等な立場で盟約を受け入れ、互いに助け合い、高め合わんとする事を」
事前に覚えさせられた呪文を、雪風はユモに促されて唱える。主人と使い魔が対等な関係、というのは、理論的には可能でも、実際には滅多にあることでは無い。ほとんどの場合、使い魔となるのは能力的には秀でていても霊格的には主人に及ばない使役獣だし、例外的に強力な幻獣の類いを使役する場合、逆に強固な主従関係で抑えつけるのが定石だからだ。
「ここに我ら、互いの血を交換し、契りの証を成す。精霊よ、我らに祝福を。我らに行く手を照らし、正しき道を示したまえ」
声をそろえ、ユモと雪風は呪文を唱える。音波としては、それは人の声と狼の遠吠えが重なっているだけに過ぎなかったが、その韻と律のハーモニーはエーテルを振動させ、淡く、優しく、暖かい放射閃の輝きを一面に放つ。
ユモは、呪文を唱えながら、自分の銃剣の先端――刃のつけられていない銃剣の、ここだけは鋭く研ぎ澄まされている――で自分の左の親指の腹を突き、続けて、雪風の右手――右前足――をとって、その足の裏を突く。互いの突いた部位を合わせ、互いにほんの少しずつだけ出血したそれを混ぜ、ユモは雪風の右前足のそれを、雪風はユモの左手親指のそれを舐める。
「アテー・マルクト・ヴェ……」
契約を完成させるため、ユモは締めくくりの呪文を唱え始める。イメージの魔法陣を補強するために撒いた聖灰が煌めき、聖水が輝く。その光は二人の周りに緩く渦巻くエーテルを励起し、つかの間、こじんまりとした、緩い光の竜巻が舞い踊り、名残を残しつつ森の中に拡散する。
「……上手くいった、みたい」
ほっと、ため息をつきながら、ユモが言う。
「みたいって、あんた」
「やり方は教わってたけど、こんなの、やったことなかったもの」
使い魔との契約は、難易度は高くないが、何しろ相手があっての呪いなので、おいそれと練習出来るようなものではない。
その一言を聞いて、雪風も思い出したように呟く。
「……まあ、あたしもさ、他人に絶対に輸血するなってお婆ちゃんから言われてるんだけどさ」
「え?何よそれ」
「なんか昔、それで事故があったんだって」
「ちょっと、先に言ってよそういうの」
「大丈夫よこれくらいなら。第一」
雪風の、漆黒の毛皮の中で光る、金色がかった檜皮色の瞳が、ユモの碧の瞳を見つめる。
「あんたとあたし、一心同体なんでしょ?」
――……すごい……――
疾走する雪風の背中に跨がったユモは、下半身から伝わるその野生そのものの感触と、それであってもまるで自分の体で疾走しているかのように安定している自分の上半身の感触に、戸惑いつつも軽い感動を覚えていた。
下半身から伝わるのは、自分の体の下で躍動する雪風の全身の筋肉、それが放つ荒々しく猛々しい放射閃と、それを支える莫大な量の源始力の奔流。念のため、蜘蛛の糸の呪いで体を繋いでいるが、たとえそれが無くともユモの下半身が雪風の背中から離れないのは使い魔の契約の如実な効果だろう。けれど、それが故に、今は契約で結ばれているが故に、ユモは、雪風の放射閃と源始力を、互いに接した素肌越しに、なんの垣根も無しに感じ取っていた。
――この源始力の量……その気が無くても、こっちにじわじわ流れ込んでくる、溢れんばかりの源始力の奔流。しかもこれ、『月の魔女』であるあたしにもっとも馴染む、ものすごく精製された『月の源始力』にそっくり……これが……人狼が人狼たる所以、なのね……――
ユモは、今まで同じ『月の魔女』である母親以外には感じたことのない、地上人である父親にすら感じることのなかった――父親の事は大好きではあるのだが、魂的な意味で――親近感を、雪風の、その躍動する背中から感じ取っていた。
雪風が時速20キロほどで、匂いと記憶を頼りにちょいちょいショートカットしつつ森の中を疾走し始めて三分ほど後。
ユモは、振り落とされそうな動揺と、雪風の太い首根っこにしがみつく腕の、悲鳴を上げ始めた筋肉の痛みに耐えかねて声を上げ、ついでに軽く舌を噛んだ。
「ちょっと、何?大丈夫?」
急停止した――走りながらも、急停止した今も、ユモが落っこちないようにこれでも気を使っているつもりの――雪風は、ユモの悲鳴に慌てて聞き返した。
「……あ痛ったぁ……」
しばらく痛みで口もきけなかったユモは、涙の滲む目を上げて、恨み言を言う。
「……もう!もっと静かに走れないの!」
「えー?これでも相当気を使ってるのに……」
ほとんどの動物は、走る際に頭部は動揺しないように体の上下動をキャンセルするよう筋肉を制御し、なおかつ視線の揺れ自体も視覚神経処理で補正をかけている。それが故に、走りながらの視界は非常に安定しているように思えるものだが、実際には猛烈に動揺しているのは、手ぶれ補正無しのアクションカメラで撮った映像を見れば一目瞭然である。
直立二足歩行の人間は、それでも体の走行中の動揺は少ない方だが、全身のバネで走る四足獣のそれは人間の比ではない。乗用に適する馬でさえ、初心者がいきなり早足しようものなら、高確率で振り落とされる、そういうレベルである。
そこに、地面が平坦でない獣道を雪風が突っ走ったものだから、お世辞にも褒められた運動神経を持たず、筋力もからっきしのユモにはたまったものではない。ここまで振り落とされなかっただけでも僥倖とさえ言えた。
「とにかく!こんな調子で一晩中なんて、冗談じゃないわよ!」
ユモは、キレる。正直、馬の背で丸一日移動するのだって、ユモにとっては相当にきつかったのだ。キツさ加減では、自身の体重の半分にもなるユモを背中に乗せて走る雪風の方が文句なしにキツいのは、理性では分かっているのだが、それでも悪態をつくのを止めることが出来ない。
「んな事言ったって……」
お行儀良く座り、雪風は尻尾を丸め込んでしまっている。
「どうしろってのよ……」
困り切ってしまった雪風のぼやきに、ユモも、一息、長嘆息を吐くと、顔を上げた。
「……わかった。提案なんだけど。あんた、あたしと使い魔の契約して」
「……はあ?」
思いがけない一言に、雪風が呆れて聞き返す。
「何それ?あんた、あたしにケンカ売ってんの?」
さすがに、魔女見習いともあろうユモが、人狼たる雪風のプライドを踏みにじるような要求をするとは思えない。そこのところは雪風も理解は出来ているが、それにしても、唐突な一言のその内容が予想外過ぎた。
「最後まで聞いて。使い魔と主人は一心同体、であれば、あんたの身のこなしがあたしに伝わって、あたしががんばってしがみつかなくても振り落とされないし、舌も噛まなくなるわ」
「そりゃ、そうかもだけど……」
雪風にしても、走りながらしゃべって自分で舌を噛んだことは無い。
「……あたしに、あんたの僕になれっての?」
「そこよ」
人狼というのはプライドの権化みたいな種族である、という事は勿論知っているユモは、身を乗り出して説得にかかる。
「使い魔と主人の関係は、あくまで契約によるものよ。ほとんどの場合は小動物を使い魔に選んだり、何らかの理由で強力な魔物を使役する都合から主人の支配率が高く設定されるけど、支配率自体は自由に設定出来るの。要するに、あたしとあんたでイーブンな契約が可能、って事」
「……それなら……まあ、いいのか、な?」
雪風は、小首を傾げて考え込む。
「……あたしの都合で契約破棄していいんなら、破棄出来るんなら、まあ、いいか」
考え込んで、即座に雪風は決断する。
「勿論、可能よ。何なら、ベイフィールドに着いたらそこで解約だって出来るわ」
「……OK。走り出して五分であんた振り落としても困るし。いいわよ、で、どうするの?」
「……我、偉大なる始祖マーリーンに連なりし者、月の魔女リュールカの子、ユモ・タンカ・ツマンスカヤはここに誓う。我は汝、ユキカゼ・タキナミと対等な立場で盟約を交わし、互いに助け合い、高め合わんとする事を……ユキ」
獣の姿の雪風の目前に座り、自分達を中心に魔法陣のイメージを展開したユモは、いくつかの前置呪文を唱えて場を清浄化し、放射閃を高めた上で、使い魔の契りを交わすための呪文を唱えた。
「うん……我、滝波雪風はここに誓う、我は魔女ユモの使い魔として、対等な立場で盟約を受け入れ、互いに助け合い、高め合わんとする事を」
事前に覚えさせられた呪文を、雪風はユモに促されて唱える。主人と使い魔が対等な関係、というのは、理論的には可能でも、実際には滅多にあることでは無い。ほとんどの場合、使い魔となるのは能力的には秀でていても霊格的には主人に及ばない使役獣だし、例外的に強力な幻獣の類いを使役する場合、逆に強固な主従関係で抑えつけるのが定石だからだ。
「ここに我ら、互いの血を交換し、契りの証を成す。精霊よ、我らに祝福を。我らに行く手を照らし、正しき道を示したまえ」
声をそろえ、ユモと雪風は呪文を唱える。音波としては、それは人の声と狼の遠吠えが重なっているだけに過ぎなかったが、その韻と律のハーモニーはエーテルを振動させ、淡く、優しく、暖かい放射閃の輝きを一面に放つ。
ユモは、呪文を唱えながら、自分の銃剣の先端――刃のつけられていない銃剣の、ここだけは鋭く研ぎ澄まされている――で自分の左の親指の腹を突き、続けて、雪風の右手――右前足――をとって、その足の裏を突く。互いの突いた部位を合わせ、互いにほんの少しずつだけ出血したそれを混ぜ、ユモは雪風の右前足のそれを、雪風はユモの左手親指のそれを舐める。
「アテー・マルクト・ヴェ……」
契約を完成させるため、ユモは締めくくりの呪文を唱え始める。イメージの魔法陣を補強するために撒いた聖灰が煌めき、聖水が輝く。その光は二人の周りに緩く渦巻くエーテルを励起し、つかの間、こじんまりとした、緩い光の竜巻が舞い踊り、名残を残しつつ森の中に拡散する。
「……上手くいった、みたい」
ほっと、ため息をつきながら、ユモが言う。
「みたいって、あんた」
「やり方は教わってたけど、こんなの、やったことなかったもの」
使い魔との契約は、難易度は高くないが、何しろ相手があっての呪いなので、おいそれと練習出来るようなものではない。
その一言を聞いて、雪風も思い出したように呟く。
「……まあ、あたしもさ、他人に絶対に輸血するなってお婆ちゃんから言われてるんだけどさ」
「え?何よそれ」
「なんか昔、それで事故があったんだって」
「ちょっと、先に言ってよそういうの」
「大丈夫よこれくらいなら。第一」
雪風の、漆黒の毛皮の中で光る、金色がかった檜皮色の瞳が、ユモの碧の瞳を見つめる。
「あんたとあたし、一心同体なんでしょ?」
――……すごい……――
疾走する雪風の背中に跨がったユモは、下半身から伝わるその野生そのものの感触と、それであってもまるで自分の体で疾走しているかのように安定している自分の上半身の感触に、戸惑いつつも軽い感動を覚えていた。
下半身から伝わるのは、自分の体の下で躍動する雪風の全身の筋肉、それが放つ荒々しく猛々しい放射閃と、それを支える莫大な量の源始力の奔流。念のため、蜘蛛の糸の呪いで体を繋いでいるが、たとえそれが無くともユモの下半身が雪風の背中から離れないのは使い魔の契約の如実な効果だろう。けれど、それが故に、今は契約で結ばれているが故に、ユモは、雪風の放射閃と源始力を、互いに接した素肌越しに、なんの垣根も無しに感じ取っていた。
――この源始力の量……その気が無くても、こっちにじわじわ流れ込んでくる、溢れんばかりの源始力の奔流。しかもこれ、『月の魔女』であるあたしにもっとも馴染む、ものすごく精製された『月の源始力』にそっくり……これが……人狼が人狼たる所以、なのね……――
ユモは、今まで同じ『月の魔女』である母親以外には感じたことのない、地上人である父親にすら感じることのなかった――父親の事は大好きではあるのだが、魂的な意味で――親近感を、雪風の、その躍動する背中から感じ取っていた。
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