私を溺愛してくれたのは同期の御曹司でした

日下奈緒

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恋人が他の人と結婚

自分でも、よく怒りを抑えたと思う。

そうよ。ちょうどいい機会だったじゃない。

「昇進って、主任にですか?」

「そうよ。急に課長にはなれないでしょ。」

すると原田君は、つまんなそうにため息をついた。

「俺、役職とかいらないです。」

「えっ?どういう事?」

原田君ぐらい仕事できる人だったら、当然主任になりたいと思っていたけど。

「責任だけ負わされて、やってること報われないって、使い捨てみたいじゃないですか。」

唖然とした。今の若い人って、こういう考えなの?

「報われないって……少なくても、給与には反映されるわよ。役職手当がつくから。」

「いくらですか?」

「確か、3万円くらいだったかな。」

「たったの3万ですか。はぁっー。」

何なの?何なの⁉何なの‼

それは何?コスパの問題⁉それか、今の新人世代のタイパ⁉

私には、ついていけないっ!

その時、結城の声が聞こえた。

「……おい、原田。」

「はい。」

「少なくても、主任に上がるには、その程度の仕事ができているか判断される。役職だけ上げて、責任だけ負わす事はしないよ。」

「そうなんですか。」

「ああ。浅見は原田の能力を買ってるんだから、期待に応えろよ。」

「期待……ですか。頑張ってみます。」

私の胸の中は、じーんと熱くなった。

こういう時、フォローしてくれるのが、結城なんだよね。

「ありがとう、結城。」

「いや、困ったら俺に言えよ。助けるから。」

私は結城を見て、改めてこいつが社長になったら、いい会社になるんじゃないかと思った。

普通、協力するとは言えるけれど、助けるなんて言えないもんね。

今、ありがとうだけでは足りないくらいの感謝を、結城に感じていた。


そして昼休み。

私は結城の言葉を、まだ脳内でリピートしていた。

― 助けるから -

それだけで、胸が温かくなる。

結城って、私の事どう思っているんだろう。


その時だった。

『たった今入ってきました。ホットなニュースです。人気俳優・松本裕人さんが、元アイドルの方と入籍したと発表しました。』

息が止まった。

「えっ?」

私はニュースが流れているテレビを、凝視した。

そこには、裕人の顔が映っていた。

『いやー、交際わずか2か月でのスピード婚。さすが、人気俳優は決断も早いですね。』

『お相手の方は、妊娠されてるんでしょうか。』

『それがしていないんですよ。そこもポイントですよね。』

私は、急いで裕人に電話を掛けた。

本人は、案外直ぐに電話に出た。

「ちょっと裕人。どういう事?」

「ああ、結婚の事?ニュースで見た?そういう事だから。」

「だから!私と付き合ってるのに、結婚ってどういう事?二股かけてたの⁉」

「そうなるかなぁ。」

「そうなるかなって、どうして黙ってるの⁉」

問い詰める質問は、怒りの分だけ続く。

「いや、結婚の事。昨日の夜言おうとしたけど、恭香さん、寝ちゃったしね。」

「それはっ!……激しかったからっ!」

あんなに攻められたら、体力追いつかなくて、寝落ちするわ!

「でも、昨日。いい思いしたでしょ。最後の思い出にしちゃあ、俺頑張ったと思わない?」

「最後の思い出?」

「というわけで、これでバイバイね。」

電話は無情にも切れた。

えっ……これで、終わり?

裕人君との付き合いが終わり?

こんなあっさり、他の女に取られるの?

なんか、魂が抜かれたように呆然としてしまった。


「どうした?浅見。」

そんな呆然としている私に、躊躇なく話しかけてくるのも、結城だ。

「……彼氏が、他の女と結婚した。」

「何⁉二股⁉しかも浅見が浮気相手⁉」

私がっ!浮気相手だった⁉

私はファンデーションで隠したキスマークに触れた。

だから、あんなに激しかったの?最後の夜だったから⁉

その計画的犯罪に、私は何も言えなかった。


「まあ……悪い男に捕まったと思って、諦めろよ。浅見だったら、直ぐにいい男が見つかるから。」

私は、ボロボロと泣き出した。

「裕人君以外に、いい男なんていないもん。」

裕人君との出会いは、運命だって信じていたのに。
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