私を溺愛してくれたのは同期の御曹司でした

日下奈緒

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生意気なあいつ

まさか、あんな熱い夜を過ごした翌日に、突然恋人の結婚報道。

きつ過ぎて、その日は仕事にならなかった。

「課長、営業部からこの前の企画の返事来ました。」

「返事……」

と言うことは、営業部がNOを出してきたって事?

「先方の依頼に沿ってないという事でした。」

「あれが?」

8割、いいや9割。先方の言っていた事に応えているけれど?

「どこが沿っていないって?」

「いえ、どこかは記載されてません。」

「はぁー。」

このやる気がない時に、何面倒くさい事をやってきてるの?営業部。

「あっ、見つけました。予算です。」

原田君が見つけてくれた場所を、指差しで教えてくれた。

その時、原田君の匂いがファッと香った。

何だろう、香水でもない。この心地いい匂い。

「……原田君、いい匂いするね。」

「ああ、これ。ボディミストです。」

ボディミスト?あの小さい香りづけのボトル?

女の子が付けるものだと思っていた。

「いいわね。原田君に似合う。」

「ありがとうございます。」

そして、マジマジと予算の数字に、目が点になった。

「予算、こんなにないの?」

「みたいです。」

予算以外の事を全部望もうとすれば、予算は絶対オーバーする。

でも予算を第一に考えれば、5割は先方の希望に添えない。

どっちを取るかと言ったら、予算以外の事全てじゃない?

「先方の希望には沿っています、予算を交渉するのが、営業の仕事でしょって、返してやれば?」

「それが……もう営業部からは、予算を第一に考え、その他も先方に沿うようにと……」

「何言ってんの⁉誰が言ってんの⁉」

私は原田君の席に行って、担当の営業の名前を見た。

住前 誠也。どこかで聞いたような名前。

「ちなみに、俺の同期です。」

原田君が、思い出している私にヒントをくれた。

「もしかして、新人賞取った人?」

「はい。」

「あいつか!」

毎年営業部で開催される新入社員を対象とした新人賞。

新人の中で営業トップを取った奴。

もちろん、新入社員だからコネもない。

実力だけで試される新人賞。それに選ばれたと言えば、そろそろ昇進を狙っているはず。

「どうしようかな。」

私は悩みに悩みまくった。

おそらく、住前君は今。昇進の為に営業成績を稼いでいるのだろう。

どんな小さな額でも、契約を持ってきたい。

それを邪魔はしたくない。

でも、それでこれからも通用すると思ったら、そうではない。

それは、今後主任になったとしても、必要な事だ。

「ちょっと行ってくる。」

「直談判ですか⁉」

原田君は、ソフトを使ってしか営業部と接した事がない。

直接物を申す事に、驚いている。

「いいえ。直接指導よ。」

私はそう言うと、隣のオフィスに向かった。

「すみません。企画部の浅見です。住前さんはどなたですか?」

すると一番端にいた女性社員が、一番奥の席を指さした。

「呼んで参りますか?」

「大丈夫です。自分で行きます。

私は一番奥の席まで、ツカツカと営業部の中を通って行った。


「住前さん。」

「はい。」

立ち上がったのは、外人かと思うくらい背が高い美男子だった。

これは、営業トップになるだけの容姿は持っている。

「林道株式会社の企画で、100%先方の希望に沿えるようにと依頼してきたのは、あなたですね。」

「はい。僕です。」

はっきりと認めるところ、カッコいいじゃない。

「いくら先方に合うようにとは言われても、あの予算では難しいわ。」

「そこを何とか、力を貸して頂けないでしょうか。」

住前君は、私に頭を下げる。

可愛らしいところもあるなんて、力になってあげたいのはやまやまだけど。

「ごめんなさいね。できないモノはできないのよ。」

すると住前君は、企画書をプリントアウトし始めた。

そして私に向かって、赤丸を付け出す。

「ここの物品、同じ物で安いのがあります。ここも、ここも。あとこの部分の予算を削って……」

どんどん、代替え案を出していく。

最終的に住前君の赤丸を採用していくと、予算にほぼ近い価格になった。

「削れない部分は、俺が交渉しますので。これで上司に確認してください。」
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