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第4章 庭園のプロポーズと初めての夜
⑤
「よくぞ……ここまで仰ってくれた。」
父は目頭を押さえ、滲んだ涙を隠そうともしなかった。
「私は……あなたを誇りに思います、ユリウス殿下。」
その言葉に、胸が熱くなる。
父もまた、幼い頃からユリウスを我が子のように見守ってきたのだ。
だからこそ、その成長と決意に心を動かされたのだろう。
けれど、次に告げられた言葉は真剣そのものだった。
「ですが……現段階では、私の一存でどうこう申し上げられません。」
父の瞳が鋭く細められる。
「この結婚については──国王陛下にお返事をお任せいたします。」
その声音には、重責を担う大臣としての冷静さと、娘を思う父としての苦悩が入り混じっていた。
沈黙が落ちる。胸が締めつけられ、私は思わずユリウスの手を強く握った。
しかし父は、ふっと表情を和らげ、わずかに微笑んで見せた。
「それでも……私は二人を信じている。」
その笑みが、重苦しい空気を少しだけ和らげてくれた。
帰り際、ユリウスはふいに私を抱き寄せた。
「本当は……このまま一緒にいたい。」
低く囁かれ、胸が熱くなる。
「私もです。」
素直にそう答えると、彼の腕の力がさらに強くなった。
その長い抱擁を目にした父は、ため息をひとつ漏らす。
「殿下。本日は天気が怪しいようです。いっそ、このまま屋敷にお泊まりになっては?」
ユリウスは思わず目を見開いた。
すぐに父の真意に気づいたのだろう。
「ユリウス……」
私は彼の袖をそっと引いた。
心臓が早鐘のように鳴りながらも、父の提案が嬉しくてたまらなかった。
ユリウスは私を見つめ、微笑を浮かべる。
「……お言葉に甘えて。」
その一言に、父の表情も柔らいだ。
ほどなくして使いの者が王宮へ走り、殿下が今夜はアルヴェール邸に留まる旨を伝えに行った。
薔薇の園で交わした誓いが、その夜、さらに深い結びつきへと繋がろうとしていた。
「旦那様、皇子殿下がお泊まりになるお部屋は客室でよろしいですか?」
使用人が尋ねた瞬間、応接間の空気がぴんと張り詰めた。
「ああ……」
父は短く答えかけ、しかしすぐにユリウスへと視線を移す。
「まあ、どこでお休みになるかは……皇子殿下がお決めになればよろしい。」
その一言に、胸が大きく跳ねた。
つまり、それは客室に限らず──私の部屋であっても構わないという暗黙の許し。
ユリウスは真摯に頭を下げた。
「……感謝申し上げます。」
その姿を見て、さらに頬が熱くなる。
(まさか本当に、私の部屋に……?)
父の言葉には、娘を託そうとする父親の決意が込められていた。
けれど、私にとってはあまりに突然すぎる展開に、心臓が早鐘のように鳴り止まない。
「セシリア……」
ユリウスが優しく名を呼ぶ。
視線を合わせた瞬間、胸の奥に期待と不安が入り混じり、私はただ小さく頷くしかなかった。
父は目頭を押さえ、滲んだ涙を隠そうともしなかった。
「私は……あなたを誇りに思います、ユリウス殿下。」
その言葉に、胸が熱くなる。
父もまた、幼い頃からユリウスを我が子のように見守ってきたのだ。
だからこそ、その成長と決意に心を動かされたのだろう。
けれど、次に告げられた言葉は真剣そのものだった。
「ですが……現段階では、私の一存でどうこう申し上げられません。」
父の瞳が鋭く細められる。
「この結婚については──国王陛下にお返事をお任せいたします。」
その声音には、重責を担う大臣としての冷静さと、娘を思う父としての苦悩が入り混じっていた。
沈黙が落ちる。胸が締めつけられ、私は思わずユリウスの手を強く握った。
しかし父は、ふっと表情を和らげ、わずかに微笑んで見せた。
「それでも……私は二人を信じている。」
その笑みが、重苦しい空気を少しだけ和らげてくれた。
帰り際、ユリウスはふいに私を抱き寄せた。
「本当は……このまま一緒にいたい。」
低く囁かれ、胸が熱くなる。
「私もです。」
素直にそう答えると、彼の腕の力がさらに強くなった。
その長い抱擁を目にした父は、ため息をひとつ漏らす。
「殿下。本日は天気が怪しいようです。いっそ、このまま屋敷にお泊まりになっては?」
ユリウスは思わず目を見開いた。
すぐに父の真意に気づいたのだろう。
「ユリウス……」
私は彼の袖をそっと引いた。
心臓が早鐘のように鳴りながらも、父の提案が嬉しくてたまらなかった。
ユリウスは私を見つめ、微笑を浮かべる。
「……お言葉に甘えて。」
その一言に、父の表情も柔らいだ。
ほどなくして使いの者が王宮へ走り、殿下が今夜はアルヴェール邸に留まる旨を伝えに行った。
薔薇の園で交わした誓いが、その夜、さらに深い結びつきへと繋がろうとしていた。
「旦那様、皇子殿下がお泊まりになるお部屋は客室でよろしいですか?」
使用人が尋ねた瞬間、応接間の空気がぴんと張り詰めた。
「ああ……」
父は短く答えかけ、しかしすぐにユリウスへと視線を移す。
「まあ、どこでお休みになるかは……皇子殿下がお決めになればよろしい。」
その一言に、胸が大きく跳ねた。
つまり、それは客室に限らず──私の部屋であっても構わないという暗黙の許し。
ユリウスは真摯に頭を下げた。
「……感謝申し上げます。」
その姿を見て、さらに頬が熱くなる。
(まさか本当に、私の部屋に……?)
父の言葉には、娘を託そうとする父親の決意が込められていた。
けれど、私にとってはあまりに突然すぎる展開に、心臓が早鐘のように鳴り止まない。
「セシリア……」
ユリウスが優しく名を呼ぶ。
視線を合わせた瞬間、胸の奥に期待と不安が入り混じり、私はただ小さく頷くしかなかった。
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