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第7章 罪と罰と抱擁と ②
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「……ですが、それは……」
景文も目を伏せた。
当然だ。皇帝の寵妃を“下賜”するというのは、前代未聞のこと。
下手をすれば、皇帝の怒りを買い、両家ともに破滅しかねない。
けれど――
「このまま、翠蘭殿を隠し通して何になります?」
王景殿は、静かに、けれど強い意志を込めて言葉を続けた。
「夜ごと忍び込む逢瀬を重ね、密やかに情を交わす日々……それで本当に満足なのですか?」
「……っ」
「堂々と妻だと、言いたくはありませんか?公の場でも、堂々と隣に立ち、手を取り合い、生きていける未来を……望まないのですか?」
景文の肩がわずかに震えた。
「……望んでいます。」
低く、搾り出すような声。
「望んでいます……心の底から、彼女を……翠蘭を、俺の正妻として迎えたいと思っている。」
「ならば、腹を括るのです。」
王景殿は、立ち上がり、厳しくも凛とした声で言った。
「皇帝陛下に拝謁し、**“翠蘭殿の下賜を願い出る”**のです。」
私は、言葉を失ったまま、景文の横顔を見つめた。
その横顔には、かつて見たことのない決意が宿っていた。
――これが、運命を変える瞬間になるのかもしれない。
静かに、けれど確かに、私の胸の奥で何かが震えていた。
そして私達は、皇帝陛下との謁見を許された。
「まずは、謁見のお許し、ありがとうございます。」
景文は深く頭を下げ、床に額をつけた。
広間は、まるで息を呑むような静けさに包まれていた。
首元の刺青が、はっきりと見えるようになったのは、景文が自ら髪を短く切ったからだ。
その印は、皇族にのみ刻まれるという“鳳印”。
一目見ただけで、それが皇帝の血を引く者の証であることが分かった。
「……あれは、まさか……」
「皇帝の……落胤……?」
重臣たちがざわつき出す。
だが、玉座から響く一言が、全てを封じた。
「静かに。」
皇帝・玄清(げんせい)の威厳ある声が響くと、たちまち場が引き締まる。
「本日は、陛下に下賜のお許しを頂戴したく参じました。」
玉座の間に跪いた景文の声が、凛と響いた。
皇帝は、静かに私を一瞥し、その瞳に一瞬だけ迷いの色を浮かべる。
「……言わなくても分かる。翠蘭だろ。」
「はい。」
景文が深く頭を下げた。だが、陛下は即座には首を縦に振らなかった。
「――翠蘭を寵愛しなかったのは、我が母に似ているからだ。」
その言葉に、周囲の家臣たちがざわめいた。
「母君に……?」
「まさか、あの麗しき皇太后陛下に――」
「まさか、そんな理由で……?」
私も胸が締め付けられた。皇太后様に似ているから、遠ざけられていた?
寵愛を受けなかった理由が、そんな哀しみに裏打ちされたものであったとは――。
景文も目を伏せた。
当然だ。皇帝の寵妃を“下賜”するというのは、前代未聞のこと。
下手をすれば、皇帝の怒りを買い、両家ともに破滅しかねない。
けれど――
「このまま、翠蘭殿を隠し通して何になります?」
王景殿は、静かに、けれど強い意志を込めて言葉を続けた。
「夜ごと忍び込む逢瀬を重ね、密やかに情を交わす日々……それで本当に満足なのですか?」
「……っ」
「堂々と妻だと、言いたくはありませんか?公の場でも、堂々と隣に立ち、手を取り合い、生きていける未来を……望まないのですか?」
景文の肩がわずかに震えた。
「……望んでいます。」
低く、搾り出すような声。
「望んでいます……心の底から、彼女を……翠蘭を、俺の正妻として迎えたいと思っている。」
「ならば、腹を括るのです。」
王景殿は、立ち上がり、厳しくも凛とした声で言った。
「皇帝陛下に拝謁し、**“翠蘭殿の下賜を願い出る”**のです。」
私は、言葉を失ったまま、景文の横顔を見つめた。
その横顔には、かつて見たことのない決意が宿っていた。
――これが、運命を変える瞬間になるのかもしれない。
静かに、けれど確かに、私の胸の奥で何かが震えていた。
そして私達は、皇帝陛下との謁見を許された。
「まずは、謁見のお許し、ありがとうございます。」
景文は深く頭を下げ、床に額をつけた。
広間は、まるで息を呑むような静けさに包まれていた。
首元の刺青が、はっきりと見えるようになったのは、景文が自ら髪を短く切ったからだ。
その印は、皇族にのみ刻まれるという“鳳印”。
一目見ただけで、それが皇帝の血を引く者の証であることが分かった。
「……あれは、まさか……」
「皇帝の……落胤……?」
重臣たちがざわつき出す。
だが、玉座から響く一言が、全てを封じた。
「静かに。」
皇帝・玄清(げんせい)の威厳ある声が響くと、たちまち場が引き締まる。
「本日は、陛下に下賜のお許しを頂戴したく参じました。」
玉座の間に跪いた景文の声が、凛と響いた。
皇帝は、静かに私を一瞥し、その瞳に一瞬だけ迷いの色を浮かべる。
「……言わなくても分かる。翠蘭だろ。」
「はい。」
景文が深く頭を下げた。だが、陛下は即座には首を縦に振らなかった。
「――翠蘭を寵愛しなかったのは、我が母に似ているからだ。」
その言葉に、周囲の家臣たちがざわめいた。
「母君に……?」
「まさか、あの麗しき皇太后陛下に――」
「まさか、そんな理由で……?」
私も胸が締め付けられた。皇太后様に似ているから、遠ざけられていた?
寵愛を受けなかった理由が、そんな哀しみに裏打ちされたものであったとは――。
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