61 / 105
第16話 慰謝料
③
しおりを挟む
「見合いを……断ってくれ⁉」
ああ、芹香のお父さん。
本当に、何も分からないんだなぁ。
「そして私が代わりに、お見合いに行きまして……」
ああ、ここから話すのが恥ずかしい。
親の前で恋の話とか、勘弁してほしい。
「そこで、信一郎さんを好きになってしまったんです。」
「ふん。」
私の話に、芹香のお父さんは、鼻で笑った。
「確かに信一郎君のような男を見たら、誰でも好きになるな。」
信一郎さんに対しての、すごい自信。
余程、信一郎さんの事、気に入ってたのかな。
「そこで、二人で付き合いましょうって話になりまして。」
「君と?信一郎君が?」
悪かったわね。
そりゃあ、お宅の娘さんと比べれば、私なんかへでもないですけど。
「ですが、信一郎さんは私の事を、芹香だと思っていまして。」
「そりゃあそうだ。代わりだなんて、思ってないからな。」
「それで、信一郎さんは芹香さんとお付き合いしていると、勘違いしていたようです。」
話が終わり、こんな事だったら、最初から芹香さんじゃありませんって、言っておけばよかったって思った。
そして、芹香のお父さんを見て、ハッとした。
絶対、怒ってる。
「よくも、ウチの家を掻きまわしてくれたな。」
「ええー!」
「おまえが芹香の代わりにならなかったら、こんな事にはならなかった!」
「それは、そうですけど……」
でも、私は芹香に言われて、行ったんですけど!
「元々黒崎家との結婚は、政略結婚だった。資金調達にお互い納得していた。」
ー この結婚は、政略結婚なんだ -
信一郎さんも、そう言ってた。
「なのに、この結婚を破断にしやがって!慰謝料を請求する!」
「慰謝料⁉」
私とお父さんは、大声を出して驚いた。
「いくら請求するつもりだ。」
「結婚が決まれば、1億の融資が受けられるはずだった。」
「1億⁉」
そんなお金なんて、一生かかっても払いきれない。
まして、工場だって信一郎さんの融資を受けたばかりなのに。
そんなお金、どこからも出ないよ。
「と言っても、払いきれないのは目に見えてるからな。」
「じゃあ、少なくしてくれるのか。」
「5,000万にしてやる。」
半分でも5,000万。
そんなお金、ないんだってばあ!
「どうした?政略結婚が破断になるというのは、こういう事だぞ。」
芹香のお父さんは、ニヤニヤしている。
結婚は破断になって、1億の融資はなくなったけれど、ウチから5,000万取れるって、本気で思ってるんだ。
「芹香のお父さん。」
「なんだ?」
「最初に、芹香がこのお見合いを断って欲しいと言っている時点で、この政略結婚は不成立です。」
そうだよ。
芹香だって、望んでいなかった。
芹香は、親の決めた結婚なんて、嫌がっていたから。
「その後、信一郎君からぜひお嬢さんと交際させてくださいって、電話があったんだよ。」
うっ!信一郎さん、そんな電話してたの?
「まあ、中身は君だったようだが?普通に、芹香と付き合うと思うよな。」
それに関しては、何も言えない。
「当然、こちらとしては、政略結婚を進める訳だ。」
芹香のお父さんが言う事は、当たっている。
ああ、芹香のお父さん。
本当に、何も分からないんだなぁ。
「そして私が代わりに、お見合いに行きまして……」
ああ、ここから話すのが恥ずかしい。
親の前で恋の話とか、勘弁してほしい。
「そこで、信一郎さんを好きになってしまったんです。」
「ふん。」
私の話に、芹香のお父さんは、鼻で笑った。
「確かに信一郎君のような男を見たら、誰でも好きになるな。」
信一郎さんに対しての、すごい自信。
余程、信一郎さんの事、気に入ってたのかな。
「そこで、二人で付き合いましょうって話になりまして。」
「君と?信一郎君が?」
悪かったわね。
そりゃあ、お宅の娘さんと比べれば、私なんかへでもないですけど。
「ですが、信一郎さんは私の事を、芹香だと思っていまして。」
「そりゃあそうだ。代わりだなんて、思ってないからな。」
「それで、信一郎さんは芹香さんとお付き合いしていると、勘違いしていたようです。」
話が終わり、こんな事だったら、最初から芹香さんじゃありませんって、言っておけばよかったって思った。
そして、芹香のお父さんを見て、ハッとした。
絶対、怒ってる。
「よくも、ウチの家を掻きまわしてくれたな。」
「ええー!」
「おまえが芹香の代わりにならなかったら、こんな事にはならなかった!」
「それは、そうですけど……」
でも、私は芹香に言われて、行ったんですけど!
「元々黒崎家との結婚は、政略結婚だった。資金調達にお互い納得していた。」
ー この結婚は、政略結婚なんだ -
信一郎さんも、そう言ってた。
「なのに、この結婚を破断にしやがって!慰謝料を請求する!」
「慰謝料⁉」
私とお父さんは、大声を出して驚いた。
「いくら請求するつもりだ。」
「結婚が決まれば、1億の融資が受けられるはずだった。」
「1億⁉」
そんなお金なんて、一生かかっても払いきれない。
まして、工場だって信一郎さんの融資を受けたばかりなのに。
そんなお金、どこからも出ないよ。
「と言っても、払いきれないのは目に見えてるからな。」
「じゃあ、少なくしてくれるのか。」
「5,000万にしてやる。」
半分でも5,000万。
そんなお金、ないんだってばあ!
「どうした?政略結婚が破断になるというのは、こういう事だぞ。」
芹香のお父さんは、ニヤニヤしている。
結婚は破断になって、1億の融資はなくなったけれど、ウチから5,000万取れるって、本気で思ってるんだ。
「芹香のお父さん。」
「なんだ?」
「最初に、芹香がこのお見合いを断って欲しいと言っている時点で、この政略結婚は不成立です。」
そうだよ。
芹香だって、望んでいなかった。
芹香は、親の決めた結婚なんて、嫌がっていたから。
「その後、信一郎君からぜひお嬢さんと交際させてくださいって、電話があったんだよ。」
うっ!信一郎さん、そんな電話してたの?
「まあ、中身は君だったようだが?普通に、芹香と付き合うと思うよな。」
それに関しては、何も言えない。
「当然、こちらとしては、政略結婚を進める訳だ。」
芹香のお父さんが言う事は、当たっている。
0
あなたにおすすめの小説
溺愛ダーリンと逆シークレットベビー
吉野葉月
恋愛
同棲している婚約者のモラハラに悩む優月は、ある日、通院している病院で大学時代の同級生の頼久と再会する。
立派な社会人となっていた彼に見惚れる優月だったが、彼は一児の父になっていた。しかも優月との子どもを一人で育てるシングルファザー。
優月はモラハラから抜け出すことができるのか、そして子どもっていったいどういうことなのか!?
俺に抱かれる覚悟をしろ〜俺様御曹司の溺愛
ラヴ KAZU
恋愛
みゆは付き合う度に騙されて男性不信になり
もう絶対に男性の言葉は信じないと決心した。
そんなある日会社の休憩室で一人の男性と出会う
これが桂木廉也との出会いである。
廉也はみゆに信じられない程の愛情を注ぐ。
みゆは一瞬にして廉也と恋に落ちたが同じ過ちを犯してはいけないと廉也と距離を取ろうとする。
以前愛した御曹司龍司との別れ、それは会社役員に結婚を反対された為だった。
二人の恋の行方は……
美しき造船王は愛の海に彼女を誘う
花里 美佐
恋愛
★神崎 蓮 32歳 神崎造船副社長
『玲瓏皇子』の異名を持つ美しき御曹司。
ノースサイド出身のセレブリティ
×
☆清水 さくら 23歳 名取フラワーズ社員
名取フラワーズの社員だが、理由があって
伯父の花屋『ブラッサムフラワー』で今は働いている。
恋愛に不器用な仕事人間のセレブ男性が
花屋の女性の夢を応援し始めた。
最初は喧嘩をしながら、ふたりはお互いを認め合って惹かれていく。
極上の彼女と最愛の彼 Vol.3
葉月 まい
恋愛
『極上の彼女と最愛の彼』第3弾
メンバーが結婚ラッシュの中、未だ独り身の吾郎
果たして彼にも幸せの女神は微笑むのか?
そして瞳子や大河、メンバー達のその後は?
声(ボイス)で、君を溺れさせてもいいですか
月下花音
恋愛
不眠症の女子大生・リナの唯一の救いは、正体不明のASMR配信者「Nocturne(ノクターン)」の甘い声。
現実の隣の席には、無口で根暗な「陰キャ男子」律がいるだけ。
……だと思っていたのに。
ある日、律が落としたペンを拾った時、彼が漏らした「……あ」という吐息が、昨夜の配信の吐息と完全に一致して!?
「……バレてないと思った? リナ」
現実では塩対応、イヤホン越しでは砂糖対応。
二つの顔を持つ彼に、耳の奥から溺れさせられる、極上の聴覚ラブコメディ!
自信家CEOは花嫁を略奪する
朝陽ゆりね
恋愛
「あなたとは、一夜限りの関係です」
そのはずだったのに、
そう言ったはずなのに――
私には婚約者がいて、あなたと交際することはできない。
それにあなたは特定の女とはつきあわないのでしょ?
だったら、なぜ?
お願いだからもうかまわないで――
松坂和眞は特定の相手とは交際しないと宣言し、言い寄る女と一時を愉しむ男だ。
だが、経営者としての手腕は世間に広く知られている。
璃桜はそんな和眞に憧れて入社したが、親からもらった自由な時間は3年だった。
そしてその期間が来てしまった。
半年後、親が決めた相手と結婚する。
退職する前日、和眞を誘惑する決意をし、成功するが――
エリート役員は空飛ぶ天使を溺愛したくてたまらない
如月 そら
恋愛
「二度目は偶然だが、三度目は必然だ。三度目がないことを願っているよ」
(三度目はないからっ!)
──そう心で叫んだはずなのに目の前のエリート役員から逃げられない!
「俺と君が出会ったのはつまり必然だ」
倉木莉桜(くらきりお)は大手エアラインで日々奮闘する客室乗務員だ。
ある日、自社の機体を製造している五十里重工の重役がトラブルから莉桜を救ってくれる。
それで彼との関係は終わったと思っていたのに!?
エリート役員からの溺れそうな溺愛に戸惑うばかり。
客室乗務員(CA)倉木莉桜
×
五十里重工(取締役部長)五十里武尊
『空が好き』という共通点を持つ二人の恋の行方は……
再会したスパダリ社長は強引なプロポーズで私を離す気はないようです
星空永遠
恋愛
6年前、ホームレスだった藤堂樹と出会い、一緒に暮らしていた。しかし、ある日突然、藤堂は桜井千夏の前から姿を消した。それから6年ぶりに再会した藤堂は藤堂ブランド化粧品の社長になっていた!?結婚を前提に交際した二人は45階建てのタマワン最上階で再び同棲を始める。千夏が知らない世界を藤堂は教え、藤堂のスパダリ加減に沼っていく千夏。藤堂は千夏が好きすぎる故に溺愛を超える執着愛で毎日のように愛を囁き続けた。
2024年4月21日 公開
2024年4月21日 完結
☆ベリーズカフェ、魔法のiらんどにて同作品掲載中。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる