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第19話 別れてほしい
③
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「信一郎さんが……」
胸がじーんとしてくる。
信一郎さん、5,000万払ってくれたんだ。
「おまえは、いい奴を見つけたな。」
「うん、私もそう思う。」
問題は、芹香だよね。
未だに、信一郎さんと結婚しなきゃいけないって、思ってるのかな。
そして、タイミングよく芹香から、電話がきた。
私は、居間でその電話を受けた。
「芹香。」
『……慰謝料、払ったのね。』
「聞いたの?信一郎さんが、払ってくれたんだよ。」
『黒崎さんが?』
芹香は、電話の向こうで驚いている。
『慰謝料を払ったと言い、結婚を断ると言い、礼奈のいい方向に話は進むのね。』
その言い方に、ちょっとムッとした。
「私達、愛し合っているの。」
『散々聞いたわ。その話。黒崎さんからも。』
「えっ?」
『食事会の時……』
ー 俺は、礼奈を愛しているんです -
ー 愛している人と結婚します。だから、芹香さんとは、結婚できません -
『黒崎さんのご両親、面食らっていたわ。』
それを聞いた私は、信一郎さんを愛おしく思った。
はっきり言ってくれたんだ、信一郎さん。
なのに私、別れたいだなんて言って。
ごめんね、信一郎さん。
『それで何だけど、増々黒崎さんを気に入ったって、お父さんが言うの。』
「芹香のお父さんが?」
私は、食事会の時に見た芹香のお父さんを思い出した。
終始ニコニコしていた芹香のお父さん。
お金の事だけじゃなかったんだ。
『今時、珍しいタイプだって。私とも気が合うんじゃないかって。』
私はスマホを握りしめた。
『だから礼奈。やっぱり黒崎さんと、別れてくれる?』
「芹香……」
『私と黒崎さんの結婚は、親同士で進んでいるわ。お願いね。』
私はそこで、電話を切った。
「何だって?芹香ちゃん。」
私は奥歯を噛み締めた。
「信一郎さんと別れて欲しいって。」
「ええ?芹香ちゃんも案外、しつこいな。」
「芹香も同じ事思ってるんじゃない?」
私は足を組んで座った。
私と信一郎さんが、どんなに頑張ろうと、芹香との結婚は避けられないの?
そんな時に、信一郎さんからメールが来た。
【支払った慰謝料を、返金された】
【どうして?】
【芹香さんとの結婚が決まった以上、慰謝料はいらないって事だろう。】
私は、スマホを投げようとした。
「おいおい、精密機械だぞ。」
この事は、安心しきってるお父さんにも言わなきゃ。
「お父さん、慰謝料は返金されたって。」
「何だって⁉」
「芹香との結婚が決まったから、慰謝料は払う必要ないって。」
「何だ、それ!」
悔しい。
どうすれば、信一郎さんと芹香の気持ちに、気づいてくれるの?
私は、立ち上がった。
こうなったら、直談判するしかない。
「礼奈、どこに行く?」
「芹香の家に行ってくる。」
「芹香ちゃんと、話し合うのか。」
「ううん。芹香のお父さんと会ってくる。」
胸がじーんとしてくる。
信一郎さん、5,000万払ってくれたんだ。
「おまえは、いい奴を見つけたな。」
「うん、私もそう思う。」
問題は、芹香だよね。
未だに、信一郎さんと結婚しなきゃいけないって、思ってるのかな。
そして、タイミングよく芹香から、電話がきた。
私は、居間でその電話を受けた。
「芹香。」
『……慰謝料、払ったのね。』
「聞いたの?信一郎さんが、払ってくれたんだよ。」
『黒崎さんが?』
芹香は、電話の向こうで驚いている。
『慰謝料を払ったと言い、結婚を断ると言い、礼奈のいい方向に話は進むのね。』
その言い方に、ちょっとムッとした。
「私達、愛し合っているの。」
『散々聞いたわ。その話。黒崎さんからも。』
「えっ?」
『食事会の時……』
ー 俺は、礼奈を愛しているんです -
ー 愛している人と結婚します。だから、芹香さんとは、結婚できません -
『黒崎さんのご両親、面食らっていたわ。』
それを聞いた私は、信一郎さんを愛おしく思った。
はっきり言ってくれたんだ、信一郎さん。
なのに私、別れたいだなんて言って。
ごめんね、信一郎さん。
『それで何だけど、増々黒崎さんを気に入ったって、お父さんが言うの。』
「芹香のお父さんが?」
私は、食事会の時に見た芹香のお父さんを思い出した。
終始ニコニコしていた芹香のお父さん。
お金の事だけじゃなかったんだ。
『今時、珍しいタイプだって。私とも気が合うんじゃないかって。』
私はスマホを握りしめた。
『だから礼奈。やっぱり黒崎さんと、別れてくれる?』
「芹香……」
『私と黒崎さんの結婚は、親同士で進んでいるわ。お願いね。』
私はそこで、電話を切った。
「何だって?芹香ちゃん。」
私は奥歯を噛み締めた。
「信一郎さんと別れて欲しいって。」
「ええ?芹香ちゃんも案外、しつこいな。」
「芹香も同じ事思ってるんじゃない?」
私は足を組んで座った。
私と信一郎さんが、どんなに頑張ろうと、芹香との結婚は避けられないの?
そんな時に、信一郎さんからメールが来た。
【支払った慰謝料を、返金された】
【どうして?】
【芹香さんとの結婚が決まった以上、慰謝料はいらないって事だろう。】
私は、スマホを投げようとした。
「おいおい、精密機械だぞ。」
この事は、安心しきってるお父さんにも言わなきゃ。
「お父さん、慰謝料は返金されたって。」
「何だって⁉」
「芹香との結婚が決まったから、慰謝料は払う必要ないって。」
「何だ、それ!」
悔しい。
どうすれば、信一郎さんと芹香の気持ちに、気づいてくれるの?
私は、立ち上がった。
こうなったら、直談判するしかない。
「礼奈、どこに行く?」
「芹香の家に行ってくる。」
「芹香ちゃんと、話し合うのか。」
「ううん。芹香のお父さんと会ってくる。」
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