誰にでも優しいくせに、私だけに本気なんてズルい– 遊び人エリートのくせに、溺愛が止まらない –【完結】

日下奈緒

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第5部 本気なんて、信じられない

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その欲情が、確かに私だけに向けられているのだと感じるのに――

心が、ついていかない。

「……さっき、美香さんからメールが来てた」

言葉が、喉の奥からこぼれる。

それは、意識よりも早く、感情が漏れ出した音だった。

彼の腕が、少しだけ強くなる。

「俺が抱きたいのは、お前だけだよ」

低く、熱を含んだ声。

でも、それが本当なのか、今はまだ信じきれなかった。

彼の指が、私の頬に触れる。

触れただけで、涙がつうっと流れ落ちた。

「……ねぇ、それでも、もう一回抱いてくれるの?」

彼は黙ったまま、私をそっと振り向かせた。

目と目が合ったその瞬間、また――唇が、重なった。

「抱きたいって言ってるだろ。」

隼人さんの声は低く、けれど熱を孕んでいた。

真剣な瞳が、真っ直ぐに私を射抜く。

「本気だって、言った。」

言葉のひとつひとつが、体温を持って胸の奥へと沈んでくる。

「隼人さん……」

思わず名前を呼んだその唇を、彼はそっと指でなぞった。

「遊びじゃないんだ。紗英も、俺に本気になれ。」

胸が高鳴る。

抑え込んでいた想いが、一気に溢れそうになる。

私は彼を、強く抱きしめた。

触れ合った肌の熱が、互いの鼓動を伝えてくる。

「誰がなんと言おうと、紗英も守る。」

「うん……」

「もう誰も抱かない。紗英だけにこの欲情を与える。」

言葉の意味よりも、彼の想いの強さに打たれていた。

次の瞬間、唇が重なり、息が混じる。

激しいキス。

熱く、深く、貪るように。

まるで、想いの全てを口づけに注ぎ込むようだった。

何度も何度も唇を重ね、舌が絡まり、息が乱れていく。

「……紗英……」

名前を呼ばれるたび、身体が甘く震える。

手が、背中をなぞり、腰を引き寄せられる。

全身で彼の熱を受け止める。

まるで、ひとつになろうとするように――

言葉ではない証。

彼の体温と、想いのすべてが、私を包み込んでいく。

この夜、私は確かに、彼に愛されていた。

それは単なる欲望ではなく――

心ごと抱かれているのだと、全身で感じていた。

朝になっても、隼人さんの欲情は収まらなかった。

「紗英、愛している。」

重ねられる唇は、夜の熱をまだ宿していた。

何度も触れたはずの肌なのに、まるで初めてのように、触れるたびに熱を孕む。

胸も、背中も、太ももも、どこを撫でられても彼の体温が染み込んでくる。

「もう、朝ですよ……」

そう言ったけれど、声は震えていた。

肌が、息が、鼓動が、また彼を求めていた。
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