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Ⅲ
⑩
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それから俺は、一人星の間に来る事が、多くなった。
夕食も食べ終えて、皆、寝静まった後。
ハーキムにバレないように、こっそり家を出て、国王に分からぬように、足音を忍ばせ、ここで絨毯の上に寝転ぶと、何もかも忘れられるような、気がした。
いづれ
私の全てを受け継ぐこの子に
ここから見える
全ての世界を手に入れる
偉大な男になってほしい
嬉しかったんだ。
あの父上に、そこまで言って貰えて。
ここに寝転ぶと、父と呼んだ国王の、無限の愛情に触れられるような気がして。
その時だった。
カタッと、何かが動く音がした。
「ハーキム?」
ああ、なんだ。
ここに来た事が、バレてしまったかと思い、起き上がって入り口を見た。
だが、誰もそこにはいなかった。
やがて、ギィーッと言う音がして、外からの扉が開いた。
「誰だ!」
剣を持って、扉の向こうに、目を凝らした。
するとそのシルエットは、髪の長い女に見えた。
「……すみません。お手洗いの帰りに、星を見ていましたら、道に迷ってしまいました。」
「道に迷ったぐらいで、そこの階段を昇ってくるとは、良い度胸だな。」
外へと通じる階段は、西の敷地の奥に行かねば、その存在も分からぬはず。
宮殿の敷地内に迷いこんでも、なかなか西の敷地の奥までは、辿り着けない。
「本当に、申し訳ありません。直ぐに戻ります。」
クルッと背中を見せたその女は、髪が黄金のように、光ったんだ。
「待て!」
思わず追いかけて、階段を降りようとした時に、彼女の腕を掴んだ。
金髪の髪。
「君は……」
「私の事を、知っているの?」
「ああ。この前、挨拶に来ただろう?」
俺の言葉に、キョトンとしている。
もしかして、俺の顔を覚えていない?
「まあ、いいや。君、星を見に来たんだろう?」
「うん。」
うんって、本当に俺の事、分かってないんだな。
俺と会っているのに、俺の事を知らない。
不思議な女の子。
その彼女の手を引いて、絨毯の場所まで、連れてきた。
「ここに寝てみなよ。」
「えっ!!」
急に胸を隠す彼女。
「えっ?何?」
「はあ?あんた、とぼけるんじゃないよ!」
さっきまでの、大人しい彼女とはうって変わって、乱暴な口の聞き方だな。
「女が男の横に寝るって事は、責任取ってくれんだろうねぇ。」
「何の責任だよ。」
「何の責任?赤ん坊ができた時の、責任さ!」
頭の上に“?”マークが、何百個と飛び交う。
えっ?何故に一緒に寝転んだだけで、子供ができるんだ?
その時、ふとハーキムの言葉を思い出した。
『気に入った女を寝室に招いて、一晩中イチャイチャするのです。』
『それこそ、ジャラール様の子供が欲しい女、ばかりですからね。』
俺は突然、顔から火が出る程、恥ずかしくなった。
「いやっ!全然違う!そんなんじゃない!」
夕食も食べ終えて、皆、寝静まった後。
ハーキムにバレないように、こっそり家を出て、国王に分からぬように、足音を忍ばせ、ここで絨毯の上に寝転ぶと、何もかも忘れられるような、気がした。
いづれ
私の全てを受け継ぐこの子に
ここから見える
全ての世界を手に入れる
偉大な男になってほしい
嬉しかったんだ。
あの父上に、そこまで言って貰えて。
ここに寝転ぶと、父と呼んだ国王の、無限の愛情に触れられるような気がして。
その時だった。
カタッと、何かが動く音がした。
「ハーキム?」
ああ、なんだ。
ここに来た事が、バレてしまったかと思い、起き上がって入り口を見た。
だが、誰もそこにはいなかった。
やがて、ギィーッと言う音がして、外からの扉が開いた。
「誰だ!」
剣を持って、扉の向こうに、目を凝らした。
するとそのシルエットは、髪の長い女に見えた。
「……すみません。お手洗いの帰りに、星を見ていましたら、道に迷ってしまいました。」
「道に迷ったぐらいで、そこの階段を昇ってくるとは、良い度胸だな。」
外へと通じる階段は、西の敷地の奥に行かねば、その存在も分からぬはず。
宮殿の敷地内に迷いこんでも、なかなか西の敷地の奥までは、辿り着けない。
「本当に、申し訳ありません。直ぐに戻ります。」
クルッと背中を見せたその女は、髪が黄金のように、光ったんだ。
「待て!」
思わず追いかけて、階段を降りようとした時に、彼女の腕を掴んだ。
金髪の髪。
「君は……」
「私の事を、知っているの?」
「ああ。この前、挨拶に来ただろう?」
俺の言葉に、キョトンとしている。
もしかして、俺の顔を覚えていない?
「まあ、いいや。君、星を見に来たんだろう?」
「うん。」
うんって、本当に俺の事、分かってないんだな。
俺と会っているのに、俺の事を知らない。
不思議な女の子。
その彼女の手を引いて、絨毯の場所まで、連れてきた。
「ここに寝てみなよ。」
「えっ!!」
急に胸を隠す彼女。
「えっ?何?」
「はあ?あんた、とぼけるんじゃないよ!」
さっきまでの、大人しい彼女とはうって変わって、乱暴な口の聞き方だな。
「女が男の横に寝るって事は、責任取ってくれんだろうねぇ。」
「何の責任だよ。」
「何の責任?赤ん坊ができた時の、責任さ!」
頭の上に“?”マークが、何百個と飛び交う。
えっ?何故に一緒に寝転んだだけで、子供ができるんだ?
その時、ふとハーキムの言葉を思い出した。
『気に入った女を寝室に招いて、一晩中イチャイチャするのです。』
『それこそ、ジャラール様の子供が欲しい女、ばかりですからね。』
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「いやっ!全然違う!そんなんじゃない!」
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