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Ⅲ
⑬
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「うん、綺麗だ。」
そう言ったのに、俺は星じゃなくて、アリアを見ていた。
金色に光る髪。
白い肌。
整った目鼻立ち。
アラブの女達とは、また違うタイプだ。
「なに?そんなに見つめられたら、穴が開いちゃう。」
「ご、ごめん!」
慌てて反対側を向いた。
「それとも……」
途端に色っぽい声を出して、アリアは後ろから俺を抱き締めた。
「私が欲しいの?」
「はああ?」
可笑しな声を出した俺を、アリアはお腹を抱えて、笑っている。
「嘘よ。ジャラール、奥手そうだもんね。そっちから来るまで、私からは襲わないでおくわ。」
「ええ?奥手って……」
くそっ!
誰にでも、そんな事をするような、軽い男じゃないだけだ!
これでも、好きな女くらいいるんだぞ!
できれば、アリアに叫んでやりたかった。
でも、できなかった。
“好きな女がいる”なんて、アリアに知られたくなかった。
何でなんだろうって、思うけど。
「そうだ。ジャラール、昨日私に、躍り見せてって言ってたわよね。」
「う、うん。」
「特別に見せてあげる。」
そう言ってアリアは、俺から2メートルくらい離れると、両手を広げてポーズをとった。
「では恐れ入りながら、舞を披露して、ご覧に入れます。」
するとアリアは、歌いながら踊り始めた。
回る度に、金色の髪も踊って、しなやかに体は曲がり、艶かしく腰は揺れた。
長い手足は、綺麗に伸びて、どれもこれも、見る者を魅了した。
「有り難うございます。」
またポーズをとりながら、頭を下げるアリア。
俺は感動して、ずーっと拍手を繰り返した。
「どうだった?」
「感動したよ。ものすごく綺麗だった。」
「ふふふっ。」
嬉しそうに笑うアリアを見ると、これを大勢の人達も見るのだと、急に嫌になった。
「アリア。」
「なあに?」
「アリア。」
「だから、なあに?」
「俺だけのモノに、なってほしい。」
アリアは困ったように、下を向いた。
「アリア。」
俺が追いかけると、アリアは少し後ろへ下がった。
「あのさ……私、誰かのモノになるのは、まだ早いんだ。」
「どうして?」
「私が抜けると、舞踏団は困る。今は、抜けられないんだ。」
「そうか……」
人には、成さなければならない事がある。
アリアは、それが分かっている。
歳は少ししか変わらないのに、アリアの方が、俺よりも大人だ。
「分かった。その代わり……」
俺はアリアを、強く抱き締めた。
「明日も会いたい。」
「ジャラール……」
「明日だけじゃない。明後日も、明々後日も、その次の日も、そのまた次の日も……」
そう言って、アリアを優しく見つめた。
「嬉しい、ジャラール……」
どちらからともなく、顔を近づけて、俺とアリアは、初めてのキスを交わした。
それから毎日、アリアと星の間で、会い続けた。
「好きだよ、アリア。」
「私もよ、ジャラール。」
唇が腫れる程、囁き合った。
そう言ったのに、俺は星じゃなくて、アリアを見ていた。
金色に光る髪。
白い肌。
整った目鼻立ち。
アラブの女達とは、また違うタイプだ。
「なに?そんなに見つめられたら、穴が開いちゃう。」
「ご、ごめん!」
慌てて反対側を向いた。
「それとも……」
途端に色っぽい声を出して、アリアは後ろから俺を抱き締めた。
「私が欲しいの?」
「はああ?」
可笑しな声を出した俺を、アリアはお腹を抱えて、笑っている。
「嘘よ。ジャラール、奥手そうだもんね。そっちから来るまで、私からは襲わないでおくわ。」
「ええ?奥手って……」
くそっ!
誰にでも、そんな事をするような、軽い男じゃないだけだ!
これでも、好きな女くらいいるんだぞ!
できれば、アリアに叫んでやりたかった。
でも、できなかった。
“好きな女がいる”なんて、アリアに知られたくなかった。
何でなんだろうって、思うけど。
「そうだ。ジャラール、昨日私に、躍り見せてって言ってたわよね。」
「う、うん。」
「特別に見せてあげる。」
そう言ってアリアは、俺から2メートルくらい離れると、両手を広げてポーズをとった。
「では恐れ入りながら、舞を披露して、ご覧に入れます。」
するとアリアは、歌いながら踊り始めた。
回る度に、金色の髪も踊って、しなやかに体は曲がり、艶かしく腰は揺れた。
長い手足は、綺麗に伸びて、どれもこれも、見る者を魅了した。
「有り難うございます。」
またポーズをとりながら、頭を下げるアリア。
俺は感動して、ずーっと拍手を繰り返した。
「どうだった?」
「感動したよ。ものすごく綺麗だった。」
「ふふふっ。」
嬉しそうに笑うアリアを見ると、これを大勢の人達も見るのだと、急に嫌になった。
「アリア。」
「なあに?」
「アリア。」
「だから、なあに?」
「俺だけのモノに、なってほしい。」
アリアは困ったように、下を向いた。
「アリア。」
俺が追いかけると、アリアは少し後ろへ下がった。
「あのさ……私、誰かのモノになるのは、まだ早いんだ。」
「どうして?」
「私が抜けると、舞踏団は困る。今は、抜けられないんだ。」
「そうか……」
人には、成さなければならない事がある。
アリアは、それが分かっている。
歳は少ししか変わらないのに、アリアの方が、俺よりも大人だ。
「分かった。その代わり……」
俺はアリアを、強く抱き締めた。
「明日も会いたい。」
「ジャラール……」
「明日だけじゃない。明後日も、明々後日も、その次の日も、そのまた次の日も……」
そう言って、アリアを優しく見つめた。
「嬉しい、ジャラール……」
どちらからともなく、顔を近づけて、俺とアリアは、初めてのキスを交わした。
それから毎日、アリアと星の間で、会い続けた。
「好きだよ、アリア。」
「私もよ、ジャラール。」
唇が腫れる程、囁き合った。
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