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Ⅳ
④
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「もう私の事は、忘れたのですか!」
「違う!忘れてなどいない!」
「では、どうして!」
今にも倒れそうなネシャートを、俺は抱き寄せた。
「……どうして、他の女を抱くのですか?」
震える声で、俺に問いかけたネシャート。
目の前には、ネシャートの白い胸元が、広がる。
「……本当に愛している女を、抱く事ができぬからであろう。」
そっとネシャートと、見つめあった。
「本当に愛している女とは、私の事ですか?」
「他に、誰がいると言うのだ?」
陶器のような肌に、手を添えた。
ゆっくりと、唇が近づく。
お互いの吐息が感じられる距離で、一緒に目を閉じた。
その時だ。
「ネシャート様!」
ラナーの声がした。
「ネシャート様!どこにおられますか!」
俺はネシャートから、離れた。
「……ラナーが、探している。」
「はい。」
「また、会おう。」
泣きそうな顔をして、ネシャートはラナーの元に、戻って行った。
「くそっ!」
壁が壊れるくらいに、何度も何度も叩いた。
手に痛みが走って、気づいたら壁に、血の跡が残っていた。
こんな時に、無償に会いたいなるのは、なぜネシャートではなく、アリアなのだろう。
自分が嫌になりながら、俺は再び王の部屋を、ふらりと過ぎ去った。
星の間に一人で来て。絨毯の上に、一人寝転んだ。
もうアリアに会わなくてもいい。
一人で、ネシャートを忘れるつもりだった。
「ネシャート。」
呼ぶと瞼の裏に、ネシャートの笑顔が浮かぶ。
「ネシャート。ネシャート。」
何度も何度も、彼女の名前を呼ぶ。
呼ぶ度に、幸せになって。
呼ぶ度に、切なくなる。
「ねえ、ネシャートって誰?」
目の前で、アリアの声がする。
ぼやっとした視界が、はっきり映ると、いつの間にかアリアが、俺を覗きこんでいた。
「うわっ!アリア!」
驚いて、起き上がる。
ふいうち過ぎる。
寄りによって、ネシャートの名前を呼んでいる時に、アリアに会うなんて。
「ねえ、ネシャートって誰?」
しかも、それを聞いてくるし。
「……誰でもいいだろう。」
「よくない。」
アリアは、口を尖らせて、不機嫌な顔だ。
「なんだ、妬いているのか?」
「うん、そう。だから、誰?」
あっさり認めて、その上確認。
俺よりも、アリアの方が上だ。
「……妹だよ。」
「妹!?嘘!」
「嘘?」
「だって、妹を呼ぶような呼び方じゃなかったもの。」
しっかり聞いているなんて、いつからここにいたんだ。
「そう言えば、昼間。テントの近くまで行ったよ。」
「誤魔化さない。」
俺は頭が後ろに、倒れる気がした。
「誤魔化してなんていないよ。本当に行ったんだ。」
「うん。知り合いから聞いた。」
なんだ、知ってたのか。
だったら、“今日来たんだって?”の一言くらい、言えばいいのに。
「違う!忘れてなどいない!」
「では、どうして!」
今にも倒れそうなネシャートを、俺は抱き寄せた。
「……どうして、他の女を抱くのですか?」
震える声で、俺に問いかけたネシャート。
目の前には、ネシャートの白い胸元が、広がる。
「……本当に愛している女を、抱く事ができぬからであろう。」
そっとネシャートと、見つめあった。
「本当に愛している女とは、私の事ですか?」
「他に、誰がいると言うのだ?」
陶器のような肌に、手を添えた。
ゆっくりと、唇が近づく。
お互いの吐息が感じられる距離で、一緒に目を閉じた。
その時だ。
「ネシャート様!」
ラナーの声がした。
「ネシャート様!どこにおられますか!」
俺はネシャートから、離れた。
「……ラナーが、探している。」
「はい。」
「また、会おう。」
泣きそうな顔をして、ネシャートはラナーの元に、戻って行った。
「くそっ!」
壁が壊れるくらいに、何度も何度も叩いた。
手に痛みが走って、気づいたら壁に、血の跡が残っていた。
こんな時に、無償に会いたいなるのは、なぜネシャートではなく、アリアなのだろう。
自分が嫌になりながら、俺は再び王の部屋を、ふらりと過ぎ去った。
星の間に一人で来て。絨毯の上に、一人寝転んだ。
もうアリアに会わなくてもいい。
一人で、ネシャートを忘れるつもりだった。
「ネシャート。」
呼ぶと瞼の裏に、ネシャートの笑顔が浮かぶ。
「ネシャート。ネシャート。」
何度も何度も、彼女の名前を呼ぶ。
呼ぶ度に、幸せになって。
呼ぶ度に、切なくなる。
「ねえ、ネシャートって誰?」
目の前で、アリアの声がする。
ぼやっとした視界が、はっきり映ると、いつの間にかアリアが、俺を覗きこんでいた。
「うわっ!アリア!」
驚いて、起き上がる。
ふいうち過ぎる。
寄りによって、ネシャートの名前を呼んでいる時に、アリアに会うなんて。
「ねえ、ネシャートって誰?」
しかも、それを聞いてくるし。
「……誰でもいいだろう。」
「よくない。」
アリアは、口を尖らせて、不機嫌な顔だ。
「なんだ、妬いているのか?」
「うん、そう。だから、誰?」
あっさり認めて、その上確認。
俺よりも、アリアの方が上だ。
「……妹だよ。」
「妹!?嘘!」
「嘘?」
「だって、妹を呼ぶような呼び方じゃなかったもの。」
しっかり聞いているなんて、いつからここにいたんだ。
「そう言えば、昼間。テントの近くまで行ったよ。」
「誤魔化さない。」
俺は頭が後ろに、倒れる気がした。
「誤魔化してなんていないよ。本当に行ったんだ。」
「うん。知り合いから聞いた。」
なんだ、知ってたのか。
だったら、“今日来たんだって?”の一言くらい、言えばいいのに。
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