欲望のシーツに沈む夜~50のベッドの記憶~

日下奈緒

文字の大きさ
6 / 18
2、ホテルの鍵を開けたのは、彼の指

一線の、その先へ

ベッドの端に座らされると、課長の手が私のシャツのボタンに触れた。

一つずつ、ゆっくりと外されていくたびに、肌が空気に晒されて、ぞくぞくと震えが走る。

「凛子……俺、ずっと我慢してた。」

熱を帯びた声が耳元をくすぐり、私は息を呑んだ。

「……私もです。」

そう答えた瞬間、課長の手が私の肌を滑る。

指先が鎖骨をなぞり、胸の谷間を、優しく撫でていく。

お互いの吐息が混ざり合い、ベッドの上の空気が甘く湿っていく。

「抱くよ、凛子。」

その言葉が落ちたとき、もう何も考えられなくなっていた。

すべてを預けたくなるような熱に、心の奥まで痺れていく。

「……かわいい。」

囁くように言われたその一言が、麻薬みたいに体に染み込んで、私の理性を静かに溶かしていった。

唇が重なるたび、呼吸が奪われる。

深く、何度も、貪るようなキス。

そのたびに身体の奥で、何かが熱く溶けていく。

「凛子……」

名前を呼ぶ声が低くかすれて、私の胸にまで響く。

交わるたび、課長の動きは次第に激しさを増していった。

何度も奥まで引き寄せられ、息も絶え絶えになりながら、私は彼にしがみついた。

「もっと……ください。」

自分でも知らない声が漏れる。

恥ずかしさも忘れて、ただ彼を求めた。

「……俺、本気なんだ。」

耳元で囁かれた言葉に、胸がぎゅっと締め付けられる。

「ずっと、凛子が欲しかった。部下とか関係なく――」

その告白に、私は涙が出そうになって、もう一度彼に深く口づけた。

熱が、愛が、すべてを貫いていくようだった。

シーツの中、静寂の中にふたりの呼吸だけが溶け合っていた。

まだ余熱を残した身体を抱きしめるようにして、一ノ瀬課長は私の髪を指でゆっくり梳いていた。

「……大丈夫?」

低く優しい声が、耳元に触れる。

私はこくりと頷いて、彼の胸に顔を寄せた。

その鼓動が、自分のそれとぴたりと重なっているような気がして、ふっと笑みが漏れる。

「まさか、こんなふうになるなんて思ってませんでした。」

私が呟くと、彼は「俺は……」と一瞬言葉を切ってから、そっと言った。

「ずっとこうしたかった。君に触れたくて、でも壊したくなくて。」

その言葉が、本当の温度を持って胸に染み込んでいく。

「……一夜で終わらせたくない。」

「はい!」

私の返事に、彼はようやく安心したように、優しく私の額にキスを落とした。

きっと、始まったばかり。

この関係は、夜が明けても続いていく。

私は目を閉じながら、彼の体温に身を委ねた。

あなたにおすすめの小説

ちょっと大人な物語はこちらです

神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な短編物語集です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

義姉と押し入れに隠れたら、止まれなくなった

くろがねや
恋愛
父の再婚で、義姉ができた。 血は繋がっていない。でも——家族だ。そう言い聞かせながら、涼介はずっと沙耶から距離を取ってきた。 夏休み。田舎への帰省。甥っ子にせがまれて始まったかくれんぼ。急いで飛び込んだ押し入れの中に、先客がいた。 「……涼介くん」 薄い水色の浴衣。下ろした髪。橙色の光に染まった、沙耶の顔。 逃げ場のない暗闇の中で、二人分の体温が混ざり合う。 夜、来て。 その一言が——涼介の、全部を壊した。 甘くて、苦しくて、止まれない。 これは、ある夏の、秘密の話。

巨乳すぎる新入社員が社内で〇〇されちゃった件

ナッツアーモンド
恋愛
中高生の時から巨乳すぎることがコンプレックスで悩んでいる、相模S子。新入社員として入った会社でS子を待ち受ける運命とは....。

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

罪悪と愛情

暦海
恋愛
 地元の家電メーカー・天の香具山に勤務する20代後半の男性・古城真織は幼い頃に両親を亡くし、それ以降は父方の祖父母に預けられ日々を過ごしてきた。  だけど、祖父母は両親の残した遺産を目当てに真織を引き取ったに過ぎず、真織のことは最低限の衣食を与えるだけでそれ以外は基本的に放置。祖父母が自身を疎ましく思っていることを知っていた真織は、高校卒業と共に就職し祖父母の元を離れる。業務上などの必要なやり取り以外では基本的に人と関わらないので友人のような存在もいない真織だったが、どうしてかそんな彼に積極的に接する後輩が一人。その後輩とは、頗る優秀かつ息を呑むほどの美少女である降宮蒔乃で――

身体の繋がりしかない関係

詩織
恋愛
会社の飲み会の帰り、たまたま同じ帰りが方向だった3つ年下の後輩。 その後勢いで身体の関係になった。

義兄様と庭の秘密

結城鹿島
恋愛
もうすぐ親の決めた相手と結婚しなければならない千代子。けれど、心を占めるのは美しい義理の兄のこと。ある日、「いっそ、どこかへ逃げてしまいたい……」と零した千代子に対し、返ってきた言葉は「……そうしたいなら、そうする?」だった。

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?