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2、ホテルの鍵を開けたのは、彼の指
一線の、その先へ
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ベッドの端に座らされると、課長の手が私のシャツのボタンに触れた。
一つずつ、ゆっくりと外されていくたびに、肌が空気に晒されて、ぞくぞくと震えが走る。
「凛子……俺、ずっと我慢してた。」
熱を帯びた声が耳元をくすぐり、私は息を呑んだ。
「……私もです。」
そう答えた瞬間、課長の手が私の肌を滑る。
指先が鎖骨をなぞり、胸の谷間を、優しく撫でていく。
お互いの吐息が混ざり合い、ベッドの上の空気が甘く湿っていく。
「抱くよ、凛子。」
その言葉が落ちたとき、もう何も考えられなくなっていた。
すべてを預けたくなるような熱に、心の奥まで痺れていく。
「……かわいい。」
囁くように言われたその一言が、麻薬みたいに体に染み込んで、私の理性を静かに溶かしていった。
唇が重なるたび、呼吸が奪われる。
深く、何度も、貪るようなキス。
そのたびに身体の奥で、何かが熱く溶けていく。
「凛子……」
名前を呼ぶ声が低くかすれて、私の胸にまで響く。
交わるたび、課長の動きは次第に激しさを増していった。
何度も奥まで引き寄せられ、息も絶え絶えになりながら、私は彼にしがみついた。
「もっと……ください。」
自分でも知らない声が漏れる。
恥ずかしさも忘れて、ただ彼を求めた。
「……俺、本気なんだ。」
耳元で囁かれた言葉に、胸がぎゅっと締め付けられる。
「ずっと、凛子が欲しかった。部下とか関係なく――」
その告白に、私は涙が出そうになって、もう一度彼に深く口づけた。
熱が、愛が、すべてを貫いていくようだった。
シーツの中、静寂の中にふたりの呼吸だけが溶け合っていた。
まだ余熱を残した身体を抱きしめるようにして、一ノ瀬課長は私の髪を指でゆっくり梳いていた。
「……大丈夫?」
低く優しい声が、耳元に触れる。
私はこくりと頷いて、彼の胸に顔を寄せた。
その鼓動が、自分のそれとぴたりと重なっているような気がして、ふっと笑みが漏れる。
「まさか、こんなふうになるなんて思ってませんでした。」
私が呟くと、彼は「俺は……」と一瞬言葉を切ってから、そっと言った。
「ずっとこうしたかった。君に触れたくて、でも壊したくなくて。」
その言葉が、本当の温度を持って胸に染み込んでいく。
「……一夜で終わらせたくない。」
「はい!」
私の返事に、彼はようやく安心したように、優しく私の額にキスを落とした。
きっと、始まったばかり。
この関係は、夜が明けても続いていく。
私は目を閉じながら、彼の体温に身を委ねた。
一つずつ、ゆっくりと外されていくたびに、肌が空気に晒されて、ぞくぞくと震えが走る。
「凛子……俺、ずっと我慢してた。」
熱を帯びた声が耳元をくすぐり、私は息を呑んだ。
「……私もです。」
そう答えた瞬間、課長の手が私の肌を滑る。
指先が鎖骨をなぞり、胸の谷間を、優しく撫でていく。
お互いの吐息が混ざり合い、ベッドの上の空気が甘く湿っていく。
「抱くよ、凛子。」
その言葉が落ちたとき、もう何も考えられなくなっていた。
すべてを預けたくなるような熱に、心の奥まで痺れていく。
「……かわいい。」
囁くように言われたその一言が、麻薬みたいに体に染み込んで、私の理性を静かに溶かしていった。
唇が重なるたび、呼吸が奪われる。
深く、何度も、貪るようなキス。
そのたびに身体の奥で、何かが熱く溶けていく。
「凛子……」
名前を呼ぶ声が低くかすれて、私の胸にまで響く。
交わるたび、課長の動きは次第に激しさを増していった。
何度も奥まで引き寄せられ、息も絶え絶えになりながら、私は彼にしがみついた。
「もっと……ください。」
自分でも知らない声が漏れる。
恥ずかしさも忘れて、ただ彼を求めた。
「……俺、本気なんだ。」
耳元で囁かれた言葉に、胸がぎゅっと締め付けられる。
「ずっと、凛子が欲しかった。部下とか関係なく――」
その告白に、私は涙が出そうになって、もう一度彼に深く口づけた。
熱が、愛が、すべてを貫いていくようだった。
シーツの中、静寂の中にふたりの呼吸だけが溶け合っていた。
まだ余熱を残した身体を抱きしめるようにして、一ノ瀬課長は私の髪を指でゆっくり梳いていた。
「……大丈夫?」
低く優しい声が、耳元に触れる。
私はこくりと頷いて、彼の胸に顔を寄せた。
その鼓動が、自分のそれとぴたりと重なっているような気がして、ふっと笑みが漏れる。
「まさか、こんなふうになるなんて思ってませんでした。」
私が呟くと、彼は「俺は……」と一瞬言葉を切ってから、そっと言った。
「ずっとこうしたかった。君に触れたくて、でも壊したくなくて。」
その言葉が、本当の温度を持って胸に染み込んでいく。
「……一夜で終わらせたくない。」
「はい!」
私の返事に、彼はようやく安心したように、優しく私の額にキスを落とした。
きっと、始まったばかり。
この関係は、夜が明けても続いていく。
私は目を閉じながら、彼の体温に身を委ねた。
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