家族に支度金目当てで売られた令嬢ですが、成り上がり伯爵に溺愛されました

日下奈緒

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第2部 初夜の誤解と、優しい眼差し

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「えっ?」思わず聞き返すと、彼女たちは顔を見合わせてクスクス笑った。

「彼、女の好みがとっても細かくて、うるさいって有名だったのよ。」

「そうなの?」

私は思わず目を見張った。そんな話、聞いたこともなかった。

確かに彼は理知的で寡黙な印象だったが――私のようなそばかす顔の令嬢を、よく受け入れてくれたものだ。

驚きと、少しの誇らしさが胸に広がった。

彼の隣に立つことが、少しだけ誇れることのように思えてきた。

同級生たちの祝福を受け、笑顔で会話を交わしていた私は、少し浮き立つような気持ちになっていた。

久しぶりに顔を合わせた懐かしい友人たちとの語らいは、どこか昔に戻ったようで、心が安らいでいた。

だが、ふと視線の先に、見慣れない女性の姿があった。

落ち着いた色のドレスに身を包み、どこか控えめながらも気品を漂わせたその令嬢は、明らかに私たちの同級生ではない。

「セドリック……あの方は?」

そう尋ねると、セドリックは一瞬だけ目を細めたあと、椅子から立ち上がった。

「僕の幼馴染みだ。」

その一言に、胸の奥に小さな波が立つ。

「そう……あなたのために、来てくれたのね。」

言葉にしてみると、自分でも少し意地の悪い響きに聞こえた。

だが、セドリックは何も言わず、そのまま彼女のもとへと歩いていった。

そして彼女の前に立ち、丁寧に頭を下げてこう言った。

「来てくれてありがとう。」

その姿は、まるで特別な何かを抱えているように見えて、私は手にしたグラスを少しだけ強く握った。

「セドリック、おめでとう。」

彼女の声は震えていた。

目元にはうっすらと涙が浮かんでいて、その表情には込み上げる想いが滲んでいた。

――そんなに、セドリックと親しいの?

その疑問が胸に引っかかり、私は自然と二人のもとへ足を向けていた。

まるで無意識に引き寄せられるように。

「はじめまして。」

声をかけると、彼女はわずかに顔を上げ、形式的に頭を下げた。

「セドリックの幼馴染みなんですってね。来てくれてありがとう。」

私がそう言うと、彼女は小さく首を振った。

「いいえ……」

その一言のあと、彼女は視線を落とし、再び黙ってしまった。

どこかぎこちない態度に、私はますます気になってしまう。

――私の前では、あまり話したくないのだろうか。
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