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第4部 舞踏会の招待
⑥
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屋敷に戻ると、食堂の扉が開いていた。
中へ入ると、そこにはテーブルに肘をついて待つセドリックの姿があった。
「どうして待っていたの? 先に食べていてよかったのに。」
私が席に着くと、彼はナイフとフォークを静かに手に取りながら、私の顔をじっと見つめた。
「君を待っていたんだよ。せっかくの舞踏会の夜だから、二人で食べたいと思って。」
そんなふうに言われて、胸が温かくなった。
けれど、彼は私の笑顔の裏にある不安を見抜いていたらしい。
「舞踏会、どうだった?」
「ええ、楽しかったわ。」
それは本当。
エミリアやリリアンと久しぶりに再会し、笑い合えたのは素直に嬉しかった。
けれど、その裏でルシアの言葉や態度が、ずっと胸に刺さっていた。
「元気がないね。」
セドリックは穏やかにそう言った。
その優しさが、胸に沁みる。彼には、私の小さな変化すら分かるのだ。
「セドリックは舞踏会へ行ったことがある?」
夕食の席で、ふと思い出して尋ねた。彼は少し考えてから答えた。
「数回ね。若い頃に何度か。」
「ダンスの相手って、どうやって決めるの?」
私の問いに、セドリックは一瞬黙り、じっと私の目を見つめた。
「もしかして……誰も君と踊ってくれなかったのか?」
「そんなことないわ。あなたのご友人の、バルモント伯爵が踊ってくれたわ。でも、その人だけ。」
思い出すと、胸の奥が少しだけ痛んだ。セドリックは黙って俯いた。
「確か、君の友人は……公爵夫人だったね?」
「ええ。エミリアも、リリアンも。」
「……そうか。」
セドリックは苦笑して、そっと手を私の手に重ねた。
「気にするな。公爵どもは、目が悪いんだよ。」
その言葉に、思わず私は吹き出した。そして少しだけ、心が軽くなった気がした。
「ええ?目が悪い?」
私は思わず問い返した。
「君の美しさに気づかないなんて、不幸な野郎どもだ。」
セドリックの言葉に、思わず笑ってしまった。けれどその優しさが、胸に沁みる。
「舞踏会には、そのドレスで行ったの?」
「そうなの。やっぱり地味だったかしら?」
少しだけ不安になって聞くと、セドリックは首を振った。
「いや、君らしかった。でもね……何かが足りないと思った。」
「何が足りないの?」
私は彼の顔に近づき、声を潜めて聞いた。
「飾りと宝石だよ。」
その答えに、私はくすっと笑った。
「伯爵夫人が、飾りや宝石がたくさんついた格好で舞踏会に行くものかしら?」
「行ってもいいんじゃないか?君が輝くためなら。」
セドリックは真剣な顔でそう言った。その瞳に映る私は、確かに少しだけ誇らしくなっていた。
中へ入ると、そこにはテーブルに肘をついて待つセドリックの姿があった。
「どうして待っていたの? 先に食べていてよかったのに。」
私が席に着くと、彼はナイフとフォークを静かに手に取りながら、私の顔をじっと見つめた。
「君を待っていたんだよ。せっかくの舞踏会の夜だから、二人で食べたいと思って。」
そんなふうに言われて、胸が温かくなった。
けれど、彼は私の笑顔の裏にある不安を見抜いていたらしい。
「舞踏会、どうだった?」
「ええ、楽しかったわ。」
それは本当。
エミリアやリリアンと久しぶりに再会し、笑い合えたのは素直に嬉しかった。
けれど、その裏でルシアの言葉や態度が、ずっと胸に刺さっていた。
「元気がないね。」
セドリックは穏やかにそう言った。
その優しさが、胸に沁みる。彼には、私の小さな変化すら分かるのだ。
「セドリックは舞踏会へ行ったことがある?」
夕食の席で、ふと思い出して尋ねた。彼は少し考えてから答えた。
「数回ね。若い頃に何度か。」
「ダンスの相手って、どうやって決めるの?」
私の問いに、セドリックは一瞬黙り、じっと私の目を見つめた。
「もしかして……誰も君と踊ってくれなかったのか?」
「そんなことないわ。あなたのご友人の、バルモント伯爵が踊ってくれたわ。でも、その人だけ。」
思い出すと、胸の奥が少しだけ痛んだ。セドリックは黙って俯いた。
「確か、君の友人は……公爵夫人だったね?」
「ええ。エミリアも、リリアンも。」
「……そうか。」
セドリックは苦笑して、そっと手を私の手に重ねた。
「気にするな。公爵どもは、目が悪いんだよ。」
その言葉に、思わず私は吹き出した。そして少しだけ、心が軽くなった気がした。
「ええ?目が悪い?」
私は思わず問い返した。
「君の美しさに気づかないなんて、不幸な野郎どもだ。」
セドリックの言葉に、思わず笑ってしまった。けれどその優しさが、胸に沁みる。
「舞踏会には、そのドレスで行ったの?」
「そうなの。やっぱり地味だったかしら?」
少しだけ不安になって聞くと、セドリックは首を振った。
「いや、君らしかった。でもね……何かが足りないと思った。」
「何が足りないの?」
私は彼の顔に近づき、声を潜めて聞いた。
「飾りと宝石だよ。」
その答えに、私はくすっと笑った。
「伯爵夫人が、飾りや宝石がたくさんついた格好で舞踏会に行くものかしら?」
「行ってもいいんじゃないか?君が輝くためなら。」
セドリックは真剣な顔でそう言った。その瞳に映る私は、確かに少しだけ誇らしくなっていた。
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