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第4部 舞踏会の招待
⑦
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「次の舞踏会は?」
セドリックが静かに尋ねた。
「まだ決まってないけれど……来月くらいかしら。」
「その時は僕も行くよ。」
楽しそうに目を輝かせるセドリックを見て、私は少し戸惑った。
「そんな……あなたは忙しいでしょう?」
「君の隣で踊りたいんだ。」
その一言が嬉しくて、胸があたたかくなった。
「じゃあ、今からドレスを新調しよう。あと宝石商も呼ぶんだ。」
「でも……言われないかしら。成り上がりの伯爵がって……」
心の奥にある不安を口にすると、セドリックはふっと笑った。
「地位と名誉しかない奴らに、負ける気はしないよ。」
その言葉には、不思議なほどの自信と優しさがあった。
「僕たちには、誇れるものがある。それは、君だ。」
私は目を見開き、やがて静かに微笑んだ。次の舞踏会が、少しだけ楽しみになった。
そして月をまたいで、舞踏会の招待状が届いた。
差出人の名を見て、私は一瞬まばたきをした。――ルシア。妹からの招待など、初めてだった。
「それとも伯爵夫人は、この場所に相応しくないかしら?」
そう添えられた言葉に、にじむような嘲笑が込められていた。
まるで、また私を侮辱する気満々だと読み取れた。
「いいえ。楽しみにしているわ。」
そう筆を走らせ、返事を出した。
そして舞踏会の夜。
街の広場を抜け、ゆっくりと舞踏会の会場前に馬車が停まる。
扉が開くと、そこから現れたのは、気品に満ちた装いの私――クラリスだった。
地味な装飾の馬車とは対照的に、身に纏ったドレスは真紅に輝くシルクに金糸が織り込まれ、肩には煌びやかな宝石が光るストールがかかっていた。
髪にはティアラ、耳元には揺れるルビーの耳飾り。
「……まるで、皇太子妃かしら。」
誰かがそう囁いたのが聞こえた。
伯爵夫人でも、美しく輝いていい。――私はそう胸を張って、会場へと足を踏み入れた。
中に入ると、あの楽しかった舞踏会の記憶が一気に蘇った。
広々としたホールには華やかなシャンデリアがきらめき、人々の笑い声がこだましている。
おしゃべりを楽しむ貴婦人たち、隅の方でこっそりと噂話に華を咲かせる若い令嬢たち、そしてダンスフロアでは音楽に身を任せ、楽しげに踊る人々――それぞれが、この夜を思い思いに楽しんでいた。
私はセドリックと腕を組んだまま、静かに歩みを進める。
だが、どうにも気になることが一つあった。
――視線。
そう、女性たちの目線だ。
しかも、ことごとく私の隣にいるセドリックへと向けられている。
美丈夫で、伯爵位を持ち、今や街の発展を担う存在。
噂では政略結婚とは言われていたが、その顔立ちと堂々たる雰囲気に、未婚の令嬢たちはもちろん、人妻たちでさえも、魅了されているのだろう。
セドリックが静かに尋ねた。
「まだ決まってないけれど……来月くらいかしら。」
「その時は僕も行くよ。」
楽しそうに目を輝かせるセドリックを見て、私は少し戸惑った。
「そんな……あなたは忙しいでしょう?」
「君の隣で踊りたいんだ。」
その一言が嬉しくて、胸があたたかくなった。
「じゃあ、今からドレスを新調しよう。あと宝石商も呼ぶんだ。」
「でも……言われないかしら。成り上がりの伯爵がって……」
心の奥にある不安を口にすると、セドリックはふっと笑った。
「地位と名誉しかない奴らに、負ける気はしないよ。」
その言葉には、不思議なほどの自信と優しさがあった。
「僕たちには、誇れるものがある。それは、君だ。」
私は目を見開き、やがて静かに微笑んだ。次の舞踏会が、少しだけ楽しみになった。
そして月をまたいで、舞踏会の招待状が届いた。
差出人の名を見て、私は一瞬まばたきをした。――ルシア。妹からの招待など、初めてだった。
「それとも伯爵夫人は、この場所に相応しくないかしら?」
そう添えられた言葉に、にじむような嘲笑が込められていた。
まるで、また私を侮辱する気満々だと読み取れた。
「いいえ。楽しみにしているわ。」
そう筆を走らせ、返事を出した。
そして舞踏会の夜。
街の広場を抜け、ゆっくりと舞踏会の会場前に馬車が停まる。
扉が開くと、そこから現れたのは、気品に満ちた装いの私――クラリスだった。
地味な装飾の馬車とは対照的に、身に纏ったドレスは真紅に輝くシルクに金糸が織り込まれ、肩には煌びやかな宝石が光るストールがかかっていた。
髪にはティアラ、耳元には揺れるルビーの耳飾り。
「……まるで、皇太子妃かしら。」
誰かがそう囁いたのが聞こえた。
伯爵夫人でも、美しく輝いていい。――私はそう胸を張って、会場へと足を踏み入れた。
中に入ると、あの楽しかった舞踏会の記憶が一気に蘇った。
広々としたホールには華やかなシャンデリアがきらめき、人々の笑い声がこだましている。
おしゃべりを楽しむ貴婦人たち、隅の方でこっそりと噂話に華を咲かせる若い令嬢たち、そしてダンスフロアでは音楽に身を任せ、楽しげに踊る人々――それぞれが、この夜を思い思いに楽しんでいた。
私はセドリックと腕を組んだまま、静かに歩みを進める。
だが、どうにも気になることが一つあった。
――視線。
そう、女性たちの目線だ。
しかも、ことごとく私の隣にいるセドリックへと向けられている。
美丈夫で、伯爵位を持ち、今や街の発展を担う存在。
噂では政略結婚とは言われていたが、その顔立ちと堂々たる雰囲気に、未婚の令嬢たちはもちろん、人妻たちでさえも、魅了されているのだろう。
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