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第9部 公開処刑の晩餐会
⑨
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そして、ニコラス皇太子殿下が私たちの前においでになった。
その優雅な足取りに、周囲の貴族たちが一斉に道を開ける。
「国王への進言、感謝しております。」
セドリックが深々と頭を下げると、皇太子殿下はすぐに首を横に振られた。
「礼など不要です。私は当然のことをしたまで。――この国は、あまりにも“名”ばかりを重んじすぎました。血筋よりも、今何を成したか。功績こそが、貴族としての本質ではないでしょうか。」
凛とした声音と、まっすぐな瞳。
その言葉は、胸の奥に強く響いた。
「私は、そんな価値観を広めたいのです。」
セドリックが静かにうなずいた。
「その志に、深く賛同いたします。」
私はそんな二人の姿を見つめながら、心の底から思った――
この国の未来は、きっと明るい、と。
次においでになったのは、アルバート王子殿下とセレンシア王女だった。
私の胸はどこか緊張し、自然と姿勢を正す。
そして王女の麗しいお顔を見た瞬間、思わず頭を下げていた。
「さきほどは、妹が大変失礼なことをいたしました。心よりお詫び申し上げます。」
王女は小さく息をつき、けれど優雅に微笑んでくださった。
「まあ、レオンの奥様は――あの有名なグレイバーン伯爵夫人をお姉様に持っていらしたのね。」
その言葉に、頬が熱くなった。
“有名”という響きが、なぜか少しだけ、くすぐったくて。
「あなたに免じて、ルシアを許してあげましょう。」
そう穏やかにおっしゃったセレンシア王女に、私は深く頭を下げた。
「ありがとうございます。本当に感謝いたします。」
王子殿下もその様子を温かく見守っておられ、ようやく晩餐会の空気が落ち着いたように思えた。
そして王族の皆様は、次にカザリス伯爵夫妻――ルシアとレオンの元へと向かわれた。
国王も王妃も、にこやかに微笑みながら、しかし一言だけ。
「いつも見ているよ。」
それだけ言うと、あとは深く関わらず、レオンの前を静かに通り過ぎていった。
続いて現れたのは、皇太子ニコラス殿下。
彼も同じように、
「ご努力、拝見しております。」
とだけ言って、立ち止まらずに進んでいった。
やがて、アルバート王子の番となる。
「この度は、お顔を拝見し光栄です。」
ルシアとレオンは同時に挨拶をした。
そのとき、アルバート王子はふとルシアを一瞥し、ぽつりとつぶやいた。
「もったいないな。」
その言葉の真意はわからない。だが、たったそれだけでルシアはぱっと顔を明るくし、目を輝かせた。
「やっぱり私、王子様にふさわしかったのね……」
そんな風に、彼女は都合よく解釈してしまうのだった。
その優雅な足取りに、周囲の貴族たちが一斉に道を開ける。
「国王への進言、感謝しております。」
セドリックが深々と頭を下げると、皇太子殿下はすぐに首を横に振られた。
「礼など不要です。私は当然のことをしたまで。――この国は、あまりにも“名”ばかりを重んじすぎました。血筋よりも、今何を成したか。功績こそが、貴族としての本質ではないでしょうか。」
凛とした声音と、まっすぐな瞳。
その言葉は、胸の奥に強く響いた。
「私は、そんな価値観を広めたいのです。」
セドリックが静かにうなずいた。
「その志に、深く賛同いたします。」
私はそんな二人の姿を見つめながら、心の底から思った――
この国の未来は、きっと明るい、と。
次においでになったのは、アルバート王子殿下とセレンシア王女だった。
私の胸はどこか緊張し、自然と姿勢を正す。
そして王女の麗しいお顔を見た瞬間、思わず頭を下げていた。
「さきほどは、妹が大変失礼なことをいたしました。心よりお詫び申し上げます。」
王女は小さく息をつき、けれど優雅に微笑んでくださった。
「まあ、レオンの奥様は――あの有名なグレイバーン伯爵夫人をお姉様に持っていらしたのね。」
その言葉に、頬が熱くなった。
“有名”という響きが、なぜか少しだけ、くすぐったくて。
「あなたに免じて、ルシアを許してあげましょう。」
そう穏やかにおっしゃったセレンシア王女に、私は深く頭を下げた。
「ありがとうございます。本当に感謝いたします。」
王子殿下もその様子を温かく見守っておられ、ようやく晩餐会の空気が落ち着いたように思えた。
そして王族の皆様は、次にカザリス伯爵夫妻――ルシアとレオンの元へと向かわれた。
国王も王妃も、にこやかに微笑みながら、しかし一言だけ。
「いつも見ているよ。」
それだけ言うと、あとは深く関わらず、レオンの前を静かに通り過ぎていった。
続いて現れたのは、皇太子ニコラス殿下。
彼も同じように、
「ご努力、拝見しております。」
とだけ言って、立ち止まらずに進んでいった。
やがて、アルバート王子の番となる。
「この度は、お顔を拝見し光栄です。」
ルシアとレオンは同時に挨拶をした。
そのとき、アルバート王子はふとルシアを一瞥し、ぽつりとつぶやいた。
「もったいないな。」
その言葉の真意はわからない。だが、たったそれだけでルシアはぱっと顔を明るくし、目を輝かせた。
「やっぱり私、王子様にふさわしかったのね……」
そんな風に、彼女は都合よく解釈してしまうのだった。
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