家族に支度金目当てで売られた令嬢ですが、成り上がり伯爵に溺愛されました

日下奈緒

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第9部 公開処刑の晩餐会

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「ははは。逆だよ、ルシア。」

アルバート王子の軽やかな笑みに、ルシアはぽかんとしたまま固まった。

「カザリス伯爵。」

呼ばれたレオンが静かに一歩前へ出る。

「はい。」

「君は――夫人選びに失敗したね。僕は成功したけれど。」

その言葉に、ルシアの顔から血の気が引いた。

「夫人を見れば、夫がどんな人間かがわかる。君は、もっと自分を立ててくれるような、聡明な夫人を選ぶべきだったね。」

アルバート王子はまるで事実を語るように、さらりとそう言った。

その場が凍りつく。

「……っ」

ルシアは顔を真っ赤にし、唇をわなわなと震わせていた。

自分が選ばれなかったことを、まざまざと思い知らされる一言だった。

「王子、それは……」

レオンが何か言おうとしたが、アルバート王子は手を軽く上げて止めた。

「気にするな。ただ、君の将来が心配なだけさ。」

そう言い残して、王子は優雅に去っていった。

その瞬間、ルシアの感情は限界を迎えようとしていた。

顔を真っ赤にし、今にも爆発しそうな気配が漂っていた。

そして次に現れたセレンシア王女は、まっすぐにレオンへ歩み寄り、にこやかに挨拶を交わした。

その間、ルシアには一瞥もくれず、まるで存在しないかのように通り過ぎた。

その瞬間、ルシアの中で何かが切れた。

「レオン!」彼女は怒りを全身にまといながら、レオンに詰め寄った。「どうして私をかばってくれないのよ!」

レオンは静かに、しかし冷たく言葉を返す。

「ルシア、君はあまりにも後先を考えずに行動する。王女を愛人呼ばわりするなど、軽率すぎる。」

「それでも!あなたは、自分の妻は聡明で美しいと、堂々と主張すべきじゃないの!?」

叫ぶような声に、場の空気が張り詰める。

レオンは長く深いため息をついた。

「どうやらアルバート王子の言う通り、僕は夫人選びを失敗したようだな。」

「な、何ですって⁉」

レオンの冷たい声に、ルシアの顔色が変わった。けれど、彼はさらに続けた。

「僕は今、心底……賢い愛人が欲しくなったよ。」

それだけ言い残して、レオンはくるりと背を向け、晩餐会の賑わいの中へと消えていった。

その場に取り残されたルシアは、完全に孤独になった。

誇りも、見栄も、全て打ち砕かれて。

私はその姿を見つめながら、隣のセドリックの温もりを感じた。

「……僕は夫人選びに成功したな。」

セドリックが微笑みながら私に囁いた。

「クラリスは、間違いなく……聡明で美しい。」

その言葉に、胸がじんと熱くなる。私は幸せだ。

セドリックに出会えて、選ばれて——そして今もこうして、変わらぬ想いを注がれているのだから。
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