溺愛契約 R18

日下奈緒

文字の大きさ
2 / 8
第1章 年下男子に懐かれて

しおりを挟む
流川君は、じーっと資料を見ている。

「俺の意見でいいんですか?」

「どうぞ。」

「その……何て言うか……唇から愛情が伝わると言うか……」

「うんうん。」

「それで、キスした後に二人で見つめ合うのも好きです。」

「いいねえ。」

若いなぁ。私も若い時は、そんなラブラブキスが好きだった。


「遠藤さんは?」

「ん?」

「どんなキスが好きですか?」

私は一瞬固まった。そして、遠い記憶を蘇らせる。

「……キス、好きじゃないですか?」

「う!ううん。嫌いじゃないけれど、ちょっと忘れかけていて。」

「ああ……」

ああ?何、納得してんの?

どうせ私は、恋愛に程遠い女ですよ!

「でも、コンペ勝ちたいんですよね。」

「そうよ。だから部長だって、私を選んでくれたんだし。」

言っておくけど、コンペの勝率。

8割は勝ってるんだから、今回も勝たせて貰うわよ。

「だったら、思い出さないと。」

一瞬、ムカッとした。

「分かってるわよ。」

私は、必死にキスの記憶を思い出した。

えーっと、いつだっけ?最後にキスしたの。


すると流川君が、私をじーっと見ている。

もしかして、私試されている?

この20代の男子に、キスが何ぞやと問いかけられている?

「ええーっと……」

「思い出せないんですか?」

増々、生意気!

「だったら、今ここでしてみます?」

流川君の顔が、側にきた。


「えっ?」

「思い出すかもしれませんよ?」

そう言うと流川君は、顔を傾けた。

キスされる。

そう思った瞬間、私は顔を背けた。

「ダメ?」

流川君の声が、耳元で聞こえる。

ダメって、本気でしようとしたの⁉

「か、からかわないで。」

すると流川君は、ようやく顔を放した。

「キス。突然するって言うのも、ありじゃないですか?」

「は?」

「だって、遠藤さん。実際、ドキドキしたでしょ。」

私は固まった。

確かに、突然キスされそうになって、私は年甲斐もなくドキドキした。

「うーん。突然濃厚なキスされたら、それだけで話題になりますよね。」

「……見てる方もおおーっとなるしね。」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜

来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、 疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。 無愛想で冷静な上司・東條崇雅。 その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、 仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。 けれど―― そこから、彼の態度は変わり始めた。 苦手な仕事から外され、 負担を減らされ、 静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。 「辞めるのは認めない」 そんな言葉すらないのに、 無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。 これは愛? それともただの執着? じれじれと、甘く、不器用に。 二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。 無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

肉食御曹司の独占愛で極甘懐妊しそうです

沖田弥子
恋愛
過去のトラウマから恋愛と結婚を避けて生きている、二十六歳のさやか。そんなある日、飲み会の帰り際、イケメン上司で会社の御曹司でもある久我凌河に二人きりの二次会に誘われる。ホテルの最上階にある豪華なバーで呑むことになったさやか。お酒の勢いもあって、さやかが強く抱いている『とある願望』を彼に話したところ、なんと彼と一夜を過ごすことになり、しかも恋人になってしまった!? 彼は自分を女除けとして使っているだけだ、と考えるさやかだったが、少しずつ彼に恋心を覚えるようになっていき……。肉食でイケメンな彼にとろとろに蕩かされる、極甘濃密ラブ・ロマンス!

暴君幼なじみは逃がしてくれない~囚われ愛は深く濃く

なかな悠桃
恋愛
暴君な溺愛幼なじみに振り回される女の子のお話。 ※誤字脱字はご了承くださいm(__)m

病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜

来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。 望んでいたわけじゃない。 けれど、逃げられなかった。 生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。 親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。 無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。 それでも――彼だけは違った。 優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。 形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。 これは束縛? それとも、本当の愛? 穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

【完結・おまけ追加】期間限定の妻は夫にとろっとろに蕩けさせられて大変困惑しております

紬あおい
恋愛
病弱な妹リリスの代わりに嫁いだミルゼは、夫のラディアスと期間限定の夫婦となる。 二年後にはリリスと交代しなければならない。 そんなミルゼを閨で蕩かすラディアス。 普段も優しい良き夫に困惑を隠せないミルゼだった…

人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている

井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。 それはもう深く愛していた。 変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。 これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。 全3章、1日1章更新、完結済 ※特に物語と言う物語はありません ※オチもありません ※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。 ※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。

巨乳すぎる新入社員が社内で〇〇されちゃった件

ナッツアーモンド
恋愛
中高生の時から巨乳すぎることがコンプレックスで悩んでいる、相模S子。新入社員として入った会社でS子を待ち受ける運命とは....。

禁断溺愛

流月るる
恋愛
親同士の結婚により、中学三年生の時に湯浅製薬の御曹司・巧と義兄妹になった真尋。新しい家族と一緒に暮らし始めた彼女は、義兄から独占欲を滲ませた態度を取られるようになる。そんな義兄の様子に、真尋の心は揺れ続けて月日は流れ――真尋は、就職を区切りに彼への想いを断ち切るため、義父との養子縁組を解消し、ひっそりと実家を出た。しかし、ほどなくして海外赴任から戻った巧に、その事実を知られてしまう。当然のごとく義兄は大激怒で真尋のマンションに押しかけ、「赤の他人になったのなら、もう遠慮する必要はないな」と、甘く淫らに懐柔してきて……? 切なくて心が甘く疼く大人のエターナル・ラブ。

処理中です...