溺愛契約 R18

日下奈緒

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第1章 年下男子に懐かれて

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何となく、コンペの概要が見えて来た。

「問題は、場所をどこにするかよね。彼氏の部屋?ホテル?」

「オフィスの会議室。」

私は、顔を流川君を見た。

「えっ?」

「それとも、エレベーターとか。給湯室もいいな。」

はあ。さては流川君、爽やかイケメンのクセに、中身はエロいのね。

「いいわね。明日の定例会議で話し合いましょう。」

私はそう言うと資料を持って、立ち上がった。


「遠藤さん。」

「何?」

私が流川君を見ると、彼は下を向いていた。

「遠藤さんは、部長の事好きなんですか?」

「え?」

私が部長を好き?そりゃあ、かっこいいし仕事できるし。

でも部長、妻子いるからね。

「……憧れではあるけれど。」

「そうですか。」

そう言うと流川君も、立ち上がった。

「このコンペ、頑張りましょうね。」

「うん。」

そうよ。部長の期待に応えて、もっと仕事ができる人間だって、認めて貰いたい。

私は俄然、やる気が出て来た。


翌日、定例会議に私と流川君は参加した。

もちろん、部長も。

「今回のテーマはキス。そこでどんなキスがいいか話し合ったんですが、突然の濃厚なキスと、それだけで愛情が伝わるようなキスがいいと思いました。」

「ふーん。在り来たりだな。」

部長の言葉に、頭を殴られた気がした。

「突然もいいけれど、それじゃあどちらか一方の、勝手なキスになってしまうんじゃないかな。」

「そう……ですね。」

そっか。部長は、お互いの愛情を求めているんだ。

「検討します。」

私は必死に、資料に今の言葉を書き留めた。

「場所は?」

「はい、エレベー……」

「オフィスの会議室がいいと思います。」

私の言葉をさえぎって、流川君が答える。

「いいね。日常的で。」

部長も同意してる⁉何?男性って、そういうのが好きなの⁉


「そうだ。試しにここでやってみてよ。」

「……えっ?」

部長はそこで、私と流川君を指さした。

「遠藤さんと流川君で。突然愛が伝わる濃厚なキスを。」

「皆の前でですか⁉」

それは勘弁して欲しい。

しかも、部長の前でなんて!


「場所もちょうど会議室だし。」
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