不誠実なカラダ 【R18】

日下奈緒

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第1章 割り切る?ううん、ただ体を満たしたいだけ

高校生の時は、学校の先生と不倫していたな。

でも、一度もエロい声なんて、言われた事ない。

そんな事考えている間に、部長は私の体で達してしまった。

部長も私も、素知らぬ顔で、服を直す。


「なあ。」

「はい?」

私は振り返った。

部長は、ネクタイを締めながら、私に呟いた。

「気持ちよかったか?」

そう言えば、この前も同じ事を聞いてきたなと思った。

「……はい。」

ありきたりな返事かもしれないけれど、そうなのだから、そう答えるしかない。

「そうか。」

だけど部長は、なにかを気にしているようだ。


もしかして、私……

自分でも知らない性癖を、持っているとか?

そんなんだったら、ショックを隠しきれない。


「ああ、ごめん。何でもないんだ。」

私が気にしているのを、部長も気づいたようだ。

「実は……今日もこの間も、イカせてないなぁって思って。」

私は、顔から火が飛び出る程、赤くなった。

イ、イクッて……

私まだ、男の人に抱かれて、イッた事がない。


「ん?」

部長に振り向かれて、私は慌てて顔を手で覆った。

「部長はその……」

「うん。」

「女性を、イカせた事があるんですか?」

「ああ、ほぼ毎回。」


きゃあああああ!

私は想像しえない状況に、心の中で叫び続けるしかなかった。

そ、そんなに上手かったの!?

部長!!


「だから、この前も申し訳なかったなと思って。」

「申し訳ない?」

私の頭の上に、クエスチョンマークが飛んだ。

「ほら、男はさ。毎回イクのに、女はそう言う事ないだろう?」

経験もないのに、私は頷いてしまった。

「だから、本当に満足したか、分からないんだ。」


その瞬間、部長が可愛く見えた。

「要するに、女性にも喜びを感じて貰いたいって事ですか?」

「そうだな。」

ニコッと笑った部長は、間違いなく私の胸をキュンとさせた。

そんな私にも、本当のところ、好きな人がいる。

よく通うお店・sunsetのバーテンダー、宮島尚太だ。

でも最近、新しい女ができたって噂があって、私は失恋をした。


「はい、環奈の好きなモスコミュール。」

尚太は、私が注文しなくても、飲みたいカクテルを作ってくれる。

そんなところに、惚れてしまった。

しかも、私の好みの細い体。

あの体で抱かれたら、どんなにとろけてしまうんだろう。

そんな事を考えるだけで、体が火照ってくる。


「ねえ、尚太はどんな女が好き?」

「うーん。」

尚太は、グラスを拭きながら、考えている。

「そうだな。一人でバーに飲みに来れるくらいカッコ良くて、その上飲むお酒が、ウォッカときたら、相当イイ女だと思うけどね。」

私は今、一人でバーのカウンターにいる。

モスコミュールも、ウォッカにライムとジンジャーエールを入れたお酒だ。

「それって……私の事?」

尚太は、ニコッと笑うだけで、はっきり言葉にしてくれない。

でも、私かもしれないと言う期待は、私の胸から体中に広がり、幸せで満たしてくれる。

「ねえ、尚太。」

「なに?」

今度は他のお客さんの、カクテルを作っている尚太。

「尚太は、セックス上手い?」

「さあね。」

「女をイカせた事、ある?」

「うーん、数えるしかないな。ほら、俺まだ若いし。」

ライムの輪切りが、妖しい光を受ける。


「ねえ、また抱いてくれる?」

私はカクテルグラスを、回した。

「ごめん。」

尚太の返事は、即答だった。

「どうして?相性、悪かった?」

「そんな事ない。よかったよ、環奈の抱き心地は。」

尚太とはこの前、私の部屋でお試し済みだ。

私は付き合う前に、一度体の相性を確かめるようにしている。

付き合ってから、体の相性が悪いと知るだなんて、死んでもごめんだ。

尚太とは、私もよかったと思う。

「だけど、俺、好きな女ができたんだ。」

知ってたけど、実際本人から言われると、辛い。

「だからもう、その女しか抱かない事にした。」

「もう、試したの?」

「まだ。」

「まだなのに、その子だけに決めるの?」

「恋愛って、そう言うモノだろ?」


私には分からない。

好きになったら、身も心も満足したい。

感情があるから、体も満足する。

そんな理屈は、私には通らない。


「ご馳走様。素敵な恋愛理論、その子に通るといいね。」

「からかうなよ。いい大人が。」

尚太は、照れながらレジに、お会計をしに行った。


いい大人か。

まだ大学生の尚太にとっては、社会人の私が大人に見えるんだろう。

でも私はまだ、子供なのかもしれない。

理性なんて考えずに、快楽に溺れていたいのだ。


私はスマートフォンを取り出すと、部長にLineをした。

【今日は、どうですか?】

返ってきた言葉は、【お前の家、どこ?】だった。
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