オークと女騎士、死闘の末に幼馴染みとなる

坂森大我

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第三章 存亡を懸けて

惨状

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 ゴリョウカク侵攻一個軍団は海峡を越えて突き進んでいる。進軍当初は海の上であったけれど、既に海面はどこまでも凍り付いていた。

「陸地が見えたぞ!」
 ヒカリの声。この度も先陣を切る彼女の分隊員たちは頷きを返している。だが、幾ばくもせず、全員が唖然と息を呑んでいた。

「何だ……これは……?」
 海岸線の向こう側にあるはずの星形要塞都市ゴリョウカク。しかし、ヒカリたちが目撃したものは聞いていた話と異なっていた。

「廃墟じゃないか――――」

 見渡す限りの瓦礫。今もまだ粉塵が残っているところを見ると、瓦解してから時間が経っているとは思えない。

「川瀬少将、応答してください!」
 透かさず川瀬に連絡を入れる。予想外の惨状にヒカリはどう動くべきなのか分かりかねていた。

『どうした? やはり罠であったか?』
 川瀬は最後尾である。恐らくは粉塵さえも見えていないと思われる。

「いえ、視認しただけですが、ゴリョウカクは既に壊滅しています。恐らく先ほどの黒煙が原因かと……」
 ヒカリは見たままを伝えた。憶測でしかなかったけれど、現状から考え得る結末はそれしかないように感じている。

 しばし無言の川瀬であったが、決断は早かった。侵攻軍の目的は相手の状況を加味する必要などないといった風に。

『進軍を続けろ。ただし、慎重に進め。逐次連絡を入れてくれ……』
 川瀬の命令には了解しましたと答える。さりとて罠であるようには思えなかった。完全に崩壊した街壁を見ては確信すら覚えている。

「これよりゴリョウカクへと侵攻する。各員、気を抜くなよ?」

 ヒカリたちが北の大地へと進入していく。目前に迫る天軍の首都へと踏み込んでいった。
 誰もが予想し得ない結末を知らされることになる……。
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