神官様は今日も協会の子達のために奮闘する。

なかたか

文字の大きさ
5 / 8

まさかのしくじり

しおりを挟む


 段々と人の姿がおおくなってきたころ、馬車は王都についた。
 詳しく言うならば、王都の端っこの方である、まだまだ田舎境だ。けれど、竜たちがすんでいる教会があるのはその北の北の地域であり、ここ以上の田舎であったため、市場があるここは十分、いや、人里だと言う事が十分竜たちには新鮮味があることだった。
 ここで、この田舎で、竜たちは降りることになっている。
 なっている.....筈なのだが。

「zzZZZ     zzZZZ 」と、竜は鼻息荒く眠っており、その他の者たちも静かなスースーと言う寝息をたてて寝むっていた。
 なんと言うことか。
 
 かくして、少しほどの時間がたち、馬車の操縦者がもう客が降りない事を確認し、出発した────


─────ちょっと、お客さん! 
 そんな声が竜の耳に木霊するのと同時に、竜は揺さぶられている感覚に、うとうとだが、目を覚まし始めていた。

「起きてください! お客さん! こっからもう、馬車運行は終わりですよ!」

 中年のおばあさんが、そのねぶとい声で竜を起こそうとする。
  
「...んっ、 ん? んぇ?」

 だが、寝ぼける竜。
 そんな竜に中年のおばあさんは、もとい馬車の運転手は呆れる表情になった。

「はぁー、駄目だわこの客。完全に目が座ってる」

 深くため息をし、運転手のおばあさんは「仕方ない、最後の手段でいくか...」と竜の耳元まで、顔を近づけ、こう囁く。

「起きないと、チューをしちゃいますよ?」

 その瞬間、竜は急な寒気を覚え、身を翻し眠気の奥底から一気に引きづられた。竜起床の瞬間である。

「あ、あのなんかすみませんでした」

 竜は低い声で謝った。
 それを聞きおばはんは、「いいですよ」と、社交辞令のように竜の言葉を、腰に手をあてながらやれやれといったように、返した。
 そして、数秒の無言の後、竜はあることに気づき身をビクッとさせ、露骨に驚きを表現した。

「あ、あの、すみません。ここって王都トロッコ境ですよね?」

 王都トロッコ境とは、竜たちが行く筈だった目的地だ。
 しかし、それはもう、途方も無いほどまで通りすぎている。その事実にまだ竜は気づいてはいない。だが、薄々「ヤバイ」という感情は芽生えていた。

「はぁ? ここは王都の中央部。王都バルドラド境だよ。まだ寝ぼけてんのかい?」
 
「.....ハハハ...やっちゃた」

 薄い笑みと共に、竜はため息をつくように諦めを呟いた。
 それをおばはんは細い目で見つめながら、「それじゃ、早く周りの子をおこして、早々に出てってくださいな」と、念を竜におして、足軽にこの車両から出ていった。

「ハァー、やっちまったぁ.....」

 深いため息をするが現状は変わらない。

「ふぅ、起こすか」

 そこからはいつも通り、皆を起こしていく。
 これは余談なのだが、カエデの例の症状は不思議なことに朝にしか出ないというものであって、今ここでは発症しなかった。
 しかしながら、他の皆は以前同様、起こすのに非常に竜は労力を使ったことは言うまでもない。 
 

 



「んっ、ん~~~~っ」

 ノアは眠った体を起こすように、伸びを行った。  
 加えてノエもカエデもキャロも、このような動作を行う。その様子を竜は方目で見ながら、ひとり荷物を纏めていた。
 しかし、ここは人が多い。
 いや、人だけではない。
 人ならざる者。つまり亜人。
 猫耳や犬耳、はたまた蛇のような鱗(うろこ)を纏う龍人。長い耳のエルフ、そしてこれはゴブリン人と言えばいいのか。
 見た目まんまゴブリンの種族も、その人混みの中に悠然と紛れていた。
 
 やがて支度を整えた竜が皆の所へとその荷物を持って早足ぎみに寄っていった。
 
「んじゃ、行くぞ」

 竜は皆に言う。

「本当の目的地、寝過ごしちゃったんですよね? どこに行くんですか?」

 ノアは問う。
 そして、問われた竜に、その他の四人の視線も集まる。
 どうやら、3人もノアと同様、これからどうするか気になるようである。

「ま、やることは一緒だ。まずは宿をとって、それから仕事を探して、観光して、学校施設に行ってみる。そんな感じだ」

 竜はできる限り簡潔に言い、すぐに行動へと移す。

「さ、行くぞ!」

 その一言で、王都中央部の色々な模索が始まった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

【完結】精霊に選ばれなかった私は…

まりぃべる
ファンタジー
ここダロックフェイ国では、5歳になると精霊の森へ行く。精霊に選んでもらえれば、将来有望だ。 しかし、キャロル=マフェソン辺境伯爵令嬢は、精霊に選んでもらえなかった。 選ばれた者は、王立学院で将来国の為になるべく通う。 選ばれなかった者は、教会の学校で一般教養を学ぶ。 貴族なら、より高い地位を狙うのがステータスであるが…? ☆世界観は、緩いですのでそこのところご理解のうえ、お読み下さるとありがたいです。

転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです

NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

私はもう必要ないらしいので、国を護る秘術を解くことにした〜気づいた頃には、もう遅いですよ?〜

AK
ファンタジー
ランドロール公爵家は、数百年前に王国を大地震の脅威から護った『要の巫女』の子孫として王国に名を残している。 そして15歳になったリシア・ランドロールも一族の慣しに従って『要の巫女』の座を受け継ぐこととなる。 さらに王太子がリシアを婚約者に選んだことで二人は婚約を結ぶことが決定した。 しかし本物の巫女としての力を持っていたのは初代のみで、それ以降はただ形式上の祈りを捧げる名ばかりの巫女ばかりであった。 それ故に時代とともにランドロール公爵家を敬う者は減っていき、遂に王太子アストラはリシアとの婚約破棄を宣言すると共にランドロール家の爵位を剥奪する事を決定してしまう。 だが彼らは知らなかった。リシアこそが初代『要の巫女』の生まれ変わりであり、これから王国で発生する大地震を予兆し鎮めていたと言う事実を。 そして「もう私は必要ないんですよね?」と、そっと術を解き、リシアは国を後にする決意をするのだった。 ※小説家になろう・カクヨムにも同タイトルで投稿しています。

今更気付いてももう遅い。

ユウキ
恋愛
ある晴れた日、卒業の季節に集まる面々は、一様に暗く。 今更真相に気付いても、後悔してももう遅い。何もかも、取り戻せないのです。

処理中です...