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出会った女性は
しおりを挟むノエやノアたちをそこらの安心できそうな、清潔感ある喫茶店に置いて、竜はまず、宿をとるために良い宿屋を探していた。出来れば宿代を安く済ませたい竜。
ここは慎重に、かつ迅速に終わらせようと、竜はこの人込みの中で、誰か良い情報をくれないかと、助け人を探していた。
まぁ、初め、竜は適当に歩いている人に聞いてみる。
「あの、すみません」
竜が話し掛けてみたのは、ナイスバデイの金髪を下ろしている、背は竜よりも少し低めの女性だった。
なぜ、竜はこの人に話し掛けてみたのかと言うと、見た目優しそうだし、何よりも綺麗だったからだ。まさに下心満載であった。
しかし、これはナンパではないと、竜は自分にいった。
「あら、何かしら?」
凛と、されど細いような聞き心地の良い声に、竜は続ける。
「ここら辺で、どっか良い宿屋ってありませんかね? おれ、田舎から来たもんでちょっとここの事情知らなくて」
申し訳なさそうに、手を頭におきながら言う竜。
それに、金髪ナイスバデイはほほんで答えてくれた。
「ええ、そう言うことなら『ボコボット』と言う店がオススメよ。宿代はそれなりに安いし、それに露天風呂もついていて、そこのご飯は絶品だもの」
「へー、それはいい。ところでそれって何処にあるんですか?」
「ここから向かいまでまっすぐ進んで────
竜は親切な女性から行き道を教えてもらい、お礼を女性にして、過ぎ去るその姿を見ながら、思った。
(名前、聞いてりゃ良かったな)
やはり下心満載。しかし、前世が前世で、竜はオタクだったため、それが切っ掛けで女性とひと悶着あり、女性と話すのはちょっと苦手なシャイチェリーボーイだっため、それは今も変わらず結果としてこれだった。
と、竜は名残惜しくも、さっきの出会いを思い出深くし、次に仕事場を探すために、少し、ここらを詮索する。
「はー、どっか良い仕事ねぇかなぁ」
数分歩いてみたが、一向に仕事場らしき仕事場が見つからない。
やはり定番は冒険者、と言う手もあるのだが、力なき自分にそれは向かないと決め付け、竜はギルドには行くことはなかった。
しかし、ここである点について、竜はピンときた。
冒険者ってのはダンジョンに潜ったり、敵を倒してハイリスク、ハイリターンってのもあるけどそれ以外にも下働きみたいな、俺でも出来る仕事があるんじゃないか?
竜はそんな思想にとらわれた瞬間、決意と言うより、これからの行動パターンが決まった。
さしずめ、冒険者ギルドに行く。これだった。
そして、竜は人から何処に冒険者ギルドがあるのかと伺おうとした刹那、ふと、後ろから聞き覚えのある声がした。
「神官様~~、やっと見つけました!」
ニコニコと、大振りに片手を振りながらノアが、竜に小走りに近づいてくる。
竜はそれに振り返った。
振り返ると、その後ろにはカエデ、キャロ、そして、ノエを肩車している竜より背が高いであろう、身長約190センチの大きい女性がいた。
(ファ!?)
もちろん、驚いたのは竜である。
「もー、随分と探したんですよ?」
ノアはそんなことを言い、竜の腕をとって引っ付いてきた。二つの柔らかい固まりが竜をつつむ。
しかし、竜はいつも通り赤面する暇もない。
何故なら、しらない人がノエを肩車してるからだ。
「ちょ、あれだれ?」
竜は少し小言で近くのノアに問いた。
「あの人は私たちを助けてくれたんですよ。その恩人です!」
「へー、そうなんだ。って! 何があった!?」
驚いた竜に、ノアは説明をつけようとしたが、それをする暇もなく、そのノエを肩車している女性が仲介にはいった。
「やぁ、貴方が噂の神官様か」
麗々としていて、また情熱的な声に竜は息をのんだ。いや、それだけではない。彼女の美しさにも息をのんだ。
彼女の容姿は「可愛い」というよりは、「美しい」と言う言葉が似合う、大変麗しゅう女性だった。その白く透き通る肌に似合う緑色の長髪の髪も、印象的だった。
「いや、まぁ、噂かどうかは知らないけど、神官様です」
竜は控えめに言った。
それを怪訝な表情で見つめる、緑髪の女性。
そして、女性はこう言って切り出してきた。
「やぁ、やぁ、やぁ、私は貴方が嫌いだ」
薄く睨む双眼はいとも容易く人を怯ませそうな、そんな瞳で竜は見据えられるのだった。
それを聞き、驚く一同。
(いや、なんで、さっきまで仲良くしていたお前らがおどろくねぇん!?)
にべもなく竜はこころのなかで渾身の突っ込みをあみ出した。
しかし、現状はなにも変わらない。
ギスギスと、長身の女性はそんな気を纏う。まるで親のかたきみたい睨まれる竜はどうすればよいか分からなかった。
「ちょ、ちょっとノヴァ殿! いったいどうしたんですか!?」
が、この空気を少し変えるように、実態をつかむようにカエデは剣幕な表情になってノヴァと言う女性をみた。
そんなカエデにノヴァはノエを肩車しながら、優しく頭に手の平をのせた。
「もう、大丈夫よ! 私がこんな変態、倒してあげるから!!」
と、カエデにノヴァは豪語する。
「あ、あの、すみません」
そんなノヴァに竜がしたてに出ながら、なぜ自分を変態扱いするのか、そして、何があったのかを聞こうとしたためノヴァに近寄る。
「近づくなぁ! 変態!」
「ぶぅあっぐ!!」
竜は間髪入れられずに、そのノヴァの細い足で思いっきり蹴られた。
ぶっ飛ぶ竜。
驚愕するノアたち。
ざわつく周りの民衆。
もう、何もかもがめちゃくちゃっった。
「ぶぉべらぁ!」
ぶっ飛んだ竜は地面とキスしながらそんな呻きをあげた。
その、竜にノヴァはゆっくり接近する。
もう、ノヴァの上に乗っているノエがあたふたと困惑する姿は可哀想だった。
「さぁ、死んでもらうおか」
ドスの効かせた声にのせて、ノヴァが足を上げた。どうやら本気で竜にかかとおとしをして、竜の息を止めようとしているらしい。
しかしながら、竜はそれを避ける暇なんてなく、まだ先程の痛みの余韻に浸ってしまっていた。
振り落とされる、足。
誰もが竜は殺されると思われたその瞬間。
「ダメぇええええええ!!!」
「ちょ! キャアアア!!!」
ノヴァの上に乗っていたノエが、その弱々しくも小さい手で、ノヴァの髪の毛を掴み、全身全力で後ろに重心をかけた。
それにより、軽いとはいえ、片足をあげていたノヴァはその予期もしない出来事に逆らえず後ろにまっ逆さまに悲鳴をあげながら頭から落ちていった。
当然、ノエも落ちていったが、それは駆け寄っていた姉であるノアにギリギリの所でキャッチされその危機を逃れた。
しかしながらキャッチしたのはノエだけ。
誰にも支えられなかったノヴァはそのままなんの抵抗もなしに頭から地面とぶつかった。
「う゛ご!」
女性らしかぬ声をあげ、ノヴァは意識を手放した。
かくして、今の現状は、蹴られていたがってる竜。驚愕する民衆一同。ノエを抱きかかえるノアもそれ同様驚愕。ノエなんかは泣き出している始末。取り残されているカエデ、キャロとなっていた。
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