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記録ノ28 悟浄のガンダーラ
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秋、学芸会。僕たち2年生が行う劇は「西遊記」だ。
西遊記といえば前の年に香取慎吾主演のドラマのヒットがあり、この年はその映画版も公開され、さらにコロコロコミックでは「GO空伝!」という西遊記が題材のギャグマンガ(後にゴゴゴ西遊記に改題)も連載されるなど当時盛り上がっており、最も注目を浴びている昔ばなしといっても過言ではなかった。
そんなタイムリーな作品を学芸会でやると聞いた時はうれしかった。
僕の第一希望の役は主人公の孫悟空役。
劇は5幕構成でそれぞれで悟空役が異なる。つまり悟空役は5人いるというわけだ。
もちろん定員オーバーとなればオーディションだ。
悟空役に立候補したのは僕含め7人。僕には前年のオーディションの悔しさ・無念もあるので絶対に負けられない戦いだった。もちろんほかのみんなも同じだろう。
前回の臼役より定員が多いので自分の中には少しリラックスした気分で挑めた。
でもやっぱり緊張はするものだ。とにもかくにも今年こそ一番希望の役を勝ち取ってやると意気込んでいた。
オーディションのお題となるセリフは「この先の妖怪にはココ(自分の頭を指さし)を使わないと勝てないんだぜ」というもの。
”ココ”の部分で自分の頭を指さすのが絶対条件であった。
僕の順番は5番目。しかしまたしてもミスを犯してしまう…
”ココ”の部分で頭を指さすのを忘れてしまったのだ。
オーディションを見ていたみんなは参加者がセリフを言い終わった後拍手をしてくれるのだが、僕の番が終わった後は拍手がまばらだった…
そして僕はまたもオーディションに落ちてしまった。前年のリベンジを果たすことができなかった…
結局僕は沙悟浄役に回ることとなった(沙悟浄もばっちりメインキャラだけどね)。
沙悟浄は2幕~5幕に登場するが、僕の出番は3幕であった。
この3幕では西遊記の中でも代表的なエピソード、金角・銀角との戦いが描かれる…が2年生全員をステージに上げるための苦肉の策か原作には登場しないオリジナルキャラの「銅角」、さらに色でも金属でもない「4角・5角・6角」も登場する。
金角側には同じクラスの子もいたが、この幕における三蔵一行メンバーは僕以外は全員隣のクラスのメンバー(この時の縁か偶然か、後にクラス替えでこの時の三蔵一行メンバー全員が1回以上僕とクラスメイトになる)。
僕の記念すべき最初のセリフは「水の中なら僕にお任せを」というもの。とにかくこのセリフには力を入れていた。ストーリー上、沙悟浄は悟空たちと出会ったばかりなので悟空たちへの自己紹介として重要なセリフだと胸に刻んでいた。
金角との戦いといえば、「名前を呼ばれて返事をした相手を吸い込むひょうたん」が印象的だ。
しかし学芸会という予算が限られた舞台でそれを再現するのは難しいため、金角たちは「名前を呼ばれて返事をした相手の手が頭の上でくっついてしまう術」を使う設定となっている。
子供ごごろに「さすがにひょうたんは再現不可能だったんだな」と心の中でつぶやいたのを覚えている。
しかし相手の術を逆手にとって悟空たちが勝つのは原作通り。
悟空たちが金角たちの名を呼んで金角たちの手がくっついてしまい、金角たちは後退。というオチだ。
沙悟浄は猪八戒とともに4角、5角、6角のなを呼ぶのだが、僕は本番では4角の名を呼び忘れ、あとの2人しか名前を呼べてないというミスをしてしまった。
しかし誰にも指摘されることなく無事?終えることができた。
僕の最後のセリフは当時自分の中でお気に入りだった。
金角たちに勝利後、八戒に「よかったな、トンカツにされなくってよ!」というもの。
その後八戒からは「お前だって河童巻きにされなくてよかったな!」と声をかけられる。
セリフは間違えたけど河童巻きにされなくてよかったねリョーマ悟浄!
…と言いたいところだが、僕は沙悟浄役になったことでこの後ちょっとした悲劇に見舞われることとなる。
その詳細は次回。
西遊記といえば前の年に香取慎吾主演のドラマのヒットがあり、この年はその映画版も公開され、さらにコロコロコミックでは「GO空伝!」という西遊記が題材のギャグマンガ(後にゴゴゴ西遊記に改題)も連載されるなど当時盛り上がっており、最も注目を浴びている昔ばなしといっても過言ではなかった。
そんなタイムリーな作品を学芸会でやると聞いた時はうれしかった。
僕の第一希望の役は主人公の孫悟空役。
劇は5幕構成でそれぞれで悟空役が異なる。つまり悟空役は5人いるというわけだ。
もちろん定員オーバーとなればオーディションだ。
悟空役に立候補したのは僕含め7人。僕には前年のオーディションの悔しさ・無念もあるので絶対に負けられない戦いだった。もちろんほかのみんなも同じだろう。
前回の臼役より定員が多いので自分の中には少しリラックスした気分で挑めた。
でもやっぱり緊張はするものだ。とにもかくにも今年こそ一番希望の役を勝ち取ってやると意気込んでいた。
オーディションのお題となるセリフは「この先の妖怪にはココ(自分の頭を指さし)を使わないと勝てないんだぜ」というもの。
”ココ”の部分で自分の頭を指さすのが絶対条件であった。
僕の順番は5番目。しかしまたしてもミスを犯してしまう…
”ココ”の部分で頭を指さすのを忘れてしまったのだ。
オーディションを見ていたみんなは参加者がセリフを言い終わった後拍手をしてくれるのだが、僕の番が終わった後は拍手がまばらだった…
そして僕はまたもオーディションに落ちてしまった。前年のリベンジを果たすことができなかった…
結局僕は沙悟浄役に回ることとなった(沙悟浄もばっちりメインキャラだけどね)。
沙悟浄は2幕~5幕に登場するが、僕の出番は3幕であった。
この3幕では西遊記の中でも代表的なエピソード、金角・銀角との戦いが描かれる…が2年生全員をステージに上げるための苦肉の策か原作には登場しないオリジナルキャラの「銅角」、さらに色でも金属でもない「4角・5角・6角」も登場する。
金角側には同じクラスの子もいたが、この幕における三蔵一行メンバーは僕以外は全員隣のクラスのメンバー(この時の縁か偶然か、後にクラス替えでこの時の三蔵一行メンバー全員が1回以上僕とクラスメイトになる)。
僕の記念すべき最初のセリフは「水の中なら僕にお任せを」というもの。とにかくこのセリフには力を入れていた。ストーリー上、沙悟浄は悟空たちと出会ったばかりなので悟空たちへの自己紹介として重要なセリフだと胸に刻んでいた。
金角との戦いといえば、「名前を呼ばれて返事をした相手を吸い込むひょうたん」が印象的だ。
しかし学芸会という予算が限られた舞台でそれを再現するのは難しいため、金角たちは「名前を呼ばれて返事をした相手の手が頭の上でくっついてしまう術」を使う設定となっている。
子供ごごろに「さすがにひょうたんは再現不可能だったんだな」と心の中でつぶやいたのを覚えている。
しかし相手の術を逆手にとって悟空たちが勝つのは原作通り。
悟空たちが金角たちの名を呼んで金角たちの手がくっついてしまい、金角たちは後退。というオチだ。
沙悟浄は猪八戒とともに4角、5角、6角のなを呼ぶのだが、僕は本番では4角の名を呼び忘れ、あとの2人しか名前を呼べてないというミスをしてしまった。
しかし誰にも指摘されることなく無事?終えることができた。
僕の最後のセリフは当時自分の中でお気に入りだった。
金角たちに勝利後、八戒に「よかったな、トンカツにされなくってよ!」というもの。
その後八戒からは「お前だって河童巻きにされなくてよかったな!」と声をかけられる。
セリフは間違えたけど河童巻きにされなくてよかったねリョーマ悟浄!
…と言いたいところだが、僕は沙悟浄役になったことでこの後ちょっとした悲劇に見舞われることとなる。
その詳細は次回。
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