上 下
49 / 456

記録ノ49 舞い上がるな!

しおりを挟む
4年生の遠足。僕はおやつにチョコボールを持ってきた。
毎年遠足のおやつにはチョコボールを入れると決めている。
なぜなら金か銀のエンゼルを当てて自慢したいからだ。なんて不純な動機なのだろう。

ちなみに僕はこの時点でおもちゃのカンヅメを計2種類ゲットしている。全部銀のエンゼルと交換だ。故にこの時点で10回以上銀のエンゼルを引き当てている(ちなみに金のエンゼルは現在に至るまで一度もあてたことがない)。
でも僕は遠足で銀のエンゼルを引き当てたかった。その場で見せびらかすことができるという特権があるからだ。
自分にとっては遠足で銀のエンゼルを引き当てることは、金のエンゼルを引き当てるのと同じ意義があると思っていた。この少年、どこまでも不純なり。

そしてやってきました遠足当日。僕以外にもチョコボールを持ってきた人はたくさんいた。みんな僕みたいに不純な動機ではない、きっとみんな好きだし友達とシェアできるし値段も手軽だから持ってきたのだろう(僕もチョコボールは心から好きなのは本当だが)。

そして問題の昼食後のおやつの時間。僕と一緒に食べてた友だちふたりもチョコボールを持ってきていた。
3人で一斉に開けて、エンゼルを確認することに。
「あ~オレはずれだわ…」
「オレも同じく…リョーマ、お前は?」
「…当たった。銀だけど…」
そう、僕は引き当てたのだ!銀のエンゼルを!
2人に見せびらかした後は、他のクラスメイト達にも見せびらかしまくった。僕の願いがかなった瞬間である。

しかしすぐさま僕と一緒に食べてた2人からは「オレらにくれよ」「お前散々当たってるんだろ?」の大合唱。
もちろん僕はかたくなに渡さなかった。この幸せを人のものにさせてたまるか。
しかしそれでバチが当たったのか、運を使い果たしたのかはわからないが、その後僕のもとにやたらとゴミが飛んできた。その日中…他人のゴミも見つけたら持ち帰りましょうと言われていたのでもちろん持ち帰った。底はきちんと守る男だ。

舞い上がりすぎると失うものもある、自慢ばっかりするとろくな目に合わない…僕がそのことを理解するにはまだまだ時間が必要だった。
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

運命の番を見つけることがわかっている婚約者に尽くした結果

恋愛 / 完結 24h.ポイント:16,076pt お気に入り:261

最初に私を蔑ろにしたのは殿下の方でしょう?

恋愛 / 完結 24h.ポイント:3,042pt お気に入り:1,959

伯爵令嬢は執事に狙われている

恋愛 / 完結 24h.ポイント:3,109pt お気に入り:457

平凡令嬢は婚約者を完璧な妹に譲ることにした

恋愛 / 完結 24h.ポイント:319pt お気に入り:7,668

異世界冒険記『ストレージ・ドミニオン』

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:42pt お気に入り:430

妻が遺した三つの手紙

恋愛 / 完結 24h.ポイント:1,192pt お気に入り:45

旦那様!単身赴任だけは勘弁して下さい!

恋愛 / 完結 24h.ポイント:1,294pt お気に入り:181

処理中です...