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記録ノ57 忍者の道は厳しかな

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11月、学芸会。僕たち4年生のやる劇は「忍者の道」というものだ。
忍者学校を舞台に、落ちこぼれの忍者の卵四人組の友情と成長を描く物語だ。

僕の今回の一番希望の役は忍者学校の先生である「サスケ」という役だ。
うちは…ではない。そっからとられた名前の可能性もあるが。もしかしたら猿飛のほうが由来かもしれない。
サスケは「コジロウ」という人物とコンビで忍術の指導をしている。

サスケ、コジロウ、それぞれ定員は2人ずつ。もちろん定員オーバーならオーディションだ。
サスケ役の立候補者は僕含め3名。3分の2の確率のオーディション。
このサスケは先生故にかなり真面目なキャラクターだ。僕とは正反対に。
故にあるクラスメイトはサスケ役に立候補した僕にちょっとした嫌味を言ってきた。

「お前に真面目な役が務まるわけないだろ」と。彼は同じくサスケ役に立候補していたアヤタくんをプッシュしていた。
僕がオーディションのセリフを練習しているときもその演技力に文句を言い、「こりゃアヤタの勝ちで決定だな」などとほざき、「アヤタと他一名が勝つ。リョーマが負ける」という風潮を学年中に広めようとしてる感じだった。

しかし、そんな彼の願いはかなうことなく、僕は見事サスケ役に合格した。残念ながらアヤタくんは不合格であった。
アヤタくん、キミを責めるつもりはないよ。

しかし問題はその後の順番決めであった。
この劇は5幕構成でサスケはそのすべてに出番がある。そして定員が2人ということはサスケ役は二手に分かれている。それぞれ出る幕が違う。台本の配役リストにはサスケ1、サスケ2と書かれている。
僕は最初に出番があるサスケ1を選んだ、もう一人のほうは2を選んだのでかぶらなかった。
僕は勝手に1が2幕、残りの3幕が2の出番。と思い込んでいた。

しかし順番を決めた後、台本を見直して気づいた。なんとサスケ1の出番は1幕のみで、のこり4幕はすべて2の出番なのだ!
なんてややこしいことをしてくれたんだ…と思った。まあ自分が悪いんだけどね。

で、結局自分の見せ場といえば…他の出演者とともに舞台上でヒゲダンス(訓練という設定)したぐらいであった…
文章をよく見ない。僕の悪い癖が裏目に出た結果となった。
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