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第2部 女児向けアニメ史
プリキュア、絶対女王の証明~フレプリ・ハトプリの伝説~
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スプラッシュスターにて一度は地に落ち、存続の危機に立たされたプリキュアだったが、プリキュア5二部作にて2年連続の100億越えの売り上げを達成し、見事絶対女王の座に返り咲いた。
そして2009年、2年ぶりに主人公を変えて6作目の物語が幕を開ける。「フレッシュプリキュア!」である。
ここからプリキュアの勢いはより加速していき、絶対女王の座を確固たるものにしていく。
2004年のシリーズ開始から当時でもう5年。5年もたてばこの間にプリキュアを卒業していった者も数多いる。
…そもそもプリキュアは戦隊やライダーなどと同様、幼稚園を卒園するタイミングで卒業する視聴者が多い。
初代を幼稚園の頃にリアタイで観ていた世代も当時の時点で小3~小5。この世代のほとんどがプリキュアをすでに卒業済みだったことだろう。
そんな中でスタッフはそういった「成長に伴うプリキュア離れ」を食い止めようとフレプリでは様々な新機軸を打ち出し、幅広い年齢層の獲得をにらんだ。
そのひとつが「本格的な追加戦士・キュアパッションの登場」。
…そもそも追加戦士ならすでにシャイニールミナスやミルキィローズがいるわけだけど、それぞれ「マックスハート」と「GoGo」という主人公を引き継いだ2年目シリーズでの登場で名前には「キュア」がつかない(公式ではちゃんとプリキュアとしてカウントされているけど)。
キュアパッションは史上初の「名前に”キュア”がつく追加戦士」なのだ。そしてこれ以降、「年度の途中で追加戦士」が毎年の恒例(スマイルプリキュアをのぞく)となる。
そのパッションに変身するせつなも当初は敵幹部の「イース」として登場。やがてラブとの友情を結んでいく中で改心するも、その直後に絶命。しかしキュアパッションとして転生し、その後本格的に仲間となっていくという「敵から味方に」「一度死んだ敵が味方としてよみがえる」という少年漫画顔負けの胸アツ展開が描かれる。
さらにその敵側サイドも注目である。
敵組織の「ラビリンス」は総統にすべてを管理された管理国家。しかしその面々は歴代のシリーズのような人外ではなく純粋な人間である。子供向けの変身ヒーロー・ヒロイン作品としては異例中の異例な設定。そして彼らを単に「悪」として描くのではなく、メンバーひとりひとりの内面を掘り下げドラマ性を重視している。これには「本当の幸せ」という作品の大きなテーマが関係している。
本当の幸せとはなにか…これは幼児層どころか大人でも答えを出すのが難しい、というか「これが100%正解」という模範解答のない難しい問題だ。
そんな中で表向きでは総統に忠実に従っているが、国家に、総統にすべてを管理され、総統に従うこと以外を許されていないラビリンスの面々は本当に幸せなのか?それを視聴者に考えてもらうのがこの設定の狙いだったのだ。
「本当の幸せ」という難しい問題…それを「総統に管理された国家」という幼児の目線から見ても最悪な状況下を描くことによって幼児層にもわかりやすく考えてもらうきっかけづくりになったはずだ。
フレプリを語るうえで欠かせない、追加戦士に次いで以降の作品に引き継がれたもう一つの要素が「CGによるED」。
スプラッシュスター以降、後期EDとしてダンス曲を導入してきたが、フレプリからは前期後期ともにダンス曲となった。事前アンケートの結果、ダンスが子供たちの興味のある題材のひとつであったからだ。
映像もそれまでの2Dによる作画から3DCG映像に変更。さらにキャラクターの動きに当時認知され始めてきたモーションキャプチャーが取り入れられている。
CGデザインもキャラがかわいらしく見えることを大前提に制作しているため、スタッフとしても苦労した部分があっただろうが、このCGは業界からも高い評価を得、以降のシリーズでも定番となる。
こういった多数の新機軸や異例の要素を取り入れたフレプリは前2作を大きく超える119億の売り上げを記録。マックスハートに次ぐ当時歴代2位の記録だ。プリキュアは絶対女王であることを改めて自ら証明した形となった。
そして翌年放送されたのが「ハートキャッチプリキュア!」
初期メンバーがスプラッシュスター以来のふたりに戻り、キャラクターデザインには先輩作品であるおジャ魔女どれみの馬越嘉彦氏を起用。
テーマのひとつに女児受けの伝家の宝刀「花」と「ファッション」を取り入れた。花というテーマはどれみ#でも取り上げた経験がある。どれみの時と同様、ハトプリでも花言葉を作中で登場させるという取り組みを行った。
さらにキャラ設定においてもそれまでの「主人公キュアは元気で活発な性格」という伝統を打ち破り、主人公つぼみ(ブロッサム)は内気で消極的な性格という集団ヒーロー・ヒロインものの主人公としては珍しい設定となり、「元気で活発」キャラは2号キュアであるえりか(マリン)にスライドされた。
「内気で消極的だけど礼儀正しい常に敬語で話す主人公と元気で活発でお調子者なその相棒」というこれまでのシリーズにない構成でまたもシリーズの常識を崩し、プリキュアという作品の新たな可能性を見出したのだ。
ストーリー面においても後半にはTVシリーズ初の悪のプリキュアであるダークプリキュアの登場、あるキャラクターの親族が実はかつてプリキュアであったとの事実の判明など重農なストーリーが展開される。
これもフレプリから引き継いだ「プリキュア離れの阻止」をにらみ、「高年齢層の視聴にも耐えうる伏線の導入」などの1年間を通して観てもらうための施策なのだろう。
そしてもう一つ注目なのが「変身アイテム」。
それまでのプリキュアにおける変身アイテムと言えば携帯・通信機型が伝統であった。
しかしハトプリの変身アイテム「ココロパフューム」は名前の通りの香水型。初の非通信機型変身アイテムである。
プリキュアに限らず、変身アイテムは「子供のあこがれのアイテム」「子供が簡単に触れないアイテム」がモチーフとなることが多い。
プリキュアに限らず、戦隊シリーズの変身アイテムも2000年代からは携帯型が主流となっていった。幼児層にとって携帯電話とは身近であこがれだけど簡単には触れないアイテムだからだ。携帯型の玩具を触ることによってあこがれの形態を触った気分になれ、少し背伸びして大人の世界を見たような気分に浸れるのだ。
だが女児にとっては香水もそれと同じ。あこがれだけど簡単には触れないオシャレアイテムなのだ。
ファッションをテーマに取り入れるなら携帯より香水のほうがおしゃれだという判断であろう。
その判断は大成功。こういった新機軸がまたもヒットし、ハトプリの売り上げは今なお破られていない史上最高の125億円。絶対女王の座をもうこの時点で確固たるものにしたといえよう。
フレプリ・ハトプリと立て続けにプリキュア陣営が快進撃をつづける中、ライバルたちはどうだったであろうか?
次回からはこれら2作と同時期に放送された作品を分析していこう。
そして2009年、2年ぶりに主人公を変えて6作目の物語が幕を開ける。「フレッシュプリキュア!」である。
ここからプリキュアの勢いはより加速していき、絶対女王の座を確固たるものにしていく。
2004年のシリーズ開始から当時でもう5年。5年もたてばこの間にプリキュアを卒業していった者も数多いる。
…そもそもプリキュアは戦隊やライダーなどと同様、幼稚園を卒園するタイミングで卒業する視聴者が多い。
初代を幼稚園の頃にリアタイで観ていた世代も当時の時点で小3~小5。この世代のほとんどがプリキュアをすでに卒業済みだったことだろう。
そんな中でスタッフはそういった「成長に伴うプリキュア離れ」を食い止めようとフレプリでは様々な新機軸を打ち出し、幅広い年齢層の獲得をにらんだ。
そのひとつが「本格的な追加戦士・キュアパッションの登場」。
…そもそも追加戦士ならすでにシャイニールミナスやミルキィローズがいるわけだけど、それぞれ「マックスハート」と「GoGo」という主人公を引き継いだ2年目シリーズでの登場で名前には「キュア」がつかない(公式ではちゃんとプリキュアとしてカウントされているけど)。
キュアパッションは史上初の「名前に”キュア”がつく追加戦士」なのだ。そしてこれ以降、「年度の途中で追加戦士」が毎年の恒例(スマイルプリキュアをのぞく)となる。
そのパッションに変身するせつなも当初は敵幹部の「イース」として登場。やがてラブとの友情を結んでいく中で改心するも、その直後に絶命。しかしキュアパッションとして転生し、その後本格的に仲間となっていくという「敵から味方に」「一度死んだ敵が味方としてよみがえる」という少年漫画顔負けの胸アツ展開が描かれる。
さらにその敵側サイドも注目である。
敵組織の「ラビリンス」は総統にすべてを管理された管理国家。しかしその面々は歴代のシリーズのような人外ではなく純粋な人間である。子供向けの変身ヒーロー・ヒロイン作品としては異例中の異例な設定。そして彼らを単に「悪」として描くのではなく、メンバーひとりひとりの内面を掘り下げドラマ性を重視している。これには「本当の幸せ」という作品の大きなテーマが関係している。
本当の幸せとはなにか…これは幼児層どころか大人でも答えを出すのが難しい、というか「これが100%正解」という模範解答のない難しい問題だ。
そんな中で表向きでは総統に忠実に従っているが、国家に、総統にすべてを管理され、総統に従うこと以外を許されていないラビリンスの面々は本当に幸せなのか?それを視聴者に考えてもらうのがこの設定の狙いだったのだ。
「本当の幸せ」という難しい問題…それを「総統に管理された国家」という幼児の目線から見ても最悪な状況下を描くことによって幼児層にもわかりやすく考えてもらうきっかけづくりになったはずだ。
フレプリを語るうえで欠かせない、追加戦士に次いで以降の作品に引き継がれたもう一つの要素が「CGによるED」。
スプラッシュスター以降、後期EDとしてダンス曲を導入してきたが、フレプリからは前期後期ともにダンス曲となった。事前アンケートの結果、ダンスが子供たちの興味のある題材のひとつであったからだ。
映像もそれまでの2Dによる作画から3DCG映像に変更。さらにキャラクターの動きに当時認知され始めてきたモーションキャプチャーが取り入れられている。
CGデザインもキャラがかわいらしく見えることを大前提に制作しているため、スタッフとしても苦労した部分があっただろうが、このCGは業界からも高い評価を得、以降のシリーズでも定番となる。
こういった多数の新機軸や異例の要素を取り入れたフレプリは前2作を大きく超える119億の売り上げを記録。マックスハートに次ぐ当時歴代2位の記録だ。プリキュアは絶対女王であることを改めて自ら証明した形となった。
そして翌年放送されたのが「ハートキャッチプリキュア!」
初期メンバーがスプラッシュスター以来のふたりに戻り、キャラクターデザインには先輩作品であるおジャ魔女どれみの馬越嘉彦氏を起用。
テーマのひとつに女児受けの伝家の宝刀「花」と「ファッション」を取り入れた。花というテーマはどれみ#でも取り上げた経験がある。どれみの時と同様、ハトプリでも花言葉を作中で登場させるという取り組みを行った。
さらにキャラ設定においてもそれまでの「主人公キュアは元気で活発な性格」という伝統を打ち破り、主人公つぼみ(ブロッサム)は内気で消極的な性格という集団ヒーロー・ヒロインものの主人公としては珍しい設定となり、「元気で活発」キャラは2号キュアであるえりか(マリン)にスライドされた。
「内気で消極的だけど礼儀正しい常に敬語で話す主人公と元気で活発でお調子者なその相棒」というこれまでのシリーズにない構成でまたもシリーズの常識を崩し、プリキュアという作品の新たな可能性を見出したのだ。
ストーリー面においても後半にはTVシリーズ初の悪のプリキュアであるダークプリキュアの登場、あるキャラクターの親族が実はかつてプリキュアであったとの事実の判明など重農なストーリーが展開される。
これもフレプリから引き継いだ「プリキュア離れの阻止」をにらみ、「高年齢層の視聴にも耐えうる伏線の導入」などの1年間を通して観てもらうための施策なのだろう。
そしてもう一つ注目なのが「変身アイテム」。
それまでのプリキュアにおける変身アイテムと言えば携帯・通信機型が伝統であった。
しかしハトプリの変身アイテム「ココロパフューム」は名前の通りの香水型。初の非通信機型変身アイテムである。
プリキュアに限らず、変身アイテムは「子供のあこがれのアイテム」「子供が簡単に触れないアイテム」がモチーフとなることが多い。
プリキュアに限らず、戦隊シリーズの変身アイテムも2000年代からは携帯型が主流となっていった。幼児層にとって携帯電話とは身近であこがれだけど簡単には触れないアイテムだからだ。携帯型の玩具を触ることによってあこがれの形態を触った気分になれ、少し背伸びして大人の世界を見たような気分に浸れるのだ。
だが女児にとっては香水もそれと同じ。あこがれだけど簡単には触れないオシャレアイテムなのだ。
ファッションをテーマに取り入れるなら携帯より香水のほうがおしゃれだという判断であろう。
その判断は大成功。こういった新機軸がまたもヒットし、ハトプリの売り上げは今なお破られていない史上最高の125億円。絶対女王の座をもうこの時点で確固たるものにしたといえよう。
フレプリ・ハトプリと立て続けにプリキュア陣営が快進撃をつづける中、ライバルたちはどうだったであろうか?
次回からはこれら2作と同時期に放送された作品を分析していこう。
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