リョーマ的Y2K子供文化史考

一刀星リョーマ

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第4部 漫画・出版史

もーれつに平和なプププギャグ~もーれつプププアワー!~

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月刊コロコロ2006年11月号にて12年にわたって続いたコロコロの元祖カービィ漫画「デデデでプププなものがたり」(以下ひかわカービィ)が幕を下ろし、翌12月号にて新たなるカービィ漫画が産声をあげた。谷口あさみ先生の「もーれつプププアワー!」(以下谷口カービィ)である。ギャグマンガであることを継承しながらも、ひかわカービィとはまた違った笑いを届け、こちらも10年近くにわたって続くロングランとなった。
今回はひかわカービィと谷口カービィを比較しながら、現在連載中の「まんぷくプププファンタジー」まで世代交代を交えながら30年にわたって続くコロコロのカービィ漫画の魅力を紐解いていこう。

まず全体的な絵柄であるが、ひかわカービィはほのぼのした雰囲気が強い絵柄であったが、谷口カービィは後述のカービィのデザインからわかるように「元気さ」と「ギャグマンガらしさ」が強く出ている。現代(連載開始当時)のコロコロ読者的にはよりギャグっぽい絵柄のほうがウケが良いだろうとの判断だろうか。個人的に谷口カービィの絵柄は好き嫌いがわかれるほうではあると思うがこれぞコロコロギャグという雰囲気が出てて好きなほうである。

次に両作のカービィのデザインと設定の比較から。
ひかわカービィはキラキラした目が特徴で、特徴的な語尾の「ペポ」はひかわカービィを象徴するフレーズだ。
最も、初期の目のデザインはそこまでキラキラしてなくわりと当時の公式デザインに沿ったものであったが、連載を重ねるうちにひかわカービィのトレードマークともいえるキラキラした大きな目に変化していった。
一方谷口カービィは語尾が「なのだ」で、よく「アハハハハ」と笑うのがクセ。そしてデザイン面で特徴的なのはなんといっても「歯」。公式デザインには存在しない歯がこの作品のカービィには存在するのだ。
歯を見せて笑うというデザインがギャグマンガらしさをより一層引き立てていると言えよう。

カービィの永遠のライバルにして時に仲間でもあるデデデ大王も両作で設定が異なる。
ひかわカービィは語尾に「~デ」をつけて話し、比較的常識人かと思いきや頭が悪かったり、大王の立場を乱用して横暴なふるまいを見せることも多いキャラであった。
一方谷口カービィのデデデは関西弁で話し、ツッコミ役としてはカービィに対してハンマーやスライディングなどの物理的攻撃を加えたりする暴力的な一面を持ち合わせている一方、カービィのせいで何かとひどい目にあいがちというでんぢゃらすじーさんでいう校長的なかわいそうキャラのポジションも兼ね合わせている。

原作ではメイン級のキャラでありながらもひかわカービィと谷口カービィで大きく出番が異なるのがメタナイト。
ひかわカービィでは主にプププランドに危害を加えようとする悪役として登場していたが、出番は少なめであった。むしろ原作ではザコキャラに過ぎない部下のメタナイツ達のほうが出番が多かったぐらいである。
一方谷口カービィでは準レギュラーとなり、ナルシスト的なキャラ付けが強調されている。
これについては原作におけるメタナイトの扱いの変化も大きく影響しているだろう。
メタナイトは元々ゲーム第2作「夢の泉の物語」で初登場したものの、しばらくはゲームでの出番は散発的であった。だが2001年に開始したアニメ版にてメイン級となった結果、以降のゲーム版での出番が急増し、一気にメイン級キャラに躍り出たという経緯がある。
出番が急増したのがひかわカービィの連載末期にあたる2000年代中ごろ前後の話なので、ひかわカービィとしてはメタナイトがマイナーな時代を長く過ごしていたために出番が無くても変に思われなかった。とゆうかひかわ先生敵にもマイナー故にメタナイトを気にかけてなかった。一方谷口カービィではすでにメタナイトがメイン級として認知されるようになっていたためすんなりとメインキャラとして出せた、というか出さないと逆に「なんで出さないの?」と思われてしまうというのがあったであろう。

その他の登場キャラでも違いが多くみられる。
ひかわカービィは原作の「夢の泉」「2」「3」「64」あたりのキャラがサブキャラとして登場することが多い。特にリック・カイン・クーなどのゲーム版における仲間キャラの出番は後期に減少するものの特に目立っていた。
一方谷口カービィは「参上!ドロッチェ団」以降の作品の登場キャラが主となっており、それ以前のゲームのキャラはほぼ登場しない。例外を言えば夢の泉に登場したクール。ゲームに登場したのは夢の泉とそのリメイクである夢の泉デラックスのみで連載開始時点ですでに原作での最後の登場から4年ほどのブランクがあるのにかかわらず本作では準メイン級のひとりでツッコミ役のひとりとそこそこおいしいポジションだ。任天堂側としても宣伝のために最新作や直近の作品で出番のあるキャラを使ってほしいと思うはずだ。コロコロの読者層を考えると彼のことを知らない読者も多い(実際僕もこのマンガでクールを知った)ことを考えれば異例の抜擢と言えよう。
このほか、連載が「ドロッチェ団」の発売とほぼ同時期に始まったことから最初期はドロッチェ団がカービィのライバルポジションとしてデデデより多く出番があった。

一方良作の共通点としては、時事ネタやパロネタを度々取り入れることが挙げられる。だがその中にも違いがみられる。
ひかわカービィは当時の流行芸人のネタを入れることもあったが、「キャンディーズ解散」などの明らかに親世代向けのパロネタが混じっていたのも特徴。
谷口カービィは古めのネタより連載当時のタイムリーな時事ネタが多め。カービィたちが当時の人気番組「クイズ!ヘキサゴン」風のクイズ番組に出演した回では当時広まり始めていた「KY」の意味を答える問題など当時の時事ネタ盛りだくさんであった。カービィチームとデデデチームが劇で対決する話では審査員役のバウがこれまた当時の人気番組「爆笑レッドカーペット」のパロディで「満点大笑い」の評価を下すシーンも観られた。

カービィという同じ題材を用いても作り手によって、そして時代によっても作風は大きく変わる。でも読者を笑わせる気持ちはかわらない。
読者を楽しませる気持ちを忘れず時代にあわせて変化を遂げていったことがカービィ漫画がコロコロで30年にわたって支持を得ている理由に他ならないだろう。
コロコロは常にその時代の小学生の流行に寄り添っていく雑誌であるが、カービィ漫画はまさにそれを体現したといえよう。
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