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3章 紛争編
42話 事後報告
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湖の都オラクトリアで悪魔とカナリッジ軍を撃退してから早々に出発した。
帰りも順調に馬車を走らせグラストル目前までの距離まできた。
馬車から顔を覗かせると遠くには灰色のフォルメス城が見え隠れしている様子が確認できる。
(やっとここまで来たか。早く報告した後早々にダンジョンへ向かいたいものだ)
街道から脇道をへ抜け裏門がある通りを進みながらする事もなく魔剣に触れ見つめる。
この魔剣の名は『魔剣クアドリカ』といい赤い刀身に青い魔力を放っている。
刀身は真っ直ぐ伸びた長剣で手持ちの部分に細かい装飾が施されており、特に境目のとこから羽のように左右に広がっている造形が気に入っている。
ひとしきり魔剣を愛でていると馬車が緩やかに停車した。
外に目をやると裏門の前で止まり門番とやり取りをしている。
少しすると門が開かれ馬車が動き出す。
門を潜ると最寄りの広場へ止まると馬車の扉が開かれると、立ち上がり馬車から降りた。
荷物などは専属のメイドに任せるとして早々報告へ向かう為、侯爵がいるであろう執務室へ歩く。
将軍という立場はその領地に一人しか置けない決まりがある。
領地の警備や戦力を管理統率し強化する役割がある。
その役職がら仕える者と同等の地位と職務に支障がない限り絶対の権限が同時に与えられる。
纏めると侯爵と同等に結構偉い立場ということだ。
階段を上り長い廊下を歩くと侯爵の執務室が見えてきた。
扉の前で身なりを整えると右手でノックする。
「入っていいぞ」
侯爵の許可が下りると扉を開け中に入室する。
そこには当然ぺトラ侯爵と秘書のマリベルがおり同時に入室してきた者を確認してくる。
「オラクトリアでの報告に来たぞ」
「ご苦労、報告を聞こう」
侯爵に掻い摘んでオラクトリアでの出来事を説明した。
勿論悪魔の事や森一帯を焦土にしてしまったことも包み隠さずにだ。
「なるほど、その悪魔とやらは上級魔法を使うほど強かったのか?」
「ああ、火の上級魔法『煉獄』を使ってきたぐらいだからな早々に決着を付けなくては此方が不利になると思ったのでな」
「そうかご苦労だったな。カナリッジ軍については撤退したということでいいのだな?」
「偵察隊の報告によれば敵本陣を見つけそこでは慌ただしく撤退の準備をしていたそうだ。再度進軍してくる事はないと思ったが、私がここに来る前に一応警戒を強めておくよう指示は出してあるから大丈夫だとは思うがな」
侯爵は報告を聞く顎髭を触りながらマリベルに視線を移している。
視線を向けられたマリベルが軽く眼鏡を持ち上げると口を開く。
「報告ご苦労様です。一つ質問なのですがその悪魔を呼び出したローブの者達はどういったものかご存知ですか? カナリッジが仕掛けてきたものなのか或いは別の国が関わっているのかとか色々考えられるのですが」
「ふむ、具体的な事まではわからんな。フードを深く被っていたし悪魔との戦闘に竜巻の事や指示出しなどで忙しく確認する暇もなかった」
「わかりました。それではロマーリア将軍の主観でいいので意見を聞かせてもらえますか?」
「主観か……私の意見ということなら恐らく他国が介入しているかカナリッジ内部の反乱分子共の仕業と考えてはいるがどっちにしろこの先、また同じことがあるかもしれないとだけは言えるな。それと話は変わるんだがこの後、例のダンジョンの調査に早々行っていいんだろう?」
主観で意見をマリベルに述べると手元の資料へ書き込み始めた。
マリベルから侯爵へ視線を移すとダンジョンについて問いかける。
「ふむ、早々ですまんがそうしてくれると助かる。マリベル、ロマーリアへ侯爵に持たせる便箋の用意を頼む」
「畏まりました」
マリベルは便箋の用意をする為に一端執務室から退出して行った。
この部屋に残るのは侯爵と私だけになった。
先に口を開いたのは侯爵だった。
「ロマーリア、ダンジョンの調査とは別に頼み事があるのだが……ダンジョンマスターに会ったら今度は儂が直接会う旨の約束を取り付けて欲しいのだが頼めるか?」
「うむ、侯爵直々に会うのか……まあダンジョンマスターに会えたら交渉して見よう」
「助かる」
後方から扉をノックする音が聞こえ侯爵が入室の許可を出すとマリベルが入って来た。
手には質のいい紙と包みを持っている。
マリベルは手元の便箋を侯爵へ渡すした。
机に置かれているペンを取りスラスラと便箋へ書き込んでいく侯爵。
程なくして便箋を包むと封した上から封蝋をした。
「ロマーリアこれをルネス卿に渡してくれ。色々便を図るよう書いておいたから厄介事には巻き込まれないだろうがな」
受け取った手紙をマリベルへと渡し封筒の上から更に布で包んでもらってから懐にしまう。
「了解した。ならそうそう私はルネス侯爵の下へ出発する準備を整えるとするか。明日には出立するとしよう」
それから軽く挨拶を交わした後、自室へ戻り専属のメイドを複数連れ荷物を運び入れると今度は長旅の準備をし始める。
帰りも順調に馬車を走らせグラストル目前までの距離まできた。
馬車から顔を覗かせると遠くには灰色のフォルメス城が見え隠れしている様子が確認できる。
(やっとここまで来たか。早く報告した後早々にダンジョンへ向かいたいものだ)
街道から脇道をへ抜け裏門がある通りを進みながらする事もなく魔剣に触れ見つめる。
この魔剣の名は『魔剣クアドリカ』といい赤い刀身に青い魔力を放っている。
刀身は真っ直ぐ伸びた長剣で手持ちの部分に細かい装飾が施されており、特に境目のとこから羽のように左右に広がっている造形が気に入っている。
ひとしきり魔剣を愛でていると馬車が緩やかに停車した。
外に目をやると裏門の前で止まり門番とやり取りをしている。
少しすると門が開かれ馬車が動き出す。
門を潜ると最寄りの広場へ止まると馬車の扉が開かれると、立ち上がり馬車から降りた。
荷物などは専属のメイドに任せるとして早々報告へ向かう為、侯爵がいるであろう執務室へ歩く。
将軍という立場はその領地に一人しか置けない決まりがある。
領地の警備や戦力を管理統率し強化する役割がある。
その役職がら仕える者と同等の地位と職務に支障がない限り絶対の権限が同時に与えられる。
纏めると侯爵と同等に結構偉い立場ということだ。
階段を上り長い廊下を歩くと侯爵の執務室が見えてきた。
扉の前で身なりを整えると右手でノックする。
「入っていいぞ」
侯爵の許可が下りると扉を開け中に入室する。
そこには当然ぺトラ侯爵と秘書のマリベルがおり同時に入室してきた者を確認してくる。
「オラクトリアでの報告に来たぞ」
「ご苦労、報告を聞こう」
侯爵に掻い摘んでオラクトリアでの出来事を説明した。
勿論悪魔の事や森一帯を焦土にしてしまったことも包み隠さずにだ。
「なるほど、その悪魔とやらは上級魔法を使うほど強かったのか?」
「ああ、火の上級魔法『煉獄』を使ってきたぐらいだからな早々に決着を付けなくては此方が不利になると思ったのでな」
「そうかご苦労だったな。カナリッジ軍については撤退したということでいいのだな?」
「偵察隊の報告によれば敵本陣を見つけそこでは慌ただしく撤退の準備をしていたそうだ。再度進軍してくる事はないと思ったが、私がここに来る前に一応警戒を強めておくよう指示は出してあるから大丈夫だとは思うがな」
侯爵は報告を聞く顎髭を触りながらマリベルに視線を移している。
視線を向けられたマリベルが軽く眼鏡を持ち上げると口を開く。
「報告ご苦労様です。一つ質問なのですがその悪魔を呼び出したローブの者達はどういったものかご存知ですか? カナリッジが仕掛けてきたものなのか或いは別の国が関わっているのかとか色々考えられるのですが」
「ふむ、具体的な事まではわからんな。フードを深く被っていたし悪魔との戦闘に竜巻の事や指示出しなどで忙しく確認する暇もなかった」
「わかりました。それではロマーリア将軍の主観でいいので意見を聞かせてもらえますか?」
「主観か……私の意見ということなら恐らく他国が介入しているかカナリッジ内部の反乱分子共の仕業と考えてはいるがどっちにしろこの先、また同じことがあるかもしれないとだけは言えるな。それと話は変わるんだがこの後、例のダンジョンの調査に早々行っていいんだろう?」
主観で意見をマリベルに述べると手元の資料へ書き込み始めた。
マリベルから侯爵へ視線を移すとダンジョンについて問いかける。
「ふむ、早々ですまんがそうしてくれると助かる。マリベル、ロマーリアへ侯爵に持たせる便箋の用意を頼む」
「畏まりました」
マリベルは便箋の用意をする為に一端執務室から退出して行った。
この部屋に残るのは侯爵と私だけになった。
先に口を開いたのは侯爵だった。
「ロマーリア、ダンジョンの調査とは別に頼み事があるのだが……ダンジョンマスターに会ったら今度は儂が直接会う旨の約束を取り付けて欲しいのだが頼めるか?」
「うむ、侯爵直々に会うのか……まあダンジョンマスターに会えたら交渉して見よう」
「助かる」
後方から扉をノックする音が聞こえ侯爵が入室の許可を出すとマリベルが入って来た。
手には質のいい紙と包みを持っている。
マリベルは手元の便箋を侯爵へ渡すした。
机に置かれているペンを取りスラスラと便箋へ書き込んでいく侯爵。
程なくして便箋を包むと封した上から封蝋をした。
「ロマーリアこれをルネス卿に渡してくれ。色々便を図るよう書いておいたから厄介事には巻き込まれないだろうがな」
受け取った手紙をマリベルへと渡し封筒の上から更に布で包んでもらってから懐にしまう。
「了解した。ならそうそう私はルネス侯爵の下へ出発する準備を整えるとするか。明日には出立するとしよう」
それから軽く挨拶を交わした後、自室へ戻り専属のメイドを複数連れ荷物を運び入れると今度は長旅の準備をし始める。
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