ダンジョンマスターは、最強を目指すそうですよ？

4章 交渉編

73話 特別ガチャチケットを引いてみました

　あれから暫く話をした後、眠そうにしていたミリアをベッドへ向かわせた。
　その際、ロマーリアと同じベッドは嫌だとかごねていたが、そこは大人しく言う事を聞いてもらった。

　そんなあたしは現在、イベントの真っ最中でミリアとロマーリアのお陰で百回分のDPを稼ぎ、只今消化中である。
　常設ガチャからは、レア度の低いアイテムたちが排出されてくが、専用ガチャはなかなかよさげな物が出てくる。
　最高レア度の創世の杖を手に入れてからはというと、特別ガチャチケットを一枚獲得したくらいで、それ以外はめぼしいアイテムは排出されていない。
　そして既定の百回を回し終え暫し休憩した後、特別ガチャを回してみることにした。

　特別ガチャチケットは現在三枚あるのでスキルは三つ、確保したことになる。
　チケットで獲得できるスキルだが、どんな内容のダンジョンスキルなのか今一想像がしずらい。

「まあ、物は試しに引いてみますか」

　イベント画面下部に専用ガチャと並ぶ形で特別ガチャのボタンはあり、ボタン下には現在のチケット数、三が表示されている。
　早速、ボタンをタップすると演出が始まった。
　通常のカードが裏返る演出とは異なり、チケットに光が集まり燃え上がりながら一枚の黒いカードが現れた。

【『強欲』を獲得しました】

　一つ目のダンジョンスキルは、『強欲』と七つの大罪シリーズのスキルを手に入れた。
　画面を切り替えて詳細を確認しにいくと、スキルの効果は『ダンジョン内における魔物のステータスを三倍、召喚速度を半減する』という内容だった。

（なるほど、一長一短のスキルかぁ使いどころが難しいかもね）

　効果時間は二時間で、再使用には一日掛かるとのこと。

（よし、二回目いってみよぉ！）

　ボタンを再びタップして燃え上がる演出の後、黒いカードが出てきた。

【『色欲』を獲得しました】

　今回のスキル『色欲』は、『ダンジョン内における魔物の繁殖速度が三倍、活性頻度を半減する』というスキルだった。
　続いて三回目は少し変わった演出で燃え上がった後、出現したのは白いカード。

【『正義』を獲得しました】

　大罪は黒、美徳は白とカードの色が違うらしい。
　獲得した『正義』だが内容は『ダンジョン内における魔物の活性頻度を倍にする』らしく、デメリットがない点が使いやすい。
　大罪シリーズと比べると効果は小さいがデメリットがないので気軽に使え、逆に効果は大きいがデメリットがある大罪シリーズは、使いどころを選ばないと惨事が起こりそうだ。
　と言っても二つのシリーズの持続時間は二時間で再使用は一日と、他のダンジョンスキルに比べれば気軽に使える。

「ほうほう、大罪と美徳は他のダンジョンスキルより回りが良さそうだから、後一つ二つ欲しいところ」

　そう考えたがこれ以上ガチャを引くのは精神衛生上良くない気がしてきた。
　それにあまりDPを使い過ぎるのは、何かあった時に対応できなくなる恐れもあるので最低でも数万は残しておきたいところだ。

（だけどなースキルも欲しいし、もしかしたらレア度が高いアイテムとか出たりして……）

　ここに来てガチャの誘惑に惑わされた始め、常設ガチャを回した。


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　翌朝、といってもダンジョン内は特に変わった様子はないのだが、時刻を確認すると早朝と言っていい時間帯だ。
　ミリアがベッドへ向かってから、数万を残して常設ガチャを回せるだけ回して、イベントポイントを稼ぐ。
　その稼いだポイントで専用ガチャを回すと、幾つか良いアイテムが手に入った。

　まず始めに『大影剣ホルストラ』という大剣で、見た目は大剣と言うには細く、真っ直ぐ伸びた黒い刀身、飾り気のない武器ではあるがその真価は能力にある。
　長剣より長い刀身だが『重量極軽減』という能力がついているお陰で、羽でも持っているかのように軽い。
　それ以外には『認識阻害』『潜伏時気配無効』『装備時速度極up』『相対時攻撃極down』『奇襲時攻撃極up』『隠密の極み』『幻影』など忍者のようなスキル構成だ。
　この大剣を手に入れた時、ロマーリアへのお土産にしようと思った。

　次に『黒塵丸』と呼ばれる刀で、入手した際思わずはしゃいで振り回したのは言うまでもない。
　見た目は普通の刀で握りの部分が黒く、刀身は銀色に輝き如何にも切れそうだった。
　能力自体はそこまで強いと思えるほどではないが固有能力に『塵繋ぎ』というものがあり、魔力を通すと一時的に刀身が塵になるらしく、変わり種で面白い武器だ。

　武器以外に『マロウのランプ』という魔道具は、魔力を流すことで甘い蜜を出すことができ、『装飾品‐月‐』は広域エリアの気候を夜に出来る装飾品などが手に入った。

「ふぅーこれだけ回して特別ガチャチケット一枚とは、なかなかに渋いわね」

　ソファーにもたれながら紅茶を一口飲み一服すると、先ほど手に入れたアイテムたちを眺めていく。