84 / 128
4章 交渉編
82話 魔王様は半端なかったです
しおりを挟む
目の前には虹色の巨大な魔法陣が回りながらサイズを縮め、召喚時の独特な黒い物体が魔法陣の中心から伸びていく。
黒い物体は標準の大きさで止まり、次第に人の姿が見え隠れし始める。
今回は今までより少々時間が掛かっており、その分期待も大きい。
それからあちこち突起のようなものが幾つか付いた後、召喚が完了した。
魔法陣から召喚されたのは、燃えるような赤い髪に黒い瞳、赤黒いローブ着込んだ女だった。
「我を召喚したのは貴様か?」
ものすごく高圧的な態度に思わずたじろいでいると赤髪の女に逸早く反応したのはスラリンだった。
(ご主人様に無礼な態度を取るとはいい度胸です~私が懲らしめてやるです~)
「ふん、スライムか……」
(その態度は何です~成敗してくれるです~)
「やれるものならやってみろ!」
王種のチケットから召喚された赤髪の女が挑発的する様に言い放ち、挑発に乗ったスラリンが凄まじい速度で鞭のように触手をしならせた。
女は体をずらして回避して見せスラリンは複数の触手を伸ばし目に留まらぬ速さで連打していく。
「所詮スライムと言えどこの程度ということだ」
(むむぅ~何で攻撃が当たらないです?)
「そんな事も分からないのか? 程度が知れるな!」
何だかよくわかんないが取り敢えず召喚主として名前を聞かないといけない気がしたが、鞭のようにしなる触手が飛び交う状況では無理そうだ。
暫しふたりの攻防が続いた後、お互い膠着状態になったのこの隙に質問することにした。
「お取込み中悪いんだけど、種族と名前を教えてくれる?」
「貴様が知る必要はない!」
即答してきた女にかなりイラッときたがここは我慢だ。
冷静に相手へ分かるように説得を開始した。
「そう言うけどさぁ、これでも召喚主だし今後仲間になるもの同士、名前がわからないのは不便だと思うんだよね?」
「我はお主なぞ召喚主として認めてはおらん。退屈な日常に刺激を求めたに過ぎん。それでも尚、言い張るならば証明して見せよ! ……力ずくでなぁあ!!」
下手に出て相手へ問いかけたつもりだったのだが思いもよらぬ方向へと話が流れてしまった。
女は右手の赤いロングソードを構え勢いよく突っ込んで来た。
慌てて反撃しようにも何も武器を持っていないことを気づくが一足遅かったようだ。
「ふん、口ほどにもない奴だな!」
真上に持ち上げた剣を振り下げる動きがスローモーションのように感じて『ここでお終いか』っと思った瞬間、剣が弾かれた。
「猪口才なスライムめ……しっ!」
どうやら振り下げられた剣を弾いたのはスラリンらしく、追撃をさせない為に触手を激しく動かし相手との距離を開ける。
それでも右手に持つ剣には敵わず、触手を切り飛ばしながら着実に間合いを詰めてくる。
急いで画面を操作し武器がないか調べ、これまで手に入れたアイテムが一覧で表示され素早くスクロールしていく。
「素材じゃなくて、雑貨でもなくて、武器発見!! ……長剣に短剣、他には……あったこれだ!!」
武器の一覧をスクロールして使えそうな物がないか探していると杖の欄に『創世の杖メデュク』を発見した。
赤髪の女は出鱈目な動きで目の前に迫っており、焦る気持ちを抑えながら杖を取り出す。
背丈より長いため取り出すときに一瞬ふらつくが両手で持ち何とかバランスを取る。
「なっ!? その武器はメデュク!?」
杖を取り出したと同時に間合いを大きく開けた赤髪の女は次の瞬間驚きの表情をした。
その表情からは信じられないものを見たような過剰な反応を見せる。
(おっ! やっぱりこの杖は凄いみたいね。それに何だかこの杖を知っている様子だし、取り敢えずはこれで退いてくれればいいんだけど)
女は構えていた剣を下すと真剣な様子で問いかけてきた。
「お主、その杖を何処で手に入れた?」
杖の入手先が気になるようでガチャから手に入れたというわけにもいかず、誤魔化す理由を探した。
「まあ詳しくは言えないけど、とある伝手でね」
「そうか…………神杖を持つ者とは知らず数々の無礼、失礼した!!」
「えっ!!」
杖を持っていることで許されたらしくそれどころか潔く頭を下げくる赤髪の女。
余りの出来事に間抜けな声が出てしまったが、気を取り直して始めから質問をすることにした。
「ま、まあ今回は許す。その代り今後あたしの力になって欲しい」
「うむ、よかろう。神杖の持ち主なら仕えるに相応しい。今後困った事があったら我に言うといい、ある程度の事は何でもできるからな」
「う、うんわかった。それと名前があったら教えて欲しい、それと種族もね!」
「そう言えば名乗っていなかったな。名はエスタというよろしく頼む。それと種族は魔王だな」
名前はエスタというらしく燃えるような赤い髪が特徴的で覚えやすかった。
それと種族についてだが、魔王種だそうだ。
(魔王って種族なのかなぁ? あっ! 王種ってまさか魔王種ってこと!?)
王種のチケットを使ってまさか魔王が出てくるとは思わなかった。
(それにしても、魔王ってどうなの……)
暫くの間、あたしの頭の中は魔王エスタの事でいっぱいだった。
黒い物体は標準の大きさで止まり、次第に人の姿が見え隠れし始める。
今回は今までより少々時間が掛かっており、その分期待も大きい。
それからあちこち突起のようなものが幾つか付いた後、召喚が完了した。
魔法陣から召喚されたのは、燃えるような赤い髪に黒い瞳、赤黒いローブ着込んだ女だった。
「我を召喚したのは貴様か?」
ものすごく高圧的な態度に思わずたじろいでいると赤髪の女に逸早く反応したのはスラリンだった。
(ご主人様に無礼な態度を取るとはいい度胸です~私が懲らしめてやるです~)
「ふん、スライムか……」
(その態度は何です~成敗してくれるです~)
「やれるものならやってみろ!」
王種のチケットから召喚された赤髪の女が挑発的する様に言い放ち、挑発に乗ったスラリンが凄まじい速度で鞭のように触手をしならせた。
女は体をずらして回避して見せスラリンは複数の触手を伸ばし目に留まらぬ速さで連打していく。
「所詮スライムと言えどこの程度ということだ」
(むむぅ~何で攻撃が当たらないです?)
「そんな事も分からないのか? 程度が知れるな!」
何だかよくわかんないが取り敢えず召喚主として名前を聞かないといけない気がしたが、鞭のようにしなる触手が飛び交う状況では無理そうだ。
暫しふたりの攻防が続いた後、お互い膠着状態になったのこの隙に質問することにした。
「お取込み中悪いんだけど、種族と名前を教えてくれる?」
「貴様が知る必要はない!」
即答してきた女にかなりイラッときたがここは我慢だ。
冷静に相手へ分かるように説得を開始した。
「そう言うけどさぁ、これでも召喚主だし今後仲間になるもの同士、名前がわからないのは不便だと思うんだよね?」
「我はお主なぞ召喚主として認めてはおらん。退屈な日常に刺激を求めたに過ぎん。それでも尚、言い張るならば証明して見せよ! ……力ずくでなぁあ!!」
下手に出て相手へ問いかけたつもりだったのだが思いもよらぬ方向へと話が流れてしまった。
女は右手の赤いロングソードを構え勢いよく突っ込んで来た。
慌てて反撃しようにも何も武器を持っていないことを気づくが一足遅かったようだ。
「ふん、口ほどにもない奴だな!」
真上に持ち上げた剣を振り下げる動きがスローモーションのように感じて『ここでお終いか』っと思った瞬間、剣が弾かれた。
「猪口才なスライムめ……しっ!」
どうやら振り下げられた剣を弾いたのはスラリンらしく、追撃をさせない為に触手を激しく動かし相手との距離を開ける。
それでも右手に持つ剣には敵わず、触手を切り飛ばしながら着実に間合いを詰めてくる。
急いで画面を操作し武器がないか調べ、これまで手に入れたアイテムが一覧で表示され素早くスクロールしていく。
「素材じゃなくて、雑貨でもなくて、武器発見!! ……長剣に短剣、他には……あったこれだ!!」
武器の一覧をスクロールして使えそうな物がないか探していると杖の欄に『創世の杖メデュク』を発見した。
赤髪の女は出鱈目な動きで目の前に迫っており、焦る気持ちを抑えながら杖を取り出す。
背丈より長いため取り出すときに一瞬ふらつくが両手で持ち何とかバランスを取る。
「なっ!? その武器はメデュク!?」
杖を取り出したと同時に間合いを大きく開けた赤髪の女は次の瞬間驚きの表情をした。
その表情からは信じられないものを見たような過剰な反応を見せる。
(おっ! やっぱりこの杖は凄いみたいね。それに何だかこの杖を知っている様子だし、取り敢えずはこれで退いてくれればいいんだけど)
女は構えていた剣を下すと真剣な様子で問いかけてきた。
「お主、その杖を何処で手に入れた?」
杖の入手先が気になるようでガチャから手に入れたというわけにもいかず、誤魔化す理由を探した。
「まあ詳しくは言えないけど、とある伝手でね」
「そうか…………神杖を持つ者とは知らず数々の無礼、失礼した!!」
「えっ!!」
杖を持っていることで許されたらしくそれどころか潔く頭を下げくる赤髪の女。
余りの出来事に間抜けな声が出てしまったが、気を取り直して始めから質問をすることにした。
「ま、まあ今回は許す。その代り今後あたしの力になって欲しい」
「うむ、よかろう。神杖の持ち主なら仕えるに相応しい。今後困った事があったら我に言うといい、ある程度の事は何でもできるからな」
「う、うんわかった。それと名前があったら教えて欲しい、それと種族もね!」
「そう言えば名乗っていなかったな。名はエスタというよろしく頼む。それと種族は魔王だな」
名前はエスタというらしく燃えるような赤い髪が特徴的で覚えやすかった。
それと種族についてだが、魔王種だそうだ。
(魔王って種族なのかなぁ? あっ! 王種ってまさか魔王種ってこと!?)
王種のチケットを使ってまさか魔王が出てくるとは思わなかった。
(それにしても、魔王ってどうなの……)
暫くの間、あたしの頭の中は魔王エスタの事でいっぱいだった。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
705
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる