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エピローグ(1)
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講義が終わると伸はダウンジャケットをはおり、キャンパスを出た。力が入らない。
俺も年かな?そんなことを思いながら、クリスマスイルミネーションに彩られた街並みを歩く。昨日抱いた菜穂の肢体が脳裏に焼きついて離れない。喘ぎ声はいつまでも耳にリフレインしている。無性に喉が渇いてくる。
初めて会った時はまだ少女の面影を残した無垢な顔。はじけるような華やいだ笑顔が、時おり大人の表情を見せはじめ、やがて身体から匂いたつように女の色香が漂ってきた。研究室で二人きりになるとむせかえる香りでコーヒーをがぶ飲みしたものだ。
ピンク頭の友人と菜穂が並んで歩いていると、男性陣が視線を注ぎ、中には振り返る者までいる。本人たちは気づかない。
何を考え、何を経験し、今ある地点まできたのだろう。伸の与り知らない苦悩や喜びが蛹から蝶に変態させていく。たった今羽化したばかりの瑞々しい翅を広げ、飛び立とうとしている。
ずっと迷ってた。口説くなら卒業してからだろうなとか、ご縁があれば親密になれるかもとか。
数年の時は容赦なく流れていった。
カフェで菜穂に声をかけられ、飲みに行くことにした。口説くか口説くまいか。本能と理性の振り子が不規則に揺れる。何度か引き返そうとしたが、無理だった。泣きじゃくった顔を見た時、もう理性の糸は吹っ飛んだ。
欲しい、たまらなく欲しい。こみあげてくる情欲の流れが氾濫し、その手を取り、力いっぱい抱きしめ、骨の髄までしゃぶりたくなった。
俺は捕食者になるのか、養分として吸われるのか。それとも‥‥。あえて厳しい言い方で突き放してしまったが、これが自分の愛し方だ。これも有りだと思えなければ、たとえつきあったとしても早晩破局するだろう。
いずれにしても菜穂しだいだ。ワンナイトラブに終わるか‥‥。あ、もう1回くらい抱きたいけど。
ふと思いついて伸はジュエリーショップに立ち寄った。
(昨日はありがとうございました。クリスマスイブのご予定はもう決まってますか?)
シャワーを浴び、リビングでくつろいでいると、菜穂からLINEがあった。こんなに早く連絡がくるとは思わなかった。
これは期待できるかな。
だが、と思う。菜穂は何事につけリアクションが早い。返事ができない時は都度状況を知らせる。
『これこれ、こういう状態なので、待ってもらえますか』
相手の時間に真摯に向き合い、納得できるまで湯気を沸かしながら考える。駆け引きもなければ損得勘定も保身もない。その愚直なまでの律儀さが菜穂の真骨頂だ。
こと恋愛においては、年齢を重ねるとずるくなる。若気の至りと言い訳できないから、手練手管を駆使したり、自己防衛に走る。
大人のくせに。大人げない。
でもね、大人だって傷つく。そんな弱さも認められないってのはエイジハラスメントじゃないのか。
そうして人は憶病になっていく。若い頃に刷り込まれた『恋は若者の特権』に自ら縛られて身動きできなくなる。純粋に相手を想う気持ちに年齢は関係ないのに。
ああ、でもクリスマスデートなら、やっぱり期待してもいいのか。伸は下腹部に熱いものを感じた。
(デートしてくれるのかな。嬉しいね)
すぐ既読になったかと思うと、『嬉しい』を表現したスタンプが送信されてきた。
(それで相談なのですが、クリスマスは混むし、今から予約も取れそうもないし‥‥差し支えなければ先生のうちに行きたいのですが)
(いいよ。掃除しておく)
声が聞きたくなり、電話をかけた。より焦がれることはわかっていたが。
「えっ、もしもし。びっくりしたー」
「声が聞きたくなってね」
「‥‥」
「あれ、嬉しくなかった?怒ってる?」
忘れていた。電話は沈黙されると気まずいことを。焦りをおぼえ気持ちを確認してしまう。ずいぶん余裕をなくしたものだ。
「いえ、ドキドキしちゃって」
憎まれ口も可愛いが、耳まで赤くなってる菜穂を想像しただけで愛おしくなる。
「驚くなかれ、俺もだ」
「えっ?‥‥‥」
「当日は昼ぐらいの待ち合わせで、駅まで迎えに行くので、到着する時間がわかったら連絡してくれ。ワインとシャンパン、チキンを用意しておくから、他に食べたいものがあれば持ってきてくれ」
「はい!」
具体的な内容だとレスは早い。
「あと、翌日もあけとくように」
「‥‥‥」
「だめかな?」
すでに予定があるのだろうか。本命とのデートとか。背筋に冷や汗が流れる。
「あ、どうせなら翌々日もあけといてください!合宿です!」
「‥‥‥」
こちらが言葉に窮した。
「‥‥ダメですか?」
消え入りそうな声に伸は破顔した。「いいだろう。覚悟しておくように」
ハンディタイプのホコリ取りで本棚の本の背表紙をぬぐう。今年は学生を呼ぶイベントもなかったので、本気の掃除はご無沙汰だ。今やっておけば年末の大掃除は不要だろう。
書斎、リビングの片づけを2時間やったところでギブアップ。キッチンをしばらく見つめた後、ハウスクリーニングに電話した。
駅前で待っていると、予定の電車が線路に進入してきた。人の流れが落ち着いた頃、コロコロバッグを引きずる菜穂の姿が目に入った。バッグに夢中なふりをしてるのか、こちらをまったく見ようとしない。
改札を通り抜けた際に、声をかけた。
照れてるような恥ずかしそうなぎこちない笑顔に、こちらの笑みもこわばってしまう。ハニカミは感染するのか??
「大荷物だね。俺が持つよ。で、旅行にでも行くの?」
「ひっどーい!」
叩こうとした手を掴み、手をつないだ。
あふれんばかりの大音量のクリスマスソングが街を盛り上げている。恋人たちや家族連れの笑みこぼれる姿。
「今日は楽しみだった」
「うん、わたしも」
もじもじとうつむきながら頷く菜穂を早く抱きしめたかった。
玄関に入るとすぐ抱き寄せ、唇を思いきりほおばった。先に抱くか我慢するか。
「先生、」
「ひろむ、」
名前で呼ばせる。菜穂がはにかんだ顔を見せた後、囁くように「伸」といった。
やっぱり、まず抱くか。
「せん、あ、伸、ケーキ買ってきたの。コートも脱ぎたいし、もう」
仕方がないと気持ちを落ち着け、キッチンに案内した。オーブンにはローストチキン。サラダは冷蔵庫。ワインとシャンパンはアクリル素材のクーラーで冷やしてある。すでに飲み頃だ。
「わあ、いい匂い!ケンタッキーじゃないんだ!せん、あ、伸がカーネルサンダースの前で並んでる姿、想像してたんだけど」
「笑っていたのか」
「えっ、そんなことないですぅ。どんな顔してるのかなって」
菜穂はニマニマ笑いながらリビングに料理を運ぶのを手伝っている。
絶対笑っていただろう。
シャンパンを開け、グラスを合わせると、菜穂が「メリークリスマス!」といった。
香りを楽しみ、一口含み、こちらをうかがう。濡れた唇が蠱惑的だ。
「美味しい?」
「うん、すごく美味しい。シャンパンとかって、あんまり飲む機会もないし、時間が経つとアロマが変わるんでしょう。最後の一滴まで楽しめるなんて」
「講釈を垂れる気はないが、グラスの口当たりとか、注いだ時の泡のきめ細かさ、立ち上る気泡を眺めたり、グラスから漂うアロマを嗅いだり、五感すべてを総動員して楽しめるのがいいな。まあ、飲んで、美味しい!!って、気持ちが一番シンプルなんだが」
シャンパンの後はワインを開栓し、料理を平らげる。
「デザートはもうちょっと後にしようか。コーヒーでも飲むか」
「うん、わたしも手伝います」
酔った瞳はキラキラ輝き、唇はサクランボのように熟れている。菜穂はアラン模様のニットのワンピースを暑いといって袖をたくしあげた。
「脱いでもいいよ。ああ、それとも誘っているのかな」
口を尖らす菜穂の腰をひき、「ごめん、ごめん。俺が待ちきれないだけだ。デザートは菜穂だ」
菜穂の甘い唾液を深く味わいながら、ベッドへと誘う。跪き、下着をおろすと膝から太腿に甘噛みしながらキスをした。くぐもった菜穂の声が心地よく響く。
ワンピースをたくしあげ、続いてブラトップを脱がすと、豊満な乳房がぷるんと顔をだした。
「初めにいっとく。俺は菜穂とのセックスを二人でたっぷり愉しみたい。だから、こうして欲しいとか、ああして欲しいとか教えてくれ。じゃないと、俺の都合だけの独りよがりなセックスになっちまう。どんなに淫らでもいいから。どんな菜穂でも好きだから」
伸のシリアスな表情を見て、菜穂はしっかり頷いた。
俺も年かな?そんなことを思いながら、クリスマスイルミネーションに彩られた街並みを歩く。昨日抱いた菜穂の肢体が脳裏に焼きついて離れない。喘ぎ声はいつまでも耳にリフレインしている。無性に喉が渇いてくる。
初めて会った時はまだ少女の面影を残した無垢な顔。はじけるような華やいだ笑顔が、時おり大人の表情を見せはじめ、やがて身体から匂いたつように女の色香が漂ってきた。研究室で二人きりになるとむせかえる香りでコーヒーをがぶ飲みしたものだ。
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何を考え、何を経験し、今ある地点まできたのだろう。伸の与り知らない苦悩や喜びが蛹から蝶に変態させていく。たった今羽化したばかりの瑞々しい翅を広げ、飛び立とうとしている。
ずっと迷ってた。口説くなら卒業してからだろうなとか、ご縁があれば親密になれるかもとか。
数年の時は容赦なく流れていった。
カフェで菜穂に声をかけられ、飲みに行くことにした。口説くか口説くまいか。本能と理性の振り子が不規則に揺れる。何度か引き返そうとしたが、無理だった。泣きじゃくった顔を見た時、もう理性の糸は吹っ飛んだ。
欲しい、たまらなく欲しい。こみあげてくる情欲の流れが氾濫し、その手を取り、力いっぱい抱きしめ、骨の髄までしゃぶりたくなった。
俺は捕食者になるのか、養分として吸われるのか。それとも‥‥。あえて厳しい言い方で突き放してしまったが、これが自分の愛し方だ。これも有りだと思えなければ、たとえつきあったとしても早晩破局するだろう。
いずれにしても菜穂しだいだ。ワンナイトラブに終わるか‥‥。あ、もう1回くらい抱きたいけど。
ふと思いついて伸はジュエリーショップに立ち寄った。
(昨日はありがとうございました。クリスマスイブのご予定はもう決まってますか?)
シャワーを浴び、リビングでくつろいでいると、菜穂からLINEがあった。こんなに早く連絡がくるとは思わなかった。
これは期待できるかな。
だが、と思う。菜穂は何事につけリアクションが早い。返事ができない時は都度状況を知らせる。
『これこれ、こういう状態なので、待ってもらえますか』
相手の時間に真摯に向き合い、納得できるまで湯気を沸かしながら考える。駆け引きもなければ損得勘定も保身もない。その愚直なまでの律儀さが菜穂の真骨頂だ。
こと恋愛においては、年齢を重ねるとずるくなる。若気の至りと言い訳できないから、手練手管を駆使したり、自己防衛に走る。
大人のくせに。大人げない。
でもね、大人だって傷つく。そんな弱さも認められないってのはエイジハラスメントじゃないのか。
そうして人は憶病になっていく。若い頃に刷り込まれた『恋は若者の特権』に自ら縛られて身動きできなくなる。純粋に相手を想う気持ちに年齢は関係ないのに。
ああ、でもクリスマスデートなら、やっぱり期待してもいいのか。伸は下腹部に熱いものを感じた。
(デートしてくれるのかな。嬉しいね)
すぐ既読になったかと思うと、『嬉しい』を表現したスタンプが送信されてきた。
(それで相談なのですが、クリスマスは混むし、今から予約も取れそうもないし‥‥差し支えなければ先生のうちに行きたいのですが)
(いいよ。掃除しておく)
声が聞きたくなり、電話をかけた。より焦がれることはわかっていたが。
「えっ、もしもし。びっくりしたー」
「声が聞きたくなってね」
「‥‥」
「あれ、嬉しくなかった?怒ってる?」
忘れていた。電話は沈黙されると気まずいことを。焦りをおぼえ気持ちを確認してしまう。ずいぶん余裕をなくしたものだ。
「いえ、ドキドキしちゃって」
憎まれ口も可愛いが、耳まで赤くなってる菜穂を想像しただけで愛おしくなる。
「驚くなかれ、俺もだ」
「えっ?‥‥‥」
「当日は昼ぐらいの待ち合わせで、駅まで迎えに行くので、到着する時間がわかったら連絡してくれ。ワインとシャンパン、チキンを用意しておくから、他に食べたいものがあれば持ってきてくれ」
「はい!」
具体的な内容だとレスは早い。
「あと、翌日もあけとくように」
「‥‥‥」
「だめかな?」
すでに予定があるのだろうか。本命とのデートとか。背筋に冷や汗が流れる。
「あ、どうせなら翌々日もあけといてください!合宿です!」
「‥‥‥」
こちらが言葉に窮した。
「‥‥ダメですか?」
消え入りそうな声に伸は破顔した。「いいだろう。覚悟しておくように」
ハンディタイプのホコリ取りで本棚の本の背表紙をぬぐう。今年は学生を呼ぶイベントもなかったので、本気の掃除はご無沙汰だ。今やっておけば年末の大掃除は不要だろう。
書斎、リビングの片づけを2時間やったところでギブアップ。キッチンをしばらく見つめた後、ハウスクリーニングに電話した。
駅前で待っていると、予定の電車が線路に進入してきた。人の流れが落ち着いた頃、コロコロバッグを引きずる菜穂の姿が目に入った。バッグに夢中なふりをしてるのか、こちらをまったく見ようとしない。
改札を通り抜けた際に、声をかけた。
照れてるような恥ずかしそうなぎこちない笑顔に、こちらの笑みもこわばってしまう。ハニカミは感染するのか??
「大荷物だね。俺が持つよ。で、旅行にでも行くの?」
「ひっどーい!」
叩こうとした手を掴み、手をつないだ。
あふれんばかりの大音量のクリスマスソングが街を盛り上げている。恋人たちや家族連れの笑みこぼれる姿。
「今日は楽しみだった」
「うん、わたしも」
もじもじとうつむきながら頷く菜穂を早く抱きしめたかった。
玄関に入るとすぐ抱き寄せ、唇を思いきりほおばった。先に抱くか我慢するか。
「先生、」
「ひろむ、」
名前で呼ばせる。菜穂がはにかんだ顔を見せた後、囁くように「伸」といった。
やっぱり、まず抱くか。
「せん、あ、伸、ケーキ買ってきたの。コートも脱ぎたいし、もう」
仕方がないと気持ちを落ち着け、キッチンに案内した。オーブンにはローストチキン。サラダは冷蔵庫。ワインとシャンパンはアクリル素材のクーラーで冷やしてある。すでに飲み頃だ。
「わあ、いい匂い!ケンタッキーじゃないんだ!せん、あ、伸がカーネルサンダースの前で並んでる姿、想像してたんだけど」
「笑っていたのか」
「えっ、そんなことないですぅ。どんな顔してるのかなって」
菜穂はニマニマ笑いながらリビングに料理を運ぶのを手伝っている。
絶対笑っていただろう。
シャンパンを開け、グラスを合わせると、菜穂が「メリークリスマス!」といった。
香りを楽しみ、一口含み、こちらをうかがう。濡れた唇が蠱惑的だ。
「美味しい?」
「うん、すごく美味しい。シャンパンとかって、あんまり飲む機会もないし、時間が経つとアロマが変わるんでしょう。最後の一滴まで楽しめるなんて」
「講釈を垂れる気はないが、グラスの口当たりとか、注いだ時の泡のきめ細かさ、立ち上る気泡を眺めたり、グラスから漂うアロマを嗅いだり、五感すべてを総動員して楽しめるのがいいな。まあ、飲んで、美味しい!!って、気持ちが一番シンプルなんだが」
シャンパンの後はワインを開栓し、料理を平らげる。
「デザートはもうちょっと後にしようか。コーヒーでも飲むか」
「うん、わたしも手伝います」
酔った瞳はキラキラ輝き、唇はサクランボのように熟れている。菜穂はアラン模様のニットのワンピースを暑いといって袖をたくしあげた。
「脱いでもいいよ。ああ、それとも誘っているのかな」
口を尖らす菜穂の腰をひき、「ごめん、ごめん。俺が待ちきれないだけだ。デザートは菜穂だ」
菜穂の甘い唾液を深く味わいながら、ベッドへと誘う。跪き、下着をおろすと膝から太腿に甘噛みしながらキスをした。くぐもった菜穂の声が心地よく響く。
ワンピースをたくしあげ、続いてブラトップを脱がすと、豊満な乳房がぷるんと顔をだした。
「初めにいっとく。俺は菜穂とのセックスを二人でたっぷり愉しみたい。だから、こうして欲しいとか、ああして欲しいとか教えてくれ。じゃないと、俺の都合だけの独りよがりなセックスになっちまう。どんなに淫らでもいいから。どんな菜穂でも好きだから」
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