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4話:*生存……確定?
しおりを挟む敏感になっている蕾を躊躇いなく口に含む。まるで飴菓子を舐めるみたいに舌先で転がされて、あまりの刺激の強さにステラは身を捩った。
「あああっ、だめ、そこはだめ……! 先輩、おねがい、やめて……っ」
抗議する間もなくまたしても手首を取られて、石に縫い付けられた。抵抗する気力は残っていなくて、ただひたすら気持ちいいだけの愛撫に喘ぐことしかできない。
だんだんと下腹部と腰のあたりに快感が膨らんでいくのを感じた。ぶるぶると太ももが勝手に震え始める。
――絶頂に抗いたい。あんな気持ちいいの、頭がバカになっちゃう。
やめさせようともがくが、逆に押さえこまれてしまって、快感を逃せない。
「だめ、だめ、さっきのがきちゃうから」
「イクときは言うんだぞ」
「やぁ、……っ!」
蜜がとろとろと溢れ出ている場所に、突然、指が侵入してきた。抜き差しされるたびにくちゅくちゅと聞いたことのないいやらしい音が響きわたる。それが鼓膜を刺激して、いたたまれない気持ちになった。こんな風に乱れることになるなんて、自分の身体じゃないみたいだ。
「ひあっ!?」
蕾のちょうど内側を撫で上げられて、喉がのけぞる。
「あ、あ! あっ……~~~……ッ!」
そのまま激しく追い詰められて、声も出せずに二度目の絶頂を迎えた。
びくびくと震える身体を宥めるように、ヴィルフリートの熱い手がステラの肌をゆっくりと撫でる。
「ステラ、息をして」
「あ……っ、せん、ぱ」
あえぐように息を吸う。圧倒的に酸素が足りない、苦しい。まだ身体の火照りはおさまらない。それどころか、達するたびにどんどん腹の奥が熱く疼いて仕方ない。
「可愛いな」
ステラの頬を撫でていたヴィルフリートが、ぽつりとつぶやいた。
「……っ、え……? かわ……っ……? 先輩?」
「可愛い、ステラ。……バカは俺だ。これは――君を信じなかった罰だな」
「な、何の話……」
「こんな形で君と繋がることになるなんて……でも、君の命を助けるためなら、なんてことはない」
ヴィルフリートがスラックスの前を寛げて、自身の昂ったそれを取り出した。血管の筋が浮き出るほど滾っているそれは痛々しいぐらいに張り詰めている。初めて見る男性の象徴のあまりの猛々しさに、ステラは生唾を飲み込んだ。
(これが、私の中に入るっていうの……? 怖い……)
くちゅりと、熱くて硬い先端がぬかるみに押し当てられて、ステラの身体が大袈裟に震えた。思わずヴィルフリートの身体にしがみつく。
「……大丈夫。痛いことはしない」
恐怖で震えているのがわかったのか、ステラを安心させるように背中を撫でて、体中にキスの雨を降らせた。
彼の優しさがとても嬉しくて、さっきまで感じていた恐怖が薄らいでいく。それでもまだ安心はできなくて、ヴィルフリートの首に腕を絡めて引き寄せた。
「先輩、怖いから、キスして」
「ん、」
子供のおねだりのような願望も、ヴィルフリートは躊躇いなく叶えてくれる。唇を何度も合わせあって、どちらともなく舌を絡める。キスに夢中になっている間に、ヴィルフリートの腰はどんどん奥深くに沈められていった。
「ふ、ああ、あ……っ」
宣言通り、ゆっくりと推し進めているおかげか、痛くはない。逆に、ヴィルフリートが中に入ってくるたびに、甘い刺激がぞくぞくと腰を震わせて、その我慢ならないほどの快感にステラは身を悶えさせた。
「は、あ……。全部、入った」
「あ、先輩……」
「馴染むまで、もうちょっと、このままな」
そう言って、ヴィルフリートがステラの唇を食んだ。舌先がいやらしい動きで舌を弄ぶ。
「ふ、ん、ンっ」
ヴィルフリートに翻弄されているのに、ステラの心の中は多幸感であふれていた。幸せだ。幸せ過ぎる。
ずっとずっと想い続けていた人に抱かれている。ずっとずっと好きだった人が、自分の中に昂りを埋めている。
(いつ死んでもいい……)
この幸せを感じながら逝けるなら、最高の終幕ではないだろうか。死因は……どうあれ。
「せんぱい、好きです」
「ああ。俺も好きだよ」
「……は、――ン……ッ!?」
俺も好きだよ。
この一言について追及しようと思ったのに、ヴィルフリートはそれを許してくれなかった。思いっきり腰をグラインドさせたかと思うと、容赦なく腰を打ち付けてきたのだ。
バチバチと頭の上で火花が散ったような感覚に襲われて、時間差で絶頂に追い込まれたのだと理解する。ナカがひくひくと蠢いて、ヴィルフリートの熱に絡みついたのが自分でもわかった。
「……ッ、ステラ、イくときは教えろって言っただろ」
「う、ァ……ッ、む、い、むりぃ……ッ」
胸や敏感な蕾をいじくられて達した時よりも、もっとずっと深い快感だ。気持ちいいのがずっと続いていて、なかなか戻ってこられない。それなのにヴィルフリートは容赦なく追い込んでくるのだから質が悪い。
ぱちゅぱちゅと水音を響かせながら、熱塊の抽挿が絶え間なく快感を生んで、何度もステラを追い込んだ。
「あ、あ"! あッ! あああ……っ!」
「は、あ、ステラ。可愛い、俺のステラ。君を疑った俺が悪かった。だから死なないでくれ」
「んぅううっ!」
絶頂の悲鳴がヴィルフリートに食べられる。同時に、中でドクンと何かが爆ぜた感じがして、ステラは身体をこわばらせた。
迸る熱が下腹部を覆いつくしていく。
(あ……先輩のが出てるんだ……)
ヴィルフリートも達したのだと理解した瞬間、異様なほどの身体の火照りがすうっとなくなって、呪いから解放されたのだと直感で気が付いた。
「……消えたな」
ヴィルフリートがぼそりと呟いたのが聞こえてきて、直感が確信に変わる。
のろのろと視線を上げた先には、穏やかな表情で優しく頭を撫でてくれているヴィルフリートがいた。
――あの時の顔だ。
猫の世話をしていた時と、同じ表情。ずっと自分にも向けて欲しかった、あの表情だ。
(私に、微笑みかけてくれてる……? 先輩は本当に、私のことが好きなの……?)
その場しのぎの〝好き〟じゃなくて……?
騎士の中でも鋼のメンタルを要する王国騎士団の団長であれば、嘘偽りの気持ちを抱くことすら容易だろう。
部下――後輩を助けるためであれば、本気で好きになった〝フリ〟をするのも簡単なのかもしれない。
でも、きっと誰にも見せたことのないであろう表情を自分に向けてくれている。
(ああ、もう、嘘でもなんでもいい。大好きな人に抱かれて、大好きな人に「好きだ」って言ってもらえて、欲しかったものを全部与えてくれた。今日の夜は今までのどの瞬間よりも特別だ)
ずるりと、さっきよりも質量の落ちた熱が白濁を伴いながら抜けていく。
やさしく抱き起されて、大人しくヴィルフリートの胸元にしなだれかかった。
「身体は大丈夫か? どこか変なところはないか?」
「……背中が痛いかも……」
「あ。すまない。そうか、石が……。ああ、赤くなってる。夢中になってて気遣えなかった」
「あ、いえ、自分で治せるので……でも、今はちょっと……休みたいかも……」
落ちてこようとする瞼を必死に持ち上げて、何度も瞬きを繰り返す。このまま眠ってしまって、明日が来ないなんてことになったらどうしよう。そう考えたらおちおち寝ていられない。
そう思うのに、急激な眠気に抗えなくて、でも抗いたくて、ヴィルフリートの背中に腕を回してしがみついた。
「この幸せが終わるなんて嫌だ……」
「大丈夫、終わらないから。ひとまずゆっくり休むといい。今日はずっと一緒にいる」
「先輩……」
額にキスが落ちてくる。期待するように見上げると、にこりと微笑んだヴィルフリートが、望み通り唇にキスをしてくれた。
ステラの記憶は、そこで止まっている。
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