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出会い系という名の「希望的観測博覧会」
しおりを挟む出会いサイトで「会う約束をした相手が別人だった」という話は、もはや怪談ではない。
季節の風物詩であり、現代の民話である。
写真と違う。年齢も違う。体型も違う。
ひどい場合は性格まで違う。
唯一合っているのは「人間である」という点だけだ。
だが、これは詐欺ではない。
希望的観測の衝突事故である。
出会いサイトとは、実物を売る市場ではない。
「なりたかった自分」「まだいけると思っている自分」「一番調子の良かった年の自分」を並べる展示会だ。
本人に悪意はない。ただ記憶が都合よく編集されているだけである。
一方、会う側も会う側だ。
加工写真を見ながら「でも自分だけは例外」と思う。
この時点で、もう負けている。
人はなぜか、自分だけは現実を引き当てると信じている。宝くじと同じ心理構造だ。
さらに泣き面に蜂のように出るのが、「飲み食いだけして消える人」である。
彼らは恋愛詐欺師ではない。
食費最適化の合理主義者だ。
恋は期待できないが、ランチは確定。
恋愛市場がインフレする一方、外食代は容赦なく上がる。
彼らはただ、時代に適応しているだけなのだ。
被害者が減らない理由は単純だ。
誠実な人ほど、誠実さが通じると思っている。
正直な写真、正直なプロフィール、正直な目的。
するとどうなるか。
盛っている人に負ける。
市場はいつだって、誠実より幻想を好む。
これは恋愛に限らない。広告も政治も、全部そうだ。
最大の皮肉はここにある。
出会い系で一番ひどい目に遭うのは、一番まともな人間だ。
期待し、信じ、会いに行き、現実を見て静かに絶望する。
だが人はまた登録する。
なぜなら孤独は、加工写真より手強いからだ。
結論として言おう。
出会いサイトは嘘の巣窟ではない。
人間の「まだ信じたい」という性質が、最も露骨に可視化される場所なのだ。
だから次に会うときは、こう思えばいい。
「これは出会いではない。社会勉強だ」と。
そう思えた瞬間、
あなたはもう、少しだけ賢くなっている。
――そして、たぶんまた登録する(笑)。
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