2 / 25
2話 異世界ですか。
しおりを挟む
これって、「異世界転生」・・・いや、生まれ変わりじゃないんだから、こういう場合は「異世界転移」って言ったほうがいいのだろうか?その定義がよく分からないんだけど。
ショックのあまり、私の精神はなにかを突き抜けてしまったらしい。まるで他人ごとのように現状を分析したりしてる。
そういえば、と、私の頭の中に図書館から借りてきた小説。まだ読みかけだったアレが思い出された。
タイトルは確か・・・
『女子高生の私が異世界で魔法使いになりました。王子様といっしょに魔王を倒します』だったかな?
期待を違えることなくタイトル通りの内容だった。
普通の高校生女子が車にはねられたら、なぜかファンタジー系の異世界にいて、そこでは魔法が使えて、イケメンの王子様といっしょに悪の魔王を倒す旅に出るハメになって。
(途中、王子様に愛の告白をされたりするエピソードもあったり)魔王の城までたどりついたところまで読んで。
そこで睡魔に襲われて最後まで読めなかったのだ。
返す返すも悔やまれる。
あの時、きちんと柴田さんの誘いを断っておけば、今頃は小説を最後まで読み切ってささやかな幸せに浸ってた。
こんな訳の分からない世界で溜息をついていることなどなかったのだ。
は~~っ・・・私ったら、自分が異世界転移(?)しちゃってどうするの。
とか、自分に突っ込みをいれて痛む頭を抱えた。
現実問題。
異世界にきちゃったらそこで生きていかなきゃならないのは物語の常識。動かせない定説だ。
となると、この世界での自分の立ち位置を把握するのが先決。
絵付きの天井といい、シルクかなにかでできたふかふかの寝具といい、(見える範囲の)部屋の豪華なアンティーク家具といい、数人の召使いといい、私はお金持ちのお嬢様らしい。
しかも若くて美少女というハイスペックなオプションつき。
とりあえず、衣食住には困らないみたい。
最低限、それさえあれば現代だって異世界だって生きていける。
へたに農民とか勇者とかに転移しちゃってみ?ここでの知識もなければ武力もない私はすぐにのたれ死にのバッドエンドだ。
それに、乗馬中に馬から落ちて頭を打って記憶障害っていうのも私にはものすごく都合がいい。
おかしな言動をしても不思議に思われないだろうし、わからないことは聞ける。
現代の平凡なOLが異世界で平凡なお嬢様として生きていくくらいなら
「うん、なんとかなるかも」
自分が思ってる以上に楽天家だと再認識した私は、とにかく体力を回復すべく眠りについた。
「おはようございます、レーナ様」
朝の挨拶をしに来た女性を私はぼーっと見ていた。
あきらかに召使いとは違う雰囲気。威厳と言うか、気品というか、私には無縁のものを持っている。
栗色の髪を後ろにまとめ、喪服のように地味な黒いドレスを着ているから、ずいぶん年上に見えるけど、実際は私より少し上かな?っていう感じ。
西洋人の齢ってよくわからないんだけど。
でも、同じ雰囲気を持つ人を知ってるような気がする・・・えっと・・・
あ、そうだ!秘書課の花咲さんだ。花咲さんの雰囲気にそっくり。
私の頭に現実世界での記憶が蘇った。
美人さんだけど人を見下す目をしてた花咲さん。確かに社長秘書だし、有名大学卒だし、無名高校卒の私なんか足元のミミズくらいに思われても当然なんだけど。
まるで、別世界の人間みたいに私には理解不能で、近寄りがたい存在だった花咲さん。
つまり・・・こんな雰囲気の人は私、すっごく苦手ってこと。
「私のことは覚えておいでですか?」女性が丁寧な硬い口調で尋ねた。
覚えてるもなにも初対面だもの。私は無言で首を振る。
「私はサラ・アミゼーラと申します。あなた様付きの侍女をしております」
侍女って、えーと。たしか・・・。乏しい知識の泉をさらってみる。
王族とか貴族に仕えて雑用や身の回りの世話をする女性・・・のことだったよね。
ってことは、もしかして、私ってけっこう身分高いの、かな?
わからないことは、聞いてみよう。
「あの、私って、貴族とかそういう感じですか?」
サラと名乗った女性は、一瞬だけ眉をひそめて私を見つめると、さらに硬さを増した口調で言った。
「レーナ様、あなたはこの国、ローマリウス国の王女です」
・・・・・・・・・・
ごめんなさい、ちょっとよくわからなかったのですが。
というか、耳が拒否しました。
「今・・・なんと?」聞き返すのも怖かったけど、一応確認。
女性はやっぱり硬い口調で
「あなたはこの国、ローマリウス国の王女です」
ええええええ~~~~~!?!?!?
ちょっと、ちょっと待って。なにそれ。
「王女って、アレですよね?なんか、国王の娘、的な?」
ベッドの横に姿勢正しく立っていた女性は顔をしかめて「そんなこともお分かりにならないんですか?」
いや、いや、お分かりになりますよ。王女って言葉のイミくらい。
だけど。だけどね。
私ってショッピングサイトの商品レビューでいえば星が2つ3つくらいの平凡なOLですよ?なんの特殊機能もないのです。
それがいきなり、一国の王女ですって言われても。
とても信じられないというか。信じたくないというか。
「冗談、ですよね?」
一縷の望みを託して、一応は尋ねてみる。
「レーナ・デ・ローマリウス様。あなたはこの国の王、ウラウス・デ・ローマリウス様の第一子。この国の王位継承者です」
女性は刃物のような声音で、私の望みにとどめの一撃を刺してくれた。
お嬢様は気楽な稼業ときたもんだ~~~♪で、のりきれると思ってた私の肩に100tの重圧がかかった。
いや、100tどころじゃないよ?国レベルの重さだよ?
なにこの無理設定。
その後の周囲の人間(おもに召使のおしゃべり)から得た情報によると、私は花も恥じらう17歳で、絵から抜け出たような美少女で、国王のたった一人の娘。
17歳はいいよ、美少女はすごくいい、でも王女は余分、重すぎる。
王位継承者なんて、どうやって対処したらいいの。
とはいえ、現実から逃げていても、事態が変わるわけではないし。
今、私がしなきゃいけないことは、頭から布団をかぶってベッドに埋もれていることじゃない。
この世界で生きていくために、とにかく考えよう。
この異世界、国の情報を集めないと。
世界はどうなってるの?いるのは人類だけ?異世界にはよくある魔力とかも存在する?禁忌はなに?やったらイケナイことは?
ノートがあれば箇条書きしたいくらい次々に疑問が湧いてくる。
私が『王女』ってことは、王政ってことだよね。日本みたいに行政機関は別にあって、皇族は国の象徴とかいうのじゃないよね?
あ。
私は大切なことに気づいた。
王政なら、王様、つまり父親、それと母親。まだココに来て1度も会っていない。
大切な一人娘が昏睡状態から覚めたのに、普通なら親が真っ先に顔を見せるべきではないの?
「お父さん・・・お母さんは」思わず口に出てしまった。
「は?」ベッドの横の椅子に腰をかけ、本を読んでいたサラさんが怪訝そうな険しい表情で私を見た。「今、なんとおっしゃいました?」
私は慌てて言い直した。「お父さまとお母さまは、どうなさってるの?」
言いなれない言葉使いに舌をかみそうだ。これからもずっと高貴系でいかなきゃならないのは現代人の私にはけっこう大変。
などと思っていたら、サラさんが深い溜息をついて、「大切なことをお忘れになっているんですね」
忘れているというか、知らないというか・・・すいません。なんか申し訳ない気分になる。
サラさんは静かに本を閉じて、私に向き合った。
「レーナ様のお母上、女王陛下は2年前おかくれあそばしました」
おかくれ・・・って、死んだってこと?
「流行り病でした」
そうか、そうなんだ。でも会ったこともない人なので、悲しいという感情はわいてこない。
私の両親は九州の片田舎でピンピンしてるし。娘が異世界なんかにいるっていうことだって知るわけもないし。
って、そういえば現代にいる私はどうなってるの?
もしかして入れ替わって、こっちのレーナ姫が私の体の中にいるのかもしれない。だとしたらきっとパニクってるんだろうな。私みたいに小説や漫画で異世界になじみがあるってわけじゃないし。
奇妙な言動をとって精神状態疑われて・・・ああ、どうしよう、もし自分の体に戻れたとして、戻った場所が精神科病棟とかだったら。
私は瞬時にそこまで想像を巡らせると絶望に肩をおとした。
私の落胆をサラさんは母の死を知った娘の悲哀に感じたのか、彼女の硬質の声音が少しだけ柔らかくなった。
「とても慈愛に満ちた女王陛下でした。国王陛下を支え、この国の民に尽くし、国民からも慕われておりました。国王陛下もそれは深く女王陛下を愛し・・・」滑らかだったサラさんの口調がそこでためらうように澱む。
「愛し・・・すぎました」
「?」
言葉を選んでいるようにしばらく黙っていたサラさんが、意を決したように口を開いた。
「国王陛下は」
その時、彼女の言葉を断ち切るように部屋の重い扉が大きな音をたてて乱暴に開いた。
ショックのあまり、私の精神はなにかを突き抜けてしまったらしい。まるで他人ごとのように現状を分析したりしてる。
そういえば、と、私の頭の中に図書館から借りてきた小説。まだ読みかけだったアレが思い出された。
タイトルは確か・・・
『女子高生の私が異世界で魔法使いになりました。王子様といっしょに魔王を倒します』だったかな?
期待を違えることなくタイトル通りの内容だった。
普通の高校生女子が車にはねられたら、なぜかファンタジー系の異世界にいて、そこでは魔法が使えて、イケメンの王子様といっしょに悪の魔王を倒す旅に出るハメになって。
(途中、王子様に愛の告白をされたりするエピソードもあったり)魔王の城までたどりついたところまで読んで。
そこで睡魔に襲われて最後まで読めなかったのだ。
返す返すも悔やまれる。
あの時、きちんと柴田さんの誘いを断っておけば、今頃は小説を最後まで読み切ってささやかな幸せに浸ってた。
こんな訳の分からない世界で溜息をついていることなどなかったのだ。
は~~っ・・・私ったら、自分が異世界転移(?)しちゃってどうするの。
とか、自分に突っ込みをいれて痛む頭を抱えた。
現実問題。
異世界にきちゃったらそこで生きていかなきゃならないのは物語の常識。動かせない定説だ。
となると、この世界での自分の立ち位置を把握するのが先決。
絵付きの天井といい、シルクかなにかでできたふかふかの寝具といい、(見える範囲の)部屋の豪華なアンティーク家具といい、数人の召使いといい、私はお金持ちのお嬢様らしい。
しかも若くて美少女というハイスペックなオプションつき。
とりあえず、衣食住には困らないみたい。
最低限、それさえあれば現代だって異世界だって生きていける。
へたに農民とか勇者とかに転移しちゃってみ?ここでの知識もなければ武力もない私はすぐにのたれ死にのバッドエンドだ。
それに、乗馬中に馬から落ちて頭を打って記憶障害っていうのも私にはものすごく都合がいい。
おかしな言動をしても不思議に思われないだろうし、わからないことは聞ける。
現代の平凡なOLが異世界で平凡なお嬢様として生きていくくらいなら
「うん、なんとかなるかも」
自分が思ってる以上に楽天家だと再認識した私は、とにかく体力を回復すべく眠りについた。
「おはようございます、レーナ様」
朝の挨拶をしに来た女性を私はぼーっと見ていた。
あきらかに召使いとは違う雰囲気。威厳と言うか、気品というか、私には無縁のものを持っている。
栗色の髪を後ろにまとめ、喪服のように地味な黒いドレスを着ているから、ずいぶん年上に見えるけど、実際は私より少し上かな?っていう感じ。
西洋人の齢ってよくわからないんだけど。
でも、同じ雰囲気を持つ人を知ってるような気がする・・・えっと・・・
あ、そうだ!秘書課の花咲さんだ。花咲さんの雰囲気にそっくり。
私の頭に現実世界での記憶が蘇った。
美人さんだけど人を見下す目をしてた花咲さん。確かに社長秘書だし、有名大学卒だし、無名高校卒の私なんか足元のミミズくらいに思われても当然なんだけど。
まるで、別世界の人間みたいに私には理解不能で、近寄りがたい存在だった花咲さん。
つまり・・・こんな雰囲気の人は私、すっごく苦手ってこと。
「私のことは覚えておいでですか?」女性が丁寧な硬い口調で尋ねた。
覚えてるもなにも初対面だもの。私は無言で首を振る。
「私はサラ・アミゼーラと申します。あなた様付きの侍女をしております」
侍女って、えーと。たしか・・・。乏しい知識の泉をさらってみる。
王族とか貴族に仕えて雑用や身の回りの世話をする女性・・・のことだったよね。
ってことは、もしかして、私ってけっこう身分高いの、かな?
わからないことは、聞いてみよう。
「あの、私って、貴族とかそういう感じですか?」
サラと名乗った女性は、一瞬だけ眉をひそめて私を見つめると、さらに硬さを増した口調で言った。
「レーナ様、あなたはこの国、ローマリウス国の王女です」
・・・・・・・・・・
ごめんなさい、ちょっとよくわからなかったのですが。
というか、耳が拒否しました。
「今・・・なんと?」聞き返すのも怖かったけど、一応確認。
女性はやっぱり硬い口調で
「あなたはこの国、ローマリウス国の王女です」
ええええええ~~~~~!?!?!?
ちょっと、ちょっと待って。なにそれ。
「王女って、アレですよね?なんか、国王の娘、的な?」
ベッドの横に姿勢正しく立っていた女性は顔をしかめて「そんなこともお分かりにならないんですか?」
いや、いや、お分かりになりますよ。王女って言葉のイミくらい。
だけど。だけどね。
私ってショッピングサイトの商品レビューでいえば星が2つ3つくらいの平凡なOLですよ?なんの特殊機能もないのです。
それがいきなり、一国の王女ですって言われても。
とても信じられないというか。信じたくないというか。
「冗談、ですよね?」
一縷の望みを託して、一応は尋ねてみる。
「レーナ・デ・ローマリウス様。あなたはこの国の王、ウラウス・デ・ローマリウス様の第一子。この国の王位継承者です」
女性は刃物のような声音で、私の望みにとどめの一撃を刺してくれた。
お嬢様は気楽な稼業ときたもんだ~~~♪で、のりきれると思ってた私の肩に100tの重圧がかかった。
いや、100tどころじゃないよ?国レベルの重さだよ?
なにこの無理設定。
その後の周囲の人間(おもに召使のおしゃべり)から得た情報によると、私は花も恥じらう17歳で、絵から抜け出たような美少女で、国王のたった一人の娘。
17歳はいいよ、美少女はすごくいい、でも王女は余分、重すぎる。
王位継承者なんて、どうやって対処したらいいの。
とはいえ、現実から逃げていても、事態が変わるわけではないし。
今、私がしなきゃいけないことは、頭から布団をかぶってベッドに埋もれていることじゃない。
この世界で生きていくために、とにかく考えよう。
この異世界、国の情報を集めないと。
世界はどうなってるの?いるのは人類だけ?異世界にはよくある魔力とかも存在する?禁忌はなに?やったらイケナイことは?
ノートがあれば箇条書きしたいくらい次々に疑問が湧いてくる。
私が『王女』ってことは、王政ってことだよね。日本みたいに行政機関は別にあって、皇族は国の象徴とかいうのじゃないよね?
あ。
私は大切なことに気づいた。
王政なら、王様、つまり父親、それと母親。まだココに来て1度も会っていない。
大切な一人娘が昏睡状態から覚めたのに、普通なら親が真っ先に顔を見せるべきではないの?
「お父さん・・・お母さんは」思わず口に出てしまった。
「は?」ベッドの横の椅子に腰をかけ、本を読んでいたサラさんが怪訝そうな険しい表情で私を見た。「今、なんとおっしゃいました?」
私は慌てて言い直した。「お父さまとお母さまは、どうなさってるの?」
言いなれない言葉使いに舌をかみそうだ。これからもずっと高貴系でいかなきゃならないのは現代人の私にはけっこう大変。
などと思っていたら、サラさんが深い溜息をついて、「大切なことをお忘れになっているんですね」
忘れているというか、知らないというか・・・すいません。なんか申し訳ない気分になる。
サラさんは静かに本を閉じて、私に向き合った。
「レーナ様のお母上、女王陛下は2年前おかくれあそばしました」
おかくれ・・・って、死んだってこと?
「流行り病でした」
そうか、そうなんだ。でも会ったこともない人なので、悲しいという感情はわいてこない。
私の両親は九州の片田舎でピンピンしてるし。娘が異世界なんかにいるっていうことだって知るわけもないし。
って、そういえば現代にいる私はどうなってるの?
もしかして入れ替わって、こっちのレーナ姫が私の体の中にいるのかもしれない。だとしたらきっとパニクってるんだろうな。私みたいに小説や漫画で異世界になじみがあるってわけじゃないし。
奇妙な言動をとって精神状態疑われて・・・ああ、どうしよう、もし自分の体に戻れたとして、戻った場所が精神科病棟とかだったら。
私は瞬時にそこまで想像を巡らせると絶望に肩をおとした。
私の落胆をサラさんは母の死を知った娘の悲哀に感じたのか、彼女の硬質の声音が少しだけ柔らかくなった。
「とても慈愛に満ちた女王陛下でした。国王陛下を支え、この国の民に尽くし、国民からも慕われておりました。国王陛下もそれは深く女王陛下を愛し・・・」滑らかだったサラさんの口調がそこでためらうように澱む。
「愛し・・・すぎました」
「?」
言葉を選んでいるようにしばらく黙っていたサラさんが、意を決したように口を開いた。
「国王陛下は」
その時、彼女の言葉を断ち切るように部屋の重い扉が大きな音をたてて乱暴に開いた。
0
あなたにおすすめの小説
転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました
桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。
言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。
しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。
──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。
その一行が、彼の目に留まった。
「この文字を書いたのは、あなたですか?」
美しく、完璧で、どこか現実離れした男。
日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。
最初はただの好奇心だと思っていた。
けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。
彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。
毎日19時に更新予定です。
夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い
青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。
神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。
もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。
生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。
過去世と同じ轍を踏みたくない……
『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』
夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」
教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。
ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。
王命による“形式結婚”。
夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。
だから、はい、離婚。勝手に。
白い結婚だったので、勝手に離婚しました。
何か問題あります?
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
美男美女の同僚のおまけとして異世界召喚された私、ゴミ無能扱いされ王城から叩き出されるも、才能を見出してくれた隣国の王子様とスローライフ
さら
恋愛
会社では地味で目立たない、ただの事務員だった私。
ある日突然、美男美女の同僚二人のおまけとして、異世界に召喚されてしまった。
けれど、測定された“能力値”は最低。
「無能」「お荷物」「役立たず」と王たちに笑われ、王城を追い出されて――私は一人、行くあてもなく途方に暮れていた。
そんな私を拾ってくれたのは、隣国の第二王子・レオン。
優しく、誠実で、誰よりも人の心を見てくれる人だった。
彼に導かれ、私は“癒しの力”を持つことを知る。
人の心を穏やかにし、傷を癒す――それは“無能”と呼ばれた私だけが持っていた奇跡だった。
やがて、王子と共に過ごす穏やかな日々の中で芽生える、恋の予感。
不器用だけど優しい彼の言葉に、心が少しずつ満たされていく。
『処刑されるたびに12歳に戻る悪役令嬢、7回目の人生は「何もせず寝て過ごす」ことに決めたら、なぜか周囲が勝手に勘違いして聖女扱いされています
六角
恋愛
公爵令嬢リリアーナは、18歳の誕生日に必ず断罪・処刑されては12歳に戻るという地獄のループを6回も繰り返していた。 真面目に努力しても、剣を極めても、裏社会を支配しても、結局は殺される運命。 心折れた彼女は、7回目の人生でついに決意する。 「もう頑張らない。どうせ死ぬなら、今回はひたすら寝て過ごそう」と。
しかし、安眠を求めて「うるさい」と敵を黙らせれば『王者の覇気』と恐れられ、寝ぼけて放った魔法は『神の奇跡』と崇められ、枕への異常なこだわりは『深遠なる儀式』と誤解されてしまう。 気がつけば、ストーカー気味のヤンデレ王子、パン屋の元ヒロイン、狂犬の如きライバル令嬢、元部下の暗殺者、そして不眠症の魔王までもが彼女の信者となり、リリアーナは意図せずして国を、そして世界を救う「最強の聖女」へと祭り上げられていく。
「お願いだから、私を寝かせて!」 睡眠欲だけで運命(システム)さえもねじ伏せる、無気力悪役令嬢の痛快勘違いサクセス(?)ストーリー!
最愛の番に殺された獣王妃
望月 或
恋愛
目の前には、最愛の人の憎しみと怒りに満ちた黄金色の瞳。
彼のすぐ後ろには、私の姿をした聖女が怯えた表情で口元に両手を当てこちらを見ている。
手で隠しているけれど、その唇が堪え切れず嘲笑っている事を私は知っている。
聖女の姿となった私の左胸を貫いた彼の愛剣が、ゆっくりと引き抜かれる。
哀しみと失意と諦めの中、私の身体は床に崩れ落ちて――
突然彼から放たれた、狂気と絶望が入り混じった慟哭を聞きながら、私の思考は止まり、意識は閉ざされ永遠の眠りについた――はずだったのだけれど……?
「憐れなアンタに“選択”を与える。このままあの世に逝くか、別の“誰か”になって新たな人生を歩むか」
謎の人物の言葉に、私が選択したのは――
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる