エーテルニア・コード:世界からの脱出

蒼清

文字の大きさ
17 / 30

第17話:『仲間との再会』、そして『招待状』

しおりを挟む
転送サークルを抜けたリオスとルクスは、見慣れない森の奥に降り立った。
「…ここが、エーテルニアか」
ルクスの言葉に、リオスは改めて周囲を見渡す。そこには、先ほどまでいた、プログラムが星のように輝く非物理的な空間とはかけ離れた、土と緑の匂いがする現実の世界があった。
リオスは胸に手を当て、安堵の息を吐く。
(…無事に戻ってこれた。みんなは、どこに…)
その時だった。森の奥から、駆け寄ってくる三つの人影があった。
「リオス!無事だったのね!」
ミオの声だ。その隣には、ソラとアデルの姿もあった。彼らは、リオスを心配し、捜し回っていたのだ。
「リオス!無事だったのね!」ミオが安堵の表情でリオスに抱きついた。「…でも、その子は?」
ミオが視線を向けた先には、リオスの隣に立つ、銀髪の少女、ルクスがいた。彼女の髪は、特定の単一の色ではなく、内側から淡く光を帯びたような、幻想的な色合いをしていた。透き通るような白を基調としながら、ごく微かに淡い青やミントグリーンの光が揺らめいているように見える。アデルとソラも、見慣れない彼女に警戒の色を浮かべている。
「リオス。そちらの方は?」アデルが理知的な声で問いかける。
「ああ、この子はルクスだ。俺の、パートナーだ」リオスは、仲間たちにルクスを紹介した。「ルクス、みんなに会えてよかったな」
リオスの言葉に、ルクスは感情のない表情のまま、少しだけ頭を下げた。
仲間たちの温かい声に、リオスは胸がいっぱいになった。改めて、この絆こそが、偽りの世界で戦う自分の力なのだと実感する。そして、彼は、オプティマスから告げられた真実を語る決意を固めた。
「…話したいことがあるんだ。この世界のこと、そして『闇を視る者』のことだ」
場所を移し、リオスは、オプティマスから告げられたルシアンの真の目的――人類を「真の絶望」へと導くことが彼なりの「救済」だと考えている、という衝撃的な事実を仲間たちに語った。最初は信じられないといった様子の仲間たちだったが、リオスの熱意のこもった言葉に、彼らの表情に決意の色が灯る。
「…真の絶望、だなんて。そんなの、絶対に許せない!」ミオが怒りを滲ませて言った。
「僕たちの生きてるこの世界を、勝手に終わらせるなんて…そんなこと、させません!」ソラも、震えながらも強い口調で言った。
「ああ。例えそれが、誰かの考える『救済』だとしても、俺たちの生きているこの世界を、勝手に終わらせるなんて、許せるはずがない」リオスは、強く頷いた。
仲間たちの言葉に、リオスの心は再び満たされた。ルクスは、そんな彼らの絆を静かに見つめながら、自身の瞳に映るデータに、リオスが持つ「希望」のアルゴリズムが、さらに強く輝いていることを確認していた。
「ルシアンの手がかりを探す必要があるな」アデルが思考を整理するように言った。「彼の活動は、世界の『歪み』が強い場所で活発になる傾向がある。最も可能性が高いのは、西部の『廃墟の荒野と境界領域』だ」
「ああ、その場所なら私も知っているよ」ミオが真剣な顔で言った。「最近、その地域に『闇を視る者』が現れたって、ギルドの噂になってたんだ」
目的地が決まった。一行は、ルシアンが待つ、危険な西部へと足を踏み入れた。
廃墟の荒野は、その名の通り、荒廃した大地がどこまでも広がる場所だった。乾いた風が吹き荒れ、錆びた金属の残骸や、システムが生成したであろう謎の構造物が、無数のノイズを放っている。この場所が、システムの不完全な部分であると、肌で感じ取ることができた。
その時、一行の目の前の空間が、まるでバグが走ったかのように、大きく歪んだ。視界に一瞬だけ、ノイズ混じりのシステムメッセージが表示される。
『UNKNOWN DATA ERROR』
そして、歪んだ空間から、一人の男が現れた。彼は、システムを意図的に操作する能力を持つ《システム・ブレイカー》であり、「闇を視る者」の一員だと名乗る。
「…ようこそ、『希望の光』よ」
男は、嘲笑うかのような不敵な笑みを浮かべ、リオスにこう告げた。
「ルシアン様からの伝言だ。貴様のような『バグ』が、この世界にどれほどの希望をもたらせるのか、試してみたいそうだ」
男は、手の中の光る結晶をリオスたちに示し、挑発的に言った。
「これは、ルシアン様が貴様のために用意した『招待状』だ。この奥にある、『アーカーシャの記憶結晶』を探し出すというクエスト。これは、貴様が持つ『異晶』の能力でしかクリアできないように仕組まれている。さあ、どうする? 招待を受けるか?それとも、尻尾を巻いて逃げ帰るか?」
リオスは、これがルシアンの罠である可能性が高いと直感した。しかし、この機会を逃せば、ルシアンの真意にたどり着くことはできないかもしれない。仲間たちはリオスを心配し、固唾をのんで見守っていた。
リオスは、男の挑発に臆することなく、まっすぐと彼を見据えた。
「俺は、ゼロの続きをやる。ルシアンが何者であれ、俺は、この世界の真実を確かめる。その招待、受けさせてもらう」
リオスの強い決意を聞くと、男は満足そうに口角を上げた。
「…ふん、良い返事だ。ならば、健闘を祈る」
男は、リオスたちの手の中にある結晶に力を込めると、再び空間を歪ませ、姿を消した。残されたリオスたちの手には、先ほどよりも強く光を放つ、奇妙な結晶が握られていた。
旅は、新たな局面を迎える。ルシアンが仕掛けた罠と、アーカーシャ・クロニクルに隠された記憶の真実が、リオスを待っている。
 
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

キメラスキルオンライン 【設定集】

百々 五十六
SF
キメラスキルオンラインの設定や、構想などを保存しておくための設定集。 設定を考えたなら、それを保存しておく必要がある。 ここはそういう場だ。

やさしい異世界転移

みなと
ファンタジー
妹の誕生日ケーキを買いに行く最中 謎の声に導かれて異世界へと転移してしまった主人公 神洞 優斗。 彼が転移した世界は魔法が発達しているファンタジーの世界だった! 元の世界に帰るまでの間優斗は学園に通い平穏に過ごす事にしたのだが……? この時の優斗は気付いていなかったのだ。 己の……いや"ユウト"としての逃れられない定めがすぐ近くまで来ている事に。 この物語は 優斗がこの世界で仲間と出会い、共に様々な困難に立ち向かい希望 絶望 別れ 後悔しながらも進み続けて、英雄になって誰かに希望を託すストーリーである。

召喚学園で始める最強英雄譚~仲間と共に少年は最強へ至る~

さとう
ファンタジー
生まれながらにして身に宿る『召喚獣』を使役する『召喚師』 誰もが持つ召喚獣は、様々な能力を持ったよきパートナーであり、位の高い召喚獣ほど持つ者は強く、憧れの存在である。 辺境貴族リグヴェータ家の末っ子アルフェンの召喚獣は最低も最低、手のひらに乗る小さな『モグラ』だった。アルフェンは、兄や姉からは蔑まれ、両親からは冷遇される生活を送っていた。 だが十五歳になり、高位な召喚獣を宿す幼馴染のフェニアと共に召喚学園の『アースガルズ召喚学園』に通うことになる。 学園でも蔑まれるアルフェン。秀な兄や姉、強くなっていく幼馴染、そしてアルフェンと同じ最底辺の仲間たち。同じレベルの仲間と共に絆を深め、一時の平穏を手に入れる これは、全てを失う少年が最強の力を手に入れ、学園生活を送る物語。

大和型戦艦、異世界に転移する。

焼飯学生
ファンタジー
第二次世界大戦が起きなかった世界。大日本帝国は仮想敵国を定め、軍事力を中心に強化を行っていた。ある日、大日本帝国海軍は、大和型戦艦四隻による大規模な演習と言う名目で、太平洋沖合にて、演習を行うことに決定。大和、武蔵、信濃、紀伊の四隻は、横須賀海軍基地で補給したのち出港。しかし、移動の途中で濃霧が発生し、レーダーやソナーが使えなくなり、更に信濃と紀伊とは通信が途絶してしまう。孤立した大和と武蔵は濃霧を突き進み、太平洋にはないはずの、未知の島に辿り着いた。 ※ この作品は私が書きたいと思い、書き進めている作品です。文章がおかしかったり、不明瞭な点、あるいは不快な思いをさせてしまう可能性がございます。できる限りそのような事態が起こらないよう気をつけていますが、何卒ご了承賜りますよう、お願い申し上げます。

【もうダメだ!】貧乏大学生、絶望から一気に成り上がる〜もし、無属性でFランクの俺が異文明の魔道兵器を担いでダンジョンに潜ったら〜

KEINO
ファンタジー
貧乏大学生の探索者はダンジョンに潜り、全てを覆す。 ~あらすじ~ 世界に突如出現した異次元空間「ダンジョン」。 そこから産出される魔石は人類に無限のエネルギーをもたらし、アーティファクトは魔法の力を授けた。 しかし、その恩恵は平等ではなかった。 富と力はダンジョン利権を牛耳る企業と、「属性適性」という特別な才能を持つ「選ばれし者」たちに独占され、世界は新たな格差社会へと変貌していた。 そんな歪んだ現代日本で、及川翔は「無属性」という最底辺の烙印を押された青年だった。 彼には魔法の才能も、富も、未来への希望もない。 あるのは、両親を失った二年前のダンジョン氾濫で、原因不明の昏睡状態に陥った最愛の妹、美咲を救うという、ただ一つの願いだけだった。 妹を治すため、彼は最先端の「魔力生体学」を学ぶが、学費と治療費という冷酷な現実が彼の行く手を阻む。 希望と絶望の狭間で、翔に残された道はただ一つ――危険なダンジョンに潜り、泥臭く魔石を稼ぐこと。 英雄とも呼べるようなSランク探索者が脚光を浴びる華やかな世界とは裏腹に、翔は今日も一人、薄暗いダンジョンの奥へと足を踏み入れる。 これは、神に選ばれなかった「持たざる者」が、絶望的な現実にもがきながら、たった一つの希望を掴むために抗い、やがて世界の真実と向き合う、戦いの物語。 彼の「無属性」の力が、世界を揺るがす光となることを、彼はまだ知らない。 テンプレのダンジョン物を書いてみたくなり、手を出しました。 SF味が増してくるのは結構先の予定です。 スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。 良かったら読んでください!

スキルで最強神を召喚して、無双してしまうんだが〜パーティーを追放された勇者は、召喚した神達と共に無双する。神達が強すぎて困ってます〜

東雲ハヤブサ
ファンタジー
勇者に選ばれたライ・サーベルズは、他にも選ばれた五人の勇者とパーティーを組んでいた。 ところが、勇者達の実略は凄まじく、ライでは到底敵う相手ではなかった。 「おい雑魚、これを持っていけ」 ライがそう言われるのは日常茶飯事であり、荷物持ちや雑用などをさせられる始末だ。 ある日、洞窟に六人でいると、ライがきっかけで他の勇者の怒りを買ってしまう。  怒りが頂点に達した他の勇者は、胸ぐらを掴まれた後壁に投げつけた。 いつものことだと、流して終わりにしようと思っていた。  だがなんと、邪魔なライを始末してしまおうと話が進んでしまい、次々に攻撃を仕掛けられることとなった。 ハーシュはライを守ろうとするが、他の勇者に気絶させられてしまう。 勇者達は、ただ痛ぶるように攻撃を加えていき、瀕死の状態で洞窟に置いていってしまった。 自分の弱さを呪い、本当に死を覚悟した瞬間、視界に突如文字が現れてスキル《神族召喚》と書かれていた。 今頃そんなスキル手を入れてどうするんだと、心の中でつぶやくライ。 だが、死ぬ記念に使ってやろうじゃないかと考え、スキルを発動した。 その時だった。 目の前が眩く光り出し、気付けば一人の女が立っていた。 その女は、瀕死状態のライを最も簡単に回復させ、ライの命を救って。 ライはそのあと、その女が神達を統一する三大神の一人であることを知った。 そして、このスキルを発動すれば神を自由に召喚出来るらしく、他の三大神も召喚するがうまく進むわけもなく......。 これは、雑魚と呼ばれ続けた勇者が、強き勇者へとなる物語である。 ※小説家になろうにて掲載中

アラフォーおっさんの週末ダンジョン探検記

ぽっちゃりおっさん
ファンタジー
 ある日、全世界の至る所にダンジョンと呼ばれる異空間が出現した。  そこには人外異形の生命体【魔物】が存在していた。  【魔物】を倒すと魔石を落とす。  魔石には膨大なエネルギーが秘められており、第五次産業革命が起こるほどの衝撃であった。  世は埋蔵金ならぬ、魔石を求めて日々各地のダンジョンを開発していった。

異世界に転生した俺は英雄の身体強化魔法を使って無双する。~無詠唱の身体強化魔法と無詠唱のマジックドレインは異世界最強~

北条氏成
ファンタジー
宮本 英二(みやもと えいじ)高校生3年生。 実家は江戸時代から続く剣道の道場をしている。そこの次男に生まれ、優秀な兄に道場の跡取りを任せて英二は剣術、槍術、柔道、空手など様々な武道をやってきた。 そんなある日、トラックに轢かれて死んだ英二は異世界へと転生させられる。 グランベルン王国のエイデル公爵の長男として生まれた英二はリオン・エイデルとして生きる事に・・・ しかし、リオンは貴族でありながらまさかの魔力が200しかなかった。貴族であれば魔力が1000はあるのが普通の世界でリオンは初期魔法すら使えないレベル。だが、リオンには神話で邪悪なドラゴンを倒した魔剣士リュウジと同じ身体強化魔法を持っていたのだ。 これは魔法が殆ど使えない代わりに、最強の英雄の魔法である身体強化魔法を使いながら無双する物語りである。

処理中です...