オレ様傲慢王子は最強! ~王位継承権は低いが、精霊神が与えし最強の瞳を駆使して女を漁る~

ぽてさら

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第1章

第26話 『水面下で蠢く思惑、そして鳳凰の顕現』

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「しかし驚いた。『ダークエルフ』……生まれながらにして魔法に祝福されなかっ・・・・・・・・・・た忌み子・・・・を、この眼で拝めるとはなぁ」
「黙れ……! それ以上蔑んだ眼でこの私を見るな……ッ!」
「吠えるな、程度が知れるぞ」


 ダークエルフの女は若草色の切れ長な瞳でオレ様を鋭く射抜く。コイツの心の奥底からは激しい憎悪と怒りが業火のように燃え盛っている。

 ―――ダークエルフ。シルヴィアから少し聞きかじった程度だが、エルフ族の中でダークエルフの出生率は極僅ごくわずかなのだという。
 さらに何故か魔法を使えず肌が褐色という特徴を抱えており、それが原因で精霊の寵愛を賜らなかったとして、古臭い風習が残っているエルフの里の中では迫害や蔑視の対象となっているとの事だ。
 
 それを話すシルヴィアの表情は、とても悲しげだったな。……ふん。貴様、勘違いしてんじゃねぇぞ。このオレ様がたかだか魔法を使えない事や肌の色が違う程度で蔑むか愚か者。

 オレ様はそんな小さい事よりも、先程コイツが握り潰した物の正体について言及する。


「まぁいい。……それよりも先程貴様が壊した結晶の正体、あれは複数の精霊の魂の集合体・・・・・・・・だな? 本来純粋な輝きを放つあいつらだが、その魂はどす黒く濁っていた・・・・・。あのような凝縮された『負』の感情、何者かが手を加えなければ決してああはならない。そして『精霊の雫』の事もある―――答えろ。貴様らが、精霊を殺したのか?」


 怒りを一旦心の奥底に閉じ込め、拳を握りしめながら毅然とした態度でオレ様は訊く。そうでもしなければ、辺り一帯の物を消して・・・・・・・・・・しまいそう・・・・・だったからだ。

 ダークエルフの女はその整った表情を歪ませながら唇を曲げた。そして吠える。


「ハハ、ハハハッ……、そうだ、その通りだ。だが精霊を害した事など我らが計画の一端に過ぎない!! すべては私の、世界の破滅を望む者の願いを叶える為! 魔神復活の―――」
『―――フィリマ、少々口が軽いぞ』
「………ッ!」


 目を剥きながら興奮したかのように激しい口調で言い放つ女だが、その途中で何者かが言葉を遮る。
 どこから現れたのかは分からないが、気配や魔力を察知出来なかった事にオレ様は警戒心を最大に上げてその人物を睨み付けた。

 ……チッ、なんだコイツは………っ! オレ様の『真実の瞳』で見通すことが出来ないだと?フィリマと呼ばれた女と同様、外套の所為か……?

 突如現れた仲間らしき大柄な外套の人物は、フィリマと呼ばれたダークエルフの女を片手で抱えると、オレ様の方へ振り返って言葉を紡いだ。


『初にお目にかかる、人族の『聖痕適正者クェーサー』よ。仲間が世話になったが、本日のところは退かせて貰おう』
「ふざけるなッ! 私はまだやれ―――」
『―――黙れ』
「っ……!? チッ、わ、わかった……っ」


 フィリマの仲間らしき黒い外套の謎の闖入者はたった一言と同時に威圧を放ち、彼女の口から出そうになった抵抗の言葉を封じる。
 オレ様は目の前の人物を警戒しながら睨み付けた。実力の底がまるで見えない。

 チッ……、オレ様が視たいときに視れないとは随分と生意気だな。


「ふん、『聖痕適正者クェーサー』の名称まで知っているという事は、やはり貴様らは愚かにも『魔神の復活』を企む組織の者どもか」
『企む? いいや違うな。確かに遥か昔、精霊神と魔神が争いを繰り広げ、激しい戦いの末魔神は精霊神により封印された。しかしこの世界での魔神復活は既に決定事項・・・・・・、誰にも変えられない運命なのだよ。それを我らが―――ふむ、われも人の事は言えないな』


 ヤツは思わず、といったように外套のフードで表情が窺えない顎へと手を置く。同時に言葉の勢いが止まった。
 恐らくオレ様との会話の口数が多くなってしまった事による仕草。

 チッ、最後まで言えや。さっきからオレ様の気に障る話し方ばかりしてんじゃねぇぞこのクソどもが。


「まぁ良い。貴様らをここで倒し、この度の精霊の件や魔神の詳しい情報を引き出せば良いだけの事……!」
『威勢は結構だが、あの男は放って置いて良いのか?』
「何………?」
「ロ、ローランド! さっきからこいつの様子が変なの! なんだかすごおぞましいナニカが、こいつの身体を作り変えている・・・・・・・・・・みたい………っ」

 
 オレ様の背後にいるドロシーの焦ったような声に振り向くと、店主の男は苦しげに頭を抱えて呻いていた。驚いた事に、男の頭部には一本の鋭い角が生えている。
 『黄昏薬』の副作用の影響で廃人のようだった男だが、このような状態になったのは確実にあのダークエルフの女が握り潰した結晶体が原因だろう。

 ……確かにドロシーの言う通り、何かへと変異しつつあるが―――どうしてそれがわかる?

 オレ様はそのように話したドロシーへと疑問を抱くが、それよりも先に反応したのは大柄な外套の人物だった。


『―――ほう、惹き合う・・・・のか。そうかそうか、これは面白い結果だ』
「なんだと?」
『フッ、それでは我らは失礼しよう。まだ機が熟していないのが悔やまれるが……次に相見あいまみえるとき、貴様は我ら魔神復活を目的とする組織『千夜教団せんやきょうだん』の実力の一端を思い知る事になるだろう。―――精々力を蓄えておけ』
「戯言をッ……!」


 オレ様はヤツが言い終わるや否や魔力を全身に纏い、一気に加速。跳躍しながら黒いフードで隠された脳天へと脚を鋭く振り降ろす。全身全霊の力半分を込めた一撃であったが、空いた片手で掴まれ失敗。

 すぐさまその手の接地面を利用し蹴り上げるとオレ様は華麗に着地した。


『………………』
「………………」


 しばらく互いに睨み合うが、やがて相手は一瞬で消え去った。

 …………ふぅ。

 思うところが無い訳ではない。突如やって来たに舐め腐った態度で好き勝手言われ、オレ様の実力が半分と云えど通じなかったのだ。今後に活かす為の反省すべき点だろう。






 ……さて、過ぎ去った事は置いておこう。今は現在進行形で魔物と化している・・・・・・・・男の処遇についてだ。

 オレ様はドロシーとメルトへ視線を向ける。


「―――ドロシー、メルト。この店主の男はここで処分する。いずれにせよ手遅れだ」
「……処分って、殺すっていう意味?」
「当然だ。……まさか貴様、自分を追い込んだくずにまで情けをかける訳ではないだろうな?」
「………いいえ、あくまで確認しただけよ。―――ねぇ、こいつは私が殺すわ。良い?」


 どこか覚悟を決めた声音でドロシーがオレ様とメルトに確認するようにして訊いてくる。

 ……束縛、監禁された事による恐怖の払拭、元は人間だった命をコイツ自身の手で葬る事への緊張。ドロシーがどんな思いなのか想像に難くはないが、オレ様は寛容だからな。


「……ふん、まぁ別に良いだろう。あの結晶は兎も角、オレ様はこんなくずなど既に興味が無い」
「私も貴方の意思を尊重します」
「うん………ありがとう」


 あいつらのせいできょうがれた、というのもある。

 ドロシーは意を決したように目の前へ手を翳すと魔法を発動する為に完全詠唱を唱える準備、つまり魔力を練り込む。
 その合間にも男の魔物化は進行し―――、


 やがて、巨大なオーガのような魔物に変貌した。


『ゴガァァァァァァァッ!!!』


 その容貌は鬼面獣身。元の身体よりも何倍もある灰色の筋肉質な巨躯。子供一人なら丸ごと飲み込めそうなびっしりと鋭い牙が生えた凶悪な口。
 まるで人間だった頃の面影はなく、その雄叫びは歯止めの効かない赤ん坊のように喧しい。縦に割れた瞳には理性の光など既になく、そこに宿すのは破壊衝動のみ。
 
 腕や足を振り回し、地面を揺らす。

 ドロシーはそれに構わずに自らの保持する最高威力、火属性戦略級魔法の詠唱を紡ぐ。


『羽ばたくは鳳凰、その身に宿すは万物を消し去る聖なる業火。燃えよ、燃えよ、その不死の魂と共に身を焦がし、純然たるあか息吹いぶきで神鳥の輝きを示さんっ!』


 ―――"キュァァァァァッッ!!"

 次の瞬間、魔法陣から赤い炎の化身たる鳳凰が出現。耳をつんざくような甲高い声で一鳴きすると、術者であるドロシーの側に控える。威厳を証明するように、まるで生きて呼応するように翼を広げる。

 彼女の魔法を、その誇り高い煌めきを止められる者はどこにもいない。

 ドロシーは目の前のオーガ・・・を鋭い目つきで射抜くと、


『―――飛翔せよ、『火鳥絢爛かちょうけんらん』!!』


 そうドロシーは高らかに言い放すと、鳳凰をかたどった巨大な炎は猛烈な速度で魔物へと襲い掛かった―――。



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