クラスで人気の完璧美少女が殺意増し増しで怖い件。そしていつしかデレデレになる

ぽてさら

文字の大きさ
33 / 35

プール② 襲い掛かる魔の手

しおりを挟む





 その後暮人達はプール内にてビーチボールで遊んだり、巨大ウォータースライダーで滑って遊んだりした。その際に二人一組で誰が暮人と一緒に滑るかで揉めたりもしたが、ここは公平にジャンケンで決める(決して具現化ジャンケンではない)。

 結果は暮人と聖梨華、美雪と小梅のペアということになったが、公平に決めたので誰の文句は言わなかった。滑るときに叫び声を上げながら暮人の背中に抱き着いてきた聖梨華の巨大なメロンが無性に気持ち良かったが、こんな公共の場で顔を赤らめるだけで済んだのが暮人にとって救いだろう。


 そんなこんなでしばらく楽しんだ頃、暮人と聖梨華は飲食店で設営されているパラソルテーブルに座っていた。
 テーブルの上にはパックに入ったフランクフルトや焼きそば、たこ焼き、オムライスといった、お祭りの屋台で出るような品で昼食をとろうと思っていたのだが、ジュースを買いに行っている美雪と小梅が遅い。


「うーん、ジュース買いに行ったっきり戻ってこないけど何かあったのかなぁ。もう買いに行ってから三十分経つよ?」
「あまり距離は離れてはいないですが、人混みが多いですからねぇ。こっちから座ってると確認できませんし」


 暮人は普通に、聖梨華は椅子に座ってガッタンゴットンさせながら遠くの様子を見ているが多くの人に阻まれて見えない。
 夜に打ち上げ花火イベントがあるせいか昼過ぎ辺りから人の数が増えてきた気がする。二人に限ってはぐれてしまい迷うということはないのだろうが、それでも心配である。

 万が一のことを考えて、二人を探す為に暮人は立ち上がる。


「あえ、ほうひはんへふか(あれ、どうしたんですか)?」
「うん、飲み込んでから話そうね。………ちょっと心配だから二人を探してくるよ。なんだか少し嫌な予感もするし」
「むぐむぐ………ごっくん! それなら私も行きますよっ。何かあったら困りますし」
「え、でもここにある荷物や食べ物はどうするのさ?」


 荷物などはプールで遊んでいた際に使っていたコインロッカーがあるのでそこにしまえば問題は無いのだが、ここには所狭しと並んだ食べ物がある。
 こんな人混みなので誰かが見守っていなければ誰かが盗んでいく可能性も無きにしも非ずだ。


「ちっちっち、問題ナッシングですよ! 私の力を使ってここの空間だけ認識を逸らせばいい話ですからね」
「聖梨華さん………ありがとう」
「………っ、ま、まぁせっかくの思い出ですし、こういう風に力を使うのも全然大丈夫です。というか前に具合の悪い美雪さんにも使いましたしねっ!」


 そうやって話す聖梨華の様子に柔らかい笑みを浮かべる暮人。その視線に気付いた聖梨華はそのように言葉を言い放つと、少しだけ気恥ずかしそうに顔を背けながら二人が向かった方向へと歩き始めた。

 本当に、出会った当初とは雲泥の差だ。反応の温度差がまるっきり違う。

 暮人は自然と湧き上がる嬉しい気持ちを胸に抱きながら彼女の背中を追いかけた。




◇◆◇


「ひゃぁ~、だんだん人が増えてきたね。ジュースを買うだけなのに結構並んだし、暮人も心配してる頃じゃないかな?」
「はやく戻ろ、美雪ちゃん。にいに成分が足りない………」
「水不足の植物並みなしおれ方だねぇ」


 最近あまり暮人に抱き着いていないせいか、しおしおとしながら歩く小梅を美雪は渇いた笑みを浮かべて見つめた。

 現在、互いの両手にジュースを持っているのだが、若干フラフラとしているのが美雪から見て危なげ。しかし小梅が持っているのは暮人の分と自分のジュースなので、彼女の性格からして落としてしまうようなことはないだろう。
 美雪は小梅に気が付かれないように小さく嘆息した。


 ―――美雪はあのゲームの後に落ち込んだ様子だった小梅の話を聞いた。


 彼女は声を震わせながら泣いていた。いつの間にかたった一人の大切な兄に多くの負担を掛けていたのではないかと。普段から美雪が暮人に好意を抱いている事に気が付いていて、警戒心を常に張っていた小梅が自分の前で泣いたのだ。両親が亡くなってから一度も涙を見せてこなかった彼女が、だ。

 確かに小梅は幼馴染からの視点からみても、普通の兄妹よりべったりしている………言い方を変えれば『依存』していると言ってもおかしくはない程。

 それは両親に甘える筈だった時間を兄とのスキンシップで埋めているようにも見えた。境遇を考えれば彼女の暮人に対する独占欲や異常な愛情は仕方のない事なのだろうと今まで美雪も寛容に接していた部分もあったが、まさか小梅が聖梨華から指摘されるとは思ってもいなかった美雪。


(まぁ、これも良いきっかけになればいいかな………?)


 本人や暮人から話は聞くが、どうやら以前のようなべっとりくっつくような行動は減ったらしい。逆に料理以外の家事を手伝ったりなるべく暮人の負担を減らす行動を心掛けているようだ。

 ………肝心の暮人は『やっぱり俺には言わないけど反抗期かな!?』と相談してくるが全くの見当違い。


「………もっと意識して貰わないといけないなぁ」
「むっ、何か言った?」
「い、言ってないよっ」


 ぼんやりと呟いた言葉に暮人の唇にキスした時の光景が蘇ってきた美雪。何かを察した小梅だったが、美雪は自然に紅くなった頬を誤魔化す為に顔を思いきり横に振った。
 思わず歩くのが早足になる。


 しかし動揺を抑える為に少しだけ顔を俯けたのがいけなかった。


 いつもなら気が付く筈の、男性特有の粘っこい視線に気が付かなかったのだ。


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】

田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。 俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。 「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」 そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。 「あの...相手の人の名前は?」 「...汐崎真凛様...という方ですね」 その名前には心当たりがあった。 天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。 こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。

俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。

true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。 それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。 これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。 日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。 彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。 ※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。 ※内部進行完結済みです。毎日連載です。

イケボすぎる兄が、『義妹の中の人』をやったらバズった件について

のびすけ。
恋愛
春から一人暮らしを始めた大学一年生、天城コウは――ただの一般人だった。 だが、再会した義妹・ひよりのひと言で、そんな日常は吹き飛ぶ。 「お兄ちゃんにしか頼めないの、私の“中の人”になって!」 ひよりはフォロワー20万人超えの人気Vtuber《ひよこまる♪》。 だが突然の喉の不調で、配信ができなくなったらしい。 その代役に選ばれたのが、イケボだけが取り柄のコウ――つまり俺!? 仕方なく始めた“妹の中の人”としての活動だったが、 「え、ひよこまるの声、なんか色っぽくない!?」 「中の人、彼氏か?」 視聴者の反応は想定外。まさかのバズり現象が発生!? しかも、ひよりはそのまま「兄妹ユニット結成♡」を言い出して―― 同居、配信、秘密の関係……って、これほぼ恋人同棲じゃん!? 「お兄ちゃんの声、独り占めしたいのに……他の女と絡まないでよっ!」 代役から始まる、妹と秘密の“中の人”Vライフ×甘々ハーレムラブコメ、ここに開幕!

俺をフッた幼馴染が、トップアイドルになって「もう一度やり直したい」と言ってきた

夏見ナイ
恋愛
平凡な大学生・藤堂蓮には忘れられない過去がある。高校時代、告白した幼馴染の星宮瑠奈に「アイドルになるから」とこっ酷くフラれたことだ。 数年後、瑠奈は国民的アイドル『LUNA』として輝いていた。遠い世界の住人になった彼女との再会なんて、あるはずもなかった――そう、変装した彼女が俺の前に現れ、「もう一度やり直したい」と泣きつくまでは。 トップアイドルの立場を使い強引に迫る元幼馴染と、過去の傷。揺れ動く俺の日常を照らしてくれたのは、俺の才能を信じてくれる後輩・朝霧陽葵の存在だった。 俺をフッた幼馴染か、俺を支える後輩か。過去の清算と未来の選択を描く、ほろ苦くも甘い、逆転ラブコメディ、開幕。

SSS級の絶世の超絶美少女達がやたらと俺にだけ見え見えな好意を寄せてくる件について。〜絶対に俺を攻略したいSSS級の美少女たちの攻防戦〜

沢田美
恋愛
「ごめんね、八杉くん」 中学三年の夏祭り。一途な初恋は、花火と共に儚く散った。 それ以来、八杉裕一(やすぎ・ゆういち)は誓った。「高校では恋愛なんて面倒なものとは無縁の、平穏なオタク生活を送る」と。  だが、入学した紫水高校には《楽園の世代》と呼ばれる四人のSSS級美少女――通称《四皇》が君臨していた。  • 距離感バグり気味の金髪幼馴染・神行胱。  • 圧倒的カリスマで「恋の沼」に突き落とす銀髪美少女・銀咲明日香。  • 無自覚に男たちの初恋を奪う、おっとりした「女神」・足立模。  • オタクにも優しい一万年に一人の最高ギャル・川瀬優里。  恋愛から距離を置きたい裕一の願いも虚しく、彼女たちはなぜか彼にだけ、見え見えな好意を寄せ始める。 教室での「あーん」に、放課後のアニメイトでの遭遇、さらには女神からの「一緒にホラー漫画を買いに行かない?」というお誘いまで。  「俺の身にもなれ! 荷が重すぎるんだよ!」  鋼の意志でスルーしようとする裕一だが、彼女たちの純粋で猛烈なアプローチは止まらない。 恋愛拒否気味な少年と、彼を絶対に攻略したい最強美少女たちの、ちょっと面倒で、でも最高に心地よい「激推し」ラブコメ、開幕!

クラスのマドンナがなぜか俺のメイドになっていた件について

沢田美
恋愛
名家の御曹司として何不自由ない生活を送りながらも、内気で陰気な性格のせいで孤独に生きてきた裕貴真一郎(ゆうき しんいちろう)。 かつてのいじめが原因で、彼は1年間も学校から遠ざかっていた。 しかし、久しぶりに登校したその日――彼は運命の出会いを果たす。 現れたのは、まるで絵から飛び出してきたかのような美少女。 その瞳にはどこかミステリアスな輝きが宿り、真一郎の心をかき乱していく。 「今日から私、あなたのメイドになります!」 なんと彼女は、突然メイドとして彼の家で働くことに!? 謎めいた美少女と陰キャ御曹司の、予測不能な主従ラブコメが幕を開ける! カクヨム、小説家になろうの方でも連載しています!

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。

たかなしポン太
青春
   僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。  助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。  でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。 「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」 「ちょっと、確認しなくていいですから!」 「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」 「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」    天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。  異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー! ※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。 ※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。

処理中です...