クラスで人気の完璧美少女が殺意増し増しで怖い件。そしていつしかデレデレになる

ぽてさら

文字の大きさ
35 / 35

クラスで人気の完璧美少女が殺意増し増しで怖いけど、いつの間にか彼女がデレデレになってた話。

しおりを挟む






 ナイトプール。辺りが薄暗くなり、次第に夜の暗さに空が包まれる頃。暮人たち四人は念のために自宅から持ってきたシートを敷いて、打ちあがる予定の花火を今か今かと待ち望んでいた。

 周囲を見回してみると、今までプールで遊んでいた子ども連れの家族やカップル、同性の友達同士が暮人たちと同じようにシートを敷いている。

 暮人はがやがやと楽しそうに話している声や幼児が泣き叫ぶ声にぼんやりと耳を傾けながら視線を夜空へと向ける。―――そこにあったのは雲一つ見当たらない、綺麗な星がたくさん散りばめられた天穹だった。


「きっさらーぎさんっ、な~に黄昏ちゃってるんですかぁ。大丈夫? おっぱい揉む?」
「揉まないわっ! ………いやさ、これまでのこと振り返ってたんだよ。色々あったなぁって」
「ありましたねぇ。私が暮人さんの命を何度も狙って何度も失敗して。………あれ、今更ですけど私って女神ですよね? 勇者と女神の格の差とは?」


 「おっぱい揉む?」辺りの発言から聖梨華の隣に並んでいる美雪と小梅から得体の知れない圧的なモノを感じたが恐らく嫉妬だろう。皆までは言うまい。

 改めて女神としての存在意義を悩みだした聖梨華であったが、それに構わず暮人は言葉を続けた。


「多分、俺が『回避』の特性を持って生まれたことに理由なんてないのかもしれないね。偶然俺にその特性があった、ただそれだけ。そんな俺が居なくてもこの地球は回ってるし、なんだったら聖梨華さんの管理する異世界に転移して勇者として生活した方がもしかしたら世の為になるのかもって思う」
「………………………」
「―――でもさ、俺はみんなとこうして笑い合える世界が好きなんだなぁって改めて分かった」
「如月さん………」
「因みに、こういう気持ちを知れたのは聖梨華さんのおかげなんだよ? 感謝もしてる」
「私の、ですか?」


 こてん、と首を傾げる聖梨華だが、暮人が彼女に感謝しているのは紛れもない本心だ。


「ただ漫然に生きるだけ日々に刺激を与えてくれた。両親が俺らを残して早くに死んで、大切な妹と幼馴染だけが生き甲斐だった俺だけど、聖梨華さんを見てたらもっと人生を楽しんでいいんだって思ったんだ」
「暮人………」
「にいに………」


 確かに『回避』の特性を持つ勇者故に女神である聖梨華から命を狙われる事になった。しかし、この特性を持っていたからこそ彼女にも出会えたのだ。
 これはある意味、偶然が繋いだ『運命』だろう。


「だからありがとう、聖梨華さん。キミに出逢えて、俺は今すごく充実してる」
「―――――――――」


 暮人が今まで抱いていた気持ちを口にした瞬間、大きな花火が鳴った。夜空に散る連続的な火花は、しばらく途切れる事はない。「わぁ………!」と小さく美雪と小梅の声が聞こえる。

 暮人も思わずその綺麗な光景に目を奪われていたが、聖梨華の視線は花火を見つめる暮人の横顔に固定されたまま。

 すると、






「―――ちゅっ」
「………っ、ぇ?」


 火薬と微かな甘いにおいが鼻を掠める。頬に残された僅かな感触に小さな声を洩らしながら聖梨華の方を見つめると、彼女は人差し指を口元に置いてはにかみながら暮人を見上げていた。

 残念ながらその顔色は花火の色と重なって読み取れない。しかし花火よりもその魅力的な表情に目を奪われてしまったのも事実だ。


「―――んっ」
「――――――ッ!」


 またも聖梨華は顔を近づけてキスをする。今度は、唇に。


 激しい花火の音が周りの音を掻き消す。ゆっくり互いの唇が離れると、見つめ合った。暮人が何か言葉を紡ごうとする前に、聖梨華が口を開く。


「私、暮人さんの事が好きです。たっくさん迷惑かけてたっくさん命を狙っていきますけど―――私のことも、も~っとデレッデレにさせて下さいね!!」


 華が咲き誇ったように満面の笑みを浮かべる聖梨華。




 それは暮人にとって衝撃の夏の思い出であると同時に、彼女らとの関係が大きく変化する予感を感じさせるモノだった。

 思わず暮人は心の中で叫ぶ。




『クラスで人気の完璧美少女が殺意増し増しで怖いけど、いつの間にか彼女がデレデレになってたーーーっ!?』




しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】

田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。 俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。 「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」 そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。 「あの...相手の人の名前は?」 「...汐崎真凛様...という方ですね」 その名前には心当たりがあった。 天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。 こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。

俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。

true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。 それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。 これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。 日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。 彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。 ※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。 ※内部進行完結済みです。毎日連載です。

イケボすぎる兄が、『義妹の中の人』をやったらバズった件について

のびすけ。
恋愛
春から一人暮らしを始めた大学一年生、天城コウは――ただの一般人だった。 だが、再会した義妹・ひよりのひと言で、そんな日常は吹き飛ぶ。 「お兄ちゃんにしか頼めないの、私の“中の人”になって!」 ひよりはフォロワー20万人超えの人気Vtuber《ひよこまる♪》。 だが突然の喉の不調で、配信ができなくなったらしい。 その代役に選ばれたのが、イケボだけが取り柄のコウ――つまり俺!? 仕方なく始めた“妹の中の人”としての活動だったが、 「え、ひよこまるの声、なんか色っぽくない!?」 「中の人、彼氏か?」 視聴者の反応は想定外。まさかのバズり現象が発生!? しかも、ひよりはそのまま「兄妹ユニット結成♡」を言い出して―― 同居、配信、秘密の関係……って、これほぼ恋人同棲じゃん!? 「お兄ちゃんの声、独り占めしたいのに……他の女と絡まないでよっ!」 代役から始まる、妹と秘密の“中の人”Vライフ×甘々ハーレムラブコメ、ここに開幕!

俺をフッた幼馴染が、トップアイドルになって「もう一度やり直したい」と言ってきた

夏見ナイ
恋愛
平凡な大学生・藤堂蓮には忘れられない過去がある。高校時代、告白した幼馴染の星宮瑠奈に「アイドルになるから」とこっ酷くフラれたことだ。 数年後、瑠奈は国民的アイドル『LUNA』として輝いていた。遠い世界の住人になった彼女との再会なんて、あるはずもなかった――そう、変装した彼女が俺の前に現れ、「もう一度やり直したい」と泣きつくまでは。 トップアイドルの立場を使い強引に迫る元幼馴染と、過去の傷。揺れ動く俺の日常を照らしてくれたのは、俺の才能を信じてくれる後輩・朝霧陽葵の存在だった。 俺をフッた幼馴染か、俺を支える後輩か。過去の清算と未来の選択を描く、ほろ苦くも甘い、逆転ラブコメディ、開幕。

SSS級の絶世の超絶美少女達がやたらと俺にだけ見え見えな好意を寄せてくる件について。〜絶対に俺を攻略したいSSS級の美少女たちの攻防戦〜

沢田美
恋愛
「ごめんね、八杉くん」 中学三年の夏祭り。一途な初恋は、花火と共に儚く散った。 それ以来、八杉裕一(やすぎ・ゆういち)は誓った。「高校では恋愛なんて面倒なものとは無縁の、平穏なオタク生活を送る」と。  だが、入学した紫水高校には《楽園の世代》と呼ばれる四人のSSS級美少女――通称《四皇》が君臨していた。  • 距離感バグり気味の金髪幼馴染・神行胱。  • 圧倒的カリスマで「恋の沼」に突き落とす銀髪美少女・銀咲明日香。  • 無自覚に男たちの初恋を奪う、おっとりした「女神」・足立模。  • オタクにも優しい一万年に一人の最高ギャル・川瀬優里。  恋愛から距離を置きたい裕一の願いも虚しく、彼女たちはなぜか彼にだけ、見え見えな好意を寄せ始める。 教室での「あーん」に、放課後のアニメイトでの遭遇、さらには女神からの「一緒にホラー漫画を買いに行かない?」というお誘いまで。  「俺の身にもなれ! 荷が重すぎるんだよ!」  鋼の意志でスルーしようとする裕一だが、彼女たちの純粋で猛烈なアプローチは止まらない。 恋愛拒否気味な少年と、彼を絶対に攻略したい最強美少女たちの、ちょっと面倒で、でも最高に心地よい「激推し」ラブコメ、開幕!

クラスのマドンナがなぜか俺のメイドになっていた件について

沢田美
恋愛
名家の御曹司として何不自由ない生活を送りながらも、内気で陰気な性格のせいで孤独に生きてきた裕貴真一郎(ゆうき しんいちろう)。 かつてのいじめが原因で、彼は1年間も学校から遠ざかっていた。 しかし、久しぶりに登校したその日――彼は運命の出会いを果たす。 現れたのは、まるで絵から飛び出してきたかのような美少女。 その瞳にはどこかミステリアスな輝きが宿り、真一郎の心をかき乱していく。 「今日から私、あなたのメイドになります!」 なんと彼女は、突然メイドとして彼の家で働くことに!? 謎めいた美少女と陰キャ御曹司の、予測不能な主従ラブコメが幕を開ける! カクヨム、小説家になろうの方でも連載しています!

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。

たかなしポン太
青春
   僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。  助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。  でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。 「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」 「ちょっと、確認しなくていいですから!」 「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」 「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」    天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。  異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー! ※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。 ※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。

処理中です...