陰キャな僕とゆるふわ系天使とのいちゃあま共同作業! ~あれ、実は腹黒?な美少女がぐいぐい僕に構ってくる~

ぽてさら

文字の大きさ
59 / 98
第二幕 天使がぐいぐい来る日常

第58話 腹黒天使と雨と体育祭 後日談前編

しおりを挟む



 体育祭の次の日の放課後、私は廊下を歩きながらもある人との約束を果たすべく屋上へと向かっていた。


「うーん、私への麗華先輩のお話っていったいなんだろうなぁ……?」


 麗華先輩には私の肩を支えて一緒に保健室に連れてきてもらった恩があるからねぇ。来人くんのお姉さんということもあるし、その誘いを断るという選択肢は私には元から無い。
 ……でも麗華先輩から来人くん以外に接点が無い私に話があるぅ、だなーんてすごーく不思議なんだよねぇ。少しだけきんちょーするぅ……。

 私はうーん、と悩みながらも昨日の保健室で行なった、来人くんのお姉さんである麗華先輩との会話を振り返る。


 それは麗華先輩から私の足を伸ばすのを手伝って貰ったり、数分間蒸しタオルを当てるなどの処置をして痛みがあるかないかを確認して貰った直後の話だった。


『はい、これでひとまず大丈夫でしょう。これから数日間、足の筋肉を酷使する運動は避けるのが賢明ですね。しばらくしてもし痛みがあるようでしたら、整形の病院に行って下さい』
『わぁ、もう全然痛くないですぅ。ありがとうございますぅ!』
『それは良かったです。……あぁ、そうでした』
『?』
『明日の放課後、二人だけでお話があります。屋上に来てください』
『? はい、わかりましたぁ……?』


 そう言った麗華先輩がそのまま立ち去ろうとしたけどぉ、その直前に『あぁ、後で来人がここに来ると思うのでよろしくお願いしますね?』って言ったときはびっくりしちゃって思わずピシリと固まっちゃったもん!

 因みに私が気が付いた時にはもう麗華先輩の姿は無かった。

 当然、私は冷や汗を流しながらおろおろと慌てるしかない。だって午前中に来人くんと話した時以上に汗を掻いていたんだからねぇ……っ!

 ま、まぁ来人くんは嫌いじゃないって言ってたけどぉ……そんな言葉が嬉しくてぇ、でも恥ずかしくてぇ、耐えきれなくて逃げちゃったけどぉ、また同じてつを踏むわけにはいかない。

 正直、女子としてそんな状態で好きな人に会うのはなんとしてでも避けたかった。絶対に。

 かといって私の着替えは体育館近くの女子更衣室のロッカーに置きっぱなし。私が取りに行くにしても折角私の様子を見に来てくれる来人くんとすれ違うのは申し訳が無い。

 迫り来る瞬間ときにどきどきしながら、どうしようと考えていたら……。


「りっちゃんが私を心配して見に来てくれたんだよねぇ……! 嬉しかったぁ……!」


 話を聞くに、私の様子が気になったりっちゃんはこっそりと閉祭式を抜け出してきたらしかった。りっちゃんに来人くんが今どうしているのかを聞いたら、どうやら閉祭式に律儀に参加しているとのこと。麗華先輩は来人くんが後で来ると言ってたので、おそらく閉祭式が終わってから保健室に来るのかなぁ? と考えながらほっと一安心。

 そして閉祭式が終わるまでの間にりっちゃんから私の荷物を急いで持ってきて貰うことにしたんだよねぇ。
 最初はその急な私の申し出にジト目を向けていたりっちゃんだけれど、『ありがとぅ!』『りっちゃんがいてくれて助かったよぉ!』『もう神様かと思ったぁ!』とか褒め称えたら照れた表情を取り繕いながらも気分よく取りに行ってくれた。

 ……ちょろ可愛いよねぇ(目をサッと背けながら)。あ、もちろんそのお礼として今度の休日に食事を奢る約束をしたよぉ!

 ……んぅ? でも今思えば、なんで麗華先輩は来人くんが保健室に後で来るって知ってたんだろう? 私とすぐ一緒に保健室に向かったから直接来人くんとお話しする時間なんてなかったしぃ、スマホで連絡していた様子なんてなかったよねぇ……?

 私は屋上へと続く階段を昇りながら新たに浮上した疑問に対し不思議に思うも、昨日の続きを振り返る。


 私の荷物を持ってきたりっちゃんに感謝を伝えた後は、保健室の見張りをお願いしながらベッドのカーテンを閉めて急いで着替えた。

 タオルで身体中の汗を拭きとった後は、いつも体育の後に使用しているボディシートで全身をごしごし。そして香りづけ程度に制汗剤を使ってほんのすこーしだけ身体に振りかけた。

 またまたりっちゃんに感謝を伝えた後は、私は処置台に座りながらそばにいるりっちゃんと試合中のお話などを行なう。
 そして約その三十分後、麗華先輩の言う通り来人くんが保健室へと来たのだった。

 ……状況を察したりっちゃんが保健室を退室しようとするけどぉ、来人くんの視線がしばらくりっちゃんが消えてった方に向けられていたのはすこーし、すこーしだけモヤモヤしたなぁ……。

 今日のお昼休憩の時にそのことを訊ねたら『去り際に風花のことをよろしくっていう意味で微笑んだだけよ』って言ってたけどぉ、りっちゃんの笑みを浮かべた表情ってすっごく綺麗なんだから特に来人くんにその表情を向けるのは止めて欲しい……(しょぼん)。

 だって来人くんがりっちゃんに惚れちゃったら悔しいもん。好きな人が出来たんだとか言ってりっちゃんの名前がでちゃったら、どういう顔すればいいか分かんないもん!!

 ……ごほん。


 "モヤモヤ"という言葉から連想して、さっき言った通り同じ轍……つまり午前中での失敗を二度と繰り返さない様に丹念に自分の体臭をくんくん。

 そんな私の様子を首を傾げた来人くんが見ている事に気付いたけど、羞恥心がありながらもなんとか冷静を保ちながら私は保健室でのことや試合でのことを説明混じりに伝えたんだよねぇ……。

 その状況を思い出した私は階段でしゃがみ込む。大丈夫、他には誰もいないし聞いてない筈……っ! 私は両手で赤く染まった顔を押さえながら絞り出すように言葉を吐き出す。

 ふあぁぁぁぁぁっ!!


「来人くん、不意打ちであの言葉はずるいよぉ……っ。嬉しいとか恥ずかしいって思う前にぃ、思わず泣きそうになっちゃったじゃぁん……っ!」


 全力で挑んだ試合に負けちゃって純粋に悔しいけどぉ、私が頑張っていた姿を来人くんが見てくれた上に、そして認めて貰えたからさぁ……!

 あぁ、もちろん頭をポンポンされながら頑張って我慢したよぉ。……少なくともぉ、彼の前で涙を流すのはここじゃないって思ったからぁ。

 えぇ、頭ポンポンされてどうだったかってぇ? 簡単に言うとすぐさまベッドにダイブしたのち顔を埋めて喜びと恥ずかしさなどの内なる感情を爆発させつつ足をバタバタして身体中にほとばしる熱を発散させたかったって言えば分かるかなぁ?

 ……全然簡単に言ってないって思うのは気のせいだよぉ♡

 今まで来人くんには話して無かったけどねぇ、本当ならば試合を勝ち進めて優勝した暁にはご褒美として来人くんからいっぱい褒めて貰ったり私の身体をたくさん触って貰おうと思ったんだぁ……。

 まぁ今思えば後半の部分を来人くんに求めていたら間違いなく『痴女』認定される可能性があるから負けて良かったのかもしれないけどぉ……うん。試合中のテンションって怖いねぇ……。

 でも私が持てる全力で挑んだにもかかわらず試合に負けたのは、すっごく、すっごく(ココ重要!)悔しかったぁ!! だから来年の体育祭は絶対に優勝するぅ!!

 ………………。




「……来人くんは少しずつ前に進んでいるねぇ。本当にすごいやぁ……!」


 色々なことを振り返ったり考えている内に階段を昇りきる。私の目の前には、前に来人くんと一緒に来た屋上へと行ける扉があった。
 私はその扉の持ち手を握りながら息を整える。すぅー、はぁー。

 これから麗華先輩とお話をするというのに、今もずっと考えているのは彼のこと。


 来人くんは群衆の中で目立つような行動は苦手な筈なのに、試合中に勇気を出して私に大声で声援を届けてくれた。

 まだ異性に触ることに抵抗がある筈なのに勇気を出して私の頭を撫でてくれた。

 それらを含む高校生活の中で数え切れないほどの来人くんの"歩み"を、私はすぐ側で見てきた。



 気分がほんのり軽くなりながら、僅かに心の中に巣食っていた緊張感が消え去る。自然体のまま、私はそのままがちゃり、と扉を開けた。

 屋上を見渡す限り、茜色に染まった夕陽が辺りを照らしていた。そこには以前見たときと変わらず様々な種類の色鮮やかな観葉植物が植えられた花壇やプランター、ベンチが置かれている。

 その中心には、穏やかな風に吹かれながら艶やかな長い黒髪を揺らした人物がいた。
 端正な顔立ちをした彼女は私が来たことに気が付くと、『女神』のような笑みでにこやかに微笑んだ。


 なら、それがキミにとってかけがえのない道になったとき―――、


「ご足労を掛けてしまい申し訳ありません。―――お待ちしておりました」
「こんばんはぁ、麗華先輩」










 いつか、私のこの気持ちに気付いてくれるかなぁ?



しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

元暗殺者の俺だけが、クラスの地味系美少女が地下アイドルなことを知っている

甘酢ニノ
恋愛
クラス一の美少女・強羅ひまりには、誰にも言えない秘密がある。 実は“売れない地下アイドル”として活動しているのだ。 偶然その正体を知ってしまったのは、無愛想で怖がられがちな同級生・兎山類。 けれど彼は、泣いていたひまりをそっと励ましたことも忘れていて……。 不器用な彼女の願いを胸に、類はひまりの“支え役”になっていく。 真面目で不器用なアイドルと、寡黙だけど優しい少年が紡ぐ、 少し切なくて甘い青春ラブコメ。

あなたがいなくなった後 〜シングルマザーになった途端、義弟から愛され始めました〜

瀬崎由美
恋愛
石橋優香は夫大輝との子供を出産したばかりの二十七歳の専業主婦。三歳歳上の大輝とは大学時代のサークルの先輩後輩で、卒業後に再会したのがキッカケで付き合い始めて結婚した。 まだ生後一か月の息子を手探りで育てて、寝不足の日々。朝、いつもと同じように仕事へと送り出した夫は職場での事故で帰らぬ人となる。乳児を抱えシングルマザーとなってしまった優香のことを支えてくれたのは、夫の弟である宏樹だった。二歳年上で公認会計士である宏樹は優香に変わって葬儀やその他を取り仕切ってくれ、事あるごとに家の様子を見にきて、二人のことを気に掛けてくれていた。 息子の為にと自立を考えた優香は、働きに出ることを考える。それを知った宏樹は自分の経営する会計事務所に勤めることを勧めてくれる。陽太が保育園に入れることができる月齢になって義弟のオフィスで働き始めてしばらく、宏樹の不在時に彼の元カノだと名乗る女性が訪れて来、宏樹へと復縁を迫ってくる。宏樹から断られて逆切れした元カノによって、彼が優香のことをずっと想い続けていたことを暴露されてしまう。 あっさりと認めた宏樹は、「今は兄貴の代役でもいい」そういって、優香の傍にいたいと願った。 夫とは真逆のタイプの宏樹だったが、優しく支えてくれるところは同じで…… 夫のことを想い続けるも、義弟のことも完全には拒絶することができない優香。

それは、ホントに不可抗力で。

樹沙都
恋愛
これ以上他人に振り回されるのはまっぴらごめんと一大決意。人生における全ての無駄を排除し、おひとりさまを謳歌する歩夢の前に、ひとりの男が立ちはだかった。 「まさか、夫の顔……を、忘れたとは言わないだろうな? 奥さん」 その婚姻は、天の啓示か、はたまた……ついうっかり、か。 恋に仕事に人間関係にと翻弄されるお人好しオンナ関口歩夢と腹黒大魔王小林尊の攻防戦。 まさにいま、開始のゴングが鳴った。 まあね、所詮、人生は不可抗力でできている。わけよ。とほほっ。

【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜

来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、 疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。 無愛想で冷静な上司・東條崇雅。 その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、 仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。 けれど―― そこから、彼の態度は変わり始めた。 苦手な仕事から外され、 負担を減らされ、 静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。 「辞めるのは認めない」 そんな言葉すらないのに、 無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。 これは愛? それともただの執着? じれじれと、甘く、不器用に。 二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。 無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

全力でおせっかいさせていただきます。―私はツンで美形な先輩の食事係―

入海月子
青春
佐伯優は高校1年生。カメラが趣味。ある日、高校の屋上で出会った超美形の先輩、久住遥斗にモデルになってもらうかわりに、彼の昼食を用意する約束をした。 遥斗はなぜか学校に住みついていて、衣食は女生徒からもらったものでまかなっていた。その報酬とは遥斗に抱いてもらえるというもの。 本当なの?遥斗が気になって仕方ない優は――。 優が薄幸の遥斗を笑顔にしようと頑張る話です。

『冷徹社長の秘書をしていたら、いつの間にか専属の妻に選ばれました』

鍛高譚
恋愛
秘書課に異動してきた相沢結衣は、 仕事一筋で冷徹と噂される社長・西園寺蓮の専属秘書を務めることになる。 厳しい指示、膨大な業務、容赦のない会議―― 最初はただ必死に食らいつくだけの日々だった。 だが、誰よりも真剣に仕事と向き合う蓮の姿に触れるうち、 結衣は秘書としての誇りを胸に、確かな成長を遂げていく。 そして、蓮もまた陰で彼女を支える姿勢と誠実な仕事ぶりに心を動かされ、 次第に結衣は“ただの秘書”ではなく、唯一無二の存在になっていく。 同期の嫉妬による妨害、ライバル会社の不正、社内の疑惑。 数々の試練が二人を襲うが―― 蓮は揺るがない意志で結衣を守り抜き、 結衣もまた社長としてではなく、一人の男性として蓮を信じ続けた。 そしてある夜、蓮がようやく口にした言葉は、 秘書と社長の関係を静かに越えていく。 「これからの人生も、そばで支えてほしい。」 それは、彼が初めて見せた弱さであり、 結衣だけに向けた真剣な想いだった。 秘書として。 一人の女性として。 結衣は蓮の差し伸べた未来を、涙と共に受け取る――。 仕事も恋も全力で駆け抜ける、 “冷徹社長×秘書”のじれ甘オフィスラブストーリー、ここに完結。

クラスのマドンナがなぜか俺のメイドになっていた件について

沢田美
恋愛
名家の御曹司として何不自由ない生活を送りながらも、内気で陰気な性格のせいで孤独に生きてきた裕貴真一郎(ゆうき しんいちろう)。 かつてのいじめが原因で、彼は1年間も学校から遠ざかっていた。 しかし、久しぶりに登校したその日――彼は運命の出会いを果たす。 現れたのは、まるで絵から飛び出してきたかのような美少女。 その瞳にはどこかミステリアスな輝きが宿り、真一郎の心をかき乱していく。 「今日から私、あなたのメイドになります!」 なんと彼女は、突然メイドとして彼の家で働くことに!? 謎めいた美少女と陰キャ御曹司の、予測不能な主従ラブコメが幕を開ける! カクヨム、小説家になろうの方でも連載しています!

お兄ちゃんはお兄ちゃんだけど、お兄ちゃんなのにお兄ちゃんじゃない!?

すずなり。
恋愛
幼いころ、母に施設に預けられた鈴(すず)。 お母さん「病気を治して迎えにくるから待ってて?」 その母は・・迎えにくることは無かった。 代わりに迎えに来た『父』と『兄』。 私の引き取り先は『本当の家』だった。 お父さん「鈴の家だよ?」 鈴「私・・一緒に暮らしていいんでしょうか・・。」 新しい家で始まる生活。 でも私は・・・お母さんの病気の遺伝子を受け継いでる・・・。 鈴「うぁ・・・・。」 兄「鈴!?」 倒れることが多くなっていく日々・・・。 そんな中でも『恋』は私の都合なんて考えてくれない。 『もう・・妹にみれない・・・。』 『お兄ちゃん・・・。』 「お前のこと、施設にいたころから好きだった・・・!」 「ーーーーっ!」 ※本編には病名や治療法、薬などいろいろ出てきますが、全て想像の世界のお話です。現実世界とは一切関係ありません。 ※コメントや感想などは受け付けることはできません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 ※孤児、脱字などチェックはしてますが漏れもあります。ご容赦ください。 ※表現不足なども重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけたら幸いです。(それはもう『へぇー・・』ぐらいに。)

処理中です...