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Ⅰ-72 第4迷宮攻略 中編
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■第4迷宮内部
迷宮の底から延びている横穴は頑丈な岩をくり抜いたような造りになっている。壁を叩いても土壁が崩れるような脆さは全くなかった。3人ともヘルメットに3個、ベストに2個のライトをつけているので、狭い通路の中でも十分に視野が確保できていたが、狭い通路は圧迫感があって潰されそうな不安がよぎる。
奥に進むと何匹も生き残っている蛇が近寄ってくるので、サブマシンガンで床をなぎ払いながら進んで行く。入り口から100メートルほど進んだところで通路が突き当たりになって左右に分岐していた。曲がり角の手前で止まって左右を覗き込んだが、横に伸びている通路には危険な魔獣は見えなかった。右も左も同じようにカーブした通路だ。上から見ると、丸い迷宮の周りを通路で回るような形になって居るのかも知れない。足元に緑のケミカルライトを置いて、右側の通路から進んで行くことにしたが、右にカーブして行く通路は少し先でもう一度右に曲がっているのが見えてきた。曲がり角の先を覗き込むと地面の蛇以外は居なかったが、真っ直ぐ伸びた通路の先には光が差し込んでいるのが見える。進んでも最初の場所に戻ってしまうようだ。
通ってきた通路を引き返して、緑のケミカルライトがある場所を直進していく。だが、こちらの通路もすぐに左へ曲がるようになっていた。曲がって進むと太陽の光が差し込むスタート地点になる迷宮の底へ出て来た。無駄足になったが、7つの内3つを潰すことが出来たので、効率が良いとも言える。
出て来た通路にも赤のケミカルライトを置いてから隣の通路へ入っていく。同じように床の蛇をなぎ払いながら進んでいくが、今度の通路は奥に向かって下に緩やかに傾斜していた。100メートル以上進んで入り口の光が見えないところに行くと、幅が5メートルぐらいの浅い水溜りがあるのが見えた。水の中にもうねっているヤツが居たので仕留めてから水たまりの上に梯子を掛けて渡る。コンバットブーツはくるぶしぐらいの水溜りは気にならない防水性能だが、無駄に足をぬらす必要は無い。
通路は水溜りがあったところを底にして今度は緩やかに上って行くようだ。既に最初の3つの横穴より長い距離を進んでいる。この穴は当たりかもしれないと俺は感じ始めていた。
緩やかに上っていく通路を進むと、奥から風が流れてくるのを頬に感じた。強い風ではないが、同じ調子でゆっくりとした風が流れてきているようだ。そのせいなのか、足元の地面も湿った土から、徐々に乾いた土に変わってきていて、いつの間にかヘビ達も見えなくなっている。更に進むと、ライトの光の先には狭い通路ではない空間が広がっているのが見えてきた。
たどり着いた空間は小さな円形の部屋のようになっている。広さは6畳ぐらいだと思うが、中心部にあるのは・・・、おそらく棺だろう。ここは墓なのか?土で作られたであろう四角い大きな塊が鎮座している。ストレージから投光器と発電機を取り出して部屋全体を確認すると、棺以外にも壁に小さい穴になっている部分があるのがわかった。入ってきた通路の正面に当たる部分だが、天井に近い上のほうにある。棺は後回しにして、梯子に登って穴を確認してみると、穴をからは髪がなびくほどの風が吹き出していた。
-この場所で地上と繋がっているのか?
迷宮の底からは300メートルぐらいは歩いてきたはずだ。考えたくは無いが頭上には池があるぐらいの場所になっていると思う。フラッシュライトの光で奥のほうを照らしながら、もう一度除いて見ると、光に反射して鈍く光る物があるのがわかった。他に危険な虫などが居ないことを確認してから、俺は穴の中に手を伸ばして光る物を取り出した。
-石だ。おそらく風の石? しかし・・・
俺が石を取り出した途端に、穴から噴出している風は止まってしまった。風の魔法が解けてしまったのだろうか?それにしても、術者もいないのに石だけで風を出せるのだろうか?疑問に思ったが、先に棺を確認するために梯子から降りて、石棺を上から、横から眺めて調べていく。石棺は長さ2メートル、幅1メートル、高さも1メートルぐらいある大きな物で、蓋になっている部分の厚みも10cm以上あった。
「サリナ、ミーシャ、お前たちはこれが何かわかるか?」
「宝箱かな?」
「それにしては、底が地面に引っ付いているから持ち運びは出来ないし、いずれにせよ大きすぎるだろう」
サリナは前向きな、ミーシャは冷静な回答をくれた。
「エルフ達は亡くなった時は、亡骸を土に埋めるのだろう?その時に棺に入れたりはしないのか?」
「棺? それは何だ?確かに死ねば土に埋めるが、服を着せて花で飾ってからそのまま土に返してやるだけだ」
「サリナは棺って判るか?」
「ひつぎ? 知らない。美味しい物!?」
-ひつじとチャウで!
やはり、この世界では棺を使わないのかもしれない、それよりも違和感があるのはこの石棺の上に書かれている印だ、大きな十字架が描かれている。俺も最初は十字架を見つけて棺だと思ったのだが、よく考えればこの世界にキリスト教は無い。信じている神はアシーネ神だから、十字架崇敬などあるはずが無いのだ。と言うことは、こいつは異世界から来た勇者達の墓なのか?それとも・・・?考えていても仕方がない、少し抵抗はあるが棺を開けることにさせてもらおう。石棺の蓋は重いようだから、ここは必殺技を出すしかないだろう。
俺は手を伸ばして、蓋をストレージの中に収納した。生物では無い土の塊は重さを感じることなく視界から消えて、棺の中が突然むき出しになった。
「なんだ、今のは!?」
「サトルの魔法でしょ?」
ミーシャは驚き、サリナは事実として受け入れた。
だが、俺達が見つめる棺の中には遺骸は無かった。見慣れたいつもの布があるが・・・、いれた人間の洒落だろうか、汚れた布にはっきりとした大きなマークが記されている。いわゆるビックリマーク-!-と言うやつだ。
残念ながらそんなに驚きはしなかったし、サリナとミーシャは丸っきり無視ですよ、昔の勇者様!
迷宮の底から延びている横穴は頑丈な岩をくり抜いたような造りになっている。壁を叩いても土壁が崩れるような脆さは全くなかった。3人ともヘルメットに3個、ベストに2個のライトをつけているので、狭い通路の中でも十分に視野が確保できていたが、狭い通路は圧迫感があって潰されそうな不安がよぎる。
奥に進むと何匹も生き残っている蛇が近寄ってくるので、サブマシンガンで床をなぎ払いながら進んで行く。入り口から100メートルほど進んだところで通路が突き当たりになって左右に分岐していた。曲がり角の手前で止まって左右を覗き込んだが、横に伸びている通路には危険な魔獣は見えなかった。右も左も同じようにカーブした通路だ。上から見ると、丸い迷宮の周りを通路で回るような形になって居るのかも知れない。足元に緑のケミカルライトを置いて、右側の通路から進んで行くことにしたが、右にカーブして行く通路は少し先でもう一度右に曲がっているのが見えてきた。曲がり角の先を覗き込むと地面の蛇以外は居なかったが、真っ直ぐ伸びた通路の先には光が差し込んでいるのが見える。進んでも最初の場所に戻ってしまうようだ。
通ってきた通路を引き返して、緑のケミカルライトがある場所を直進していく。だが、こちらの通路もすぐに左へ曲がるようになっていた。曲がって進むと太陽の光が差し込むスタート地点になる迷宮の底へ出て来た。無駄足になったが、7つの内3つを潰すことが出来たので、効率が良いとも言える。
出て来た通路にも赤のケミカルライトを置いてから隣の通路へ入っていく。同じように床の蛇をなぎ払いながら進んでいくが、今度の通路は奥に向かって下に緩やかに傾斜していた。100メートル以上進んで入り口の光が見えないところに行くと、幅が5メートルぐらいの浅い水溜りがあるのが見えた。水の中にもうねっているヤツが居たので仕留めてから水たまりの上に梯子を掛けて渡る。コンバットブーツはくるぶしぐらいの水溜りは気にならない防水性能だが、無駄に足をぬらす必要は無い。
通路は水溜りがあったところを底にして今度は緩やかに上って行くようだ。既に最初の3つの横穴より長い距離を進んでいる。この穴は当たりかもしれないと俺は感じ始めていた。
緩やかに上っていく通路を進むと、奥から風が流れてくるのを頬に感じた。強い風ではないが、同じ調子でゆっくりとした風が流れてきているようだ。そのせいなのか、足元の地面も湿った土から、徐々に乾いた土に変わってきていて、いつの間にかヘビ達も見えなくなっている。更に進むと、ライトの光の先には狭い通路ではない空間が広がっているのが見えてきた。
たどり着いた空間は小さな円形の部屋のようになっている。広さは6畳ぐらいだと思うが、中心部にあるのは・・・、おそらく棺だろう。ここは墓なのか?土で作られたであろう四角い大きな塊が鎮座している。ストレージから投光器と発電機を取り出して部屋全体を確認すると、棺以外にも壁に小さい穴になっている部分があるのがわかった。入ってきた通路の正面に当たる部分だが、天井に近い上のほうにある。棺は後回しにして、梯子に登って穴を確認してみると、穴をからは髪がなびくほどの風が吹き出していた。
-この場所で地上と繋がっているのか?
迷宮の底からは300メートルぐらいは歩いてきたはずだ。考えたくは無いが頭上には池があるぐらいの場所になっていると思う。フラッシュライトの光で奥のほうを照らしながら、もう一度除いて見ると、光に反射して鈍く光る物があるのがわかった。他に危険な虫などが居ないことを確認してから、俺は穴の中に手を伸ばして光る物を取り出した。
-石だ。おそらく風の石? しかし・・・
俺が石を取り出した途端に、穴から噴出している風は止まってしまった。風の魔法が解けてしまったのだろうか?それにしても、術者もいないのに石だけで風を出せるのだろうか?疑問に思ったが、先に棺を確認するために梯子から降りて、石棺を上から、横から眺めて調べていく。石棺は長さ2メートル、幅1メートル、高さも1メートルぐらいある大きな物で、蓋になっている部分の厚みも10cm以上あった。
「サリナ、ミーシャ、お前たちはこれが何かわかるか?」
「宝箱かな?」
「それにしては、底が地面に引っ付いているから持ち運びは出来ないし、いずれにせよ大きすぎるだろう」
サリナは前向きな、ミーシャは冷静な回答をくれた。
「エルフ達は亡くなった時は、亡骸を土に埋めるのだろう?その時に棺に入れたりはしないのか?」
「棺? それは何だ?確かに死ねば土に埋めるが、服を着せて花で飾ってからそのまま土に返してやるだけだ」
「サリナは棺って判るか?」
「ひつぎ? 知らない。美味しい物!?」
-ひつじとチャウで!
やはり、この世界では棺を使わないのかもしれない、それよりも違和感があるのはこの石棺の上に書かれている印だ、大きな十字架が描かれている。俺も最初は十字架を見つけて棺だと思ったのだが、よく考えればこの世界にキリスト教は無い。信じている神はアシーネ神だから、十字架崇敬などあるはずが無いのだ。と言うことは、こいつは異世界から来た勇者達の墓なのか?それとも・・・?考えていても仕方がない、少し抵抗はあるが棺を開けることにさせてもらおう。石棺の蓋は重いようだから、ここは必殺技を出すしかないだろう。
俺は手を伸ばして、蓋をストレージの中に収納した。生物では無い土の塊は重さを感じることなく視界から消えて、棺の中が突然むき出しになった。
「なんだ、今のは!?」
「サトルの魔法でしょ?」
ミーシャは驚き、サリナは事実として受け入れた。
だが、俺達が見つめる棺の中には遺骸は無かった。見慣れたいつもの布があるが・・・、いれた人間の洒落だろうか、汚れた布にはっきりとした大きなマークが記されている。いわゆるビックリマーク-!-と言うやつだ。
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