123 / 343
Ⅰ-123 網に・・・
しおりを挟む
■風の国 王都 ゲイル
獣人の見張りには8人を充てて、日に何度も報告するようにホリスは指示をしてある。砦でしくじった奴も一人張り付けてあるから、残りのやつが来ればすぐにわかるだろう。今もホリスの元には見張りの一人が報告に来ていた。
「それで、組合で獣人が会っていたやつらは何者なんだ?」
「はっきりとは判りませんが、獣人に金で雇われたようです。そいつらは、何軒か飲み屋を回って、俺達にどうやったら繋ぎがつけられるかを聞いています」
なるほど、俺達の事を探るのはあきらめていないんだな。
「そいつらはまだ酒を飲んでいるのか?」
「まだ飲み屋にいると思いますが」
「だったら、俺達を紹介できる人間を知っているって、そいつらに吹き込んで、明日、獣人をおびき寄せるんだ。で、獣人の方はどうしてる?」
「宿に戻りました」
「じゃあ、明日、獣人を捕まえたらオメエは宿代を払いに行って、書置きを預けてこい」
「書置きをですか?」
「ああ、獣人の知り合いが来たら渡してもらうように金を掴ませろ」
獣人が消えれば仲間が探しに来るだろう。上手くいけば、4人とも・・・
■ゲイル大教会
ゲイルの大教会は今でも教会としての役割だけを果たしている。水の国と違って風の国の王宮は教会とは別の場所に新しく立派なものが作られているからだ。だが、大きな教会の中には人影が少なかった。昔のように教会が国の全てを動かしているわけではないから、祈りだけのために足を向ける人間は、今ではほとんどいないのだろう。
ハンスは朝からここの副司教に会いに来た。教会士は獣人のハンスが現れたことに驚いていたが、用件を伝えると取次ぎをしてくれて、副司教がすぐに会ってくれることになった。副司教の部屋は2階に上がってすぐの場所にあり、教会士に連れられて開いた扉から中に入ると懐かしい顔が奥の机から立ち上がった。
「久しぶりですね、ハンス」
「ご無沙汰しています、ポール様」
副司教のポールは聖教典の教えを今でも忠実に信じている一人で、以前からハンスに力を貸してくれている。今から3年前にこの国へ来た時も、住むところなどの世話をしてくれていた。今日も柔らかい笑顔でハンスをソファーに座らせたが、すぐに表情を曇らせた。
「腕はどうしたのだ?」
ポールは悲しそうな表情を浮かべてハンスの失われた左腕を見ていた。
「南の方で魔獣に襲われました」
「南か・・・、魔法具探しはどうなったのだ?」
「魔法具は全部見つかりました」
「全部! そんな!? どうやって!?」
ポールやハンスは先の勇者や魔法具の存在を信じてはいたが、隠された魔法具を見つけるのは困難を極めることを理解していた。
「はい、神が新しい勇者様を使わされたのです」
「勇者様!? まことか!?どんな方なのだ?」
「それが・・・、ご本人は勇者では無いと言っております」
「どうしてなのだ? 神の思し召しなのであろう?」
「理由は私にも判らないのですが、魔竜討伐からは距離を置きたいようです」
「そうか・・・、勇者はその心のままに・・・、見守るしかないのだな」
ポールはソファーの背もたれに体を預けて天井を仰ぎ見た。
「ええ、私とサリナは近いところで見守るつもりです」
「わかった、それで、今日はそれを伝えるために?」
「それもありますが、この国に連れて来られた狼の事で情報を集めています」
「狼?」
ハンスはミーシャの名前は出さずに、伝説のオールドシルバーが黒い死人達によってこの国へ運ばれたことをポールに説明した。
「残念だが、私はその狼の事は聞いたことがないな。だが、この国の中で色々と知っている者に心当たりがあるので、紹介状を書いてやろう。その者なら、お前の力になってくれるはずだ」
■イースト商会前
イースト商会の場所を御者の人はちゃんと知っていた。そう、誰かに聞けば色々と教えてもらえる。サトルも初めての町ではいつも親切な人達に教えてもらっていた。リンネが町の手前で馬車を降りて行ったから不安だったけど、ゲイルに入るときも一人でお金が払えたし、ここまで来ることが出来た。御者の人が居なくなって、本当にサリナ一人になっちゃった・・・、でも、大丈夫!
ここのイースト商会はセントレアの半分ぐらいの大きさだけど、周りの建物よりはずっと大きい。人や馬車がたくさん出入りしているから、ぶつからないように気を付けないと。
建物の中にも人がたくさん居る。カウンターにはオバサンが座っているけど、こっちを見て笑ってくれた。セントレアの嫌な人とは違うみたい。
「こんにちは! サリナです。ここにお兄・・、ハンスさんからの伝言がありませんか?」
「ハンスさん、獣人の方ですね? それでしたら、昨日お手紙をお預かりしましたが、セントレアに送ってしまいました」
「手紙? そっか、まだ向こうに居ると思っているのか・・・」
「ですが、お泊りになっているところは聞いていますよ?」
「本当!? 教えて!・・・ください」
サリナはカウンターの上に身を乗り出して優しいオバサンを見つめた。
「ええ、もちろんです。ですが、あまり治安のよい場所ではないですから、一人で行ってはいけませんよ」
- そうなんだ、でもお兄ちゃんに早く会わないと・・・、サリナには魔法もあるし大丈夫!
「はい、誰かと一緒に行ってもらいます!」
■ハンスの宿
せっかく来たけど、お兄ちゃんは出かけてた。でも、部屋が空いていたからお金だけは払ってリンネと泊まれることになった。銀貨1枚と銅貨2枚だったけど良かったのかな?今までの宿よりも汚いのに。それで、これからどうしよう?リンネとの待ち合わせまではまだ時間があるし・・・
「お嬢ちゃん、お嬢ちゃんはあの獣人の知り合いかい?」
宿を出たサリナに薄汚れた男が話しかけてきた、腰に剣を差しているが兵士では無いようだ。
「獣人ってお兄・・・、ハンスのこと?」
「ああ、そうそう、そのハンスさんから、お嬢ちゃんが来たら連れてきてほしいって言われてるんだよ」
「本当に!?」
良かった、やっぱりこの町にも親切な人がいた。先にお兄ちゃんの所に行ってから、リンネが待っているイースト商会に一緒に戻ろうっと。
獣人の見張りには8人を充てて、日に何度も報告するようにホリスは指示をしてある。砦でしくじった奴も一人張り付けてあるから、残りのやつが来ればすぐにわかるだろう。今もホリスの元には見張りの一人が報告に来ていた。
「それで、組合で獣人が会っていたやつらは何者なんだ?」
「はっきりとは判りませんが、獣人に金で雇われたようです。そいつらは、何軒か飲み屋を回って、俺達にどうやったら繋ぎがつけられるかを聞いています」
なるほど、俺達の事を探るのはあきらめていないんだな。
「そいつらはまだ酒を飲んでいるのか?」
「まだ飲み屋にいると思いますが」
「だったら、俺達を紹介できる人間を知っているって、そいつらに吹き込んで、明日、獣人をおびき寄せるんだ。で、獣人の方はどうしてる?」
「宿に戻りました」
「じゃあ、明日、獣人を捕まえたらオメエは宿代を払いに行って、書置きを預けてこい」
「書置きをですか?」
「ああ、獣人の知り合いが来たら渡してもらうように金を掴ませろ」
獣人が消えれば仲間が探しに来るだろう。上手くいけば、4人とも・・・
■ゲイル大教会
ゲイルの大教会は今でも教会としての役割だけを果たしている。水の国と違って風の国の王宮は教会とは別の場所に新しく立派なものが作られているからだ。だが、大きな教会の中には人影が少なかった。昔のように教会が国の全てを動かしているわけではないから、祈りだけのために足を向ける人間は、今ではほとんどいないのだろう。
ハンスは朝からここの副司教に会いに来た。教会士は獣人のハンスが現れたことに驚いていたが、用件を伝えると取次ぎをしてくれて、副司教がすぐに会ってくれることになった。副司教の部屋は2階に上がってすぐの場所にあり、教会士に連れられて開いた扉から中に入ると懐かしい顔が奥の机から立ち上がった。
「久しぶりですね、ハンス」
「ご無沙汰しています、ポール様」
副司教のポールは聖教典の教えを今でも忠実に信じている一人で、以前からハンスに力を貸してくれている。今から3年前にこの国へ来た時も、住むところなどの世話をしてくれていた。今日も柔らかい笑顔でハンスをソファーに座らせたが、すぐに表情を曇らせた。
「腕はどうしたのだ?」
ポールは悲しそうな表情を浮かべてハンスの失われた左腕を見ていた。
「南の方で魔獣に襲われました」
「南か・・・、魔法具探しはどうなったのだ?」
「魔法具は全部見つかりました」
「全部! そんな!? どうやって!?」
ポールやハンスは先の勇者や魔法具の存在を信じてはいたが、隠された魔法具を見つけるのは困難を極めることを理解していた。
「はい、神が新しい勇者様を使わされたのです」
「勇者様!? まことか!?どんな方なのだ?」
「それが・・・、ご本人は勇者では無いと言っております」
「どうしてなのだ? 神の思し召しなのであろう?」
「理由は私にも判らないのですが、魔竜討伐からは距離を置きたいようです」
「そうか・・・、勇者はその心のままに・・・、見守るしかないのだな」
ポールはソファーの背もたれに体を預けて天井を仰ぎ見た。
「ええ、私とサリナは近いところで見守るつもりです」
「わかった、それで、今日はそれを伝えるために?」
「それもありますが、この国に連れて来られた狼の事で情報を集めています」
「狼?」
ハンスはミーシャの名前は出さずに、伝説のオールドシルバーが黒い死人達によってこの国へ運ばれたことをポールに説明した。
「残念だが、私はその狼の事は聞いたことがないな。だが、この国の中で色々と知っている者に心当たりがあるので、紹介状を書いてやろう。その者なら、お前の力になってくれるはずだ」
■イースト商会前
イースト商会の場所を御者の人はちゃんと知っていた。そう、誰かに聞けば色々と教えてもらえる。サトルも初めての町ではいつも親切な人達に教えてもらっていた。リンネが町の手前で馬車を降りて行ったから不安だったけど、ゲイルに入るときも一人でお金が払えたし、ここまで来ることが出来た。御者の人が居なくなって、本当にサリナ一人になっちゃった・・・、でも、大丈夫!
ここのイースト商会はセントレアの半分ぐらいの大きさだけど、周りの建物よりはずっと大きい。人や馬車がたくさん出入りしているから、ぶつからないように気を付けないと。
建物の中にも人がたくさん居る。カウンターにはオバサンが座っているけど、こっちを見て笑ってくれた。セントレアの嫌な人とは違うみたい。
「こんにちは! サリナです。ここにお兄・・、ハンスさんからの伝言がありませんか?」
「ハンスさん、獣人の方ですね? それでしたら、昨日お手紙をお預かりしましたが、セントレアに送ってしまいました」
「手紙? そっか、まだ向こうに居ると思っているのか・・・」
「ですが、お泊りになっているところは聞いていますよ?」
「本当!? 教えて!・・・ください」
サリナはカウンターの上に身を乗り出して優しいオバサンを見つめた。
「ええ、もちろんです。ですが、あまり治安のよい場所ではないですから、一人で行ってはいけませんよ」
- そうなんだ、でもお兄ちゃんに早く会わないと・・・、サリナには魔法もあるし大丈夫!
「はい、誰かと一緒に行ってもらいます!」
■ハンスの宿
せっかく来たけど、お兄ちゃんは出かけてた。でも、部屋が空いていたからお金だけは払ってリンネと泊まれることになった。銀貨1枚と銅貨2枚だったけど良かったのかな?今までの宿よりも汚いのに。それで、これからどうしよう?リンネとの待ち合わせまではまだ時間があるし・・・
「お嬢ちゃん、お嬢ちゃんはあの獣人の知り合いかい?」
宿を出たサリナに薄汚れた男が話しかけてきた、腰に剣を差しているが兵士では無いようだ。
「獣人ってお兄・・・、ハンスのこと?」
「ああ、そうそう、そのハンスさんから、お嬢ちゃんが来たら連れてきてほしいって言われてるんだよ」
「本当に!?」
良かった、やっぱりこの町にも親切な人がいた。先にお兄ちゃんの所に行ってから、リンネが待っているイースト商会に一緒に戻ろうっと。
0
あなたにおすすめの小説
ReBirth 上位世界から下位世界へ
小林誉
ファンタジー
ある日帰宅途中にマンホールに落ちた男。気がつくと見知らぬ部屋に居て、世界間のシステムを名乗る声に死を告げられる。そして『あなたが落ちたのは下位世界に繋がる穴です』と説明された。この世に現れる天才奇才の一部は、今のあなたと同様に上位世界から落ちてきた者達だと。下位世界に転生できる機会を得た男に、どのような世界や環境を希望するのか質問される。男が出した答えとは――
※この小説の主人公は聖人君子ではありません。正義の味方のつもりもありません。勝つためならどんな手でも使い、売られた喧嘩は買う人物です。他人より仲間を最優先し、面倒な事が嫌いです。これはそんな、少しずるい男の物語。
1~4巻発売中です。
神様、ちょっとチートがすぎませんか?
ななくさ ゆう
ファンタジー
【大きすぎるチートは呪いと紙一重だよっ!】
未熟な神さまの手違いで『常人の“200倍”』の力と魔力を持って産まれてしまった少年パド。
本当は『常人の“2倍”』くらいの力と魔力をもらって転生したはずなのにっ!!
おかげで、産まれたその日に家を壊しかけるわ、謎の『闇』が襲いかかってくるわ、教会に命を狙われるわ、王女様に勇者候補としてスカウトされるわ、もう大変!!
僕は『家族と楽しく平和に暮らせる普通の幸せ』を望んだだけなのに、どうしてこうなるの!?
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
――前世で大人になれなかった少年は、新たな世界で幸せを求める。
しかし、『幸せになりたい』という夢をかなえるの難しさを、彼はまだ知らない。
自分自身の幸せを追い求める少年は、やがて世界に幸せをもたらす『勇者』となる――
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
本文中&表紙のイラストはへるにゃー様よりご提供戴いたものです(掲載許可済)。
へるにゃー様のHP:http://syakewokuwaeta.bake-neko.net/
---------------
※カクヨムとなろうにも投稿しています
異世界ラグナロク 〜妹を探したいだけの神災級の俺、上位スキル使用禁止でも気づいたら世界を蹂躙してたっぽい〜
Tri-TON
ファンタジー
核戦争で死んだ俺は、神災級と呼ばれるチートな力を持ったまま異世界へ転生した。
目的はひとつ――行方不明になった“妹”を探すことだ。
だがそこは、大量の転生者が前世の知識と魔素を融合させた“魔素学”によって、
神・魔物・人間の均衡が崩れた危うい世界だった。
そんな中で、魔王と女神が勝手に俺の精神世界で居候し、
挙句の果てに俺は魔物たちに崇拝されるという意味不明な状況に巻き込まれていく。
そして、謎の魔獣の襲来、七つの大罪を名乗る異世界人勇者たちとの因縁、
さらには俺の前世すら巻き込む神々の陰謀まで飛び出して――。
妹を探すだけのはずが、どうやら“世界の命運”まで背負わされるらしい。
笑い、シリアス、涙、そして家族愛。
騒がしくも温かい仲間たちと紡ぐ新たな伝説が、今始まる――。
※小説家になろう様でも掲載しております。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
ブラック企業で心身ボロボロの社畜だった俺が少年の姿で異世界に転生!? ~鑑定スキルと無限収納を駆使して錬金術師として第二の人生を謳歌します~
楠富 つかさ
ファンタジー
ブラック企業で働いていた小坂直人は、ある日、仕事中の過労で意識を失い、気がつくと異世界の森の中で少年の姿になっていた。しかも、【錬金術】という強力なスキルを持っており、物質を分解・合成・強化できる能力を手にしていた。
そんなナオが出会ったのは、森で冒険者として活動する巨乳の美少女・エルフィーナ(エル)。彼女は魔物討伐の依頼をこなしていたが、強敵との戦闘で深手を負ってしまう。
「やばい……これ、動けない……」
怪我人のエルを目の当たりにしたナオは、錬金術で作成していたポーションを与え彼女を助ける。
「す、すごい……ナオのおかげで助かった……!」
異世界で自由気ままに錬金術を駆使するナオと、彼に惚れた美少女冒険者エルとのスローライフ&冒険ファンタジーが今、始まる!
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
備蓄スキルで異世界転移もナンノソノ
ちかず
ファンタジー
久しぶりの早帰りの金曜日の夜(但し、矢作基準)ラッキーの連続に浮かれた矢作の行った先は。
見た事のない空き地に1人。異世界だと気づかない矢作のした事は?
異世界アニメも見た事のない矢作が、自分のスキルに気づく日はいつ来るのだろうか。スキル【備蓄】で異世界に騒動を起こすもちょっぴりズレた矢作はそれに気づかずマイペースに頑張るお話。
鈍感な主人公が降り注ぐ困難もナンノソノとクリアしながら仲間を増やして居場所を作るまで。
【一時完結】スキル調味料は最強⁉︎ 外れスキルと笑われた少年は、スキル調味料で無双します‼︎
アノマロカリス
ファンタジー
調味料…それは、料理の味付けに使う為のスパイスである。
この世界では、10歳の子供達には神殿に行き…神託の儀を受ける義務がある。
ただし、特別な理由があれば、断る事も出来る。
少年テッドが神託の儀を受けると、神から与えられたスキルは【調味料】だった。
更にどんなに料理の練習をしても上達しないという追加の神託も授かったのだ。
そんな話を聞いた周りの子供達からは大爆笑され…一緒に付き添っていた大人達も一緒に笑っていた。
少年テッドには、両親を亡くしていて妹達の面倒を見なければならない。
どんな仕事に着きたくて、頭を下げて頼んでいるのに「調味料には必要ない!」と言って断られる始末。
少年テッドの最後に取った行動は、冒険者になる事だった。
冒険者になってから、薬草採取の仕事をこなしていってったある時、魔物に襲われて咄嗟に調味料を魔物に放った。
すると、意外な効果があり…その後テッドはスキル調味料の可能性に気付く…
果たして、その可能性とは⁉
HOTランキングは、最高は2位でした。
皆様、ありがとうございます.°(ಗдಗ。)°.
でも、欲を言えば、1位になりたかった(⌒-⌒; )
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる