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勇者を目指して
18.神に愛されし男 タケル 後編
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■スタートスの泉
立ち上がったタケルは手のひらに水を入れたまま、つぶやいた
「ウォーター」。
何も起こらなかった。
手のひらの水は指の隙間から、ぽたぽたと少しずつ落ちている。
タケルは来る前から漠然とこうなるような気がしていた。
(火に愛されてるから、水には冷たくされるかも)と言う心配と
心配している時点で、神を信じ切れていないと反省していた。
残っていた手の水を泉に戻して、タケルは周囲を見渡した。
泉の先は木の生えていない小高い丘になっていて、建物などは見当たらない。
歩いてきた小川の方を振り返るが、人影も見当たらなかった。
ダメだったときに予定していた行動に移る。
ベスト、ブーツ、シャツ、パンツの順に脱いでいき、全裸になった。
(水の神様に、お願いするには水ごりですよね)
泉へ進み、足先から入る。
泉の水はかなり冷たい。
周囲の気温も25度ぐらいで過ごすには快適だが、水泳にはまったく適していない。
冷たさを我慢して、そのまま泉の中へ進んでいく。
足先には柔らかい砂の感覚が伝わる。
泉の真ん中は腰上くらいの深さだった。
震えがくるが、そのまま両膝をつき肩まで水の中へ浸かる。
目をつぶって両手を組んだ。
(水の神ワテル様 勇者候補のタケルです)
(改めてお願いします。魔竜討伐のためにお力をお貸しください)
目を開けたタケルは、そのまま顔を水につけ、全身を伸ばして水に浮かんだ。
水の中は澄み切っている、底の砂から沸々と水が湧き出しているのが見える。
今度は仰向けに反転し、水面へ顔を出した。
浮いたまま全身で水を感じ、目を閉じて願う。
(ワテル様 「ウォーター」と言いますので、手のひらの指し示す場所に、祈りで描いた大きさの水球を出現させてください)
冷たさがしびれに変わり、体が慣れてくるまで浮いていたが、不謹慎な生理反応が起こりそうになったので、あわてて泉から上がった。
手ぬぐいで全身を拭いた後に、ブーツ以外を身にまとった。
素足のまま、泉のほとりに足を開いて立つ。
目を閉じ、頭の中で球体のイメージを描きながら、ワテル様に祈りをささげる。
右手をゆっくり上げ、「ウォーター」とつぶやいた。
タケルの眼前に50cmぐらいのきれいな球体が現れた!
完全な球体で水とは思えないが、よく見ると表面が風で小さく波打っている。
(ありがとうございます ワテル様 そのまま水球を上昇させてください。)
タケルは水球をじっと見つめたまま、祈りを続ける。
目の前の水球が1メートルほど上昇した。
手を左右に動かすと、水球も遅れてついてくる。
(ありがとうございます。ワテル様 水をお戻しください)
心で祈り、右手を下ろした。
目の前の水球が消滅した。
(水が泉に戻るわけではないんだ)
漠然と思いながら、もう一度目をつぶって心の中で、神に感謝を伝える。
神との対話を終えたタケルはご機嫌でブーツを履いて教会へ戻り始めた。
泉から離れたときに、人の気配を感じて思わず槍を握りなおす。
50メートルぐらい先の木立の影に人がいる。
(危ない人だと思われたかな)と心配しながら見ていると、木陰からマリンダが現れた。
目が会うと目礼したマリンダさんに近づいて行く。
「マリンダさん、何かありましたか?」
「タケル様が気になったので、後を追って来てしまいました。お邪魔にならないように隠れてみていたのですが、ご迷惑だったでしょうか?」
「いえ、どのあたりからここにいました?」
「私がここに来た時は、タケル様が水に浮いているところでした。その後、水を炎と同じように操られたのをみて、神の大きな愛に、私も感謝をささげておりました。」マリンダは少し涙ぐんでいる。
(ということは、俺様の全裸 フリチンも含めて感動したってことね。)
「ワテル様も私の願いを聞き届けていただけました。でも、コッソリ私の裸を見るのはずるいですよぉ。お見せするほど立派なイチモツでもないし、マリンダさんのも見せてもらわないと割に合わないな。」現世ならセクハラとなるジョークを言ってみた。
「タケル様がお望みでしたら、そのようにいたします。」マリンダさんは真顔でタケルを見る。
「ひょっとして、『勇者の言うことを何でも聞かないといけない』って教会に言われています?」
「はい、教会からはそのように指示されております。ですが、お力を拝見して指示が無くても、この身の全てを捧げるべき勇者様だと確信しております。」
「ありがとうございます、これからも力を貸してください。」
よからぬ邪念をおさえて、お上品に締めくくっておいた。
空き地に戻ると、3人が集まってきた。
「タケルは一人で何してたの、コソ練?ずるくない?」ナカジーが口を尖らす。
「うん、一人で神に愛されに行ってた。みんなはどんな感じだった。」
「前より炎が大きくなったんスけど、タケルさんほどは大きくならないです。」ダイスケが首をかしげる。
「アキラさんは?どうだった?」
「良くなった。」アキラさんがボソッと答える、良くなった内容はまったく不明だ。
「で、タケルは何してたって聞いてんのよ!!」ナカジーがイラつく。
「水の神 ワテル様と仲良くなってきた。」
「もう、水の魔法が使えるの!?」
「大丈夫、俺 神様たちとラブラブだから。 ねッ、マリンダさん。」
タケルから振られたマリンダがニッコリとうなずいた。
(ラブラブはちゃんと翻訳できてるのか?)
「興味あるだろうから、やってみようか。」と言って、みんなから少し離れた。
足を開き、目を閉じて神に祈る。
(ワテル様 何度も申し訳ありませんが、先ほどと同じようにお願いします)
頭の中で、イメージを描いてつぶやいた。
「ウォーター。」
立ち上がったタケルは手のひらに水を入れたまま、つぶやいた
「ウォーター」。
何も起こらなかった。
手のひらの水は指の隙間から、ぽたぽたと少しずつ落ちている。
タケルは来る前から漠然とこうなるような気がしていた。
(火に愛されてるから、水には冷たくされるかも)と言う心配と
心配している時点で、神を信じ切れていないと反省していた。
残っていた手の水を泉に戻して、タケルは周囲を見渡した。
泉の先は木の生えていない小高い丘になっていて、建物などは見当たらない。
歩いてきた小川の方を振り返るが、人影も見当たらなかった。
ダメだったときに予定していた行動に移る。
ベスト、ブーツ、シャツ、パンツの順に脱いでいき、全裸になった。
(水の神様に、お願いするには水ごりですよね)
泉へ進み、足先から入る。
泉の水はかなり冷たい。
周囲の気温も25度ぐらいで過ごすには快適だが、水泳にはまったく適していない。
冷たさを我慢して、そのまま泉の中へ進んでいく。
足先には柔らかい砂の感覚が伝わる。
泉の真ん中は腰上くらいの深さだった。
震えがくるが、そのまま両膝をつき肩まで水の中へ浸かる。
目をつぶって両手を組んだ。
(水の神ワテル様 勇者候補のタケルです)
(改めてお願いします。魔竜討伐のためにお力をお貸しください)
目を開けたタケルは、そのまま顔を水につけ、全身を伸ばして水に浮かんだ。
水の中は澄み切っている、底の砂から沸々と水が湧き出しているのが見える。
今度は仰向けに反転し、水面へ顔を出した。
浮いたまま全身で水を感じ、目を閉じて願う。
(ワテル様 「ウォーター」と言いますので、手のひらの指し示す場所に、祈りで描いた大きさの水球を出現させてください)
冷たさがしびれに変わり、体が慣れてくるまで浮いていたが、不謹慎な生理反応が起こりそうになったので、あわてて泉から上がった。
手ぬぐいで全身を拭いた後に、ブーツ以外を身にまとった。
素足のまま、泉のほとりに足を開いて立つ。
目を閉じ、頭の中で球体のイメージを描きながら、ワテル様に祈りをささげる。
右手をゆっくり上げ、「ウォーター」とつぶやいた。
タケルの眼前に50cmぐらいのきれいな球体が現れた!
完全な球体で水とは思えないが、よく見ると表面が風で小さく波打っている。
(ありがとうございます ワテル様 そのまま水球を上昇させてください。)
タケルは水球をじっと見つめたまま、祈りを続ける。
目の前の水球が1メートルほど上昇した。
手を左右に動かすと、水球も遅れてついてくる。
(ありがとうございます。ワテル様 水をお戻しください)
心で祈り、右手を下ろした。
目の前の水球が消滅した。
(水が泉に戻るわけではないんだ)
漠然と思いながら、もう一度目をつぶって心の中で、神に感謝を伝える。
神との対話を終えたタケルはご機嫌でブーツを履いて教会へ戻り始めた。
泉から離れたときに、人の気配を感じて思わず槍を握りなおす。
50メートルぐらい先の木立の影に人がいる。
(危ない人だと思われたかな)と心配しながら見ていると、木陰からマリンダが現れた。
目が会うと目礼したマリンダさんに近づいて行く。
「マリンダさん、何かありましたか?」
「タケル様が気になったので、後を追って来てしまいました。お邪魔にならないように隠れてみていたのですが、ご迷惑だったでしょうか?」
「いえ、どのあたりからここにいました?」
「私がここに来た時は、タケル様が水に浮いているところでした。その後、水を炎と同じように操られたのをみて、神の大きな愛に、私も感謝をささげておりました。」マリンダは少し涙ぐんでいる。
(ということは、俺様の全裸 フリチンも含めて感動したってことね。)
「ワテル様も私の願いを聞き届けていただけました。でも、コッソリ私の裸を見るのはずるいですよぉ。お見せするほど立派なイチモツでもないし、マリンダさんのも見せてもらわないと割に合わないな。」現世ならセクハラとなるジョークを言ってみた。
「タケル様がお望みでしたら、そのようにいたします。」マリンダさんは真顔でタケルを見る。
「ひょっとして、『勇者の言うことを何でも聞かないといけない』って教会に言われています?」
「はい、教会からはそのように指示されております。ですが、お力を拝見して指示が無くても、この身の全てを捧げるべき勇者様だと確信しております。」
「ありがとうございます、これからも力を貸してください。」
よからぬ邪念をおさえて、お上品に締めくくっておいた。
空き地に戻ると、3人が集まってきた。
「タケルは一人で何してたの、コソ練?ずるくない?」ナカジーが口を尖らす。
「うん、一人で神に愛されに行ってた。みんなはどんな感じだった。」
「前より炎が大きくなったんスけど、タケルさんほどは大きくならないです。」ダイスケが首をかしげる。
「アキラさんは?どうだった?」
「良くなった。」アキラさんがボソッと答える、良くなった内容はまったく不明だ。
「で、タケルは何してたって聞いてんのよ!!」ナカジーがイラつく。
「水の神 ワテル様と仲良くなってきた。」
「もう、水の魔法が使えるの!?」
「大丈夫、俺 神様たちとラブラブだから。 ねッ、マリンダさん。」
タケルから振られたマリンダがニッコリとうなずいた。
(ラブラブはちゃんと翻訳できてるのか?)
「興味あるだろうから、やってみようか。」と言って、みんなから少し離れた。
足を開き、目を閉じて神に祈る。
(ワテル様 何度も申し訳ありませんが、先ほどと同じようにお願いします)
頭の中で、イメージを描いてつぶやいた。
「ウォーター。」
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