80 / 103
80. 転生者
しおりを挟む
「さて、此処はハズレだから戻ろうか」
「当たりハズレを探るのなら、最初から一緒に行動したほうが楽ではないですか?」
「普通はそうなんだが……」
「当たりの扉だと突き当たりの部屋に階層ボスがいて、その前の広間が無風地帯になるんですよね」
「ああ、そうだ。別行動なのは、単に茶ピンクが鬱陶しいのと、5人のパーティーで慣れているのに人数が増えると連携が取りにくい。それと、リーナのチートをあまり知られたくない」
「ああ、茶ピンクが『水魔法の加護』を寄こせと言ってきそうですものね」
「加護のやり取りなんてできるはずがない、いや、前に茶ピンクが氷を出した時はラクアートと二人で、と言っていたし、ラクアートと茶ピンクは同じ『水の魔法の加護』だ。茶ピンク、ラクアートの加護を奪った? いや、共有しているのか? ラクアートの生気の無さも気にかかるし、あいつ、本当に生気を吸い取る魔女じゃないか」
「ピンク頭と魔女同士で争って、ピンクの生命力も茶ピンクが奪い取ったから、ピンクが寝たきりになっているのかもしれませんね」
そう、いまだにピンクさんは保護された離宮で寝たきりのままになっている。
寝たきりと言いつつ、寝たままなのに食事は与えると食べるし、寝たまま夢遊病者のように手を引くと散歩もする。
でも、目は瞑ったままで時折、ブツブツと呟いているから見ていると怖い。夢の世界に捕らわれている感じだろうか。
時折、魔法を発しようとするので、今は魔封じのアンクレットを付けている。なので、魔法を発しようとしては不発になって首をひねっているそうだ。
「勇者の予言にも魔女って出てくるんですけど、魔女って何でしょうか」
「魔女は悪しき者、つまり茶ピンクだ」
「いや、本当にそうかもしれませんが。殿下は本当に茶ピンクが嫌いですね」
「俺も茶ピンクは生理的に受け付けないし嫌いです。それに魔王のダンジョンなのに茶ピンクがいると攻略の邪魔ではないですか? 茶ピンクはドラゴンの事をなんて言っているんですか」
「自分が行けばわかる、と。サッサと吐けばいいのに」
「ドラゴンの宝玉は殿下が持っているし、アークが星の王子様としてもアーク、どこかの星に行きたい?」
「いや、いや。どこか知らない星にドラゴンに乗って飛び立つなんて勘弁してほしい。俺はこの星で細々と暮らしてリーナの作るご飯が食べられればそれでいい」
「リーナ様が殿下と結婚したらご飯は作れないかもしれません」
「いや、料理はリーナの大切な趣味だから絶対に何とかする」
「その前に殿下は立太子しないといけないんですけど、ね」
「まぁな。でもその辺についてはこの魔王のダンジョンの件が終わってからで」
「リーナ様が」
「ランディ!」
「ああ、はい。すみません」
ランディ様が何か言いかけたのを殿下が慌てて止めた。何となく言いたいことはわかる。私が聖女に成って魔王事、小太郎さんの封印、ではなく解放をする事で多分、殿下の立太子がスムーズに進むのではないかと思う。
誰も何も言わないけど、殿下の立太子を妨げている何かの事情があるみたいで、それが何か分からないから余計に不安になってしまう。
事情を聞けばいいのだけれど聞いてしまうともう、戻れなくなりそうで。
殿下は優しい。
殿下は好きだけど、殿下に聖女の重責を渡してしまいたいと思う弱虫な私がいる。もう、猶予はないというのに。
「おぉ、戻ってきましたか。どうでした? こちらは行き止まりになっていました」
「ああ、こちらも行き止まりだった。つまり、真ん中の扉が正解だな」
「そのようですね。聞いていましたが出てくる兵隊蟻はデカかったですね。あまり強くはありませんが」
「1階層のボスは女王蟻だから、強くはないが油断はできない」
「女王蟻は何かドロップがありましたか」
「蟻蜜が出るが、人数分出てくるから持って帰れる」
「それは何よりです」
という会話がある間、茶ピンクさんが静かだなって思っていたら彼女、ハンモックみたいなのに横たわって寝ていた。ダンジョンなのに信じられない。簡易テーブルとイスも側に出ていてラクアート様は椅子に座っていたが。私達が帰ってきたので立ち上がってこちらを見ていた。
「ラクアート、何もなかったか?」
「はい。特には」
「そうか、昼は済ませたのか?」
「はい。先ほど頂きました」
「そうか、では我々が昼を取る間、見張りを頼む」
「かしこまりました」
そう言うと、ラクアート様は茶ピンクさんのハンモックの後ろ側で全体を見渡せる場所に立った。うーん。以前のラクアート様はどこへ行ったの、というくらい何だか淡々としている。貴方は誰? のレベルだと思う。
ブラックさんとグリーンさんは小さな携帯用椅子を取りだすと、少し離れたところでお昼を食べだした。アイテムボックスを持っているようで、パンと串焼き肉を食べているが串焼き肉からは湯気が出ていた。
私も皆にお弁当を配る。今日は簡単なお握り弁当。お握りと卵焼き、唐揚げにゴボウとピーマンの天ぷらを入れてみた。
お握りはウメンの実入りの白米のお握りに炊き込みご飯のお握り。お兄様が炊き込みご飯に嵌ったので、最近はよく炊き込みご飯を作っている。それに豚汁ならぬ魔獣汁をカップでお兄様に渡すと次々に配ってくれた。お味噌の香りがとても美味しそう。
「おい、それは何だ!?」
ブラックさんがこちらを見ていた。美形なのに涎が出そうな顔をしている。お味噌の香りに惹かれたのかしら?
「お味噌汁ですけど、良かったら召し上がります?」
「ああ、是非貰いたい」
そう言うと、ブラックさんとグリーンさんは急いで串焼き肉を持ったままこちらへ近づいてきた。スッと殿下が私の前を塞ぐと自分の持っていた味噌汁を差し出した。
「良ければ、これを」
「ああ、有難い。というかアンタら、お握りを食べているのか! どこで米を手に入れたんだ!」
「おお、お握りだ。お握り弁当だ。美味そうだ。まさかの唐揚げと卵焼き、天ぷらか」
「リーナ。余分はあるか?」
「はい、どうぞ」
差し出したお握り弁当と豚汁を冒険者の二人は嬉しそうに受け取ると直ぐに食べだした。
「ああ、懐かしい。米の飯、いや、これ久しぶりのせいか、えらい美味い。豚汁も凄い」
「何だこれ。美味い、信じられないくらい美味い。前より美味いぞ、これ」
ブラックさんとグリーンさん、二人ともどうやら転生者らしい。この大陸にお米は流通していないから喜ぶのはわかるけど。
この世界に転生者がいるのはわかっていたけど、でもこのダンジョンの中にアルファント殿下とお兄様、私にブラックさんとグリーンさん、茶ピンクさん。
転生者、多すぎ。
「当たりハズレを探るのなら、最初から一緒に行動したほうが楽ではないですか?」
「普通はそうなんだが……」
「当たりの扉だと突き当たりの部屋に階層ボスがいて、その前の広間が無風地帯になるんですよね」
「ああ、そうだ。別行動なのは、単に茶ピンクが鬱陶しいのと、5人のパーティーで慣れているのに人数が増えると連携が取りにくい。それと、リーナのチートをあまり知られたくない」
「ああ、茶ピンクが『水魔法の加護』を寄こせと言ってきそうですものね」
「加護のやり取りなんてできるはずがない、いや、前に茶ピンクが氷を出した時はラクアートと二人で、と言っていたし、ラクアートと茶ピンクは同じ『水の魔法の加護』だ。茶ピンク、ラクアートの加護を奪った? いや、共有しているのか? ラクアートの生気の無さも気にかかるし、あいつ、本当に生気を吸い取る魔女じゃないか」
「ピンク頭と魔女同士で争って、ピンクの生命力も茶ピンクが奪い取ったから、ピンクが寝たきりになっているのかもしれませんね」
そう、いまだにピンクさんは保護された離宮で寝たきりのままになっている。
寝たきりと言いつつ、寝たままなのに食事は与えると食べるし、寝たまま夢遊病者のように手を引くと散歩もする。
でも、目は瞑ったままで時折、ブツブツと呟いているから見ていると怖い。夢の世界に捕らわれている感じだろうか。
時折、魔法を発しようとするので、今は魔封じのアンクレットを付けている。なので、魔法を発しようとしては不発になって首をひねっているそうだ。
「勇者の予言にも魔女って出てくるんですけど、魔女って何でしょうか」
「魔女は悪しき者、つまり茶ピンクだ」
「いや、本当にそうかもしれませんが。殿下は本当に茶ピンクが嫌いですね」
「俺も茶ピンクは生理的に受け付けないし嫌いです。それに魔王のダンジョンなのに茶ピンクがいると攻略の邪魔ではないですか? 茶ピンクはドラゴンの事をなんて言っているんですか」
「自分が行けばわかる、と。サッサと吐けばいいのに」
「ドラゴンの宝玉は殿下が持っているし、アークが星の王子様としてもアーク、どこかの星に行きたい?」
「いや、いや。どこか知らない星にドラゴンに乗って飛び立つなんて勘弁してほしい。俺はこの星で細々と暮らしてリーナの作るご飯が食べられればそれでいい」
「リーナ様が殿下と結婚したらご飯は作れないかもしれません」
「いや、料理はリーナの大切な趣味だから絶対に何とかする」
「その前に殿下は立太子しないといけないんですけど、ね」
「まぁな。でもその辺についてはこの魔王のダンジョンの件が終わってからで」
「リーナ様が」
「ランディ!」
「ああ、はい。すみません」
ランディ様が何か言いかけたのを殿下が慌てて止めた。何となく言いたいことはわかる。私が聖女に成って魔王事、小太郎さんの封印、ではなく解放をする事で多分、殿下の立太子がスムーズに進むのではないかと思う。
誰も何も言わないけど、殿下の立太子を妨げている何かの事情があるみたいで、それが何か分からないから余計に不安になってしまう。
事情を聞けばいいのだけれど聞いてしまうともう、戻れなくなりそうで。
殿下は優しい。
殿下は好きだけど、殿下に聖女の重責を渡してしまいたいと思う弱虫な私がいる。もう、猶予はないというのに。
「おぉ、戻ってきましたか。どうでした? こちらは行き止まりになっていました」
「ああ、こちらも行き止まりだった。つまり、真ん中の扉が正解だな」
「そのようですね。聞いていましたが出てくる兵隊蟻はデカかったですね。あまり強くはありませんが」
「1階層のボスは女王蟻だから、強くはないが油断はできない」
「女王蟻は何かドロップがありましたか」
「蟻蜜が出るが、人数分出てくるから持って帰れる」
「それは何よりです」
という会話がある間、茶ピンクさんが静かだなって思っていたら彼女、ハンモックみたいなのに横たわって寝ていた。ダンジョンなのに信じられない。簡易テーブルとイスも側に出ていてラクアート様は椅子に座っていたが。私達が帰ってきたので立ち上がってこちらを見ていた。
「ラクアート、何もなかったか?」
「はい。特には」
「そうか、昼は済ませたのか?」
「はい。先ほど頂きました」
「そうか、では我々が昼を取る間、見張りを頼む」
「かしこまりました」
そう言うと、ラクアート様は茶ピンクさんのハンモックの後ろ側で全体を見渡せる場所に立った。うーん。以前のラクアート様はどこへ行ったの、というくらい何だか淡々としている。貴方は誰? のレベルだと思う。
ブラックさんとグリーンさんは小さな携帯用椅子を取りだすと、少し離れたところでお昼を食べだした。アイテムボックスを持っているようで、パンと串焼き肉を食べているが串焼き肉からは湯気が出ていた。
私も皆にお弁当を配る。今日は簡単なお握り弁当。お握りと卵焼き、唐揚げにゴボウとピーマンの天ぷらを入れてみた。
お握りはウメンの実入りの白米のお握りに炊き込みご飯のお握り。お兄様が炊き込みご飯に嵌ったので、最近はよく炊き込みご飯を作っている。それに豚汁ならぬ魔獣汁をカップでお兄様に渡すと次々に配ってくれた。お味噌の香りがとても美味しそう。
「おい、それは何だ!?」
ブラックさんがこちらを見ていた。美形なのに涎が出そうな顔をしている。お味噌の香りに惹かれたのかしら?
「お味噌汁ですけど、良かったら召し上がります?」
「ああ、是非貰いたい」
そう言うと、ブラックさんとグリーンさんは急いで串焼き肉を持ったままこちらへ近づいてきた。スッと殿下が私の前を塞ぐと自分の持っていた味噌汁を差し出した。
「良ければ、これを」
「ああ、有難い。というかアンタら、お握りを食べているのか! どこで米を手に入れたんだ!」
「おお、お握りだ。お握り弁当だ。美味そうだ。まさかの唐揚げと卵焼き、天ぷらか」
「リーナ。余分はあるか?」
「はい、どうぞ」
差し出したお握り弁当と豚汁を冒険者の二人は嬉しそうに受け取ると直ぐに食べだした。
「ああ、懐かしい。米の飯、いや、これ久しぶりのせいか、えらい美味い。豚汁も凄い」
「何だこれ。美味い、信じられないくらい美味い。前より美味いぞ、これ」
ブラックさんとグリーンさん、二人ともどうやら転生者らしい。この大陸にお米は流通していないから喜ぶのはわかるけど。
この世界に転生者がいるのはわかっていたけど、でもこのダンジョンの中にアルファント殿下とお兄様、私にブラックさんとグリーンさん、茶ピンクさん。
転生者、多すぎ。
0
あなたにおすすめの小説
老聖女の政略結婚
那珂田かな
ファンタジー
エルダリス前国王の長女として生まれ、半世紀ものあいだ「聖女」として太陽神ソレイユに仕えてきたセラ。
六十歳となり、ついに若き姪へと聖女の座を譲り、静かな余生を送るはずだった。
しかし式典後、甥である皇太子から持ち込まれたのは――二十歳の隣国王との政略結婚の話。
相手は内乱終結直後のカルディア王、エドモンド。王家の威信回復と政権安定のため、彼には強力な後ろ盾が必要だという。
子も産めない年齢の自分がなぜ王妃に? 迷いと不安、そして少しの笑いを胸に、セラは決断する。
穏やかな余生か、嵐の老後か――
四十歳差の政略婚から始まる、波乱の日々が幕を開ける。
「魔道具の燃料でしかない」と言われた聖女が追い出されたので、結界は消えます
七辻ゆゆ
ファンタジー
聖女ミュゼの仕事は魔道具に力を注ぐだけだ。そうして国を覆う大結界が発動している。
「ルーチェは魔道具に力を注げる上、癒やしの力まで持っている、まさに聖女だ。燃料でしかない平民のおまえとは比べようもない」
そう言われて、ミュゼは城を追い出された。
しかし城から出たことのなかったミュゼが外の世界に恐怖した結果、自力で結界を張れるようになっていた。
そしてミュゼが力を注がなくなった大結界は力を失い……
タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。
渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。
しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。
「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」
※※※
虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
追放された偽物聖女は、辺境の村でひっそり暮らしている
潮海璃月
ファンタジー
辺境の村で人々のために薬を作って暮らすリサは“聖女”と呼ばれている。その噂を聞きつけた騎士団の数人が現れ、あらゆる疾病を治療する万能の力を持つ聖女を連れて行くべく強引な手段に出ようとする中、騎士団長が割って入る──どうせ聖女のようだと称えられているに過ぎないと。ぶっきらぼうながらも親切な騎士団長に惹かれていくリサは、しかし実は数年前に“偽物聖女”と帝都を追われたクラリッサであった。
召喚されたら聖女が二人!? 私はお呼びじゃないようなので好きに生きます
かずきりり
ファンタジー
旧題:召喚された二人の聖女~私はお呼びじゃないようなので好きに生きます~
【第14回ファンタジー小説大賞エントリー】
奨励賞受賞
●聖女編●
いきなり召喚された上に、ババァ発言。
挙句、偽聖女だと。
確かに女子高生の方が聖女らしいでしょう、そうでしょう。
だったら好きに生きさせてもらいます。
脱社畜!
ハッピースローライフ!
ご都合主義万歳!
ノリで生きて何が悪い!
●勇者編●
え?勇者?
うん?勇者?
そもそも召喚って何か知ってますか?
またやらかしたのかバカ王子ー!
●魔界編●
いきおくれって分かってるわー!
それよりも、クロを探しに魔界へ!
魔界という場所は……とてつもなかった
そしてクロはクロだった。
魔界でも見事になしてみせようスローライフ!
邪魔するなら排除します!
--------------
恋愛はスローペース
物事を組み立てる、という訓練のため三部作長編を予定しております。
失われた力を身に宿す元聖女は、それでも気楽に過ごしたい~いえ、Sランク冒険者とかは結構です!~
紅月シン
ファンタジー
聖女として異世界に召喚された狭霧聖菜は、聖女としての勤めを果たし終え、満ち足りた中でその生涯を終えようとしていた。
いや嘘だ。
本当は不満でいっぱいだった。
食事と入浴と睡眠を除いた全ての時間で人を癒し続けなくちゃならないとかどんなブラックだと思っていた。
だがそんな不満を漏らすことなく死に至り、そのことを神が不憫にでも思ったのか、聖菜は辺境伯家の末娘セーナとして二度目の人生を送ることになった。
しかし次こそは気楽に生きたいと願ったはずなのに、ある日セーナは前世の記憶と共にその身には聖女としての癒しの力が流れていることを知ってしまう。
そしてその時点で、セーナの人生は決定付けられた。
二度とあんな目はご免だと、気楽に生きるため、家を出て冒険者になることを決意したのだ。
だが彼女は知らなかった。
三百年の時が過ぎた現代では、既に癒しの力というものは失われてしまっていたということを。
知らぬままに力をばら撒く少女は、その願いとは裏腹に、様々な騒動を引き起こし、解決していくことになるのであった。
※完結しました。
※小説家になろう様にも投稿しています
その聖女は身分を捨てた
喜楽直人
ファンタジー
ある日突然、この世界各地に無数のダンジョンが出来たのは今から18年前のことだった。
その日から、この世界には魔物が溢れるようになり人々は武器を揃え戦うことを覚えた。しかし年を追うごとに魔獣の種類は増え続け武器を持っている程度では倒せなくなっていく。
そんな時、神からの掲示によりひとりの少女が探し出される。
魔獣を退ける結界を作り出せるその少女は、自国のみならず各国から請われ結界を貼り廻らせる旅にでる。
こうして少女の活躍により、世界に平和が取り戻された。
これは、平和を取り戻した後のお話である。
存在感のない聖女が姿を消した後 [完]
風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは
永く仕えた国を捨てた。
何故って?
それは新たに現れた聖女が
ヒロインだったから。
ディアターナは
いつの日からか新聖女と比べられ
人々の心が離れていった事を悟った。
もう私の役目は終わったわ…
神託を受けたディアターナは
手紙を残して消えた。
残された国は天災に見舞われ
てしまった。
しかし聖女は戻る事はなかった。
ディアターナは西帝国にて
初代聖女のコリーアンナに出会い
運命を切り開いて
自分自身の幸せをみつけるのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる